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第1555話 想定外
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手分けをして、全試合のアーカイブを見ることができた。
そこで判明したのは、今回と同じ武器を使用している試合が何度かあったことだ。その多くがバトルロワイアルではなく、通常のダンジョンバトルでの使用があったのだ。
魔物が違うから強いのかと思っていたが、どうやらそうではなくあの武器が強いということだろう。
狭い洞窟や通路タイプでも槍を使っているので不思議に思った妻たちが、武器に注目してくれたからわかったことだ。
「これであの武器が要なのは間違いなさそうだな。だけど、どういう原理なんだ?」
「原理はわからないけど、あの槍をどうにかするというより、あの槍を持っている奴にどうやって勝つかってことだよね。シュウの案を使えば勝てると思うけど、どうする?」
「もう少し考えるでござるよ。あの案は見られたら最後でござる。おそらく今後、誰もバトルロワイアルを挑んでこないと思うでござるよ。正直、あれは反則というよりルールの抜けでござる」
正直あの案、魔物の定義と装備品の解釈の広さは笑っちまったよな。
「とりあえず10試合目は、放棄ね。その間に対策を立てましょ。バザールの方は試合に集中して情報を入手して、対策はこっちで考え始めておくから」
10試合目が始まったが俺たちは、観戦することもなく対策会議を始めた。
「とはいっても、クリエイトアンデッドを使う案以外何かないかしら?」
「クリエイトアンデッドで水中に対応した奴って作れなくなかったっけ?」
「それなんだけど、水中の機動力は強化外骨格3式のバックアームだけでなんとかなるのよ。あのスケルトンだと、バックアーム以外枷でしかないから安上がりなんだよね」
それって安上がりって言っていいのか? 多分普通は身を守る部分の3式装備だが、生身の方……生骨? の方が頑丈で力強いのだろう。
「ってかさ俺の案を使わないなら、スケルトンを使えばよくねえか? 改めてあいつを倒す方法を考える必要なくね?」
「だって、それじゃ面白くないじゃん! クリエイトアンデッドから作られる奴は魔物だけど、DPはかからないからね。それなのにSランク相当なんだから馬鹿げているわよ! あいつを使うのは面白くないじゃない!」
そんな理由かよ。しかも面白くないって2度も言いやがったぞ、こいつ。
「って言われてもさ、A化した魔物に3式装備させてどうにもならないじゃん。あの武器を防御する方法ってなくね? 総アダマンタイトであれば防げると思うけど、ある程度厚みがなければ無意味っぽいぞ。重くなれば使える奴がな」
「そういえばさ、装備すれば強くなる装備って、強化外骨格も同じくくりじゃない?」
槍を装備しただけで、理不尽に強くなるのは勘弁してほしいって思ったけど、相手から見れば強化外骨格も同じ部類の装備か。あの槍の強化率がこっちより高いってだけだよな。
「そう言われればそうかもな。で、話がそれたから戻すけど、どうするんだ? おそらく召喚できる魔物で対応できるのはフェンリルだと思うけど、フェンリルじゃダゴンに殺されて終わりだろ? 亜人を強化してスキルも付与して対応か? それでも水に対する対策しないとどうにもならなくないか」
「ダゴンがいなければ亜人系の強化も考えたけどね。水中呼吸みたいなスキルないの?」
「水中呼吸に関しては、スキルじゃなくて本当の意味で、種族特性だから無理だな。酸素ボンベでも背負わせるか?」
「あれって重たいのよね。魔核で空気を作り出すことできないの? 水は生み出せるんだからさ」
「俺に聞かないで自分で作ってみれば? 多分、作れると思うけど、強化外骨格に仕込むのか?」
「そっか、聞かなくても自分で作れるんだったわ! 空気を循環させられるのがベターだけど、ボンベみたいに外に空気を出しても呼吸できれば、サハギン系以外も使えるわね」
会話をしながら魔核を作り始めた。
「ってかさ、1試合捨てて強化外骨格2式を使ってもいいんじゃね? あの重武装タイプは遅いけど、装甲は厚めのアダマンタイトだろ? 攻撃は、高速で弾丸を打ち出す奴もあっただろ?」
「それも一案ね。でも、その前にボンベ魔核は可能っぽいから、亜人強化で武器スキルで戦う方向で考えたいわね。そうすれば、3式の魔物が使うデータもゲットできるしね」
あれ? そういえばアンデッド化できるなら、水中用の魔物ってハイサハギンじゃなくてもよかったんじゃねえか? それこそ、武器に強い魔物を使ってアンデッド化すれば、気になったので聞いてみたら、
「それね。操るのがバザールだから、武器スキルがあってもダメなのよ。あいつって、スキルを持ってても武器を使った戦闘が大の苦手だから役に立たないの。アンデッド化した魔物、特に亜人だと、生きてた頃に比べると、格段に弱くなるのよね。スケルトンたちみたいに強ければいいんだけどね」
いくつか話を聞いていると、大きく分けて指示を出すだけの方法と、完全にコントロールする方法があるそうだ。完全にコントロールする方は、ドッペルへの憑依に近いのだとか。
普通のアンデッドはスキルを持っていても、同じ強さスキルLvの魔物であれば十中八九負けるらしい。反応速度が遅いわけでもないのに、勝てないのでそういうものだと割り切って考えているのだとか。
いろいろと試しているようだな。俺の知らないところで……
「とりあえず、亜人は何を使う?」
「シュウは何がいいと思う?」
「俺に聞くのかよ。そうだな、おそらく今回は剣で戦うより槍の方がいいよな?」
「3式を装備させるから、手数で押してもよくない? 盾で守りながらバックアームで攻撃もできるんじゃない?」
俺は言われて思い出した。3式を装備するなら、盾術で防御をしながらバックアームで反撃してもいいんだよな。スキルを有効に使える亜人か? それならやっぱり、バランスのいいオーガかね? あれなら上位種召喚すれば、特化した奴が簡単に作れるからな。
色々と検討した結果、綾乃が次の試合に参加させる魔物が決まった。
オーガアーチャー
「なんでだよ!?」
そこで判明したのは、今回と同じ武器を使用している試合が何度かあったことだ。その多くがバトルロワイアルではなく、通常のダンジョンバトルでの使用があったのだ。
魔物が違うから強いのかと思っていたが、どうやらそうではなくあの武器が強いということだろう。
狭い洞窟や通路タイプでも槍を使っているので不思議に思った妻たちが、武器に注目してくれたからわかったことだ。
「これであの武器が要なのは間違いなさそうだな。だけど、どういう原理なんだ?」
「原理はわからないけど、あの槍をどうにかするというより、あの槍を持っている奴にどうやって勝つかってことだよね。シュウの案を使えば勝てると思うけど、どうする?」
「もう少し考えるでござるよ。あの案は見られたら最後でござる。おそらく今後、誰もバトルロワイアルを挑んでこないと思うでござるよ。正直、あれは反則というよりルールの抜けでござる」
正直あの案、魔物の定義と装備品の解釈の広さは笑っちまったよな。
「とりあえず10試合目は、放棄ね。その間に対策を立てましょ。バザールの方は試合に集中して情報を入手して、対策はこっちで考え始めておくから」
10試合目が始まったが俺たちは、観戦することもなく対策会議を始めた。
「とはいっても、クリエイトアンデッドを使う案以外何かないかしら?」
「クリエイトアンデッドで水中に対応した奴って作れなくなかったっけ?」
「それなんだけど、水中の機動力は強化外骨格3式のバックアームだけでなんとかなるのよ。あのスケルトンだと、バックアーム以外枷でしかないから安上がりなんだよね」
それって安上がりって言っていいのか? 多分普通は身を守る部分の3式装備だが、生身の方……生骨? の方が頑丈で力強いのだろう。
「ってかさ俺の案を使わないなら、スケルトンを使えばよくねえか? 改めてあいつを倒す方法を考える必要なくね?」
