ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,444 / 2,518

第1444話 驚きの機能

しおりを挟む
 ディストピアの住人が起こした初めての大事件が収束してから4日後。

 俺は、マイワールドの中に来ていた。

 予定では、3日前にマイワールドについて色々実験しようと思っていた。だけど、2日目の休みに事件が発覚して、1日かけて事件を解決した。そして、休みが終わったのでマイワールドへ行こうとしたら、シュリにつかまった。物理的に……

 理由を聞いてみたら、昨日のあれは休日ではない! と妻たちに正座をさせられて、説教をうけてしまった。トラブルがあったと言っても、仕事は仕事……追加で2日間の休日が命令された。

 こっそりとマイワールドへ行こうとしたら、マイワールドの入口で待っていたシュリにまたつかまり、休日がさらに1日追加され、合計3日間になってしまった。

 呼び方を変えて距離感が近くなってきたと思っている。こういった俺へのペナルティーみたいなのに対しても、変わってきている。前よりペナルティーが重くなっている気がする。距離感が近付くにつれて、ペナルティーも重くなっていくのだろうか?

 ちなみに3日間は、本当にする事がなかったので、ゲームをして小説を読んで過ごした。

 何となく懐かしくなったので、大航〇時代の最新作をやっている。こもって攻略本を片手に頑張ったおかげで、何とかクリアできている。では小説をいつ読んだかといえば、お風呂やサウナの中でブッ君を使って読んでいる。

 ちなみに、この3日は娘たちにも会わせてもらえなかった。娘たちが反対するかと思ったが、どうやら娘たちはマイワールドの自分のエリアを改造するためのDPを稼ぐために、色々頑張っているようで俺のことは眼中に無かったらしい。

 お父さんはショックだよ。

 とりあえず、今日はマイワールド解禁日である! 今日のお供は、いつもの聖獣たちとバザール、綾乃だ。

「今日はやっとマイワールドの実験でござるな」

「シュウが余計なことしたから、3日も遅れたじゃない。しっかりしてよね!」

「いや、2日追加されたのは、しっかりしすぎたせいなんだが、過ぎた事はしょうがない! 今日は1日実験できるから色々試してみるか。食事もこっちに運んできてもらうように言ってあるから、心おきなく実験できるぜ!」

 そう宣言して元海賊船だったクルーザに乗り込んでいく。

「これは何でござるか?」

「白い部屋だじゃなかったの?」

「あっ、何でも作れるみたいだったから、俺の記憶から地理を読み出して昔住んでた街を作ってみたんだ。個人の家は作ってないけど、駅前の商店街や公共施設、店は作ってみたぞ」

「へ~、そんなことできるんだ。私の町も作れたりするの?」

「ん~どうやら、主体となっている俺からしか、引き出すことができないみたいだな。まぁ、監視に使っているハイテクロマン部屋に日本の動画でも読み込ませれば、作ることもできるかな?」

「そこまでして作るものでも無いかな。だって、人とかは再現できないんでしょ?」

「ひとっぽい何かをでっちあげることはできるけどね」

「街並みをもう一度見たいとか考えたけど、私って東京の都市部の生まれだから、人のいない街並みを見ても……むなしくなるだけだって思うわ」

 確かにな。景色だけが一緒で23区とかだったら、俺の町みたいに景色を楽しむことなんてできないもんな。そんなのむなしいだけだな。

「某には聞いてくれないでござるか?」

「「えっ!?」」

「お前って、故郷のこと覚えてるの? 何百年、何千年生きてるか分からんのに……」

「ほとんど覚えていないでござるが、せめて聞く素振りくらいはしてほしかったでござる」

 何か、泣いたふりをしているので、無視して進んでいく。

「俺の町は、景色だけは良かったからな。再現してみたかったんだ。娘たちには、俺の故郷を一度は見せたかったからな……妻たちにもだけどな。だけど、実際来てみてどうなんだろうって、思ってしまったよ」

 小話をして、中学校へ入って行く。

「何で中学校がこんなに綺麗なの? しかも窓も大きいし、何か明るいし、なにこれ?」

「これのことか、俺が入学した年の冬に新しくなったんだよ。そのせいで、校庭がなくて外での体育がマラソンしかなかったのは、いい思い出かな? 部活をしている人たちは、近くにある小さな空き地で野球・サッカー・陸上とかが交替でつかってたな」

「なるほどでござる。田舎の学校はみんなこんな感じでござるか?」

「まさか、俺の昔の中学校を見てみるか? 多分映像とか写真でなら探してみればあるかもしれないぞ」

「気になるでござる」

 バザールに見たいと言われたので、昔の映像か画像がないか検索すると、出てきたので中学校の視聴覚室へ移動して写真を流す。

「まじで!?」

 綾乃に滅茶苦茶ビックリされた。

 そりゃそうだよな。昔の中学校って、ホラー映画に出てきそうな木造校舎だったんだよね。歩けばギーと床が鳴るし、ボットン便所だし、もうね……文化祭の準備で遅くまで残ってた時とか、何か出てくるんじゃないか! って思う位すごい校舎だったぜ。

「これはこれで面白いでござるな。幽霊屋敷みたいなのに、使いたいでござるな」

 確かにこの校舎の夜、マジでやべえんだよ。今度考えてみてもいいかな?

「それより、実験始めないの?」

 そうだった。

「まず、一番気になってるのが、マイワールドのタブのトップ画面に、扉っていう項目があるのが気になるんだよね。これって何だと思う?」

「もう1個マイワールドへの入口ができたりするんじゃない?」

 投げやりに綾乃がそう答えた。試してみないと分からないので、いじってみる事にした。

「まじかっ!?」

「ちょっと、1人で勝手に驚かないで説明してよ!」

「あ、あぁ、ちょっと待ってくれ」

 俺はそう言って扉を作成する。

「この扉をくぐってくれたら、俺が驚いた理由が分かるよ。すぐに戻ってきてくれ」

 2人が中に入って驚きの声を上げている。

「これってどういうこと!?」

 戻って来た綾乃が俺のことをポコポコと叩きながら聞いてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...