1,372 / 2,518
第1372話 結局
しおりを挟む
「ご主人様、先日話していた解体なのですが、本日行うそうなのですが見学いたしますか?」
「今日やるのか。何時頃から始まる予定?」
「多少時間に余裕はあるので、ご主人様が来るのであればその時間に合わせられます」
「そっか。じゃぁ、一旦庁舎に行くから……多分1時間もあれば終わるはず。往復の時間も考えれば、余裕をもって2時間かな?」
「了解しました。ご主人様が見なくてもいい下処理は、来る前に終わらせておきます。言葉による説明だけでよろしいですか?」
「そこら辺は任せるよ。できれば映像に残してもらっていいかな? 見るかは分からないけどって解体はダンジョン農園の中?」
「そうですよ。家畜エリアの端に解体所があるのでそこで行っています」
「なら、ダンジョン機能で見る事出来るな。スプリガンの皆にお願いしておこう」
話がまとまり、ブラウニーは急ぎ気味でダンジョン農園に向かった。
その姿を見送り俺も庁舎へ向かう。
いつもの執務室へ入り、今日の報告書の確認をする。ラッキー、いつもより少ないな。
10枚ほどしかない報告書を読んで、稟議に対しては特に気になる点はないので許可を出しておく。トラブルの仲裁の件で報告書が上がってくるのは珍しいな。
ふむふむ、俺まで報告書が上がってきた理由は、トラブルの被害者になった人たちの歳か。ディストピアからゴーストタウンに派遣している冒険者だ。
他所から来たそれなりの実力のある冒険者グループが、この子たちに目をつけて自分たちの下働きをさせてやると強引に迫ったそうだ。もちろん断ったのだが、しつこく勧誘され終いには実力行使に出て、決闘のような騒ぎになってしまったのだとか。
結構ギリギリで勝利したのだが、そのトラブルを聞いて駆け付けた衛兵に他所から来た冒険者たちが、突然攻撃をされたとかウソの話をし始めて、Bランクという冒険者として名声がそれなりにあるのが問題だったみたいだ。
最終的には冒険者ギルドに問い合わせて、ディストピアから派遣された冒険者だということが分かり、監視室にも連絡が入りその時の映像が到着して、他所から来た冒険者たちのウソがばれ奴隷落ちとなった。
下手にランクの高い冒険者だと、相手の冒険者が被害者であっても冤罪で、罪をかぶせられるケースがあるということは知っていたが、こんな感じで将来有望な冒険者が潰されるのかと思うと……なんかむかついてきた。
早急に対策が必要だと思い、駆け出しから初級から中級前半までの冒険者たちへの支援策を、打ち立てるようにグリエルにお願いした。俺からの命令で各領主代理に協力をさせ、冒険者ギルドにも協力をさせるように指示を出した。
お金の面に関しては、ゼニスに話をつけてかかる費用は全額負担できるように手配をしておいた。
領主代行や領主館で働いている人間に不正をする人間はいないのだが、冒険者ギルドは別の組織になるので普通に不正する輩がいる。注意するように促しておく。
これで今日の仕事が終わったので、支度をしてさっさと帰る事にした。
慌てて帰る俺の姿をグリエルが見て首を傾げていたが、邪魔をするわけではないので気にすることを止めて自分の仕事に戻っていった。
俺は家に戻り玄関で会ったシェリル、イリア、ネルの3人にダンジョン農園の家畜エリアに行ってくると話したら、3人も興味を持ち自分たちも行きたいという話になってしまった。
一応ブラウニーに確認すると何人でこられても問題はないが、しっかりと衛生管理の面に気をつけるためにこちらの指示に従ってほしいとのこと。それは当然のことなので、行きたいメンバーが全員集まる事になった。
年長組は3人が妊娠しているので、妊娠していない5人が2~3人が近くについているので、残っているメンバーはいるのだが3人は直接行くことは禁止されたため、監視機能を使ってリアルタイムで見るそうだ。
年少組は今日はちょうどみんなが残っており、全員参加が決まった。反対に年中組は全員が自分の持ち場に行っており、残っているメンバーはいなかった。
母親組は娘たちの勉強を見ていたが、4人が興味を示してしまい俺が行くなら絶対についていくと、ミーシャ・スミレ・ブルムはコアラのように俺の腕や足に抱き着いている。ウルもこっそりと俺の服の袖をつかんでいた。
まだ勉強の時間が残っていたが、こうなってしまった4人はシルキーたちでも、正当な理由がなければ覆すことが出来ないので、母親たちは折れて今日の勉強は終わった。だけどミーシャたち3人は、誰かに抱っこをされているという条件が付けくわえられ、ウルは誰かと手を繋ぐことが条件となった。
子どもは分かっていても突拍子もない行動をとるので、誰かの近くに確実にいることがブラウニーたちからお願いされたことだ。
衛生的にも危険があるかもしれないので、時間の止まる収納アイテムがあっても、内臓系は特に気をつける必要があるのだ。
「到着したわけだが、ミーシャたちはお母さんたちに抱っこをしてもらうこと、ウルは基本的に誰かの近くにいて手を繋いでもらうこと、いいね?」
解体所に入る前に滅菌室に入って全身を殺菌する。部屋から出る前に手先を消毒する。
「ようこそ解体所へ。本日は牛の解体を行っていきますので、こちらの指示に従って行動をお願いします。では初めに、内臓系の処理から見ていただこうと思います」
そう言って連れてこられたのは、ブラウニーの体よりでかいレバーが鎮座していた。これは衝撃的な大きさだ。
「一般的な牛のは私たちより大きくありませんが、魔物と掛け合わせた牛ですのでこのサイズになっています」
それもそうか。肉質のおかげでここで食べられる肉は全部、魔物と掛け合わせたお肉が提供されている。
使う包丁を見てビックリした。以前カエデが鋼で打った、刃が1メートル程もある包丁を、俺がクリエイトゴーレムで自動修復を付与した物だったのだ。
他にも7種類ほどの包丁に同じ処理をしたっけな?
「この包丁は自動修復がかかっていますが、使った後には研いでいます。そちらの方が何故か切れ味がいいので今ではそうしています。ではまず、レバーの処理から見ていただきます」
そう言って小さなブラウニーたちが自分の身の丈より大きな包丁を扱い始めた。
「今日やるのか。何時頃から始まる予定?」
「多少時間に余裕はあるので、ご主人様が来るのであればその時間に合わせられます」
「そっか。じゃぁ、一旦庁舎に行くから……多分1時間もあれば終わるはず。往復の時間も考えれば、余裕をもって2時間かな?」
「了解しました。ご主人様が見なくてもいい下処理は、来る前に終わらせておきます。言葉による説明だけでよろしいですか?」
「そこら辺は任せるよ。できれば映像に残してもらっていいかな? 見るかは分からないけどって解体はダンジョン農園の中?」
「そうですよ。家畜エリアの端に解体所があるのでそこで行っています」
「なら、ダンジョン機能で見る事出来るな。スプリガンの皆にお願いしておこう」
話がまとまり、ブラウニーは急ぎ気味でダンジョン農園に向かった。
その姿を見送り俺も庁舎へ向かう。
いつもの執務室へ入り、今日の報告書の確認をする。ラッキー、いつもより少ないな。
10枚ほどしかない報告書を読んで、稟議に対しては特に気になる点はないので許可を出しておく。トラブルの仲裁の件で報告書が上がってくるのは珍しいな。
ふむふむ、俺まで報告書が上がってきた理由は、トラブルの被害者になった人たちの歳か。ディストピアからゴーストタウンに派遣している冒険者だ。
他所から来たそれなりの実力のある冒険者グループが、この子たちに目をつけて自分たちの下働きをさせてやると強引に迫ったそうだ。もちろん断ったのだが、しつこく勧誘され終いには実力行使に出て、決闘のような騒ぎになってしまったのだとか。
結構ギリギリで勝利したのだが、そのトラブルを聞いて駆け付けた衛兵に他所から来た冒険者たちが、突然攻撃をされたとかウソの話をし始めて、Bランクという冒険者として名声がそれなりにあるのが問題だったみたいだ。
最終的には冒険者ギルドに問い合わせて、ディストピアから派遣された冒険者だということが分かり、監視室にも連絡が入りその時の映像が到着して、他所から来た冒険者たちのウソがばれ奴隷落ちとなった。
下手にランクの高い冒険者だと、相手の冒険者が被害者であっても冤罪で、罪をかぶせられるケースがあるということは知っていたが、こんな感じで将来有望な冒険者が潰されるのかと思うと……なんかむかついてきた。
早急に対策が必要だと思い、駆け出しから初級から中級前半までの冒険者たちへの支援策を、打ち立てるようにグリエルにお願いした。俺からの命令で各領主代理に協力をさせ、冒険者ギルドにも協力をさせるように指示を出した。
お金の面に関しては、ゼニスに話をつけてかかる費用は全額負担できるように手配をしておいた。
領主代行や領主館で働いている人間に不正をする人間はいないのだが、冒険者ギルドは別の組織になるので普通に不正する輩がいる。注意するように促しておく。
これで今日の仕事が終わったので、支度をしてさっさと帰る事にした。
慌てて帰る俺の姿をグリエルが見て首を傾げていたが、邪魔をするわけではないので気にすることを止めて自分の仕事に戻っていった。
俺は家に戻り玄関で会ったシェリル、イリア、ネルの3人にダンジョン農園の家畜エリアに行ってくると話したら、3人も興味を持ち自分たちも行きたいという話になってしまった。
一応ブラウニーに確認すると何人でこられても問題はないが、しっかりと衛生管理の面に気をつけるためにこちらの指示に従ってほしいとのこと。それは当然のことなので、行きたいメンバーが全員集まる事になった。
年長組は3人が妊娠しているので、妊娠していない5人が2~3人が近くについているので、残っているメンバーはいるのだが3人は直接行くことは禁止されたため、監視機能を使ってリアルタイムで見るそうだ。
年少組は今日はちょうどみんなが残っており、全員参加が決まった。反対に年中組は全員が自分の持ち場に行っており、残っているメンバーはいなかった。
母親組は娘たちの勉強を見ていたが、4人が興味を示してしまい俺が行くなら絶対についていくと、ミーシャ・スミレ・ブルムはコアラのように俺の腕や足に抱き着いている。ウルもこっそりと俺の服の袖をつかんでいた。
まだ勉強の時間が残っていたが、こうなってしまった4人はシルキーたちでも、正当な理由がなければ覆すことが出来ないので、母親たちは折れて今日の勉強は終わった。だけどミーシャたち3人は、誰かに抱っこをされているという条件が付けくわえられ、ウルは誰かと手を繋ぐことが条件となった。
子どもは分かっていても突拍子もない行動をとるので、誰かの近くに確実にいることがブラウニーたちからお願いされたことだ。
衛生的にも危険があるかもしれないので、時間の止まる収納アイテムがあっても、内臓系は特に気をつける必要があるのだ。
「到着したわけだが、ミーシャたちはお母さんたちに抱っこをしてもらうこと、ウルは基本的に誰かの近くにいて手を繋いでもらうこと、いいね?」
解体所に入る前に滅菌室に入って全身を殺菌する。部屋から出る前に手先を消毒する。
「ようこそ解体所へ。本日は牛の解体を行っていきますので、こちらの指示に従って行動をお願いします。では初めに、内臓系の処理から見ていただこうと思います」
そう言って連れてこられたのは、ブラウニーの体よりでかいレバーが鎮座していた。これは衝撃的な大きさだ。
「一般的な牛のは私たちより大きくありませんが、魔物と掛け合わせた牛ですのでこのサイズになっています」
それもそうか。肉質のおかげでここで食べられる肉は全部、魔物と掛け合わせたお肉が提供されている。
使う包丁を見てビックリした。以前カエデが鋼で打った、刃が1メートル程もある包丁を、俺がクリエイトゴーレムで自動修復を付与した物だったのだ。
他にも7種類ほどの包丁に同じ処理をしたっけな?
「この包丁は自動修復がかかっていますが、使った後には研いでいます。そちらの方が何故か切れ味がいいので今ではそうしています。ではまず、レバーの処理から見ていただきます」
そう言って小さなブラウニーたちが自分の身の丈より大きな包丁を扱い始めた。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
転生したら倉庫キャラ♀でした。
ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。
ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。
どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。
死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。
「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」
鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。
加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。
ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。
道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。
今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる