ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1470話 罪の形

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 モフモフパラダイスを作ってからしばらく経ったある日、俺はいつものように庁舎へ向かっている。

 あの日から俺の同行者が増えている。俺の業で生み出してしまった、アメリカンショートヘアの子ネコだ。初めは俺の部屋で面倒をみようとしていたが、本人……本ネコ? が離れるのを嫌がったので、俺が移動するときには、籠に入れて移動させている。

 馬車での移動時は、中で放している。姿は可愛いがこれ以上成長しないと考えると、この子が本当に幸せなのだろうか? と考えてしまう。俺の罪の形が自分の意思で俺の近くにいるつもりなのだろうか?

 どうすることもできないが、子ネコが俺についてきたがるのであれば、連れ歩くのが俺のするべきことだろうか?

 自分の執務室では自由にさせているので、グリエルたちが来れば何でいるのか気になるのは当たり前である。俺だっていれば気になるからな。俺以外の人間であれば、連れて来るなという話になるが、俺だから見逃されているというか、何をしても怒られないからな。

 そこで見つけられてから4回目あたりだったかな? その時に何で連れてきているのか聞かれた。

 こいつを生み出した経緯を説明したら、グリエルとガリアは珍しく俺に対して本気で怒ってきた。生物を冒涜する行為を何でしたのか……2時間くらいガチで怒られた。

 正直堪えた……怒られた事にではない、怒られた内容についてだ。

 思い付きで可愛いという理由から召喚してしまった子ネコ……

 いけない事だとは理解しているが、生み出してしまった以上無責任に殺すわけにもいかない。この子ネコには何の罪もないのだ。俺がすべて悪い。無邪気に俺の膝の上で自分の尻尾と格闘しているが、これ以上成長する事の無い子ネコをみて、心が痛くなる。

 俺は何でこんなことをしてしまったんだろうか? 一時の間違え、俗に言う魔が差した……というものなのだろうか? こんな言い方すると、犯罪者と変わりないな。マッドサイエンティストとして、名をはせてしまうかもしれない。

 本当にごめんなさい。この子の世話は、俺が看るから……もう、こんなことはしません。

 内容が内容だっただけに、かなり疲弊してしまった。自業自得なのだが、疲れてしまったことには代わりはない。

 家に戻り昼食を食べてから部屋に戻る。娘たちに遊んで欲しいと言われたが、今の心境で娘たちの相手が出来るだろうか? 母親たちに相談して、今日は体調が良くないと言うことで、何とか娘たちに諦めてもらえた。

 同じ内容で嫁たちにも怒られている。なので、あまり長い間調子が悪いのが続くなら、島に作った別荘に1人で行くように言われた。

 それもそうだよな。こんな調子のままいられたら、迷惑以外のなにものでもないよな。娘たちにも心配をかけるし、それならいっそのこといない方が助かるか。

 部屋につきベッドに倒れこむ。子ネコは、足元をちょこちょことついてきている。自分ではベッドの上に上がれなかったので、俺がベッドの上に乗せてあげている。

 ベッドに自由に登り降り出来るようにしてあげないといけないな。体のサイズに合わせたキャットタワーを置き、登りやすいように階段のようにしている。これで自由にトイレにいけるぞ。

 ベッドに横になっていると、子ネコが俺の体をよじ登りお腹の上で丸まった。呼吸で上下するお腹が、ゆりかごみたいで気持ちよかったりするのだろうか?

 お腹の上で眠り始めた子ネコを撫でながら、俺も夢の中へ入って行く。

 と思ったが、夢など見ることもなく目が覚めた。お腹に軽く衝撃を感じたので目が覚めたかたちだ。

 どうやら、寝ていた子ネコが起きてどこかへ行ったようだ。この部屋は大して広くもないので、見渡せばすぐに見つかる。トイレの中で座ってプルプルしているところをみるに、排便しているのだろう。

 おトイレが終わり、砂をかけ終わるとトイレから出てきて、少し離れた位置に座り込んだ。

 何をするのかと言えば、お尻を舐め始めた。排便をしたのでキレイにしているのだろうか? 自分の肛門を舐めるのもすごいけど、それ以上にあのザラザラした舌で舐めて痛くないのだろうか? 他のネコたちもよくやっている姿を見るので、いつも心配してしまう。

 満足したのか、走ってベッドの上に戻って来た。おっと、さっきお尻を舐めたそのままに、俺の耳や髪の毛を舐めないでくれ! さすがに目の前で見ているので、厳しいです。

 抱きかかえてお腹の上に乗せても、嫌がってすぐに下りてしまった。今は俺のお腹の上って気分じゃないのか? それなら、この子にあった専用ベッドを用意してみよう。

 ネコは自分の過ごしやすい場所を探す天才だ。気持ちよく寝れる場所は、特に念入りに探していると思う。作られた寝処でも、気持ち良ければ寝てくれるので、君の希望にあった物を準備してあげよう。

 最高級の毛布を召喚して、子ネコがすっぽり収まるサイズとちょっと小さめのサイズになるように、準備したケースに敷き詰めていく。ある程度の大きさに切り詰めていたので、切れ端が出てしまった。けど、子ネコが気に入ったみたいで格闘を始めた。

 何か獲物と勘違いしたのだろうか? 前足で抱きかかえ、後足でガリガリひっかいている。噛み付いた口で頭を振って噛み千切ろうとしていたのかな?

 他には、動画で鍋とかに入る映像を見た事あるので、いくつか召喚してみた。こっちには中に何も敷かないタイプと、低反発素材と、高級毛布を準備してみた。

 どれが気に入るのだろうか?

 しばらく観察していると、何も敷いていない4~5人前用の鍋に入って丸くなってしまった。色々準備してみたのに、結局それっすか? 贅沢な寝処が好きというわけではなさそうだな。俺のお腹の上で寝ているくらいだしな。

 スヤスヤ眠り出したみたいなので、俺も寝る事にした。

 夕食の時間だということで、起こされて子ネコを確認したら、小さめの窪みを作った毛布のところに移動しており、後ろから見ると饅頭みたいに綺麗な形をしていた。

 ネコって、狭いところや窮屈なところが好きだったりするよな。
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