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第1550話 新兵器
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ダンジョンバトルから1ヶ月が過ぎようとしていたとある日。
「そろそろ、対戦相手を決めないとペナルティーをくらうはめになるけどどうするの?」
綾乃がそう切り出した。
「今回ダンジョンバトルを申し込んできた5人でござるが、全員がアンデッドに強い魔物を召喚できるようでござる。だからでござろうが、強気の条件付きダンジョンバトルを申し込んできてるでござる。3人が総取り、2人がSランク魔物の召喚権利を引き換えにしているでござるね」
バザールが現状を説明してくれた。
「ちなみに、総取りの3人に関しては、全力バトルということで、こちらからの条件で魔物指定はできなくなっているのよね。どうするの?」
「どうもしないよ。従魔たちは使うつもりはないし、使わないでも勝てるでしょ。お前たちだってアーカイブ見たんだろ? ダンジョンバトル上位陣ならともかく、トップ100にも入っていない雑魚だっただろ?」
俺に申し込んできたのは、ある分野に特化したダンジョンマスターのようで、ダンジョンバトルだけを見ると勝率は高くない。だけど、特定の魔物アンデッドや悪魔を中心としたダンジョンマスターには、無類の強さをほこっており負けなしだったのだ。
「俺のアーカイブだってあるのに、主力がアンデッドだけだと思ってるのかね?」
「それは、神に唆されたのではござらんか? 上位陣が動いてないでござるから、下のいなくなっても問題ない、ダンジョンマスターを捨て駒にしている可能性が高いでござるよ」
「言われてみればそうだな。とりあえず、総取りの3人はいつでも処理できるとして、Sランク魔物の召喚権利をかけるっていうのは興味深いよな。予定通りこいつらを同時に食って、総取りの方は時間つなぎにとっておく方向でいいかな?」
「問題ないわ」
「問題ないでござるね」
「じゃぁ、予定通りに同時に相手をしてやりましょうか。こちらから出す条件は、ダンジョンマスター3人によるバトルロイヤルで行こうか。召喚した魔物同士を戦わせて勝率を競う変則的ダンジョンバトルだな」
Sランクの魔物を召喚できるためか、この2人のダンジョンマスターは1匹当たりのDPを指定した10勝先取の試合形式で申し込んできたのだ。
「確認できるSランクの魔物でござるが、1匹がダゴンでござるな。直接戦闘能力はSランクの中では高くないでござるが、フィールド全体を水で満たすあの能力は厄介でござるな。1度戦ったことのある相手でござるが、今回は負けないとでも思っているのでござろうか?」
「あのアーカイブを見たけど、あの骨ゲーターでダゴンを倒せると思う?」
「何か対策をとっていると思うでござる。骨をすべてアダマンタイトに置き換えた骨ゲーターでござるが、正直アダマンタイトの武器を使っても倒せる気がしないでござる。重いせいで自由に泳げないでござろうが、負けることは無いでござる」
ダゴンが召喚できる相手にダンジョンバトルを申し込まれたのだが、あいつを倒すためにいくつか実験してみたのだ。湖に放し飼いにしている骨ゲーターだが、あいつらはコーティングだけで、耐久を超える攻撃で簡単にやられてしまうことが確認されている。
ならば、骨を全部アダマンタイトに置き換えたらと思ってやってみたら、今度は重くなりすぎて泳げなくなった。だけど、俺やシュリがアダマンタイトで作った武器でぶっ叩いても、多少凹んだり関節が外れたりしただけで、すぐに元通りに治ってしまったのだ。
「それじゃ、やっぱり意味なくない? なら私の案を採用してよ。戦う魔物は直前召喚でも準備した奴でもいいんだからさ。1回くらい使ってくれないかな?」
綾乃の案というのは、水棲魔物に人造ゴーレムで作った強化外骨格を装備品として持ち込むというものだ。装備品もDPとして換算されるが、俺たちは安上がりな方法で素材を準備できるため、そのほとんどを魔物召喚に使うことができる。
何せ素材となる金属は綾乃が生み出せるわけで、事実上魔核に使う魔石のみDPで召喚するかたちだ。生み出す際に使ったポーションや外部魔力はDPに換算されないので、使いたい放題である。
「ちなみに使いたいのはどれ?」
「強化外骨格3式を水中戦仕様にしてバックアームで戦う感じかしら。あれならバックアームをうまく使えば、泳げないけど水中移動をできるからちょうどいいと思うのよね」
強化外骨格は今のところ3式まである。1式は、乗り込む人造ゴーレムといった感じで、中の人間の動きを感知して動くタイプだ。パワードスーツの着こむ鎧みたいな感じだろうか?
