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第1562話 よくわからん世界
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先行偵察に行かせたヴァンパイアゾンビだが、ゾンビなのに臭くもないし腐ってもおらず、身綺麗だった。これなら街に潜入できたのも頷けるな。
とはいえ、ゾンビなので環境の影響を受けることがないため、俺たちが行っても安全なのかは不明である。まぁ、自分で行く必要はないので、ドッペルに憑依して行くことが決定している。
「前のときは、シュウが奥さんを取り返しに行くって感じで、土地のこと調べなかったけど、今回はしっかり調べるべきだと思うわよ」
「同じ魔物が出るパラレルワールドでござるか?」
「パラレルワールドとは違うだろ。実際に存在が確認できていて移動可能な空間だからな。パラレルワールドって平行世界とかそんな感じで、証明できていないけど存在するんじゃないかっていうモノだったはずだしな」
「調べると言っても、生身で行くことは無いから気にする必要はないのかもしれないし。シュウは、奥さんたちの許可が下りないでしょ。バザールはもう死んでるから気にする必要もないか、私はまだ死にたくないしね!」
まぁ、要は遊び感覚になっている。
敵性ダンジョンマスターが、日々ダンジョンに入ってDPを稼いでいるようなのだが……あいつって、ダンジョンマスターの能力までは失っていないと判断できる。それにしても、こいつって変わり者の部類だったのかな?人間と一緒にいるダンマスって珍しいんじゃなかったっけ?
って、そうでもないか。ダンジョンを作ってそこに街を作った奴だっているんだし、少数派であっても変わり者って程の事でもないか。
「あっ! その前にしておかないといけないことがあった。この世界を格子状に掌握して、人の多いところは範囲指定して掌握っと。うん、すげーな」
「この大陸とほぼ同じ形ね。でも、人口分布がメッチャ偏っているわよ」
綾乃の指摘した通り掌握したこの大陸は、人口分布がかなり偏っていた。
樹海には人が少しだけいるのは違ってはいないが、全体的に地図の右、東側に人間が偏っているのがわかる。そして、人口比率は獣人の方が多いみたいだな。奴隷の数は予想していたより少ない。
西側にもちらほら人がいるけど、多くて500人くらいの規模がちょこちょこいる感じだ。東から逃げて来た人たちとか、元々西に住んでいた人たちの末裔かな?
そんなことはどうでもいいか。何て言うか、人間と獣人がいがみ合っている世界ではなさそうだな。
「仕事も終わったんだから、サクッと行くわよ! 奥さんたちの準備もできているみたいだから、さっさとしなさい!」
向こうの世界の常識を知らないので従魔を連れていけないが、収納のカバンにいざという時のために人造ゴーレムをいろいろ詰めて来たから、何かあっても逃げ切ることはできるだろう。
すべてを失ったダンジョンマスターが、俺のドッペルたちをどうこう出来るとは思わないが、もしダンマスの能力で掌握されたらこっちの情報が抜かれてしまう危険性があるので、ドッペルだけは何としても逃がす所存である。
じゃぁ行かなければいいじゃんって話になるんだが、やっぱり行けるんだったら行ってみたいじゃん、海外って! 住みたくはないけどさ。
今回は、俺・バザール・綾乃・ライム・メアリーの5人で行動することになっている。
ただ選んでみてアレだけど、俺は前衛でタンクもできる。バザールは武器の才能なく魔法支援。綾乃は役立たず。ライムは魔法。メアリーは弓がメインでレイピアも可。
見事に後衛ばっかりの偏った編成だな。
掌握したときに魔物のLvを調べてみたのだが、樹海にあたる場所はこちらと比べて低かった。理由はわからないが、大陸に存在する魔物の平均が全体的に低い気がするな。
それに、Sランク相当の魔物もあまり多くないようだ。ただし、特殊な個体はやっぱり存在しているみたいだ。黒龍のバッハに代わる、白龍なんていうのもいるみたいだな。まぁこっちに来ない限り対応することは無いけどな。
