1,543 / 2,518
第1543話 模擬戦2
しおりを挟む
「うわ~まじか~。まさか、あれに初見で勝つとか変態なんじゃないの? あんたの奥さんのシュリちゃんだって、初見では勝てなかったのに……あんたやっぱり変態ね」
「失礼な奴だな。それにしても、シュリが初見で勝てなかったのか?」
「シュリちゃんだけじゃなく、他の人も勝てなかったわよ。模擬専用の武器をもって、致命傷と判断されたらおしまいルールだけどね。唯一勝てたのは、おじいちゃんだけだよ。あの人、本当にインチキじゃない? 2体相手に完封したんだよ」
おじいちゃん。リリーのおじいちゃん、レイリーのことだ。
レイリーは元から強かったけど、レベルが上がってからありえないくらい強くなってるんだよね。どんなに頑張っても勝ち越せないんだよね。
「次は武器をもっての模擬戦に行く?」
「ちょっと待ってくれ、少し体力を回復してからじゃないと、かなりきついわ。試合が終わってから気付いたけど、思った以上に消耗しているみたいだ」
立った数分の模擬戦だったが、今までとは比にならないほどの疲労が体にたまっていたため、エリクサーを飲んで疲労が抜けるのを待っている。
「模擬戦の相手もあいつか?」
「違うよ~。模擬戦の相手は、軽量型の双剣使いね。手数で勝負するタイプとだけ言っておこうかしら?」
体術でないならそこまで大きく変わらないとは思うけど、大きいタイプの人造ゴーレムみたいに何か仕掛けがあるのだろうか?
「そうだ、休んでいる間に説明しておくけど、あの大きいタイプって実は、機構を圧縮するのに手間がかかってあのサイズなんだよね。だから、パワーに少し振って今回のようなスタイルになったんだよね。圧縮がうまくいけば、今までのと同じサイズにするつもりなんだ」
「なんで? 大きいのがいてもよくない?」
「それはまた別の機会かな。今までのを流用しているせいもあってか、軽量タイプと違って動きがよくないんだよね。だから、しっかりと改造してからじゃないと実戦配備できないわね」
「あれで動きが悪いんかい! 結構的確に攻撃してきた気がするけどな」
「あ~行動パターンのあれは、普通サイズの方を改造してああなってるから、本当に造りが違うだけなんだよね。シュウに余計な情報を与えないために嘘ついてたけどね。普通サイズにあの関節の機構をつけれるようになれば、もっと運用しやすくなるわよ」
始まる前から騙されてたのか。それにしても、普通サイズより動きが悪いってことは、普通サイズにあの関節とかがつけば……俺、勝てなくね? 今回みたいに肉を断って骨を切る! みたいな感じで勝つ以外無理にならないか?
「シュウが何を心配しているか解るけど、普通に考えてよ。生身でスキル無しで人造ゴーレムたちに勝てる、あんたたちが異常なのよ。それを理解してからその顔をしなさい」
おっと、俺はそんな顔をしていたのか? 顔をもみもみしてほぐしておく。
「スキルを使えば、人造ゴーレムに勝ち目はないんだから、素直に負けてよね。人類最強だと思うあんたたちに、自力で勝てる人造ゴーレムをって目指してるけど、本当にできるのかしら?」
人造ゴーレムはスキルが使えないから、総合力勝負になれば負けはないんだよな。そう考えると、自力で勝てる俺が異常という意味は解らなくもないけど、マッスルメタルが引き出せる力の限界もあるしな。
理論上は、魔力を注げば注ぐほど強くはなるのだが、それでも限界限界がありバランスを考えて、人造ゴーレムのサイズをあのくらいにしているんだったよな。
戦闘中にはすっかりそのことを忘れてたな。
「よし、そろそろ次を始めようか」
準備していた小柄の双剣使いがこちらに近付いてきた。普通サイズより小さいな。俺よりもさらに小さい。人造ゴーレムは、大体190センチメートル程が基本となっているが、こいつは170センチメートル程しかないと思う。
出せる力が同じだとすれば、小柄な分重さはないけどスピードを上げたタイプだろうか?
格闘戦になったとしても、大きいタイプと違い従来の関節ならば壊して終わりだな。多分、そこを分かってなのか、スピードタイプ、捕まれない、攻撃を受けないことを重視しているのではないかと思う。
それに合わせて俺も武器を変えようかと思ったが、俺のメインウェポンは、大薙刀だ。剣や刀、槍も好きだけど、やっぱり一番最初に本気で鍛えたこともあり、自分のメインとして認識している自分がいる。
「ありゃりゃ? シュウ、本気でやるの?」
「当たり前だろ。それに俺のメインウェポンは、大薙刀だ。強敵にこれを使わずして何を使えというんだ」
「そうだけど……シュウってさ、大薙刀を使った時の自分の動きって、客観的に見たことってある?」
「はぁ? 録画した映像とかでなら見たことあるぞ」
「その時何か思わなかった?」
「イメージ通り動いているなくらいかな?」
「ダメだこりゃ。理解してないみたいだから後で教えるわ。とりあえず、何も聞かずに戦ってみてよ」
綾乃の言っていることは解らないが、本気で戦うのは当たり前のことだ。
相対している小型の人造ゴーレム。若干、距離をとりながら俺を中心に円を描いて動いている感じだな。
少し早い動きで距離を詰めてみようとするが、距離をとられてしまう。
双剣の間合いに入るためにタイミングを計っているのだろう。大薙刀の間合いは広いからな。それに、双剣の間合いになれば、大薙刀の間合いの内側だから攻撃がしにくいんだよね、本来ならね。
薙刀って実は、遠近中距離何でもござれな万能武器だったりするんだよ。双剣には手数は負けるけど、だからと言って近距離が弱いわけじゃないんだな。
君の間合いで勝負をしようじゃないか!
今までよりギアを3段ほど上げて一気に距離を詰める。
薙いだ大薙刀は、双剣によって受け止められ、人造ゴーレムは吹き飛ばされずに双剣の間合いに入ってきた。
繰り出される左右の連撃。
俺は大薙刀の重心を中心に回すようにして攻撃をさばいていく。それでも手数は向こうの方が圧倒的に多い。
さばききれなかった攻撃は、体術を併用して攻撃をさばいていく。
「失礼な奴だな。それにしても、シュリが初見で勝てなかったのか?」
「シュリちゃんだけじゃなく、他の人も勝てなかったわよ。模擬専用の武器をもって、致命傷と判断されたらおしまいルールだけどね。唯一勝てたのは、おじいちゃんだけだよ。あの人、本当にインチキじゃない? 2体相手に完封したんだよ」
おじいちゃん。リリーのおじいちゃん、レイリーのことだ。
レイリーは元から強かったけど、レベルが上がってからありえないくらい強くなってるんだよね。どんなに頑張っても勝ち越せないんだよね。
「次は武器をもっての模擬戦に行く?」
「ちょっと待ってくれ、少し体力を回復してからじゃないと、かなりきついわ。試合が終わってから気付いたけど、思った以上に消耗しているみたいだ」
立った数分の模擬戦だったが、今までとは比にならないほどの疲労が体にたまっていたため、エリクサーを飲んで疲労が抜けるのを待っている。
「模擬戦の相手もあいつか?」
「違うよ~。模擬戦の相手は、軽量型の双剣使いね。手数で勝負するタイプとだけ言っておこうかしら?」
体術でないならそこまで大きく変わらないとは思うけど、大きいタイプの人造ゴーレムみたいに何か仕掛けがあるのだろうか?
「そうだ、休んでいる間に説明しておくけど、あの大きいタイプって実は、機構を圧縮するのに手間がかかってあのサイズなんだよね。だから、パワーに少し振って今回のようなスタイルになったんだよね。圧縮がうまくいけば、今までのと同じサイズにするつもりなんだ」
「なんで? 大きいのがいてもよくない?」
「それはまた別の機会かな。今までのを流用しているせいもあってか、軽量タイプと違って動きがよくないんだよね。だから、しっかりと改造してからじゃないと実戦配備できないわね」
「あれで動きが悪いんかい! 結構的確に攻撃してきた気がするけどな」
「あ~行動パターンのあれは、普通サイズの方を改造してああなってるから、本当に造りが違うだけなんだよね。シュウに余計な情報を与えないために嘘ついてたけどね。普通サイズにあの関節の機構をつけれるようになれば、もっと運用しやすくなるわよ」
始まる前から騙されてたのか。それにしても、普通サイズより動きが悪いってことは、普通サイズにあの関節とかがつけば……俺、勝てなくね? 今回みたいに肉を断って骨を切る! みたいな感じで勝つ以外無理にならないか?
「シュウが何を心配しているか解るけど、普通に考えてよ。生身でスキル無しで人造ゴーレムたちに勝てる、あんたたちが異常なのよ。それを理解してからその顔をしなさい」
おっと、俺はそんな顔をしていたのか? 顔をもみもみしてほぐしておく。
「スキルを使えば、人造ゴーレムに勝ち目はないんだから、素直に負けてよね。人類最強だと思うあんたたちに、自力で勝てる人造ゴーレムをって目指してるけど、本当にできるのかしら?」
人造ゴーレムはスキルが使えないから、総合力勝負になれば負けはないんだよな。そう考えると、自力で勝てる俺が異常という意味は解らなくもないけど、マッスルメタルが引き出せる力の限界もあるしな。
理論上は、魔力を注げば注ぐほど強くはなるのだが、それでも限界限界がありバランスを考えて、人造ゴーレムのサイズをあのくらいにしているんだったよな。
戦闘中にはすっかりそのことを忘れてたな。
「よし、そろそろ次を始めようか」
準備していた小柄の双剣使いがこちらに近付いてきた。普通サイズより小さいな。俺よりもさらに小さい。人造ゴーレムは、大体190センチメートル程が基本となっているが、こいつは170センチメートル程しかないと思う。
出せる力が同じだとすれば、小柄な分重さはないけどスピードを上げたタイプだろうか?
格闘戦になったとしても、大きいタイプと違い従来の関節ならば壊して終わりだな。多分、そこを分かってなのか、スピードタイプ、捕まれない、攻撃を受けないことを重視しているのではないかと思う。
それに合わせて俺も武器を変えようかと思ったが、俺のメインウェポンは、大薙刀だ。剣や刀、槍も好きだけど、やっぱり一番最初に本気で鍛えたこともあり、自分のメインとして認識している自分がいる。
「ありゃりゃ? シュウ、本気でやるの?」
「当たり前だろ。それに俺のメインウェポンは、大薙刀だ。強敵にこれを使わずして何を使えというんだ」
「そうだけど……シュウってさ、大薙刀を使った時の自分の動きって、客観的に見たことってある?」
「はぁ? 録画した映像とかでなら見たことあるぞ」
「その時何か思わなかった?」
「イメージ通り動いているなくらいかな?」
「ダメだこりゃ。理解してないみたいだから後で教えるわ。とりあえず、何も聞かずに戦ってみてよ」
綾乃の言っていることは解らないが、本気で戦うのは当たり前のことだ。
相対している小型の人造ゴーレム。若干、距離をとりながら俺を中心に円を描いて動いている感じだな。
少し早い動きで距離を詰めてみようとするが、距離をとられてしまう。
双剣の間合いに入るためにタイミングを計っているのだろう。大薙刀の間合いは広いからな。それに、双剣の間合いになれば、大薙刀の間合いの内側だから攻撃がしにくいんだよね、本来ならね。
薙刀って実は、遠近中距離何でもござれな万能武器だったりするんだよ。双剣には手数は負けるけど、だからと言って近距離が弱いわけじゃないんだな。
君の間合いで勝負をしようじゃないか!
今までよりギアを3段ほど上げて一気に距離を詰める。
薙いだ大薙刀は、双剣によって受け止められ、人造ゴーレムは吹き飛ばされずに双剣の間合いに入ってきた。
繰り出される左右の連撃。
俺は大薙刀の重心を中心に回すようにして攻撃をさばいていく。それでも手数は向こうの方が圧倒的に多い。
さばききれなかった攻撃は、体術を併用して攻撃をさばいていく。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~
日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。
そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。
優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。
しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。
鮮明な月
碧
BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。
彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。
第九章以降は鮮明な月の後日談
月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。
基本的にはエッチ多目だと思われます。
読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。
転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。
ミカヅキグマ
ファンタジー
魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。
地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?
ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。
※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。
※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。
ネタバレ
※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収)
さらにネタバレ
※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです)
さらにさらにネタバレ?
※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。
没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!
日之影ソラ
ファンタジー
かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。
しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。
ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。
そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。
こちらの作品の連載版です。
https://ncode.syosetu.com/n8177jc/
悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活
束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。
初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。
ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。
それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。
優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~
日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。
もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。
そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。
誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか?
そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。
欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします
ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、
王太子からは拒絶されてしまった。
欲情しない?
ならば白い結婚で。
同伴公務も拒否します。
だけど王太子が何故か付き纏い出す。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる