ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1511話 質の悪い武器

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 人造ゴーレムを持って来た綾乃が合流する。その後ろに何故かバザールがついてきていた。

「何でバザールもいるんだ?」

「綾乃殿の人造ゴーレムと、クリエイトアンデッドで作ったスケルトンで、集団戦をして遊んでいたでござる」

 人造ゴーレムは、単体としての強さは高いのだが、集団戦はあまり得意ではない。なので、集団戦と言えばバザールのアンデッドを使役する能力だ。それを覚えさせるために模擬戦を行っていたようだ。

 俺の知らない所で訓練していたようだ。

「で、今回のターゲットはこいつ。能力は何も分かってない。能力を解明するために、綾乃の人造ゴーレムを投入したいんだ」

「それは聞いてるわよ。私の作品が壊れるのは悲しいけど、人的被害を考えるなら人造ゴーレムたちが当て馬になる方がいいわね。まったく同じ物とは言えないけど、ほぼそっくりなものを作れるからね。知識に関しては、中央に全部集めてあるから何も問題は無いわ」

 綾乃の許可はもらえた。もらえなくても、徴用しただろうけどね。どれだけ対価を払う事になってもって、それじゃあ、徴用ではないか?

「それでござるなら、某のスケルトンたちも出すでござる。最近、数を増やすための魔力注入機を、たくさん作ったでござるから、スケルトンたちが増えているでござる」

 クリエイトアンデッドで作るスケルトンを、魔力注入機を使って大量に生産しているらしい。基本的にアンデッドには自我がないので、バザールから見れば仲間ではあるが、消耗品に近い考えなのだそうだ。

 ランク的にはSでも、作られたアンデッドでは自我が芽生えないらしい。だから、消耗品や代えの効くモノらしい。

 それに、視界を共有して指示も出せるので、今回は特におあつらえ向きの案件だろう。

「そうすると、人造ゴーレムがいると、邪魔だったりするか?」

「問題ないでござる。一対多数でござるが、ちょうどいい学習機会になるのではないでござろうか?」

「そうね。多数対多数はスケルトンたちと訓練していけば問題ないでしょうから、今回の格上相手の一対多数の集団戦も悪くないわね」

 特に問題ないようでよかった。

「基本的には、バザールの意識共有を使った指揮に任せていいのかな?」

「了解でござる。綾乃殿は、人造ゴーレムの指示のためにサポートをお願いしてもいいござるか?」

「了解よ。私も立派な指揮官ね!」

 綾乃はよく分からない理由でドヤ顔をしている。俺は、ドローンによる情報収集をするか。

 バザールたちの準備が終わり、スケルトン10体、人造ゴーレム10体がゲートで送り出される。

 俺は上空で待機しているドローンゴーレムたちに指示を出して、余すことなく映すように指示を出す。移された映像に、スケルトンたちが映った。

 隊列を組んでいる。今回投入されたスケルトンは、タンクが4体、アタッカーが4体、魔法使いが2体の10体だ。人造ゴーレムは、人型タイプを6体、アラクネタイプが4体の合計10体。

 人造ゴーレムは、装備を換えればタンクにもアタッカーにもなれるので、この数が投入されるようだ。

 大盾を持ったタンクスケルトン4体が先頭で移動している。他のスケルトンやゴーレムたちは、4体のタンクゴーレムの後ろを集団でついて行っている。

 仮定名セラフまでの距離1キロメートル程。お互いの移動速度を考えると、10分もかからずに遭遇しそうである。

 意識共有などで戦闘を考えると、森の中というのは悪くないのだが、観察するのには良くない。なので、出発する前に戦闘場所はひらけた場所にすると決めていた。4体いるアラクネタイプが周囲に魔法を放ち、森を伐採していた。

 他のゴーレムとスケルトンたちは、邪魔にならないように木をどかしている。

 ひらけた場所を作りそこで待機していたスケルトンたちと仮定名セラフが遭遇する。

 Sランク相当が20体いて、仮定名セラフに勝てないということはあるのだろうか?

『不遜なるモノたちよ。我は、神の使いである。疾く道を開けよ』

 いきなり仮定名セラフが喋り出した。

『我は、神から与えられた使命を遂行するために、この先へ向かっている。邪魔をするのであれば排除します』

 魔物だったら言葉なんて通じないだろうに、普通にしゃべりかけた事には意味があるのだろうか? 俺たちが会話をするか迷っている間に、

『どかない様ですね。排除させていただきます』

 突然、戦端が開かれた。

 仮定名セラフは、いつ取り出したのか両手に片刃の剣を1本ずつ持っていた。両手に持った剣でタンクスケルトンの大盾を切りつけてきた。

「えっ!?」

 その光景を見て絶句せざるを得なかった。

 アダマンタイトで作られた大盾が、真っ二つに切り裂かれ持っていたタンクスケルトンの左腕まで切り落としていた。

「これ、本当にヤバいな」

 俺がぼそっと言ったセリフに、バザールも綾乃も頷いていた。

 問答無用に周囲を消滅させる夢幻爆弾とは違う危険な武器のようだ。原理は分からないが、あの剣に受けは通じないようだ。

「あの剣、分解しているのか分からないけど、少なくとも刃の部分は触れたら拙いようだ。神の使いって言うだけあって、神器みたいな武器ってことだろうな。バザール、確認してほしいんだけど、あの剣の側面にも同じ能力があるか確認してほしい」

 刃に付与された特性なのか、剣に付与された特性なのかを知りたいので、バザールにお願いした。

 そんなことを話している間にも、仮定名セラフはスケルトンたちを相手に暴れまわっている。

 腕を切り落とされたタンクスケルトンは、後方へ下がりアラクネタイプが魔法で回復を行っていた。あれ? アラクネタイプの杖って攻撃魔法だけじゃないのか?

 綾乃を見ると、ドヤ顔している。ちょっとむかつくが、グッジョブだ。

 バザールは大盾が意味をなさないと分かったようで、タンクスケルトンたちの装備を脱がしていた。アタッカーがかく乱して、対応している感じだ。

 人造ゴーレムは、回復魔法の効果がないので後方で支援をしている形だ。人型の方は弓を持っていた。すげえな。弓も使えるようになっていたのか。

 何本も武器をダメにしているな、足りなくならないのでは? 追加で送り出すゴーレムとスケルトンに武器を大量に準備して持たせた。

 とりあえず分かったことは、剣の側面には分解のような能力は無いようだ。刃に触れないように弾くように対応すれば、武器の方は何とかなるようだ。
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