1,424 / 2,518
第1424話 キリエの苦戦
しおりを挟む
レイスvs人造ゴーレム+キリエ
人造ゴーレムはキリエの指示に従って、ブラッドリーレイスやデッドリーレイスたちのターゲットをしっかりと維持したまま、キングレイスを攻撃している。
この光景をもし他の人が見たら、目を疑うだろう。
後ろからレイスたちに攻撃されているのに、ナニカされたのか? といわんばかりで、キングレイスへの攻撃が全く止むことがない。
もし、あれがシュウであっても、同じような攻撃をするのは躊躇するだろう。
普通の冒険者たちから見れば、あり得ない量の生命力と魔力量を持っていたとしても、あれだけレイスから攻撃を受ければ、さすがに危険である。
通常攻撃がドレインに属する攻撃なので、回避以外の選択肢が本来準備されていない。攻撃を受ければレイスが回復してしまい、こちらの動きがドンドン遅くなってしまうのだ。
Sランクの魔石で動いている人造ゴーレムは、無限に魔力を生み出す。人間や魔物であれば生命力が無くなれば死に、魔力が無くなれば気絶してしまうが、人造ゴーレムに生命力は存在せず金属の耐久力をもっており、もし魔力切れを起こしても魔力が魔核から生み出されればまた動き始める。
本当にレイスにとっては、天敵のような存在だろう。
キリエとアラクネタイプの人造ゴーレムは、キングレイスたちに群がっているブラッドリーレイスやデッドリーレイスたちを上手く避けているが、仲間である人造ゴーレムたちに被弾するのも気にすることなく、光属性や聖属性の魔法で攻撃をしている。
キリエは回復魔法中心で人造ゴーレムたちに効果のない魔法得意なのだが、聖属性のホーリーレイを使って、キングレイスに落とすように光の弾が無数に落ちてくる攻撃も得意なのだ。
妻たちにも得意不得意というのが存在しており、ライムたち魔法組は攻撃魔法が得意で回復や支援系はあまり得意ではない。それに対して、キリエたち回復組は支援や回復は得意だが、攻撃魔法は苦手である。
得意不得意というよりは慣れのような気もするが、攻撃魔法の効果が、魔法組>>>>それ以外>>>回復組といった感じで、明らかに威力が違ってくる。回復魔法となれば、この並びが逆さまになる。
魔力などが関わってきているのかとも思っていたが、ほぼ同じに調節しても効果が変わってくるので、かなりみんなで頭を悩ませている問題だ。
人造ゴーレムたちがキングレイスの体を穿つたびに、キングレイスが悲鳴を上げている。逃げようとして他のレイスたちを囮にしようとするが、アラクネタイプから飛んでくる魔法や無重力殺法とでもいうような、ハーピータイプの連続攻撃がキングレイスの動きを止めて、他の人造ゴーレムたちも追撃を仕掛けている。
レイスって体が欠けても動きが変わらないのね、とあまり関係ない感想を懐きながらキリエは戦っていた。
それにしてもタフだ。人造ゴーレムに攻撃され続けているのに……あれ? よく見てみると、キングレイスと他のレイスたちが薄い光で繋がっている。
キリエが慌てて鑑定を始めた。戦闘の様子を観察していると、あることに気付いた。
「人造ゴーレムの人型タイプは、ブラッドリーレイスやデッドリーレイスに攻撃を! 最低でも1体以上で戦いキングレイスから距離を離してください」
観察した結果分かったのは、キングレイスにブラッドリーレイスやデッドリーレイスの吸収して余った分の、生命力や魔力がその線を通じて送られていることが分かったのだ。
さすがに30分攻撃を続けているのに、あまりダメージを負った様子がなかった。それも気付く切っ掛けになった。
まさか、キングレイスにそんなに能力があるとは思っていなかったので、気付けなければレイスを倒すことは出来なかったかもしれない。
「キング系を優先的に倒す方法がとれない……本当にまさか過ぎる事実でしたね。キングレイスは、ハーピータイプが足止め、他の異形型は1匹ずつ撃破していくよ! まずは、そいつね」
狙うブラッドリーレイスに指を向け攻撃するように指示をする。
キングレイスからは吸収した余剰分が届くことなく、ブラッドリーレイスが1匹消滅した。
「次は……えっ!?」
キリエは自分の目を疑っていた。次のターゲットに狙いを定めようとしたところ、キングレイスの側にブラッドリーレイスが召喚されたのだ。しかもこの召喚、キングレイスの召喚ではない。シュウが行う召喚と同じような現れ方をしたのだ。
キリエは必死に頭を回転させる。おそらく、何かしらのギミックが存在しているだろう。
シュウや綾乃、バザールたちであれば、すぐに色々思いついたのであろうが、キリエではすぐに思いつくことができない。正確には、思いつくことができてもそれを精査するだけの経験がない為、どうしても時間がかかってしまう。
キリエからの指示が途切れたとしても、人造ゴーレムは最後の命令を自分たちで解釈して、ブラッドリーレイスに攻撃を集中させている。
倒される度に現れるブラッドリーレイス……もしダンジョンが生み出しているのであれば、無限に湧き続けるのではないか? キリエは、そう考えている。シュウであれば違う考え、例えばDPは無限にあるわけではないので、俺たちから吸収していたとしても限界は存在すると言っただろう。
それが分かったとしても、そのDPの限界が何処にあるか分からないので、キリエとシュウの考えには現状では差がないのだが、キリエは悪い方向に考えてしまう傾向があるので、無限に湧き続けるという状態がキリエを焦らせている。
そんな中でも攻撃の手を緩めないのは、妻たち……キリエは、戦闘をしっかり理解していると思う。
「ターゲットをデッドリーレイスに変更してください!」
ブラッドリーレイスを5匹倒してみたが、倒される度に召喚されるため変わらず5匹のままなので、キリエはデッドリーレイスを倒すように指示を出す。
どっちを倒しても、同じようにキングレイスを召喚されてしまうため、取り巻きのレイスを倒したとしても、どうにもならない可能性が高い。
「キリエ! 落ち着け! 慌ててもいいことはないぞ! 流れは良くなくても、状況はこちらが有利だ! ゆっくりと試せることを試せ!」
シュウの声がバトルエリアに響く。
人造ゴーレムはキリエの指示に従って、ブラッドリーレイスやデッドリーレイスたちのターゲットをしっかりと維持したまま、キングレイスを攻撃している。
この光景をもし他の人が見たら、目を疑うだろう。
後ろからレイスたちに攻撃されているのに、ナニカされたのか? といわんばかりで、キングレイスへの攻撃が全く止むことがない。
もし、あれがシュウであっても、同じような攻撃をするのは躊躇するだろう。
普通の冒険者たちから見れば、あり得ない量の生命力と魔力量を持っていたとしても、あれだけレイスから攻撃を受ければ、さすがに危険である。
通常攻撃がドレインに属する攻撃なので、回避以外の選択肢が本来準備されていない。攻撃を受ければレイスが回復してしまい、こちらの動きがドンドン遅くなってしまうのだ。
Sランクの魔石で動いている人造ゴーレムは、無限に魔力を生み出す。人間や魔物であれば生命力が無くなれば死に、魔力が無くなれば気絶してしまうが、人造ゴーレムに生命力は存在せず金属の耐久力をもっており、もし魔力切れを起こしても魔力が魔核から生み出されればまた動き始める。
本当にレイスにとっては、天敵のような存在だろう。
キリエとアラクネタイプの人造ゴーレムは、キングレイスたちに群がっているブラッドリーレイスやデッドリーレイスたちを上手く避けているが、仲間である人造ゴーレムたちに被弾するのも気にすることなく、光属性や聖属性の魔法で攻撃をしている。
キリエは回復魔法中心で人造ゴーレムたちに効果のない魔法得意なのだが、聖属性のホーリーレイを使って、キングレイスに落とすように光の弾が無数に落ちてくる攻撃も得意なのだ。
妻たちにも得意不得意というのが存在しており、ライムたち魔法組は攻撃魔法が得意で回復や支援系はあまり得意ではない。それに対して、キリエたち回復組は支援や回復は得意だが、攻撃魔法は苦手である。
得意不得意というよりは慣れのような気もするが、攻撃魔法の効果が、魔法組>>>>それ以外>>>回復組といった感じで、明らかに威力が違ってくる。回復魔法となれば、この並びが逆さまになる。
魔力などが関わってきているのかとも思っていたが、ほぼ同じに調節しても効果が変わってくるので、かなりみんなで頭を悩ませている問題だ。
人造ゴーレムたちがキングレイスの体を穿つたびに、キングレイスが悲鳴を上げている。逃げようとして他のレイスたちを囮にしようとするが、アラクネタイプから飛んでくる魔法や無重力殺法とでもいうような、ハーピータイプの連続攻撃がキングレイスの動きを止めて、他の人造ゴーレムたちも追撃を仕掛けている。
レイスって体が欠けても動きが変わらないのね、とあまり関係ない感想を懐きながらキリエは戦っていた。
それにしてもタフだ。人造ゴーレムに攻撃され続けているのに……あれ? よく見てみると、キングレイスと他のレイスたちが薄い光で繋がっている。
キリエが慌てて鑑定を始めた。戦闘の様子を観察していると、あることに気付いた。
