ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,442 / 2,518

第1442話 犯人確保

しおりを挟む
 1時間後に報告が入った。

 幸運先生たちが仕事をしたのか、いい報告が聞けた。

 今回探していたアイテムを買い取った店が発見できた。だけど、同時に悪い報告も入ってきた。

 買い取った店が3つ、売りに来た人間が2人いたと言うことだ。買い取った数が7つなので、最低でも7匹がこの2人によって殺されたと言うことだ。

 ただ、後20匹ほどの詳細が不明ということだ。

 俺が行動に移そうとしたところ、グリエルから待ったの声がかかる。

「シュウ様、報告がここに来る前に暗部に連絡が行き動いています。シュウ様がすることは、もうありませんので報告をお待ちください。ガリア、暗部が捕らえた人間は何処に行く予定でしたっけ?」

 ディストピアでは大きな事件がなかったため、暗部が動くほどの事がなかった。そのため、グリエルが暗部の動きを把握できていないためガリアに確認をとっていた。

 完璧人間に近いと思っていたグリエルだが、やっぱり普通のひとっぽいところもあるんだな。

「暗部が利用している建物に連れ込み、地下通路を使って例の区画に運び込む予定になっているはずです」

 例の区画ってなんだ?

「そうでしたね。暗部が利用しやすいように改装したあの区画ですね」

 だから、あの区画って何?

「それでしたら、先にシュウ様と足を運びますか。ここの地下通路からもいけるようになっていますからね」

 例の区画とやらが分からない状況のまま、俺は地下通路を歩いていく。ちょっと下っている気がするな。けど、俺はこんな通路も区画も作った覚えがないぞ! 四大精霊が関わっている可能性が高いか?

 たどり着いた先はなんというか、普通の街だった。小さく切り取られた、という感じだな。ここを見て、あの区画とか系の区画といった意味がよく分かるな。

 ここは、暗部の人たちが住んでいるエリアらしい。そしてこの区画の隅っこに、倉庫のような場所がありそこへ誘導された。

 そこは倉庫ではなく、あえて表現するのであれば、拷問部屋かな?いろんな器具が並べられており、動けないように固定できる椅子も準備されていた。

 あまりにもキレイな空間なので、拷問部屋には見えないのだ。それに並べられている器具も、拷問に使うというよりはDIYとかに使うような工具が多いように見える。

 別室でしばらく待っていると、ミリーがやって来た。ミリーは冒険者ギルドの長ではないが、自分が担当しているギルドから害虫駆除をしている魔物を殺した人がでた、ということで慌てて駆けつけてきたようだ。

 ここに来て1時間ほど経った頃に、外が騒がしくなった。出て確認してみると、んーんーと口を塞がれているけど叫んでいる、冒険者の格好をした者たちが2名運ばれて来た。

 俺がいると目立つらしく、すぐに部屋に戻るように鬼人に言われたので、ミリーと一緒に戻っている。この部屋からは、外の様子、拷問が行える場所が見られるようになっている。

 こいつらは、冒険者の格好をしているけど、ダンジョンに行かないならこんな格好はしないよな? ってことは、ダンジョンからここまで連れて来たのだろうか?

 2人の冒険者は椅子に座らせられた。まだ、拘束をしたりしないようだ。質問をしていき、ウソが判明したら徐々にレベルを上げていくらしい。

 口の布をとられた冒険者2人は、こんなことをしていいのか! とか、兵士や領主にバレたら殺されるぞ! とか言っているけど、その領主が今回の作戦を指揮している様なもんなんだよね。

 鬼人たちが質問を始めた。いきなり核心をつく、アイテムの名前を出し店に販売したか質問をした。

「そのアイテムなら、売ったことがあるけどそれ「質問された事だけを答えろ!」」

「そのアイテムを、どうやって入手した?」

 冒険者たちは、少し考えている様子を見せた。

「どこで手に入れたか覚えていないけど、ダンジョンで拾ったはずだ」

 2人とも同じ答えだった。そのため、両手両足、腰に胸、肩、首、頭をベルトで固定された。ギャーギャー騒いでいるが、あまりにもうるさかったのか、無防備な顔面を殴られていた。いてえよ、とうるさかったのか、さらにもう1発殴られて泣きながら痛みをこらえていた。

「状況は理解できていないと思うので、説明をしておいてやる。まず俺たちは、ディストピアの暗部の人間だ。そして、お前たちが売ったアイテムは、ダンジョンではドロップされないアイテムだ。じゃぁ、誰がドロップするのかといえば、ディストピアの街の害虫駆除をしてくれている魔物たちからだ」

 鬼人たちが自分たちの所属を明かしたのだけど、いいのかな? そんなことを考えていたら、隣にいたガリアが、暗部とバレても問題ないです、だってさ。そもそも、こいつらの処分は、最低でも犯罪奴隷、最高で死刑らしい。なので、知った所で話すこともできなくなるので、問題ないんだと。

「ああ、あのアイテムは街の中で拾ったのかもしれないな」

「残念ながら、寿命や仲間内のトラブル、滑って落ちて打ち所が悪くて死んだ場合には、アイテムはドロップされません。人間などに殺されないと、ドロップしないんですよ。

 害虫駆除をしてもらっている魔物たちですが、不審物があれば拾ってくるように命令しているので、たまたま何回も拾ったというのは、無理がある話なのです」

 もう断定している話し方だな。鬼人の1人が説明している間にも、拘束される部分が増えていた。手をパーにした状態で、指を1本ずつ固定する器具がつけられていた。

「恐らく薄々感づいているとは思いますが、早めに事情を説明してくれた方が、痛い思いをしなくてすみますし、時間がかかるとこちらも面倒なので、よろしくお願いします。ポーションを持ってきておいてくれ、もし切り落としてもくっつける必要は無いから、Eランクくらいのやつでいいぞ」

 あえて何をするのかちらつかせて、最悪の場合指が切り落とされる想像をしただろう。そのために手の平を固定したのだとミスリードするように、見える場所にチェーンカッターみたいなものが置いてあるしな。

 仲間が黙ってないぞ! とか、衛兵たちに殺されてしまえ! とか言っているが、鬼人たちの方が強いし、衛兵たちの偉い人は鬼人たちの存在を知っているので、滑稽にしか見えない。

 こいつらの心を折るために、俺が呼ばれた。ミリーとグリエル、ガリアも一緒にだ。

 俺の顔は知らなかったようだが、他の3人の顔は知っていたようで、助けて下さい、と懇願していたが、グリエルが、

「ディストピアの街に住んでいる魔獣は、すべてシュウ様の従魔です。しっかりと説明していますよね。知らなかったでは済まされない話です。それを殺すということは、これ以上は言わなくても分かりますね?」

 と、トドメを刺した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

処理中です...