ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1559話 ゲーム以外でも楽しむのか?

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「そもそも、異議申し立てってなんだよ。使用DPが超えてれば、向こうに呼び出されるときに弾かれるって、ルールブックに書いてあんのに、何に対して異議申し立てを行ってんだ?」

 素朴な疑問がポロっと出る。

「確かに、何に対しての異議申し立てなのかしら? というか、異議申し立ては良いんだけど、この場合は当事者でいいのかな? 当事者である私たちに、理由の説明がないのは何で?」

「不思議でござるな。そもそもルールブックに異議申し立て制度なんて説明無いでござるよ? 呼び出されるときに不正がないかチェックが入るでござる。使った魔物に対してでござるか? それとも、某たちにではない2択でござるかね?」

 3人とも首をひねりながら悩んでいた。いつの間にか大きくなっていたコタツの中から、

「とーたん、これ面白いね!」

 俺の足の間から顔を出してきたのはミーシャだった。娘たちも会えなくて、今日は暇だったということでさっき遊びに来たのだ。俺たちが真剣に話し合っていたから、コタツの中を探検して遊んでいたようだ。

 掘りゴタツなので、机の天板から底までの高さはそれなりにある。なので子どもであれば、普通にくつろげるくらいには広い。言い方は変だけどコタツを広くしているから、ちょっとテントっぽいんだよね。

 3人娘たちは、コタツから出てきて俺によっかかるように座る。

「お父さん、試合が終わったのにまだ遊びに行けないの?」

 ウルからだ。この後遊びに行けると思うからって連絡すると、驚きの速さで準備を済ませてここまで来たんだよな。妻たちも交代交代で俺たちの様子を看てくれてたからな、それを知ってズルい! とか言って、何故かシンラを巻き込んで抗議してたとか、がんばれシンラ!

「そうみたいなんだよね。何か、対戦相手が問題があったって難癖をつけてきてるみたいなんだ。さっきの話にも合ったけど、ルール上呼び出されるときにチェックが入るから不正なんてできないのに、誰が何に対して異議申し立てしてるのかわからないんだよ」

「それって、おかしいね」

「ん? 面白いのか?」

「そのおかしいじゃないよ。変って意味のおかしいだよ」

 あれ? 自動翻訳機能のミスか? 日本語みたいなミスが起きてるぞ?

「おかしい……面白い……あっ!?」

 俺が悩んでいる間に、綾乃が何か思いついたようだ。

「面白いだ! そうか、そういうことかもしれないね! アハハハハ」

 めっちゃテンション上がってる……ぶ

「不気味でござる」

 口に出さないで心で言おうとしたら、バザールがストレートに口走りやがった! 対面に座っててそこそこの距離があるのに、綾乃はいつ移動したのかバザールの顔面を鷲掴みにしている。これだけの能力があるのに、戦闘には役に立たねえんだよな。

「あんたにだけは言われたくないのよ! どう考えたって、骨が動いている方が不気味よ! 地球だったら大惨事になるくらいの不気味さよ! わかる? 育成系ゲームで中年オヤジが、暗転時にキモイ顔のおっさんがニヤニヤしてる怪奇現象を見てしまう時くらい、不気味でキモイわよ!」

 なんかよくわからんが、後半の怪奇現象って、一時ネットで話題になった都市伝説的なあれだよな。キモイ顔のおっさんって、ゲームしてる本人って落ちのあのネタの。なんで、今それを持ち出したのだ? わからんぞ!

 それより、お前は何に気付いたんだ?

「あ~ごめんごめん、後で聖銀武器を持たせた人造ゴーレムでお仕置きするとして、理由だっけ? 多分、分かったわよ。このゲームを楽しむための、無意味な訴え制度だと思うわ」

「「「楽しむため?」」」

 静かに聞いていた娘たちがシンクロして首をかしげている。可愛いな。

「そうよ。この世界を見ている神の話は聞いたことあるよね? あいつらって、この世界を基本的にゲームの盤の上だと思ってるのよ。面白いこと刺激が欲しくて、私たちみたいな勇者とか、君たちのお父さんやこのホネホネみたいなダンジョンマスターを召喚しているクズなのよね」

 娘たちにも、一応神の話はしている。どこまで理解しているかはわからないけど、チビ神以外は干渉してこれないはずだけど、念のために夢とか会っても無視するように言いきかせている。もし何かあったら、誰でもいいから報告するようにともね。

「要は、暇つぶしがしたいだけなのよあいつらは。だから、結果の分かり切っている異議申し立てをさせるんだと思うわ。特に、今回はSランクの魔物の召喚権がかかっているんだからね」

 そこまで言われて、俺も納得した。これって神たちからすれば、結果の分かっている喜劇を見て楽しむようなものなんだろうな。異議申し立てしても申し立てが成功するはずがないのに、どう踊ってくれるか! みたいなのを見て楽しむつもりだな。悪趣味だ。

『正解よ! 特に今回は、あなたがロボットなんて持ち出すから、対戦相手に異議申し立てができるスイッチみたいなのが準備されたのよ! 最後の最後で面白いんだけど!』

 面白い? 俺たちには見えないところで、この喜劇が進んでるのか?

『そそ、巻き込まれているアンタとダゴンのマスターはいい迷惑だろうけど、その画面の帯が無くなるまで喜劇が続くから待っててね。今、ちょうどいいところなのよ!

 不正があった事を俺は見抜いて、神聖なダンジョンバトルを穢した! みたいなこと言ってるわ! 超ウケるんですけど! そだ、これが終わるまで権利の移譲ができないから、適当に遊んで待ってていいわよ』

「はぁ、綾乃の言ってることが正しいみたいだ。自分に酔ってるナルちゃんがドヤ顔で的外れな訴えをしているのを、楽しんでるんだってさ、本当に悪趣味だわ。だから終わるまで適当に遊んでていいみたいだぞ」

 そういうと、3人が素早く反応してしがみついてきて、掘りゴタツの中に引きずり込まれる。俺が入ると移動するときに頭をぶつけそうだけど、座ったり横になったりする分には問題ない高さだ。

 掘りゴタツの中にスライムクッションを設置して、娘たちと一緒に寝転がる。真っ暗闇でみんなはしゃいでいる。綾乃の足をつかんだりバザールの足をつかんだり大はしゃぎだ。ウルはそっと座って、はしゃぎすぎないように声をかけていた。

 30分後、ダンマスの機能に搭載されているメールのアイコンが点滅している。はぁ? こんなの今までにあったっけ?

 よくわからないが、メールを開いた。

 メールの内容は要約すれば、神たちが腹がよじれるくらい楽しんだので、追加で報酬を出すと、創造神からのメールだった。
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