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第1536話 ポーションの使い方
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「バザール様のもう1つの実験は、精神が死んだ者が出てからでないとできないので、次の実験に移ります。次は、シュウ様から出された実験、ポーションや魔法で神経が治るのかという実験ですね」
「私的には、部位欠損より神経切断の方が大したことがないように思えるから、部位欠損を直せるランクより下でいけるんじゃないかって思うな」
「どうでござるかな。人間のイメージできる中に、神経を治す薬は存在していないと思うでござる。肉体を機械に改造する技術は、想像されているでござる。こちらは部位欠損を補える技術でござる。
イメージできるものはいずれ実現できる、というのがあるでござるから、もしかすると部位欠損より上のランクが、必要になるかもしれないでござる」
「バザール、イメージできるものはいずれ作れるって話は聞いたことあるけど、部位欠損を修復するあの薬は、肉体を機械に替えるのとはわけが違うぞ。実験してみればわかると言いたいけど、神経が都合よく切れてる奴なんているのか?」
「それなのですが、是非人体実験に協力したいという兵士……いえ、元兵士がいまして、運よく命は助かったのですが、下半身麻痺になってしまったり、ケガによって右腕だけが動かせなかったりした人の協力があるんです」
ポーション自体は、過剰摂取でもしない限り特に問題はないんだけど、一般の人を治すために犯罪者で実験する、という話だったんじゃないか?
「本人にも家族にも了承を得ています。それに、治る治らない関係なく本人とその家族は、お金を出しています。後、協力してくれる人たちの前に、もちろん犯罪者で実験をしてから、本人たちに再度意思を確認して参加してもらう予定です」
それならいいのか? 実際に治るのであれば、金を払ってでも協力したい人はいるだろうけど。
「ほら、シュウ。本人たちがいいって言ってるんだから、まずは犯罪者の実験を始めようよ」
「始めるって言っても、都合よくマヒの犯罪者なんかいるのか?」
「残念ながら、無力化できなかった場合、部位欠損か死かみたいな感じですので、都合よく神経が切断された犯罪者はいません。ですが、重犯罪者は死刑確定の者を連れてきているので、ツィード様の力を借りて魔法で神経を切断しています」
おっと、ここで闇精霊のツィード君の存在が出てきたよ。それは大して気になることじゃないけど、闇魔法で神経が切断できるって方が気になるな。後で、魔法なのか確認しようと思ったが、確認する必要がなくなった。
ここでいう魔法を使ったというのは、闇魔法の無痛を使って物理的に神経を切断してから、低ランクのポーションで傷を塞いだということらしい。
その中で、神経周りの筋肉や骨、その他もろもろは治ったようなのだが、やはり神経だけは治らなかったらしい。今までのこの世界の事例を確認すればわかっていたことだけど、実際にやってみて神経に関しては、謎が深まったと暗部の人間が言っていた。
神経を切られた重犯罪者が喚き散らしているが、首から下が動かないので怖くもなんともない。それより垂れ流しになる汚物の方が気が滅入ると、実験の準備をしていた暗部が愚痴ってたな。
こいつらに人権などないので、放水できれいに流せるように多少圧力の強いシャワーが準備されていた。これは、バザールが準備したそうだ。後でDPを補充しといてやらんとな。
『シュウ様、実験を始めます。初めにポーションを飲ませて、どのランクで回復するか調べたいと思います』
了解の返事を返すと、無理やりポーションを飲ませ始めた。
その結果部位欠損が治るAランクポーションと同じランクのポーションで、重犯罪者が動けるようになった。
その際に拘束していなかったので、重犯罪者が暴れて実験を担当している人間、鬼人に襲い掛かったのだが、反撃をくらい顔面が陥没して気絶した。
余計な仕事を増やさないでください、と冷静に対応していた鬼人にちょっと寒気がした。けどよく考えたら鬼人たちは、人間にこれより悲惨な実験を繰り返し行われてたんだったな。それを考えたら、簡単に死ぬことのできるこいつらは、まだマシなのかもしれないと思うことにした。
そして、またツィード君の力を借りて首から下をマヒさせた。
『次は、直接血管にポーションを流し込んで、ポーションの効果も一緒に確認してみます』
ポーションには、体にかける方法と飲む方法と2つの使い方があるが、患部に近い使い方の方が効果が高いことを確認している。
外傷に直接かける方が効果が高いのだが、かける場合は必ずと言っていいほど無駄が生じてしまう。無駄と言ってもこぼれてしまったり……ということだ。時間があるなら、ガーゼなどに染み込ませて患部に当てたりすることもある。
なので、血管に直接流し込んだ場合はどうなのか? という話になり、死刑のやつが相手なら気にする必要はないのでは? という流れで、今回追加の実験として組み込まれていた。
さっきから重犯罪者の体を切りつけていたのは何でなのか気になっていたが、飲んだ時と血液に直接流し込んだ時の回復の差を比べるためらしい。
「ねぇねぇ、ポーションとはいえ血管に点滴したらさすがに死ぬんじゃない?」
「治す薬を血管に入れて死ぬでござるか? 矛盾するでござるから、飲んだときと同じように治るのでござらんか?」
「俺は……初めは治るけど、点滴しすぎたら死ぬんじゃないかと思う」
「その心は?」
「ポーションって飲みすぎると腹がタプタプになるだろ? それを考えたら、限界以上に流し込めばさすがに死ぬんじゃないか? どっかの血管が破裂してさ」
「点滴の速度にもよるでござるな。破裂しても、ポーションの効果で治る可能性もあるでござるよ」
5人並べられた重犯罪者たちに、ランクの違う点滴がうたれた。200ミリリットルのポーションを30分で点滴するようだ。しかも丁寧にと言っていいのか、点滴前に200ミリリットルの血液を抜いているので破裂の心配はないでしょう……みたいなことを話していた。
点滴の結果は、Cランクポーション以上なら治ることが確認された。
飲むより血管に直接入れた方が、患部に近いということだろうか? 最後に直接切れた神経のある場所に注射で打ち込んだら、Dランクポーションでも回復することが判明した。
神経の切れている場所が解っているのなら、直接注射した方が簡単だということは解ったが、どこで切れているかなんて判断しようがないこともあるので、点滴が治療方法として最適だと判断した。
事情にもよるが、体にマヒがある人に対しては、住人の健康促進ということで条件付きで無料になることが決まった。条件付きというのは、街の出している仕事に一定期間無償で参加すること……って無料じゃないじゃん! って思ったけど、この世界ではこれでも無料というらしい。よくわからん。
この結果を見る限り、脳細胞も治るのであれば点滴の方が効果が高いだろう、という判断になった。そりゃそうだ、脳内には血管が網目のようにあるんだから、飲むより効果的なのは間違いないだろう。
今日の実験はこれで終わりとなった。
「私的には、部位欠損より神経切断の方が大したことがないように思えるから、部位欠損を直せるランクより下でいけるんじゃないかって思うな」
「どうでござるかな。人間のイメージできる中に、神経を治す薬は存在していないと思うでござる。肉体を機械に改造する技術は、想像されているでござる。こちらは部位欠損を補える技術でござる。
イメージできるものはいずれ実現できる、というのがあるでござるから、もしかすると部位欠損より上のランクが、必要になるかもしれないでござる」
「バザール、イメージできるものはいずれ作れるって話は聞いたことあるけど、部位欠損を修復するあの薬は、肉体を機械に替えるのとはわけが違うぞ。実験してみればわかると言いたいけど、神経が都合よく切れてる奴なんているのか?」
「それなのですが、是非人体実験に協力したいという兵士……いえ、元兵士がいまして、運よく命は助かったのですが、下半身麻痺になってしまったり、ケガによって右腕だけが動かせなかったりした人の協力があるんです」
ポーション自体は、過剰摂取でもしない限り特に問題はないんだけど、一般の人を治すために犯罪者で実験する、という話だったんじゃないか?
「本人にも家族にも了承を得ています。それに、治る治らない関係なく本人とその家族は、お金を出しています。後、協力してくれる人たちの前に、もちろん犯罪者で実験をしてから、本人たちに再度意思を確認して参加してもらう予定です」
それならいいのか? 実際に治るのであれば、金を払ってでも協力したい人はいるだろうけど。
「ほら、シュウ。本人たちがいいって言ってるんだから、まずは犯罪者の実験を始めようよ」
「始めるって言っても、都合よくマヒの犯罪者なんかいるのか?」
「残念ながら、無力化できなかった場合、部位欠損か死かみたいな感じですので、都合よく神経が切断された犯罪者はいません。ですが、重犯罪者は死刑確定の者を連れてきているので、ツィード様の力を借りて魔法で神経を切断しています」
おっと、ここで闇精霊のツィード君の存在が出てきたよ。それは大して気になることじゃないけど、闇魔法で神経が切断できるって方が気になるな。後で、魔法なのか確認しようと思ったが、確認する必要がなくなった。
ここでいう魔法を使ったというのは、闇魔法の無痛を使って物理的に神経を切断してから、低ランクのポーションで傷を塞いだということらしい。
その中で、神経周りの筋肉や骨、その他もろもろは治ったようなのだが、やはり神経だけは治らなかったらしい。今までのこの世界の事例を確認すればわかっていたことだけど、実際にやってみて神経に関しては、謎が深まったと暗部の人間が言っていた。
神経を切られた重犯罪者が喚き散らしているが、首から下が動かないので怖くもなんともない。それより垂れ流しになる汚物の方が気が滅入ると、実験の準備をしていた暗部が愚痴ってたな。
こいつらに人権などないので、放水できれいに流せるように多少圧力の強いシャワーが準備されていた。これは、バザールが準備したそうだ。後でDPを補充しといてやらんとな。
『シュウ様、実験を始めます。初めにポーションを飲ませて、どのランクで回復するか調べたいと思います』
了解の返事を返すと、無理やりポーションを飲ませ始めた。
その結果部位欠損が治るAランクポーションと同じランクのポーションで、重犯罪者が動けるようになった。
その際に拘束していなかったので、重犯罪者が暴れて実験を担当している人間、鬼人に襲い掛かったのだが、反撃をくらい顔面が陥没して気絶した。
余計な仕事を増やさないでください、と冷静に対応していた鬼人にちょっと寒気がした。けどよく考えたら鬼人たちは、人間にこれより悲惨な実験を繰り返し行われてたんだったな。それを考えたら、簡単に死ぬことのできるこいつらは、まだマシなのかもしれないと思うことにした。
そして、またツィード君の力を借りて首から下をマヒさせた。
『次は、直接血管にポーションを流し込んで、ポーションの効果も一緒に確認してみます』
ポーションには、体にかける方法と飲む方法と2つの使い方があるが、患部に近い使い方の方が効果が高いことを確認している。
外傷に直接かける方が効果が高いのだが、かける場合は必ずと言っていいほど無駄が生じてしまう。無駄と言ってもこぼれてしまったり……ということだ。時間があるなら、ガーゼなどに染み込ませて患部に当てたりすることもある。
なので、血管に直接流し込んだ場合はどうなのか? という話になり、死刑のやつが相手なら気にする必要はないのでは? という流れで、今回追加の実験として組み込まれていた。
さっきから重犯罪者の体を切りつけていたのは何でなのか気になっていたが、飲んだ時と血液に直接流し込んだ時の回復の差を比べるためらしい。
「ねぇねぇ、ポーションとはいえ血管に点滴したらさすがに死ぬんじゃない?」
「治す薬を血管に入れて死ぬでござるか? 矛盾するでござるから、飲んだときと同じように治るのでござらんか?」
「俺は……初めは治るけど、点滴しすぎたら死ぬんじゃないかと思う」
「その心は?」
「ポーションって飲みすぎると腹がタプタプになるだろ? それを考えたら、限界以上に流し込めばさすがに死ぬんじゃないか? どっかの血管が破裂してさ」
「点滴の速度にもよるでござるな。破裂しても、ポーションの効果で治る可能性もあるでござるよ」
5人並べられた重犯罪者たちに、ランクの違う点滴がうたれた。200ミリリットルのポーションを30分で点滴するようだ。しかも丁寧にと言っていいのか、点滴前に200ミリリットルの血液を抜いているので破裂の心配はないでしょう……みたいなことを話していた。
点滴の結果は、Cランクポーション以上なら治ることが確認された。
飲むより血管に直接入れた方が、患部に近いということだろうか? 最後に直接切れた神経のある場所に注射で打ち込んだら、Dランクポーションでも回復することが判明した。
神経の切れている場所が解っているのなら、直接注射した方が簡単だということは解ったが、どこで切れているかなんて判断しようがないこともあるので、点滴が治療方法として最適だと判断した。
事情にもよるが、体にマヒがある人に対しては、住人の健康促進ということで条件付きで無料になることが決まった。条件付きというのは、街の出している仕事に一定期間無償で参加すること……って無料じゃないじゃん! って思ったけど、この世界ではこれでも無料というらしい。よくわからん。
この結果を見る限り、脳細胞も治るのであれば点滴の方が効果が高いだろう、という判断になった。そりゃそうだ、脳内には血管が網目のようにあるんだから、飲むより効果的なのは間違いないだろう。
今日の実験はこれで終わりとなった。
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