「人造ゴーレムの人型タイプは、ブラッドリーレイスやデッドリーレイスに攻撃を! 最低でも1体以上で戦いキングレイスから距離を離してください」
観察した結果分かったのは、キングレイスにブラッドリーレイスやデッドリーレイスの吸収して余った分の、生命力や魔力がその線を通じて送られていることが分かったのだ。
さすがに30分攻撃を続けているのに、あまりダメージを負った様子がなかった。それも気付く切っ掛けになった。
まさか、キングレイスにそんなに能力があるとは思っていなかったので、気付けなければレイスを倒すことは出来なかったかもしれない。
「キング系を優先的に倒す方法がとれない……本当にまさか過ぎる事実でしたね。キングレイスは、ハーピータイプが足止め、他の異形型は1匹ずつ撃破していくよ! まずは、そいつね」
狙うブラッドリーレイスに指を向け攻撃するように指示をする。
キングレイスからは吸収した余剰分が届くことなく、ブラッドリーレイスが1匹消滅した。
「次は……えっ!?」
キリエは自分の目を疑っていた。次のターゲットに狙いを定めようとしたところ、キングレイスの側にブラッドリーレイスが召喚されたのだ。しかもこの召喚、キングレイスの召喚ではない。シュウが行う召喚と同じような現れ方をしたのだ。
キリエは必死に頭を回転させる。おそらく、何かしらのギミックが存在しているだろう。
シュウや綾乃、バザールたちであれば、すぐに色々思いついたのであろうが、キリエではすぐに思いつくことができない。正確には、思いつくことができてもそれを精査するだけの経験がない為、どうしても時間がかかってしまう。
キリエからの指示が途切れたとしても、人造ゴーレムは最後の命令を自分たちで解釈して、ブラッドリーレイスに攻撃を集中させている。
倒される度に現れるブラッドリーレイス……もしダンジョンが生み出しているのであれば、無限に湧き続けるのではないか? キリエは、そう考えている。シュウであれば違う考え、例えばDPは無限にあるわけではないので、俺たちから吸収していたとしても限界は存在すると言っただろう。
それが分かったとしても、そのDPの限界が何処にあるか分からないので、キリエとシュウの考えには現状では差がないのだが、キリエは悪い方向に考えてしまう傾向があるので、無限に湧き続けるという状態がキリエを焦らせている。
そんな中でも攻撃の手を緩めないのは、妻たち……キリエは、戦闘をしっかり理解していると思う。
「ターゲットをデッドリーレイスに変更してください!」
ブラッドリーレイスを5匹倒してみたが、倒される度に召喚されるため変わらず5匹のままなので、キリエはデッドリーレイスを倒すように指示を出す。
どっちを倒しても、同じようにキングレイスを召喚されてしまうため、取り巻きのレイスを倒したとしても、どうにもならない可能性が高い。
「キリエ! 落ち着け! 慌ててもいいことはないぞ! 流れは良くなくても、状況はこちらが有利だ! ゆっくりと試せることを試せ!」
シュウの声がバトルエリアに響く。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
転生したら倉庫キャラ♀でした。
ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。
ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。
どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。
死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。
「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」
鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。
加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。
ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。
道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。
今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる