1,458 / 2,518
第1458話 学校見学その1
しおりを挟む
「平和だな」
『平和ですね』
デジャヴを感じるやり取りをしながら、今日も庁舎に向かって歩いている。
昨日は特別参加したニコ先生が頭の上にいたが、今日は俺の頭の上には乗っていない。俺たちが出かける少し前に出発しており、現在俺たちの少し前を、ぬるりと滑るように動いている。
どうやらいつものように大冒険をするみたいだな。どこで何をするのかは、大体わかっているが、日によって微妙に違う動きをするので、正確には位置をつかめていないんだよな。
1日2日遅れで、何処で何をしていたのかは知れるんだけどね。ディストピアの情報誌みたいなのに、俺の従魔たちの動きっていうコーナーがあって、その中で特に人気なのがニコの行動記録のようなものだ。
人気な理由は、その日の美味しい露店が分かるため、その日に大量購入した露店の店主の名前や、店の名前などで紹介されるのだ。ここで何回も載せてもらえると、安定して美味しいということが証明されるから、店主もお客さんも注目しているようだ。
たまに出向くゴーストタウンの情報もあり、ディストピアから露店の店主が敵情視察に行くこともあるらしい。そんなことが、事細かに書かれており、話題のネタになっているみたいだ。
スライムの歩き方というか動き方? って、なんで体が上下に動くんだろうな? 伸びたり縮んだりしながら一生懸命動いているような感じに見えるのだ。
あんなふうに動かなくても、地面に接している部分だけウニョウニョ動かせば、動けると思うのだが、何故全身運動みたいな動きなんだろうな? 別に転がってもいいよな? 目が回ったりするのだろうか?
そんなどうでもいいことを考えながら歩いていると、いつの間にか庁舎に到着していた。
特にグリエルたちから報告される事もなく、のんびりと少ない報告書を読み今日の政務は終了する。
「終わっちゃったな。まだ昼には早いし、サウナは昨日大変だったからのんびりと入ったし、今日はどうするかな?」
そんな言葉がポロリと口からこぼれてしまった。
『マイワールドの学校を視察してみてはいかがですかにゃ? 新しくしてから、ぱっと見回りましたが子どもたちが授業を受けているところは見てませんですにゃ?』
ダマの提案を聞いて、子どもたちが授業を受けている様子は見ていなかったことを思い出す。いい機会なので、覗いていこう。
グリエルたちに挨拶をしてから、学校へいくゲートをくぐった。
ここは学校に来る子どもたちが通る、ゲートの集合場所だったな。それで、先に進むと昇降口に繋がるゲートがある。中に入ると昇降口に到着だ。
普通の学校は、生徒と先生の入る場所は違うのだが、この学校は一緒にしてある。ゲートや出入りの関係で、複数あると面倒なのでまとめたかたちだ。
来賓用の下駄箱へ移動してスリッパへ履き替える。ダマの足が汚れているので、濡れたタオルでゴシゴシと拭いてやる。肉球の間に少し汚れが溜まっているな……今日のお風呂のときにでもキレイにしてやるかな。
小さい状態のダマを前に抱えて、その頭の上に一段と小さくなっているシエルが乗り、肩にグレンが乗っている状態で歩き始めた。
とりあえず、職員室に行ってあいさつしないとな。俺の作った学校と行っても、先生でもなければ生徒でもない。部外者というくくりの中にいるので、話を通しておかないと混乱するかもしれないしな。
先生が全員授業をしているわけではないので、職員室では誰かしらがいて、情報交換をしたり、休憩したり、次の授業の準備をしていたりする。
「すいません、ちょっと見学いいですか?」
「誰ですか? ここではそんなこと許可して……いま……せんが……あれ? シュウ様じゃないですか。急に来られてどうしたのですか?」
「いや、新しく学校を作ってからしっかりと見る機会がなかったので、どんなふうに子どもたちが授業を受けてたりするか見たくて、ここに来たんですけど、見学は無理ですかね?」
「いえいえ、シュウ様であればいくらでも見学をしていただいて構わないのですが、本当に突然でしたね。ディストピアで授業していときは、ちょくちょく見かけていましたが、こっちになってから見ていませんでしたね。どちらにしても、シュウ様の学校なのですから、自由に見学していただいて問題ありません」
本当に自由に見学をしてもいいらしい……いいのかな?
