ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,432 / 2,518

第1432話 残った海賊船

しおりを挟む
 キングが2体とも死んだころに、妻たちが戻って来た。今まで協力してくれていた、キリエ・ライム・ジュリエット・レミーの4人が休憩に入った。俺はまだ休憩に入れないが、もう少し頑張れば休憩にはいれるから、がんばろう。

 シュリ、アリス、クシュリナの3人は、大型の武器を肩に担ぎ獲物を見定めるような目つきで、ダメージの減っていないルークに目をつけていた。

 攻撃し始めた3人は、正直怖かった。ダメージの量を考えているのか、部位破壊を企むような攻撃になっていたのだ。アリスは手の先から、クシュリナは足の先から、シュリは頭蓋骨を狙って攻撃を始めたのだ。

 正直、オリハルコンを砕くことは出来ないと思うが、ある程度小さくすることはできるのかな?

 この3人に関しては、アダマンコーティングではなく、総アダマンタイト製の武器を準備していたので、攻撃力がヤバい事になっている気がする。

 特に重量級の長物武器を使っているクシュリナの場合は、砕くというよりは切り砕くとでも表現すればいいのか、そういうような印象を受ける光景だった。

 だってさ、斧槍の刃の部分だけで10キログラム以上ある長物が、勢いよく足首を狙って振り下ろされているのだ。振り下ろされる際の音もブンブンと凄いが、それ以上に足首にヒットした時の音がヤバい。あんな音がしているのに、なんで足首が切り離されていないかマジで不思議なんだが!

 さて、俺は左手が自由になったので、ブッ君で小説を読めるようになった。やっと自由になれた感じだよな。ちょっと周りがうるさいので、ヘッドホンをつけて音楽を流すことで誤魔化した。でも、衝撃波のような物までは防げないので、体に響くものがあった。

 実は、こういう衝撃波に関しては、遮音結界では防げないことがあるんだよね。音じゃなくて、違う何かと認識されているのだろうか? そして今回は、それに適応されてしまったので諦める事にした。

 探せば防ぐ結界を探せると思うけど、やるのが面倒だった。

 さて、2時間くらい経ったかな? パイレーツスケルトンたちがいつの間にか半数になっていた。海賊船の強化と回復がウザいが順調に倒せているようで、助かったよ。最悪、海賊船が残っていたら、パイレーツスケルトンたちが召喚されるんじゃないかと思っていたからな。

 休んでいたと言っても、2時間程武器を振り下ろしていたので、かなり疲労がたまっているように見えた。昨日、いや今日か? どっちでもいいか。10時間前くらいには頑張ってたからな、しっかりと疲れが抜けていなかったかもしれない。

 だけど、攻撃を止めずに次のターゲットを一生懸命攻撃している。一方的に攻撃しているのに、なかなか死なないパイレーツスケルトンたちって本当にタフだよな。海賊船の強化と回復が本当に迷惑だな。

 一方で、8体の人造ゴーレムに囲まれて攻撃されているポーンが可哀想に見えてきた。まぁ、敵なので救うなんてことはしないけど、気持ちくらいはね。

 さて、もう少し頑張ってくれ。体力の残りを考えると、後2時間くらいで終わるからさ。俺は、寝ないように小説の続きを読んでいるから、終わったら教えてくれ。

 集中して読んでいたのだろう、肩を叩かれるまで近付いてきたシュリに気付かなかった。

「あれ? もう終わった? って、まだ終わってないじゃん。どうしたの?」

「あれが最後の1匹なのですが、もし倒してパイレーツスケルトンたちが召喚される可能性を考えると、シュウ様には倒す前に休んでいてほしいです。1匹であれば、私たちでもグレイプニルを使うことができますので、ゆっくり休んでください。こちらは、順々に休憩をとるので問題ありません」

 なるほど、召喚されるトリガーに海賊船が生きていて、パイレーツスケルトンたちが全滅したらの可能性を考えたんだな。よく考えているんだ。俺なんて、途中で見れなくなったアニメにイライラしてたのに、やっぱり基本となるモノが違うんだな。

 俺もさすがに眠気が来ていたので、体を洗って軽く風呂につかってから眠りについた。

 目が覚めると、体が重かった。てめえら! 何で俺の体をベットにするんだよ!

 スライムたちが俺の体の上にピラミッドのようになって乗っていたのだ。さすがに目が覚めるわ! っておもったけど、よく考えてみろ……最低でも、こうなるまで俺は寝てたってことだろ? 俺、危機管理本当に大丈夫か?

 邪魔なスライムたちを蹴飛ばし投げ飛ばし、起き上がる事にした。寝起きから無駄な体力を使ったが、俺は武器を振り下ろしていたわけではなく、魔法を使っていただけだからな。精神的に疲れていただけだ。一眠りしてすっきりしたので、動きに問題はなさそうだ。

 食堂に行くと、妻たちが食事をしていた。いないのは、4人位か?

 食事を食べて残っているパイレーツスケルトンの元に向かうと、昨日とは違う光景が広がっていた。

「なぁ、何でシェリルが普通に戦っているんだ?」

「戦闘訓練を最近できてなかったと、シュリが戦い始めたのがきっかけですね。いつでもグレイプニルで拘束できるように2人待機していますし、戦闘訓練の交代要員もいますので、問題ないですよ」

 笑いながら説明してくれたリリーが、鋭い視線を急にした。

「シェリル! 一旦引きなさい! レミーは、グレイプニルで拘束して」

 急に何かと思ったら、回復するより与えられるダメージの方が多かったみたいで、体力がなくなりそうになっていたのだ。

 アンデッドを生きていると言って良いのか分からんが、パイレーツスケルトンを相手して戦闘訓練をしていたようだな。いい運動にはなったのかな?

 全員が戻って来た。

「さて、そろそろこいつを倒してみようか?」

 先程まで頑張っていたシェリルが薙刀を使って止めを刺した。

 警戒をしてみるが、再召喚される様子はなかった。

 海賊船をどうやって倒すか? 昨日のことを考えると、ダメージが与えられるのか分からんのだよな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...