「だって、それじゃ面白くないじゃん! クリエイトアンデッドから作られる奴は魔物だけど、DPはかからないからね。それなのにSランク相当なんだから馬鹿げているわよ! あいつを使うのは面白くないじゃない!」
そんな理由かよ。しかも面白くないって2度も言いやがったぞ、こいつ。
「って言われてもさ、A化した魔物に3式装備させてどうにもならないじゃん。あの武器を防御する方法ってなくね? 総アダマンタイトであれば防げると思うけど、ある程度厚みがなければ無意味っぽいぞ。重くなれば使える奴がな」
「そういえばさ、装備すれば強くなる装備って、強化外骨格も同じくくりじゃない?」
槍を装備しただけで、理不尽に強くなるのは勘弁してほしいって思ったけど、相手から見れば強化外骨格も同じ部類の装備か。あの槍の強化率がこっちより高いってだけだよな。
「そう言われればそうかもな。で、話がそれたから戻すけど、どうするんだ? おそらく召喚できる魔物で対応できるのはフェンリルだと思うけど、フェンリルじゃダゴンに殺されて終わりだろ? 亜人を強化してスキルも付与して対応か? それでも水に対する対策しないとどうにもならなくないか」
「ダゴンがいなければ亜人系の強化も考えたけどね。水中呼吸みたいなスキルないの?」
「水中呼吸に関しては、スキルじゃなくて本当の意味で、種族特性だから無理だな。酸素ボンベでも背負わせるか?」
「あれって重たいのよね。魔核で空気を作り出すことできないの? 水は生み出せるんだからさ」
「俺に聞かないで自分で作ってみれば? 多分、作れると思うけど、強化外骨格に仕込むのか?」
「そっか、聞かなくても自分で作れるんだったわ! 空気を循環させられるのがベターだけど、ボンベみたいに外に空気を出しても呼吸できれば、サハギン系以外も使えるわね」
会話をしながら魔核を作り始めた。
「ってかさ、1試合捨てて強化外骨格2式を使ってもいいんじゃね? あの重武装タイプは遅いけど、装甲は厚めのアダマンタイトだろ? 攻撃は、高速で弾丸を打ち出す奴もあっただろ?」
「それも一案ね。でも、その前にボンベ魔核は可能っぽいから、亜人強化で武器スキルで戦う方向で考えたいわね。そうすれば、3式の魔物が使うデータもゲットできるしね」
あれ? そういえばアンデッド化できるなら、水中用の魔物ってハイサハギンじゃなくてもよかったんじゃねえか? それこそ、武器に強い魔物を使ってアンデッド化すれば、気になったので聞いてみたら、
「それね。操るのがバザールだから、武器スキルがあってもダメなのよ。あいつって、スキルを持ってても武器を使った戦闘が大の苦手だから役に立たないの。アンデッド化した魔物、特に亜人だと、生きてた頃に比べると、格段に弱くなるのよね。スケルトンたちみたいに強ければいいんだけどね」
いくつか話を聞いていると、大きく分けて指示を出すだけの方法と、完全にコントロールする方法があるそうだ。完全にコントロールする方は、ドッペルへの憑依に近いのだとか。
普通のアンデッドはスキルを持っていても、同じ強さスキルLvの魔物であれば十中八九負けるらしい。反応速度が遅いわけでもないのに、勝てないのでそういうものだと割り切って考えているのだとか。
いろいろと試しているようだな。俺の知らないところで……
「とりあえず、亜人は何を使う?」
「シュウは何がいいと思う?」
「俺に聞くのかよ。そうだな、おそらく今回は剣で戦うより槍の方がいいよな?」
「3式を装備させるから、手数で押してもよくない? 盾で守りながらバックアームで攻撃もできるんじゃない?」
俺は言われて思い出した。3式を装備するなら、盾術で防御をしながらバックアームで反撃してもいいんだよな。スキルを有効に使える亜人か? それならやっぱり、バランスのいいオーガかね? あれなら上位種召喚すれば、特化した奴が簡単に作れるからな。
色々と検討した結果、綾乃が次の試合に参加させる魔物が決まった。
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「なんでだよ!?」
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