「見学に行く前に1つ聞きたいことが、生徒たちの親が、様子を見に来たいとか言われる事ってないですか?」
「そう言われれば、ディストピア以外の街で授業うけていた子たちは、親の近くで授業を受けていたので気になっていなかったようですが、今はゲートでこちらに来るようになっているので、心配しているといった内容が連絡帳に書かれていることがありますね」
「そっか、見学については考えていなかったからな。こうなると自由に来てくださいっていうのは、大変だよな? 先生たちが手間じゃなければ、1週間に1度とか1ヶ月に1度とか、日を決めて見学に来れる日を作るべきかな?」
「それは良いかもしれませんね。バラバラに来られると、今の人数では対応しきれませんが、まとまってきていただけるのであれば、予定が立てやすいし案内もしやすいですね。今日の会議でシュウ様から提案されたと議題に出しておきます。あ、今日の見学は、案内が必要ですか?」
「自由に見ていいなら、必要ないけど授業の邪魔になるなら、案内してもらった方がいいかな?」
「そこら辺は、気にされることは無いと思います。自由に見学されて、良いと思います。一応、校内放送でシュウ様が来ていることだけ放送します」
おうふ、放送で流しちゃうのか! でも、それがいいって言うなら従うべきだな。ちょっと恥ずかしいが、校内放送で俺がきていることが流された。
これで何の問題もありません。ということで、職員室から見送られた。送り出される前に、この校内放送って便利ですね! と、職員の1人が俺にお礼を言ってきた。有効活用されているようで、喜ばしいことである。
『平和ですね』
デジャヴを感じるやり取りをしながら、今日も庁舎に向かって歩いている。
昨日は特別参加したニコ先生が頭の上にいたが、今日は俺の頭の上には乗っていない。俺たちが出かける少し前に出発しており、現在俺たちの少し前を、ぬるりと滑るように動いている。
どうやらいつものように大冒険をするみたいだな。どこで何をするのかは、大体わかっているが、日によって微妙に違う動きをするので、正確には位置をつかめていないんだよな。
1日2日遅れで、何処で何をしていたのかは知れるんだけどね。ディストピアの情報誌みたいなのに、俺の従魔たちの動きっていうコーナーがあって、その中で特に人気なのがニコの行動記録のようなものだ。
人気な理由は、その日の美味しい露店が分かるため、その日に大量購入した露店の店主の名前や、店の名前などで紹介されるのだ。ここで何回も載せてもらえると、安定して美味しいということが証明されるから、店主もお客さんも注目しているようだ。
たまに出向くゴーストタウンの情報もあり、ディストピアから露店の店主が敵情視察に行くこともあるらしい。そんなことが、事細かに書かれており、話題のネタになっているみたいだ。
スライムの歩き方というか動き方? って、なんで体が上下に動くんだろうな? 伸びたり縮んだりしながら一生懸命動いているような感じに見えるのだ。
あんなふうに動かなくても、地面に接している部分だけウニョウニョ動かせば、動けると思うのだが、何故全身運動みたいな動きなんだろうな? 別に転がってもいいよな? 目が回ったりするのだろうか?
そんなどうでもいいことを考えながら歩いていると、いつの間にか庁舎に到着していた。
特にグリエルたちから報告される事もなく、のんびりと少ない報告書を読み今日の政務は終了する。
「終わっちゃったな。まだ昼には早いし、サウナは昨日大変だったからのんびりと入ったし、今日はどうするかな?」
そんな言葉がポロリと口からこぼれてしまった。
『マイワールドの学校を視察してみてはいかがですかにゃ? 新しくしてから、ぱっと見回りましたが子どもたちが授業を受けているところは見てませんですにゃ?』
ダマの提案を聞いて、子どもたちが授業を受けている様子は見ていなかったことを思い出す。いい機会なので、覗いていこう。
グリエルたちに挨拶をしてから、学校へいくゲートをくぐった。
ここは学校に来る子どもたちが通る、ゲートの集合場所だったな。それで、先に進むと昇降口に繋がるゲートがある。中に入ると昇降口に到着だ。
普通の学校は、生徒と先生の入る場所は違うのだが、この学校は一緒にしてある。ゲートや出入りの関係で、複数あると面倒なのでまとめたかたちだ。
来賓用の下駄箱へ移動してスリッパへ履き替える。ダマの足が汚れているので、濡れたタオルでゴシゴシと拭いてやる。肉球の間に少し汚れが溜まっているな……今日のお風呂のときにでもキレイにしてやるかな。
小さい状態のダマを前に抱えて、その頭の上に一段と小さくなっているシエルが乗り、肩にグレンが乗っている状態で歩き始めた。
とりあえず、職員室に行ってあいさつしないとな。俺の作った学校と行っても、先生でもなければ生徒でもない。部外者というくくりの中にいるので、話を通しておかないと混乱するかもしれないしな。
先生が全員授業をしているわけではないので、職員室では誰かしらがいて、情報交換をしたり、休憩したり、次の授業の準備をしていたりする。
「すいません、ちょっと見学いいですか?」
「誰ですか? ここではそんなこと許可して……いま……せんが……あれ? シュウ様じゃないですか。急に来られてどうしたのですか?」
「いや、新しく学校を作ってからしっかりと見る機会がなかったので、どんなふうに子どもたちが授業を受けてたりするか見たくて、ここに来たんですけど、見学は無理ですかね?」
「いえいえ、シュウ様であればいくらでも見学をしていただいて構わないのですが、本当に突然でしたね。ディストピアで授業していときは、ちょくちょく見かけていましたが、こっちになってから見ていませんでしたね。どちらにしても、シュウ様の学校なのですから、自由に見学していただいて問題ありません」
本当に自由に見学をしてもいいらしい……いいのかな?
「見学に行く前に1つ聞きたいことが、生徒たちの親が、様子を見に来たいとか言われる事ってないですか?」
「そう言われれば、ディストピア以外の街で授業うけていた子たちは、親の近くで授業を受けていたので気になっていなかったようですが、今はゲートでこちらに来るようになっているので、心配しているといった内容が連絡帳に書かれていることがありますね」
「そっか、見学については考えていなかったからな。こうなると自由に来てくださいっていうのは、大変だよな? 先生たちが手間じゃなければ、1週間に1度とか1ヶ月に1度とか、日を決めて見学に来れる日を作るべきかな?」
「それは良いかもしれませんね。バラバラに来られると、今の人数では対応しきれませんが、まとまってきていただけるのであれば、予定が立てやすいし案内もしやすいですね。今日の会議でシュウ様から提案されたと議題に出しておきます。あ、今日の見学は、案内が必要ですか?」
「自由に見ていいなら、必要ないけど授業の邪魔になるなら、案内してもらった方がいいかな?」
「そこら辺は、気にされることは無いと思います。自由に見学されて、良いと思います。一応、校内放送でシュウ様が来ていることだけ放送します」
おうふ、放送で流しちゃうのか! でも、それがいいって言うなら従うべきだな。ちょっと恥ずかしいが、校内放送で俺がきていることが流された。
これで何の問題もありません。ということで、職員室から見送られた。送り出される前に、この校内放送って便利ですね! と、職員の1人が俺にお礼を言ってきた。有効活用されているようで、喜ばしいことである。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
転生したら倉庫キャラ♀でした。
ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。
ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。
どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。
死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。
「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」
鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。
加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。
ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。
道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。
今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる