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第1521話 良く分からぬ
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腕を回収するためには、タングステンの塊をもう一度変形させて取り出す必要があるので、ドッペルでいく必要があった。
近くには、バザールが指示を出しているスケルトンが控えている。ドッペルで近付いて念動力なんかで腕を動かして切られるかもしれない、というバザールと綾乃の意見を聞いて、捨て駒として連れてきている。
タングステンの塊に触れて、内部を確認していく。今のところ本体も腕も動く気配は無い。慎重にタングステンを変形させて剣を奪える状態まで露出させる。
この段階で1度元の体へと戻る。
「おかえり。見てて大体は分かってるけど、身体や腕は動かなそうかな?」
「一応な。確認はしてみたけど、動いている気配は無かったよ。だけど、触れたり武器を奪うとしないと動かなかったことを考えると、お前たちが言ったような念動力で、あの状態でも攻撃を仕掛けてくる可能性は捨てきれないな」
「2人とも、そろそろ武器を取るでござるよ」
バザールがスケルトンに指示を出して、あの危険な武器を奪おうとしている。
画面の中のスケルトンが腕がめり込んでいるタングステンの塊に近付き、剣の腹に触れるかたちで手を這わせる。
「腕が動く様子はないけど、身体の方がめっちゃ動こうとして無いか?」
「偶然ね。私にもそう見えるわね。腕が切り離されていても反応しているのか、武器を奪われたことに反応しているのか、分からないわね」
「おそらく、後者でござろうな」
「その根拠は?」
「死者の勘でござる」
「うわぁ、当てにならなそう」
「酷いでござるな! 一応、考えの元になっていることはあるでござるよ。某みたいな、パーツを取り換えたりつくり直せたりする場合は、核さえ残っていれば気にならないでござるから、腕に執着はしていないと考えたのでござる」
「生物じゃないなら、そう考えても不思議じゃないのか? それにしても、バザールってパーツを取り換えることができることに驚だわ」
「ちょっと! 2人とも後退りは止めるでござる! 驚もなにも、シュウ殿だって普通にやっていることでござらんか!」
「はぁ!? 腕を切り落として新しいのなんかつけたことねえよ! お前と一緒にすんな!」
「そっちではないでござるよ! シュウ殿が便利に使っているリビングアーマーでござるが、鎧を乗り換えさせているでござるよね? それと同じ感覚でござるよ」
言われてみて気付いた。
確かにリビングアーマーからすれば、自分の身体を乗り換えさせているのだ。アンデッドや魔法生物、ゴーレム、機械などにとっては、腕の1本や2本は、替えの効くパーツみたいなものか。
「そんなことよりでござる。ドッペルに渡すでござるから、回収してほしいでござる」
ドッペルに乗り移り、剣を回収し俺たちのいるところに持って帰ってくる。
「やっぱり、見た目はごく普通の剣に見えるわね。これで、私の作った人造ゴーレムを切ったのね」
「いや、人造ゴーレムに被害はなかったはずでござるが」
話の腰を折ったバザールが、綾乃に殴られてる。しかも、殴っているその手が白く輝いているので、聖拳のスキルを発動させて殴っているようで、バザールが僅かだがダメージをくらっている。それ以上に、聖拳はアンデッドに痛みを与えられる、数少ない攻撃方法だからな止めてやれよ。
「まぁ、綾乃の意見には同意だな。聖剣みたいな見た目でもないし、間剣のような感じもしないな。神器のグレイプニルだって、もっと存在感みたいなのがあるからな」
俺のドッペルから武器を受け取り、軽く振ってみる。
「武器の感じも特に変わった感じはしないな。じゃ、何か切ってみるか?」
アダマンタイトの盾を切り裂いた剣なのだから、俺も切ってみるか?
「魔力を注いでも変化無いし、何かを発動させるボタンもないな。常時発動型の武器なのかな?」
どういう状況か良く分からないなで、試し切りと言えば、藁案山子だな。
召喚して突き立てた。
普通に切ってみることにした。
スキルの補助もあるので、よほどのナマクラでない限りは藁案山子を切り裂くことができる。
はずだった。
「シュウ、何やってるの? 半分くらいしか切れてなないわよ」
「いや、本気ではないけど、手は抜いて無いぞ。もっかいやってみる。今度は本気でやるから、ちょっと離れててくれ」
呼吸を整えて、新しく召喚した藁案山子を視界にいれる。
集中。集中。集中。
振り抜くための関節や腕、腰を意識する。
「フッ!!」
藁案山子を何とか切り裂くことが出来たけど、
「やっぱり、おかしいな。アダマンタイトの盾を切り裂ける剣で、藁案山子を切り裂くのがやっとなんて、あり得ない。何かカラクリがあるのかもしれないな」
「今のは本気でござったな。それなのに、やっとこさ切り裂いたかたちでござるね。なんと言えばいいでござるか、使用者登録でもされている感じでござるかね?」
使用者登録ね。ファンタジーやRPG的に考えれば、良くあるパターンだな。装備できないと効果が発揮できないという感じか? あの仕組みってどんな風になっているのかと思ったけど、装備できなくても待つことが出来て、登録者じゃなければ能力が下がるってところか?
「まぁ、俺たちに価値がないからといって捨てるわけにもいかないから、出入りの出来ないマイワールドに保管しておくか」
「ちょっと調べてみたい気もするけど、危険が高いならそこまでする必要はないかな。機会があったらということで、封印しておきましょう」
「賛成でござる。簡単に取り出せないように、厳重にアダマンタイトとかで封印してから、マイワールドに保管するでござる」
「とりあえず、もう1本の剣も回収して、念には念を入れてセラフもバラしてから、アダマンタイトにでも埋め込んで、違うマイワールドにて封印しようか」
こうやって、正体不明の相手をなんとか撃退した俺は、報告書をまとめて我が家へ帰る。
近くには、バザールが指示を出しているスケルトンが控えている。ドッペルで近付いて念動力なんかで腕を動かして切られるかもしれない、というバザールと綾乃の意見を聞いて、捨て駒として連れてきている。
タングステンの塊に触れて、内部を確認していく。今のところ本体も腕も動く気配は無い。慎重にタングステンを変形させて剣を奪える状態まで露出させる。
この段階で1度元の体へと戻る。
「おかえり。見てて大体は分かってるけど、身体や腕は動かなそうかな?」
「一応な。確認はしてみたけど、動いている気配は無かったよ。だけど、触れたり武器を奪うとしないと動かなかったことを考えると、お前たちが言ったような念動力で、あの状態でも攻撃を仕掛けてくる可能性は捨てきれないな」
「2人とも、そろそろ武器を取るでござるよ」
バザールがスケルトンに指示を出して、あの危険な武器を奪おうとしている。
画面の中のスケルトンが腕がめり込んでいるタングステンの塊に近付き、剣の腹に触れるかたちで手を這わせる。
「腕が動く様子はないけど、身体の方がめっちゃ動こうとして無いか?」
「偶然ね。私にもそう見えるわね。腕が切り離されていても反応しているのか、武器を奪われたことに反応しているのか、分からないわね」
「おそらく、後者でござろうな」
「その根拠は?」
「死者の勘でござる」
「うわぁ、当てにならなそう」
「酷いでござるな! 一応、考えの元になっていることはあるでござるよ。某みたいな、パーツを取り換えたりつくり直せたりする場合は、核さえ残っていれば気にならないでござるから、腕に執着はしていないと考えたのでござる」
「生物じゃないなら、そう考えても不思議じゃないのか? それにしても、バザールってパーツを取り換えることができることに驚だわ」
「ちょっと! 2人とも後退りは止めるでござる! 驚もなにも、シュウ殿だって普通にやっていることでござらんか!」
「はぁ!? 腕を切り落として新しいのなんかつけたことねえよ! お前と一緒にすんな!」
「そっちではないでござるよ! シュウ殿が便利に使っているリビングアーマーでござるが、鎧を乗り換えさせているでござるよね? それと同じ感覚でござるよ」
言われてみて気付いた。
確かにリビングアーマーからすれば、自分の身体を乗り換えさせているのだ。アンデッドや魔法生物、ゴーレム、機械などにとっては、腕の1本や2本は、替えの効くパーツみたいなものか。
「そんなことよりでござる。ドッペルに渡すでござるから、回収してほしいでござる」
ドッペルに乗り移り、剣を回収し俺たちのいるところに持って帰ってくる。
「やっぱり、見た目はごく普通の剣に見えるわね。これで、私の作った人造ゴーレムを切ったのね」
「いや、人造ゴーレムに被害はなかったはずでござるが」
話の腰を折ったバザールが、綾乃に殴られてる。しかも、殴っているその手が白く輝いているので、聖拳のスキルを発動させて殴っているようで、バザールが僅かだがダメージをくらっている。それ以上に、聖拳はアンデッドに痛みを与えられる、数少ない攻撃方法だからな止めてやれよ。
「まぁ、綾乃の意見には同意だな。聖剣みたいな見た目でもないし、間剣のような感じもしないな。神器のグレイプニルだって、もっと存在感みたいなのがあるからな」
俺のドッペルから武器を受け取り、軽く振ってみる。
「武器の感じも特に変わった感じはしないな。じゃ、何か切ってみるか?」
アダマンタイトの盾を切り裂いた剣なのだから、俺も切ってみるか?
「魔力を注いでも変化無いし、何かを発動させるボタンもないな。常時発動型の武器なのかな?」
どういう状況か良く分からないなで、試し切りと言えば、藁案山子だな。
召喚して突き立てた。
普通に切ってみることにした。
スキルの補助もあるので、よほどのナマクラでない限りは藁案山子を切り裂くことができる。
はずだった。
「シュウ、何やってるの? 半分くらいしか切れてなないわよ」
「いや、本気ではないけど、手は抜いて無いぞ。もっかいやってみる。今度は本気でやるから、ちょっと離れててくれ」
呼吸を整えて、新しく召喚した藁案山子を視界にいれる。
集中。集中。集中。
振り抜くための関節や腕、腰を意識する。
「フッ!!」
藁案山子を何とか切り裂くことが出来たけど、
「やっぱり、おかしいな。アダマンタイトの盾を切り裂ける剣で、藁案山子を切り裂くのがやっとなんて、あり得ない。何かカラクリがあるのかもしれないな」
「今のは本気でござったな。それなのに、やっとこさ切り裂いたかたちでござるね。なんと言えばいいでござるか、使用者登録でもされている感じでござるかね?」
使用者登録ね。ファンタジーやRPG的に考えれば、良くあるパターンだな。装備できないと効果が発揮できないという感じか? あの仕組みってどんな風になっているのかと思ったけど、装備できなくても待つことが出来て、登録者じゃなければ能力が下がるってところか?
「まぁ、俺たちに価値がないからといって捨てるわけにもいかないから、出入りの出来ないマイワールドに保管しておくか」
「ちょっと調べてみたい気もするけど、危険が高いならそこまでする必要はないかな。機会があったらということで、封印しておきましょう」
「賛成でござる。簡単に取り出せないように、厳重にアダマンタイトとかで封印してから、マイワールドに保管するでござる」
「とりあえず、もう1本の剣も回収して、念には念を入れてセラフもバラしてから、アダマンタイトにでも埋め込んで、違うマイワールドにて封印しようか」
こうやって、正体不明の相手をなんとか撃退した俺は、報告書をまとめて我が家へ帰る。
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