ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1570話 驚きの事実

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 スカーレットから小言をもらった次の日、

「うぅ、何か、胃もたれしている気がする」

 この世界に来てから地球にいたころより食べるようになったとはいえ、昨日はさすがに食べすぎたようだ。パンケーキ4枚だけならまだよかったのだが、それにホイップクリームやフルーツがどっさりトッピングされた4段重ねだったからな。

 それを食べて4時間あいていたとはいえ、スカーレットに小言、おやつを食べすぎだ! と注意されたのだ。食事量の制限はしていないが、さすがに食べ過ぎで注意をされたのだ。でもさ、不可抗力なんだよ! 4人がみんないい笑顔で食べてね! っていうんだから、しょうがないだろうが!

 これ以上説教されたくないがために、夕食も通常量食べたのが間違いだったな。とりあえず、ランクの一番低いエリクサーでも飲んでおこう。

 大怪我も治せるエリクサーを、胸やけ程度で使ってしまうシュウの感覚は、かなりおかしくなっているようだ。DPが余っているダンジョンマスターならではの無駄使いである。

 胸やけは一瞬で治ったが、やはり違和感までは治せないようだ。気持ち悪くはないが、変な感じがする。

 モヤモヤした感じをそのままに、庁舎で仕事をして帰ってきた。

 ミリーは冒険者ギルドにいたので、何やら仕事をしているようだった。残っているのはカエデとリンドか? と思ったが、リンドも今日は鍛冶場に顔を出していていないらしい。

 ミーシャたちも成長しており、誰かが見守っていなければいけないほど、危なっかしいことはしなくなっている。それに、ケットシーとスライムたちは常時近くにいるので、本当に問題があるのであれば、どっちかが止めてくれるのだ。

 そのため、ミリー・カエデ・リンドの3人が一緒にいることが少なくなっている。勉強も運動も教えてはいるが、誰か1人いれば問題ないし、娘たちのやりたいときに合わせているので、勉強も毎日しているわけではない。

 運動に関しては、体を動かすことが好きなので、ほぼ毎日行っているようだけどね。

 っと、残っていたカエデを呼んで、昨日のことを話した。

 スカーレットに何か小言を言われているのを見ていたが、何で小言を言われているかまでは理解してなかったため、俺の説明を聞いて爆笑しやがった。なんかむかつく!

 娘たちにはそれとなく伝えてもらって、昨日フォローしていたブラウニーたちに注意をしてくれるようだ。家精霊のブラウニーは、元来悪戯好きらしいので、ちょこちょここういったことをしてくるんだよね。酷い悪戯ではなく、些細な悪戯ではあるが、ボディーブローのようにひびくから止めてほしい。

 カエデ、そっちのことは任せた! 勉強は俺がみておくからよろしく!

 今、娘たちが必死になって説いているのは、四則演算だった。おろろ? 足し算引き算ならわかるのだが、掛け算割り算も普通にやってるのだが。しかも、分数が普通に入っている計算式だ。

 これって、小学4~5年生とかでやる奴じゃなかったっけ? 俺もよく覚えてないからあれだけど、カエデが置いていった計算ドリルの表紙を見てみると、小学4年生とデカデカと書かれていた。

 ちょっと進みすぎじゃねえか? とも思うが、日本の授業の中でこちらの世界で勉強する価値のあるものって、算数と理科だけじゃね? 社会と国語なんて使い物にならねえもんな。

 言葉遣いや仕草などは、シルキーたちに任せておけば問題ない。地理に関してはダンマスのスキルである程度把握できるから、無理に覚える必要はないな。

 そんなこと覚えるくらいなら、農業のことや生活に役立つことを覚えるべきだろう。

 そう考えると、まともに勉強する価値があるのって、理科だけじゃないか? 算数はできて損しないけどな。商売だけじゃなく、店で売り買いするときに騙されないようにするために、できた方がいいか。

 どうでもいいような気もするが大切なことを考えていると、ウルができた! と言って、ドリルを俺のもとに持ってきた。

 答え合わせをすると、95点! おしい、1問間違ってしまったようだ。

 分数の割り算で少しミスってしまい、間違えてしまったようだ。どこが間違っているのか改めて考えさせると、分かったようで書き直して正解となる!

 ミーシャたちも次々に声をかけてくるので、答え合わせをしていく。

 ウルよりは少し簡単な問題をやっているんだな。そのおかげか、3人とも100点満点だった。

 俺が頭をなでて褒めると、ヤル気を出した3人が次のページの問題を始めた。その様子を見ていたウルがため息をついて、こっそりと教えてくれたのだが……普段は、自分から次のページをやることは無いらしい。俺に褒められたことが嬉しかったみたいで、ヤル気になったと思うだってさ。

 うむ、それが本当なら俺も嬉しい。嫌われていないようで安心するよ。綾乃め! 俺の不安を煽り立てるようなことばっかり言いやがって! 今度またハリセンで引っ叩いてやる。

 その後も怒涛の勢いで、計算ドリルを進めていく娘たち。さすがに5ページはやりすぎじゃないか? 学校の宿題でもせいぜい2ページとかじゃなかったか?

 戻ってきたカエデが、まだ計算問題をしていることに驚くくらい、珍しい光景だったみたいだ。

 それにしても、この子たちは何でこんなに計算できるのだろうか? カエデに聞いて判明した。

 カエデも元々はあまり計算が得意ではなかったらしい。だけどある時から、勉強をすればスポンジが水を吸収するような感じで、色々吸収できるようになったらしい。

 その、ある時とは日本語習得のために宝珠を使った時だ。

 あれは日本語の知識だけでなく、土台になる何かをインストールしたのかもしれないな。

 言語系の宝珠に関しては、他の知識が少なければ少ないほど、負担なく覚えることができるのだ。これは、チビ神に確認して使用しているので、間違いなかった。チビ神が昔、実験していたのを見たことがあると言って、資料を引っ張り出してくれたのだ。

 そのときは、食いきれないであろう量のお菓子やスイーツを捧げておいた。

 6ページ目が終わると、今度は運動をする! と言って、庭に出て軽く走った後にストレッチをして、2人1組で組手を始めた。4人を入れ替えながら、カエデが格闘術を指導していたのだ。

 絶対におかしい! いくら親バカな俺でも分かる。天才だから! で済ませられる範疇を越している。どうしてこうなった?
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