ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1502話 温泉掘り

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 自分たちで作った食事は、ひときわおいしく感じたのだろう。いつもより、たくさん食べている気がするな。少しお腹がポッコリしている気がするが、この程度であれば問題ないとスカーレットが言っているので、食休みをしてから温泉掘りだな。

 自分たちで選んだキャンプチェアに座って、並んでミノムシになっている4人の写真を撮ってから、温泉施設の建設計画を立てていく。

 建設計画とは言っているが、ここに来れるのは俺たちだけなので、着替えをするスペースと、間違って温泉に落ちないように柵をつけるだけで十分なのだ。

 湯船を2~3作って、サウナも入れるようにしておこうか? そうなると、サウナ専用の建物を建てないといけないな。これは、ダンマスの力に頼ろうか。

 着替えをするスペースに関しても、ダンマスの力を使うか? 娘たちだって、建物を作りたいって事は無いだろうし……あ、魔法で空間だけ作っておけばいいか? 娘たちも魔法なら興味を持つかもしれないしな。

 後は温泉が湧くように地下を調整すれば、掘るだけ!

 30分も経っていないので、まだミノムシ状態の娘たちを見て、もう少し時間がかかりそうだな。動きたくはないが、手持ち無沙汰になっているようなので、昨日フィルムフェスをした時に使ったテレビをつけて、この後の予定を説明してみた。

 お母さんたちのために温泉を作る予定だと話すと、急にやる気を漲らせ肩につるはしを持って、鉱山に向かうドワーフを幻想するような気迫だった。

 20分前までは、お腹いっぱいだって唸ってたのに、この変わり様は本当にすごいな。

「まずは、温泉を掘らないといけないんだけど、自分たちでやってみるかい?」

「とーたんが、魔法を教えてくれるの?」

「そうだぞ。土木組にも土魔法を教えたのは、俺なんだぞ。やってみるか?」

 そう言うと、娘たちがテンションが跳ね上がった。体を動かすのも好きなのだが、日本のアニメが好きな娘たちは、魔法の方が好きだったりするのだ。俺たちが使う魔法とは違うタイプのアニメだったりするのだが、魔法は魔法みたいで種類は関係ないらしい。

「まずは、魔法で温泉の湧く場所を探索する魔法を覚えようか」

 魔法はイメージが大切。水魔法をイメージして、何処に水があるかを調べる魔法だ。その応用で、暖かい水、温泉がある場所を探す。

「イメージは【お湯】、水魔法でどこら辺にあるか。みんなの場合は、探すというよりは教えてもらう感じがいいかもしれないな。お湯が何処にあるか教えて! って感じでやってみよう」

 娘たちが参加することを考えて、あえてピンポイントでしか感知しにくいように配置している。

 む~む~言っている姿は可愛いが、あまり眉間にしわを寄せ過ぎると、さすがによろしくないぞ。娘たちの眉間を揉んでほぐしてあげる。

「そんなに気を張っても良くないぞ。いきなり温泉を探せっていうのは無理があるのは分かってた。だから、目の前にあるコップの水を感じてみよう」

 そう言うと、娘たちからブーイングを受けた。無理があるなら初めからやらせるな! 的な抗議のブーイングだった。

 難しいことにチャレンジしてから、簡単なことにチャレンジさせて自信を持たせるのが、今回の作戦だったんだけど、ミスったかな?

 机の上に、冷たい水を置いたから、イメージして感じてみよう。初めはコップを手に持ってもいいよ。それで感じ取れたら、置いた状態で感じてみよう。その後は、コップの中の水の温度を変えてみるからやってみよう。

 また、む~む~言い始めたが、今回は目の前にあるモノを感じ取るためか、予想より簡単に出来てしまった。まさか、ここまで簡単に感じれるようになったので、そう思っているだけなのでは? と思ったが、離れた位置の水もすぐにできるようになった。

 目をつぶってもらい、何処に水があるのか感知してもらうと、全員が同じ方向を指さしていた……ここまで約30分。さすがに速すぎはしないかな?

 お湯の段階に入るとウルが少し手こずったが、問題なく感じ取れるようになった。おそらく、お風呂などで、お湯に親しんでいる期間の差ではないかと思う。

 次に水とお湯を置き、どちらが水かお湯を当てる段階へ移り、離れた位置から当てる。ここまで、1時間。倍以上はかかると踏んでいたのだが、娘たちの魔法適性が予想以上に高かったことに驚いた。

 ここまで出来たので、今度は温泉探しだ。

 色々な所を歩き回りながら、温泉が湧く場所を探している。

 スミレがそれっぽい反応を発見したようで、みんなを呼んで確認している。

 スミレが立っている場所は、温泉が感じやすくなるポイントだ。結果として正解だったが、探す過程を虱潰しだけじゃなくて、感じる方に移動しながらってやってほしかったのだけど、さすがに難しかったか。

 発見した場所に呼ばれた俺は、娘たちの止めて! と言われるまで、頭を撫でまわした。

「次は、穴を掘っていくけど土魔法は、どの辺まで習ったのかな?」

 土魔法の熟練度を判断するために、出来ること、習った内容を聞いてみると、土を成形することはできるようだ。落とし穴もできるよ! とブルムがアピールしてくる。

 成形に落とし穴ができるのであれば、温泉の所まで掘れるかな?

 そうそう、娘たちなのだが、ミーシャたち3人は一緒に育ってきたためか、ユニゾンマジックに近いことを普通に行えるのだ。妻たちもそれなりに苦労した技術なのに、娘たちは当たり前に使うらしい。ウルもちょっと前からユニゾンマジックが使えるようになっていた。

 1人じゃ出来ないことを、3人で協力して魔法を使っていたと妻たちが言っていたな。

「よし、役割を決めていこうか。魔力量が一番多いウルが地面に魔力を染み込ませよう。スミレが温泉までのガイド、ミーシャがガイドに沿って穴あけ、ブルムがあけた穴の側面を硬化する、でどうだ?」

 パパッと役割を決めてみたが、問題ないようで4人で話し合い始めた。こういう時は、口を出さないで見守るのが吉である。

 ウルが準備を始め、スミレがその魔法を誘導していく。ミーシャが穴をあけ、ブルムが固める。

 おぉ、これは1発で成功か?

 アニメが好きなだけあるな。イメージがしっかりしているから、出来る作業なのだろうな。だけど、まだ1人ですべてを行うには、技量が足りてないな。

 ウルたちが穴を覗いていると、穴から温泉が出てきた。驚きの声を上げて、騒いでいる。ひとしきり騒いだ後に、みんなに俺は1人でできるの? と聞かれた。

 もちろんできるのだが、温泉の穴は娘たちがあけてくれたので、サウナ用の水を引いてみるか?

 娘たちの前でやってみると、尊敬のまなざしで俺のことを見てきた。こういうのも悪くないな。
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