ヴァンパイアゾンビに準備させておいた家に移動した。雑貨屋で新聞のようなものが売られていたようで、過去にさかのぼって余っている分を買いあさってくれたらしい。バザールが操っているわけじゃないのに、こいつらって知能高いな。
お金に関しては、DPで召喚できるものと変わらなかったので、全世界共通のお金かもしれないな。
サクッと読んでみてわかることは、こっちの世界と同じで壁を作ってその中で暮らしているということだ。メインの壁の外周には、うちら程ではないが壁をしっかり作って農業をしているようだ。街の事業として毎年毎年少しずつ広げているみたいだ。
で、この世界には、国というものは存在しないようだ。いや違うな、1つの街が1つの国みたいな感じかな? そして、農村のようなものはほとんどなかった。一点集中っぽい感じだな。
ダンマスのスキルで掌握したときにも思っていたが、1つの街がこちらの三大国の首都と同じくらいの規模だ。そして、1つ1つの街の距離が異様に遠い。魔物のLvは低くとも分布範囲が広い。
最も重要なのは、各街に1つ以上のダンジョンが存在している。逆かもしれないな。ダンジョンが存在しているところに街を作った、というのが正解かもしれんな。
そして驚いたことに、この世界には勇者がいなかった。街で世界が完結している場所に送り込んでも、すぐに殺されて終わりだもんな。それに、ダンマスのいないダンジョンの街なら、そこで生活するのだって間違っていない。
生活水準は、初めて来た頃のフレデリクよりは明らかに上だ。理由はわからないがっと、どうやら、下水があるようだな。上水も魔導具でなんとかしているみたいだな。
チグハグな感じもうけるが、ファンタジーな世界を自分の常識で考えてはいけない!
他の情報としては、王政ではなく議会制の街のようだ。ただ、各分野で力を持っている人たちが、話し合って街の政策を決めているっぽいことが書かれている。
それと、他の街まで距離がありすぎるため、商隊を組んで街から街を移動するようだ。街だけで完結しているが、外と交流がないわけではなさそうだ。
そろそろ、街に出てみるか。
とはいえ、ゾンビなので環境の影響を受けることがないため、俺たちが行っても安全なのかは不明である。まぁ、自分で行く必要はないので、ドッペルに憑依して行くことが決定している。
「前のときは、シュウが奥さんを取り返しに行くって感じで、土地のこと調べなかったけど、今回はしっかり調べるべきだと思うわよ」
「同じ魔物が出るパラレルワールドでござるか?」
「パラレルワールドとは違うだろ。実際に存在が確認できていて移動可能な空間だからな。パラレルワールドって平行世界とかそんな感じで、証明できていないけど存在するんじゃないかっていうモノだったはずだしな」
「調べると言っても、生身で行くことは無いから気にする必要はないのかもしれないし。シュウは、奥さんたちの許可が下りないでしょ。バザールはもう死んでるから気にする必要もないか、私はまだ死にたくないしね!」
まぁ、要は遊び感覚になっている。
敵性ダンジョンマスターが、日々ダンジョンに入ってDPを稼いでいるようなのだが……あいつって、ダンジョンマスターの能力までは失っていないと判断できる。それにしても、こいつって変わり者の部類だったのかな?人間と一緒にいるダンマスって珍しいんじゃなかったっけ?
って、そうでもないか。ダンジョンを作ってそこに街を作った奴だっているんだし、少数派であっても変わり者って程の事でもないか。
「あっ! その前にしておかないといけないことがあった。この世界を格子状に掌握して、人の多いところは範囲指定して掌握っと。うん、すげーな」
「この大陸とほぼ同じ形ね。でも、人口分布がメッチャ偏っているわよ」
綾乃の指摘した通り掌握したこの大陸は、人口分布がかなり偏っていた。
樹海には人が少しだけいるのは違ってはいないが、全体的に地図の右、東側に人間が偏っているのがわかる。そして、人口比率は獣人の方が多いみたいだな。奴隷の数は予想していたより少ない。
西側にもちらほら人がいるけど、多くて500人くらいの規模がちょこちょこいる感じだ。東から逃げて来た人たちとか、元々西に住んでいた人たちの末裔かな?
そんなことはどうでもいいか。何て言うか、人間と獣人がいがみ合っている世界ではなさそうだな。
「仕事も終わったんだから、サクッと行くわよ! 奥さんたちの準備もできているみたいだから、さっさとしなさい!」
向こうの世界の常識を知らないので従魔を連れていけないが、収納のカバンにいざという時のために人造ゴーレムをいろいろ詰めて来たから、何かあっても逃げ切ることはできるだろう。
すべてを失ったダンジョンマスターが、俺のドッペルたちをどうこう出来るとは思わないが、もしダンマスの能力で掌握されたらこっちの情報が抜かれてしまう危険性があるので、ドッペルだけは何としても逃がす所存である。
じゃぁ行かなければいいじゃんって話になるんだが、やっぱり行けるんだったら行ってみたいじゃん、海外って! 住みたくはないけどさ。
今回は、俺・バザール・綾乃・ライム・メアリーの5人で行動することになっている。
ただ選んでみてアレだけど、俺は前衛でタンクもできる。バザールは武器の才能なく魔法支援。綾乃は役立たず。ライムは魔法。メアリーは弓がメインでレイピアも可。
見事に後衛ばっかりの偏った編成だな。
掌握したときに魔物のLvを調べてみたのだが、樹海にあたる場所はこちらと比べて低かった。理由はわからないが、大陸に存在する魔物の平均が全体的に低い気がするな。
それに、Sランク相当の魔物もあまり多くないようだ。ただし、特殊な個体はやっぱり存在しているみたいだ。黒龍のバッハに代わる、白龍なんていうのもいるみたいだな。まぁこっちに来ない限り対応することは無いけどな。
ヴァンパイアゾンビに準備させておいた家に移動した。雑貨屋で新聞のようなものが売られていたようで、過去にさかのぼって余っている分を買いあさってくれたらしい。バザールが操っているわけじゃないのに、こいつらって知能高いな。
お金に関しては、DPで召喚できるものと変わらなかったので、全世界共通のお金かもしれないな。
サクッと読んでみてわかることは、こっちの世界と同じで壁を作ってその中で暮らしているということだ。メインの壁の外周には、うちら程ではないが壁をしっかり作って農業をしているようだ。街の事業として毎年毎年少しずつ広げているみたいだ。
で、この世界には、国というものは存在しないようだ。いや違うな、1つの街が1つの国みたいな感じかな? そして、農村のようなものはほとんどなかった。一点集中っぽい感じだな。
ダンマスのスキルで掌握したときにも思っていたが、1つの街がこちらの三大国の首都と同じくらいの規模だ。そして、1つ1つの街の距離が異様に遠い。魔物のLvは低くとも分布範囲が広い。
最も重要なのは、各街に1つ以上のダンジョンが存在している。逆かもしれないな。ダンジョンが存在しているところに街を作った、というのが正解かもしれんな。
そして驚いたことに、この世界には勇者がいなかった。街で世界が完結している場所に送り込んでも、すぐに殺されて終わりだもんな。それに、ダンマスのいないダンジョンの街なら、そこで生活するのだって間違っていない。
生活水準は、初めて来た頃のフレデリクよりは明らかに上だ。理由はわからないがっと、どうやら、下水があるようだな。上水も魔導具でなんとかしているみたいだな。
チグハグな感じもうけるが、ファンタジーな世界を自分の常識で考えてはいけない!
他の情報としては、王政ではなく議会制の街のようだ。ただ、各分野で力を持っている人たちが、話し合って街の政策を決めているっぽいことが書かれている。
それと、他の街まで距離がありすぎるため、商隊を組んで街から街を移動するようだ。街だけで完結しているが、外と交流がないわけではなさそうだ。
そろそろ、街に出てみるか。
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