2式は、防衛用に作った重武装タイプの強化外骨格で、どちらかというと乗り込んで操るロボットに近い仕様である。装備を変えることによって、様々な攻撃ができるようになっている。クリエイトゴーレム様様である。
3式が強化外骨格というよりはバックウェポンっぽいが、パワードスーツに蜘蛛のような足を自在に動かせるバックパックを装備しているようなタイプだ。同時に動かせる足に制限はないが、制御の問題で今のところ8本までとなっている。
その8本の脚と言っていいのだろうか? バックアームは、用途によって付け替えることができる。今回は下4本を水中移動用のアームに、上4本をダゴン用のアームに換装すれば勝てる! と綾乃は言っているのだ。
実戦でいつか使わないといけなかったので、水陸で活動できる魔物に3式を装備させて戦わせるという形になった。
「1ついいでござるか? 水陸両用の魔物でござるなら、バックアームに水中移動用アームは必要なくないでござるのでは? 足に着脱可能なフィンでもつければ、解決でござらんか?」
「言われてみれば……綾乃、ちょっと実験してみようぜ。もしそれが上手くいくなら、戦術が広がるぞ」
「っと、その前にでござる。ダンジョンバトルの申請を受理しておかないと、ペナルティでござるよ」
いけない。申請を受理して返信するのを忘れてたぜ。急いで返信をする。
正直な話、ダゴンじゃないもう1人のダンジョンマスターは敵じゃないと思う。Sランクの魔物と言っても、フェンリルと同じタイプの獣型なので、ダゴンには絶対勝てない。だから組んで戦うということは無いだろう。それに、組んで戦っても結局だれか1人が権利を取るので、仲間割れが起きるだろう。
それにしても、他にダンジョンバトルを申請しているダンジョンマスターを、バトルに引き込むことができるなんてな。複数の申請があると聞いていた時から、まとめて相手をできないか? と思った時に、思い付いた方法が有効だったなんてね。幸運先生たちはやっぱり、幸運だね!
ダンジョンバトルが始まる1週間、強化外骨格3式の改良を進めた。
「そろそろ、対戦相手を決めないとペナルティーをくらうはめになるけどどうするの?」
綾乃がそう切り出した。
「今回ダンジョンバトルを申し込んできた5人でござるが、全員がアンデッドに強い魔物を召喚できるようでござる。だからでござろうが、強気の条件付きダンジョンバトルを申し込んできてるでござる。3人が総取り、2人がSランク魔物の召喚権利を引き換えにしているでござるね」
バザールが現状を説明してくれた。
「ちなみに、総取りの3人に関しては、全力バトルということで、こちらからの条件で魔物指定はできなくなっているのよね。どうするの?」
「どうもしないよ。従魔たちは使うつもりはないし、使わないでも勝てるでしょ。お前たちだってアーカイブ見たんだろ? ダンジョンバトル上位陣ならともかく、トップ100にも入っていない雑魚だっただろ?」
俺に申し込んできたのは、ある分野に特化したダンジョンマスターのようで、ダンジョンバトルだけを見ると勝率は高くない。だけど、特定の魔物アンデッドや悪魔を中心としたダンジョンマスターには、無類の強さをほこっており負けなしだったのだ。
「俺のアーカイブだってあるのに、主力がアンデッドだけだと思ってるのかね?」
「それは、神に唆されたのではござらんか? 上位陣が動いてないでござるから、下のいなくなっても問題ない、ダンジョンマスターを捨て駒にしている可能性が高いでござるよ」
「言われてみればそうだな。とりあえず、総取りの3人はいつでも処理できるとして、Sランク魔物の召喚権利をかけるっていうのは興味深いよな。予定通りこいつらを同時に食って、総取りの方は時間つなぎにとっておく方向でいいかな?」
「問題ないわ」
「問題ないでござるね」
「じゃぁ、予定通りに同時に相手をしてやりましょうか。こちらから出す条件は、ダンジョンマスター3人によるバトルロイヤルで行こうか。召喚した魔物同士を戦わせて勝率を競う変則的ダンジョンバトルだな」
Sランクの魔物を召喚できるためか、この2人のダンジョンマスターは1匹当たりのDPを指定した10勝先取の試合形式で申し込んできたのだ。
「確認できるSランクの魔物でござるが、1匹がダゴンでござるな。直接戦闘能力はSランクの中では高くないでござるが、フィールド全体を水で満たすあの能力は厄介でござるな。1度戦ったことのある相手でござるが、今回は負けないとでも思っているのでござろうか?」
「あのアーカイブを見たけど、あの骨ゲーターでダゴンを倒せると思う?」
「何か対策をとっていると思うでござる。骨をすべてアダマンタイトに置き換えた骨ゲーターでござるが、正直アダマンタイトの武器を使っても倒せる気がしないでござる。重いせいで自由に泳げないでござろうが、負けることは無いでござる」
ダゴンが召喚できる相手にダンジョンバトルを申し込まれたのだが、あいつを倒すためにいくつか実験してみたのだ。湖に放し飼いにしている骨ゲーターだが、あいつらはコーティングだけで、耐久を超える攻撃で簡単にやられてしまうことが確認されている。
ならば、骨を全部アダマンタイトに置き換えたらと思ってやってみたら、今度は重くなりすぎて泳げなくなった。だけど、俺やシュリがアダマンタイトで作った武器でぶっ叩いても、多少凹んだり関節が外れたりしただけで、すぐに元通りに治ってしまったのだ。
「それじゃ、やっぱり意味なくない? なら私の案を採用してよ。戦う魔物は直前召喚でも準備した奴でもいいんだからさ。1回くらい使ってくれないかな?」
綾乃の案というのは、水棲魔物に人造ゴーレムで作った強化外骨格を装備品として持ち込むというものだ。装備品もDPとして換算されるが、俺たちは安上がりな方法で素材を準備できるため、そのほとんどを魔物召喚に使うことができる。
何せ素材となる金属は綾乃が生み出せるわけで、事実上魔核に使う魔石のみDPで召喚するかたちだ。生み出す際に使ったポーションや外部魔力はDPに換算されないので、使いたい放題である。
「ちなみに使いたいのはどれ?」
「強化外骨格3式を水中戦仕様にしてバックアームで戦う感じかしら。あれならバックアームをうまく使えば、泳げないけど水中移動をできるからちょうどいいと思うのよね」
強化外骨格は今のところ3式まである。1式は、乗り込む人造ゴーレムといった感じで、中の人間の動きを感知して動くタイプだ。パワードスーツの着こむ鎧みたいな感じだろうか?
2式は、防衛用に作った重武装タイプの強化外骨格で、どちらかというと乗り込んで操るロボットに近い仕様である。装備を変えることによって、様々な攻撃ができるようになっている。クリエイトゴーレム様様である。
3式が強化外骨格というよりはバックウェポンっぽいが、パワードスーツに蜘蛛のような足を自在に動かせるバックパックを装備しているようなタイプだ。同時に動かせる足に制限はないが、制御の問題で今のところ8本までとなっている。
その8本の脚と言っていいのだろうか? バックアームは、用途によって付け替えることができる。今回は下4本を水中移動用のアームに、上4本をダゴン用のアームに換装すれば勝てる! と綾乃は言っているのだ。
実戦でいつか使わないといけなかったので、水陸で活動できる魔物に3式を装備させて戦わせるという形になった。
「1ついいでござるか? 水陸両用の魔物でござるなら、バックアームに水中移動用アームは必要なくないでござるのでは? 足に着脱可能なフィンでもつければ、解決でござらんか?」
「言われてみれば……綾乃、ちょっと実験してみようぜ。もしそれが上手くいくなら、戦術が広がるぞ」
「っと、その前にでござる。ダンジョンバトルの申請を受理しておかないと、ペナルティでござるよ」
いけない。申請を受理して返信するのを忘れてたぜ。急いで返信をする。
正直な話、ダゴンじゃないもう1人のダンジョンマスターは敵じゃないと思う。Sランクの魔物と言っても、フェンリルと同じタイプの獣型なので、ダゴンには絶対勝てない。だから組んで戦うということは無いだろう。それに、組んで戦っても結局だれか1人が権利を取るので、仲間割れが起きるだろう。
それにしても、他にダンジョンバトルを申請しているダンジョンマスターを、バトルに引き込むことができるなんてな。複数の申請があると聞いていた時から、まとめて相手をできないか? と思った時に、思い付いた方法が有効だったなんてね。幸運先生たちはやっぱり、幸運だね!
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