1,419 / 2,518
第1419話 船の墓地
しおりを挟む
俺たちは2日後、準備を整えて攻略を開始した。
何故急ピッチで準備が進められたかというと、1日でも早く攻略をしたいと俺がいったからだ。理由はいくつかあるが一番大きな理由はこれから50階、同じような船の墓場みたいな場所が続くからだ。
船について検討している時に判明したのだが、収納の鞄で収納できる船のサイズが、大体40フィート級が限界だと判明したのだ。
40フィートというと、全長約12メートルクラスである。屋形船のような形で30人程、寝泊まり可能な状態であれば15人程だろうか? 移動するためには2隻必要であり、寝泊まり可能にするのであれば3隻は必要となる。
なので移動は2隻、寝泊まりする為にもう1隻準備する形になった。
さすがに俺も40フィートクラスの船にクリエイトゴーレムをかけるには、魔力量が厳しかった。魔力回復ポーションを使い、魔力の枯渇を前提に船を整備している。
魔力の枯渇は、枯渇中に気分が悪くなるだけで体に影響はないと証明されている。なので俺は急ピッチで準備をするように我侭を通した。
魔力枯渇については、妻たちの中で魔法組のメンバーは、強く反対した。魔力枯渇による体調不良がどれほどきついものか知っているため、強く反対してきたのだ。
だけど、それは普通の人間に限って起こる現象である。俺は、普通の人間じゃないからな。ダンジョンマスターでチビ神に体を改造された、特殊な存在なので魔力枯渇時に起こる体調不良はたいして、きつくないのだ。
急ピッチで行われた準備は滞りなくすんだが、俺を心配するライムが何度もこう聞いてくる。
「シュウ様、本当に体調は大丈夫なのですか?」
と、魔力枯渇時の体調不良を知っているため、出発した後に聞いてくるのだ。目の前で体を動かしたり、目を合わせて俺が本当に体調不良でないと証明するために
「本当に問題ないぞ。俺はみんなと体のつくりが違うからな。知っているだろ? ダンジョンマスターで、チビ神に頼んで体を作り変えているからな。ライムたちみたいに、体調不良が強く出ないんだよ。そこまで信用できないって言うなら、ベッドで確認してみるか?」
夜のベッドの上で積極的なライムだが、明るい時間に言うと照れ屋なので、
「シュウ様のバカ! ショックウェーブ!」
と、こんな感じで照れ隠しで魔法を使ってくるのだ。本来ショックウェーブは、発動がはやいがそれほど強い魔法ではないが、魔力を注ぎ込めば上限なく威力が上がる。まぁ上限は上がるが幾何級数的に魔力消費も増えるため、牽制以外で使われることがほとんどない魔法だ。
そして俺は後発でありながら、ライムの魔法に合わせて同じ威力のショックウェーブを使用し、相殺する。
「いっただろ? 俺の体調は完璧だぜ。体調が悪ければさすがに、こんな芸当は出来ないだろ?」
何とか納得してもらえたようだ。
攻略を急いだ理由は、大きく分けて2つある。
1つ目は、船ではゆっくり休むためのスペースが確保しにくいからだ。強引にDPで2階建てに改造してスペースを広げているが、その所為で天井が低くなっているため圧迫感がある。夜営は可能な限り、沈没船の上でスペースのとれるところを探す予定だ。無理な時は船を使って休む。
2つ目の理由は、娘たちのプレッシャーだな。無垢な顔でキラキラ目をして「まだ?」って娘たちに毎日きかれたら、さすがにしんどいものがある。ミリーたちも説明してくれているのだが、よく理解できていないため毎日きいてくるのだ。
そんなこともあり、攻略を急いでいる。
「シリウス、潜ってなければやっぱり骨魚たちには攻撃されない感じか?」
イリアの腕に抱かれているシリウスが、顔を上下に振る。
やはり骨魚のアンデッドには、俺たち生者とでも呼ぶ存在を感知できるのかもしれない。水中に限っての話だが……あれかもな、サメが数キロメートル離れた血を嗅ぎつけるのと同じで、あいつらは俺たちから出ている生気でも感じてるのかもな。
「大変かもしれないけど、監視は続けてくれ。船は強化しているけど、レベル300を超える魔物の猛攻には耐えきれないからな。ここからの生命線になるから、それだけに集中してくれ」
体を使い〇を作ったシリウスを見て、俺は頭を撫でた。ついでにシリウスの一番好きな、牛肉のステーキを収納の腕輪から取りだし、口に近づけるとアグアグと食べ始めた。
「しばらくは、船の操船まかせるよ。俺は休憩しているから、例の地点に来たら呼んでもらっていいか?」
「了解しました。それまでの船の操船はお任せください」
アリスにそういわれて、操縦室から追い出されるように外へ出た。
「それにしても、不気味だよな。船の墓場の所為か、時間は10時前なのに薄暗いんだよな。これは、ダンジョンによる演出かな?」
休憩エリアに向かう間に通った船の外で、そんなことを呟いていた。
この階に初めて偵察に来た時は夜だった。それなのに、今と同じような光景だったことを考えると、今までのフィールドタイプとは違うものだろう。朝昼がない……あっ、これってどこかで休憩をとるより、休みなく移動する方がいいか?
そう考えてみたものの、階段の移動は自分で歩かないと行かないので、寝ているメンバーを起こす事になる。しかも、タイミングが悪ければ2回~3回と起きなければならない可能性があるんだよな。
そう考えると負担が大きくなりすぎるメンバーが出てくるので、24時間移動の件は考えない事にした。
予定では、53階に到着して、おやつの時間あたりで俺の魔法を使うタイミングが来るはずだ。本当はそこまでゆっくりとしているのではなく、操船をするつもりだったのだがさすがに休めと怒られてしまった。
なので、何もなければ船内でゆっくりと本を読んだり、テレビを見たりしていろと言われた。
娘たちとも話せるようになっていたので、俺が確認しなければならない書類を確認した後に、娘たちにリモートで勉強を教える事になった。算数に関しては、家族の中で一番得意なのだ。
だけど、まだ娘たちに算数は早くないか? と思ったが、娘たちは頭がいいみたいで早めに教える事になったのだ。娘たちも、無理のない程度に勉強したいと言っているので、手伝う事にしたのだ。
何故急ピッチで準備が進められたかというと、1日でも早く攻略をしたいと俺がいったからだ。理由はいくつかあるが一番大きな理由はこれから50階、同じような船の墓場みたいな場所が続くからだ。
船について検討している時に判明したのだが、収納の鞄で収納できる船のサイズが、大体40フィート級が限界だと判明したのだ。
40フィートというと、全長約12メートルクラスである。屋形船のような形で30人程、寝泊まり可能な状態であれば15人程だろうか? 移動するためには2隻必要であり、寝泊まり可能にするのであれば3隻は必要となる。
なので移動は2隻、寝泊まりする為にもう1隻準備する形になった。
さすがに俺も40フィートクラスの船にクリエイトゴーレムをかけるには、魔力量が厳しかった。魔力回復ポーションを使い、魔力の枯渇を前提に船を整備している。
魔力の枯渇は、枯渇中に気分が悪くなるだけで体に影響はないと証明されている。なので俺は急ピッチで準備をするように我侭を通した。
魔力枯渇については、妻たちの中で魔法組のメンバーは、強く反対した。魔力枯渇による体調不良がどれほどきついものか知っているため、強く反対してきたのだ。
だけど、それは普通の人間に限って起こる現象である。俺は、普通の人間じゃないからな。ダンジョンマスターでチビ神に体を改造された、特殊な存在なので魔力枯渇時に起こる体調不良はたいして、きつくないのだ。
急ピッチで行われた準備は滞りなくすんだが、俺を心配するライムが何度もこう聞いてくる。
「シュウ様、本当に体調は大丈夫なのですか?」
と、魔力枯渇時の体調不良を知っているため、出発した後に聞いてくるのだ。目の前で体を動かしたり、目を合わせて俺が本当に体調不良でないと証明するために
「本当に問題ないぞ。俺はみんなと体のつくりが違うからな。知っているだろ? ダンジョンマスターで、チビ神に頼んで体を作り変えているからな。ライムたちみたいに、体調不良が強く出ないんだよ。そこまで信用できないって言うなら、ベッドで確認してみるか?」
夜のベッドの上で積極的なライムだが、明るい時間に言うと照れ屋なので、
「シュウ様のバカ! ショックウェーブ!」
と、こんな感じで照れ隠しで魔法を使ってくるのだ。本来ショックウェーブは、発動がはやいがそれほど強い魔法ではないが、魔力を注ぎ込めば上限なく威力が上がる。まぁ上限は上がるが幾何級数的に魔力消費も増えるため、牽制以外で使われることがほとんどない魔法だ。
そして俺は後発でありながら、ライムの魔法に合わせて同じ威力のショックウェーブを使用し、相殺する。
「いっただろ? 俺の体調は完璧だぜ。体調が悪ければさすがに、こんな芸当は出来ないだろ?」
何とか納得してもらえたようだ。
攻略を急いだ理由は、大きく分けて2つある。
1つ目は、船ではゆっくり休むためのスペースが確保しにくいからだ。強引にDPで2階建てに改造してスペースを広げているが、その所為で天井が低くなっているため圧迫感がある。夜営は可能な限り、沈没船の上でスペースのとれるところを探す予定だ。無理な時は船を使って休む。
2つ目の理由は、娘たちのプレッシャーだな。無垢な顔でキラキラ目をして「まだ?」って娘たちに毎日きかれたら、さすがにしんどいものがある。ミリーたちも説明してくれているのだが、よく理解できていないため毎日きいてくるのだ。
そんなこともあり、攻略を急いでいる。
「シリウス、潜ってなければやっぱり骨魚たちには攻撃されない感じか?」
イリアの腕に抱かれているシリウスが、顔を上下に振る。
やはり骨魚のアンデッドには、俺たち生者とでも呼ぶ存在を感知できるのかもしれない。水中に限っての話だが……あれかもな、サメが数キロメートル離れた血を嗅ぎつけるのと同じで、あいつらは俺たちから出ている生気でも感じてるのかもな。
「大変かもしれないけど、監視は続けてくれ。船は強化しているけど、レベル300を超える魔物の猛攻には耐えきれないからな。ここからの生命線になるから、それだけに集中してくれ」
体を使い〇を作ったシリウスを見て、俺は頭を撫でた。ついでにシリウスの一番好きな、牛肉のステーキを収納の腕輪から取りだし、口に近づけるとアグアグと食べ始めた。
「しばらくは、船の操船まかせるよ。俺は休憩しているから、例の地点に来たら呼んでもらっていいか?」
「了解しました。それまでの船の操船はお任せください」
アリスにそういわれて、操縦室から追い出されるように外へ出た。
「それにしても、不気味だよな。船の墓場の所為か、時間は10時前なのに薄暗いんだよな。これは、ダンジョンによる演出かな?」
休憩エリアに向かう間に通った船の外で、そんなことを呟いていた。
この階に初めて偵察に来た時は夜だった。それなのに、今と同じような光景だったことを考えると、今までのフィールドタイプとは違うものだろう。朝昼がない……あっ、これってどこかで休憩をとるより、休みなく移動する方がいいか?
そう考えてみたものの、階段の移動は自分で歩かないと行かないので、寝ているメンバーを起こす事になる。しかも、タイミングが悪ければ2回~3回と起きなければならない可能性があるんだよな。
そう考えると負担が大きくなりすぎるメンバーが出てくるので、24時間移動の件は考えない事にした。
予定では、53階に到着して、おやつの時間あたりで俺の魔法を使うタイミングが来るはずだ。本当はそこまでゆっくりとしているのではなく、操船をするつもりだったのだがさすがに休めと怒られてしまった。
なので、何もなければ船内でゆっくりと本を読んだり、テレビを見たりしていろと言われた。
娘たちとも話せるようになっていたので、俺が確認しなければならない書類を確認した後に、娘たちにリモートで勉強を教える事になった。算数に関しては、家族の中で一番得意なのだ。
だけど、まだ娘たちに算数は早くないか? と思ったが、娘たちは頭がいいみたいで早めに教える事になったのだ。娘たちも、無理のない程度に勉強したいと言っているので、手伝う事にしたのだ。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる