ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1528話 実は問題なさそう?

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 綾乃の作り出したゴーレムは、生体金属として新たな生命として生まれてしまったため、超危険物指定をしたが、クリエイトゴーレムで脳を再現することができるという事実を知れたことは大きい。

 綾乃が作り出したゴーレムはリミッター、制御装置、俺たちが抑え込むための機構がなく、どうやって成長していくかわからないため超危険物扱いとなったのだ。

 では、どうすればいいか?

 制御ができるように作ればいいということだ。

 まぁ、その制御方法をどうすればいいのか、今のところよくわかっていない。それはこれから研究していけばいいだけなので、今はのところはどうでもいい。

 生命までいかずに、ニューロンだけど作ることだができれば、トップダウン型の人工知能とは違い、本物の知性を獲得できる可能性が生れたけど、制御できるようになったとしても、本物の知性を獲得してしまった場合、どうなるか不明である。

「いろいろ悩んでいるところ悪いでござるが、知性をゲットしたとしたところでござっても、シュウ殿を倒すことはできないでござると思う」

「確かに、シュウを倒すのは、無理くさいわね。地球にいたころであれば、話は変わってくるけど、この世界はファンタジーなのよね。封印する前に鑑定してみたけど、Lvは1でステータスも普通のゴーレムより下だったわね」

 はっ! そういわれれば、この世界の生命として生まれたならLvがあっても不思議じゃないよな。それはいいとして、人間で勝てない機械がこの世界でできることはないから、あるとすればゴーレムのように巨大化する以外はないよな。

 それだけなら、ダンマスの能力で完封できる……あれ? 思ったより問題ないんじゃないか?

「それに、機械に繋げて監視させるだけなら、専用のダンジョンでも準備してそこから自由にさせたらいいんじゃない?」

 脅威判定がなくなったためか、思ったよりいろんな意見が出てきた。

「ダンジョンであれば、周りのものを吸収する、みたいな成長もできないでござるし、上層にマグマ地帯でも作って、何かあれば流し込めばいいのではござらんか? さすがにあの天使みたいに、マグマの中を動いても平気ということはないでござろう」

 確かに、あんなとんでも能力なんて獲得するわけがないよな。正確に理解はしてないけど、あの能力だって神器に相当する何かを持っていた可能性の方が高いわけで、あのベルトも結局俺たちが使っても剣みたいに効果を発揮しなかったので、実験すらできなかったのだ。

「制御機構の構築を第一に、何かあったときにすぐに封印できるように対処してから教育してみようか?」

 とりあえず方向性は決まったので、今日は解散となった。

 次の日から、1週間ほどで監視システムの根幹をなすゴーレムニューロンが完成して、いろいろなことを学ばせているところだ。

 1ヵ月ほど経って、俺たちが考えていたような機械の反乱的なことはありえないと判断した。その理由は、今、目の前で遊んでいる娘たちのおかげだ。

 ゴーレムニューロンにとって娘たちは、なぜか上位者にあたるらしい。もし、娘たちが死んでといえば喜んで死ぬらしい。

 どうしてそうなったのかは、俺にも娘たちにもゴーレムニューロンにもわかっていないが、娘たちから俺たちの指示を聞くように命令されているので、俺たちのことを仮の上位者として扱っている。

 シュウたちは知らないが、監視カメラで俺たちの戦闘訓練の映像を見てゴーレムニューロンは、どう頑張っても勝てない相手だと判断している。娘たちは上位者だが、俺たちの場合は勝てない相手に逆らう意味もないので、従ってくれていると頭の中だけで思っている。

 そして、こいつもチビ神と同じように、地球の娯楽にどっぷりとはまっている。並列作業をしても問題がないため、勉強をしながら、ゲームをして本を読んだりしている。

 本に関しては、データとして取り込むのではなく、俺たちのように本を見て読んでいる。人間に近い行動をすることが多いのは、俺たちが作った影響でも出ているのかな?

 期せずして、人造ゴーレムたちの遥か上をいく性能の監視システムを手に入れることに成功した。

 そして、こいつを有用活用するために、俺たちの安全にかかわる場所に目を置いている。最たるものが、スプリガンたちのいるダンジョンの監視室だ。

 あそこなら、気になることがあればスプリガンたちに頼み、詳しく調べることもできるようになるので、今までより効率的に作業が行えるようになるだろう。

 マイワールド内に作った、ゴーレムニューロン専用ダンジョンには、ダンジョン監視システムがスプリガンたちのとは別に準備されており、専属の人造ゴーレムに指示を出して独自の調査も行えるようになっている。

 またホコが来るのであれば、ダンジョンの機能が停止する範囲ができるので、俺たちの住んでいる大陸全体を監視する部屋も準備している。

 正直な話、ゴーレムニューロンを作るより、ダンジョンの整備やカメラの設置などの方が数倍疲れた。

 娘たちに絶対に壊すな! と言われてはいるが、誰かの身に危険がおよぶなら容赦なく壊すつもりである。その結果、娘たちに嫌われようとも、誰かが傷付くことは許容できない、許容……嫌われるのは嫌だな。

 でも、何かあった場合は、娘たちもいずれ分かってくれるときが来るだろう。

「一応、ホコ対策はできたけど、チビ神からの連絡がなければ後手に回るのはしょうがないんだよな。頭上にいきなり現れないことを祈ろう」

「いやいや、いきなり現れてもいいように、基本的にドッペルで行動するんでしょ?なら、最悪でもシュウたちが死ぬことはないんだからいいんじゃない?」

「俺としては、神の戯れ事で誰も死んでほしくないんだけどな」

「それは、神たちにしか分からないから、考えるだけ無駄よ。チビ神に連絡を寄越さなかったら、データをふきとばすとでも言っておけばいいんじゃない?」

 なるほど! どこまで期待できるか分からないけど、言っておく価値はあるかもしれないな。

 後日、チビ神と連絡を取って、今回みたいに連絡が遅れたらデータを全部消去する上に、これから一切渡さないと伝えたところ、涙目になっているのが思い浮かぶくらいには、取り乱しそうになっていた。
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