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第1522話 不思議素材
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仮定名セラフをマイワールドに封印した次の日、俺たちはスプリガンとは別の監視室に来ている。
スプリガンたちが使っている監視室がメインであるなら、こっちはサブ何かあった時のために準備した場所である。
「封印処置を行ったあれだけど、今のところ変わった様子はないな。あれだけガチガチに封印したから、自力でってのは無理だと思うけど、予想では、神たちの尖兵みたいなものだろうから、何があってもおかしくないよな」
「そうでござるね。その様子でござると、チビ神からの連絡はまだ無いようでござるな」
「んだな。どうでもいいときにはよく連絡が来るくせに、必要な時に連絡が取れなくなるって、あるあるだよな」
「あのさ、私はそんなに話したことがないからあれなんだけど、あんたたちの話を聞いてるとかなり身勝手な感じだよね? 娯楽のためには何でもする、って感じはするけど、チビ神って呼んでいる神は、どういう相手なの?」
「ん~ウザい?」
「そういうことじゃなくて」
「あいつ自身の話だと、今まで召喚してた相手が微妙だったらしくて神界では肩身が狭かったけど、俺って言う規格外の結果を残している奴を召喚したからって、鼻が高くなっているらしいぞ。それに、有り余るDPで送ってる、日本の娯楽を自慢してたまに大変な目に合ってるとかないとか」
綾乃は、俺の簡潔な説明を聞いて大体のところを把握してくれたようだ。どういう状況にあるかをほぼ的確に把握した綾乃は、苦笑をするしかなかった。
あのバカは、調子に乗って痛い目に合ってたのに、懲りずに煽ってたりするからな。今頃、消滅してたりしないよな?
「俺たちがずっと監視してるわけにもいかないけど、放置するわけにもいかないよな。スプリガンに任せるにもあれだしな。かといって、ディストピアの人を雇って監視してもらうのも難しいしな」
「雇うのじゃ、だめなの?」
「完全にダメってわけじゃないけど、変化がない物を映像で監視するのって、ヒューマンエラーが起こりやすいんだよね。ちょっとした変化だと気付きにくいしな。穴が開いたとか、派手に壊れたとか、じゃないと気付けないかもな」
「それ以外に、どんな方法であそこから出てくるのよ?」
「透過とかしてもおかしくないと思うぞ」
「それだと、誰にも気付かれないのではないかしら? あの中に本当に入ってるか分かるのって、私たちだけでしょ? クリエイトゴーレムを使って中を調べなきゃ、私たちだって入ってるか分からないわよ」
「そう言われれば、そうだよな」
「見て分かるようにするのでござるなら。シリコンと窒素の化合物の窒化ケイ素とかどうでござるか?」
「「ちっかけいそ?」」
俺と綾乃は、思わずバザールの言ったことをオウム返ししていた。
「シリコン(ケイ素)と窒素の化合物でござる。耐熱セラミックス「窒化ケイ素」に高圧と高温をかけることで、スピネル型窒化ケイ素のナノ多結晶体が出来たらしいでござる」
「よく分からん。どこで手に入れた情報だ?」
「何かの情報雑誌に書いてあったでござる。透明なのに、メチャクチャ硬い素材だとか言うことで、特集になっていたでござるよ」
「お前もよく分かっていないってことだな」
「そうとも言うでござる!」
バザールの返しにガックリしながらも、窒化ケイ素とやらを検索していくつか召喚してみる。
「透明じゃないじゃん!」
綾乃の言葉通り、召喚された窒化ケイ素は透明では無かった。
「けど、なんか見覚えがある気がするんだよな。何だっけこれ?」
召喚された1つである丸い球を見て、俺は首を捻る。
「おそらく、ボールベアリングの構造調べるときにでも見たのでござろう。あの中に入ってるボールが、確かこんな奴だったはずでござる。機械を使っているとはいえ、ナノレベルの精度で加工するらしいでござるから驚きでござるね」
なるほど、硬い素材ってことは、そういう場所に使われていてもおかしくないか。
「って、違うわボケ! 何で透明じゃないのかってことだよ!」
「初めに言ったでござる。高圧高熱をかけて加工した物だって……でござる」
こいつ語尾に困って、とってつけたようないい方したな。
「特殊な加工をされた素材ってことか。高熱高圧か?」
思いついたかのように、魔力を込めてやってみることにしてみた。
「出来ないな」
「いくら魔法が万能と言えど、さすがにそれは無理でござろう」
魔法で再現しようとしてみたが、他にも条件があるということだろう。そんなに甘くないか。窒化ケイ素で検索して出てきたモノを片っ端から呼び出していく。
「シュウ殿、それっぽいものが召喚されたでござるよ!」
バザールが慌てて俺を止めに入る。
バザールが何かを摘まんでいるようだが、なんも見えない。
俺に手のひらを出すように言ってきたので、出してみた。
手のひらに何やら落ちた感触がしたので、よくよく見てみると、小さなレンズみたいなものが乗っていた。
「おそらく、それでござる。特集にあった写真にも似ているでござる」
だけど、それはあまりにも小さすぎた。
「これをどうしろと言うのかね、バザール君」
「有り余るDPで召喚すればいいと思うでござる。DP改造で大きくも出来るでござろう?」
確かにバザールの言う通りなのだが、このレンズ小指の先にチョンっと乗っているサイズなのに、10DPもするのだ。
これで仮定名セラフのパーツを封印することを考えると、とてつもなく無駄遣いな気がしてくるのだが、みて分かるような状態にあるのは大切なことなので、出し惜しみせずに大量に召喚して運び込み、マナポーションを飲みながら加工に勤しんだ。
マナポーションでお腹がタプタプになったのは、ドッペルなんだけどね。
加工を頑張っていると、
「シュウ、どうせ魔核で修復機能とか強度を上げるんでしょ? それならついでに、防弾ガラスで最後囲んでみたらどうかしら?」
防弾ガラス……修復機能をつけるなら、これ以上無い素材かもしれないな。
綾乃の案を採用して、透明な窒化ケイ素で固めた仮定名セラフのパーツを防弾ガラスで更に封印した。
スプリガンたちが使っている監視室がメインであるなら、こっちはサブ何かあった時のために準備した場所である。
「封印処置を行ったあれだけど、今のところ変わった様子はないな。あれだけガチガチに封印したから、自力でってのは無理だと思うけど、予想では、神たちの尖兵みたいなものだろうから、何があってもおかしくないよな」
「そうでござるね。その様子でござると、チビ神からの連絡はまだ無いようでござるな」
「んだな。どうでもいいときにはよく連絡が来るくせに、必要な時に連絡が取れなくなるって、あるあるだよな」
「あのさ、私はそんなに話したことがないからあれなんだけど、あんたたちの話を聞いてるとかなり身勝手な感じだよね? 娯楽のためには何でもする、って感じはするけど、チビ神って呼んでいる神は、どういう相手なの?」
「ん~ウザい?」
「そういうことじゃなくて」
「あいつ自身の話だと、今まで召喚してた相手が微妙だったらしくて神界では肩身が狭かったけど、俺って言う規格外の結果を残している奴を召喚したからって、鼻が高くなっているらしいぞ。それに、有り余るDPで送ってる、日本の娯楽を自慢してたまに大変な目に合ってるとかないとか」
綾乃は、俺の簡潔な説明を聞いて大体のところを把握してくれたようだ。どういう状況にあるかをほぼ的確に把握した綾乃は、苦笑をするしかなかった。
あのバカは、調子に乗って痛い目に合ってたのに、懲りずに煽ってたりするからな。今頃、消滅してたりしないよな?
「俺たちがずっと監視してるわけにもいかないけど、放置するわけにもいかないよな。スプリガンに任せるにもあれだしな。かといって、ディストピアの人を雇って監視してもらうのも難しいしな」
「雇うのじゃ、だめなの?」
「完全にダメってわけじゃないけど、変化がない物を映像で監視するのって、ヒューマンエラーが起こりやすいんだよね。ちょっとした変化だと気付きにくいしな。穴が開いたとか、派手に壊れたとか、じゃないと気付けないかもな」
「それ以外に、どんな方法であそこから出てくるのよ?」
「透過とかしてもおかしくないと思うぞ」
「それだと、誰にも気付かれないのではないかしら? あの中に本当に入ってるか分かるのって、私たちだけでしょ? クリエイトゴーレムを使って中を調べなきゃ、私たちだって入ってるか分からないわよ」
「そう言われれば、そうだよな」
「見て分かるようにするのでござるなら。シリコンと窒素の化合物の窒化ケイ素とかどうでござるか?」
「「ちっかけいそ?」」
俺と綾乃は、思わずバザールの言ったことをオウム返ししていた。
「シリコン(ケイ素)と窒素の化合物でござる。耐熱セラミックス「窒化ケイ素」に高圧と高温をかけることで、スピネル型窒化ケイ素のナノ多結晶体が出来たらしいでござる」
「よく分からん。どこで手に入れた情報だ?」
「何かの情報雑誌に書いてあったでござる。透明なのに、メチャクチャ硬い素材だとか言うことで、特集になっていたでござるよ」
「お前もよく分かっていないってことだな」
「そうとも言うでござる!」
バザールの返しにガックリしながらも、窒化ケイ素とやらを検索していくつか召喚してみる。
「透明じゃないじゃん!」
綾乃の言葉通り、召喚された窒化ケイ素は透明では無かった。
「けど、なんか見覚えがある気がするんだよな。何だっけこれ?」
召喚された1つである丸い球を見て、俺は首を捻る。
「おそらく、ボールベアリングの構造調べるときにでも見たのでござろう。あの中に入ってるボールが、確かこんな奴だったはずでござる。機械を使っているとはいえ、ナノレベルの精度で加工するらしいでござるから驚きでござるね」
なるほど、硬い素材ってことは、そういう場所に使われていてもおかしくないか。
「って、違うわボケ! 何で透明じゃないのかってことだよ!」
「初めに言ったでござる。高圧高熱をかけて加工した物だって……でござる」
こいつ語尾に困って、とってつけたようないい方したな。
「特殊な加工をされた素材ってことか。高熱高圧か?」
思いついたかのように、魔力を込めてやってみることにしてみた。
「出来ないな」
「いくら魔法が万能と言えど、さすがにそれは無理でござろう」
魔法で再現しようとしてみたが、他にも条件があるということだろう。そんなに甘くないか。窒化ケイ素で検索して出てきたモノを片っ端から呼び出していく。
「シュウ殿、それっぽいものが召喚されたでござるよ!」
バザールが慌てて俺を止めに入る。
バザールが何かを摘まんでいるようだが、なんも見えない。
俺に手のひらを出すように言ってきたので、出してみた。
手のひらに何やら落ちた感触がしたので、よくよく見てみると、小さなレンズみたいなものが乗っていた。
「おそらく、それでござる。特集にあった写真にも似ているでござる」
だけど、それはあまりにも小さすぎた。
「これをどうしろと言うのかね、バザール君」
「有り余るDPで召喚すればいいと思うでござる。DP改造で大きくも出来るでござろう?」
確かにバザールの言う通りなのだが、このレンズ小指の先にチョンっと乗っているサイズなのに、10DPもするのだ。
これで仮定名セラフのパーツを封印することを考えると、とてつもなく無駄遣いな気がしてくるのだが、みて分かるような状態にあるのは大切なことなので、出し惜しみせずに大量に召喚して運び込み、マナポーションを飲みながら加工に勤しんだ。
マナポーションでお腹がタプタプになったのは、ドッペルなんだけどね。
加工を頑張っていると、
「シュウ、どうせ魔核で修復機能とか強度を上げるんでしょ? それならついでに、防弾ガラスで最後囲んでみたらどうかしら?」
防弾ガラス……修復機能をつけるなら、これ以上無い素材かもしれないな。
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