ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,360 / 2,518

第1360話 お腹が膨らんだ

しおりを挟む
 妊娠7ヶ月目か……最終月経からだいたい40週間で生まれるっていうから、後4ヶ月ってところか。つい最近のことのようで、大分時間が経っているような気もする。

 この世界は一月ひとつきが28日と決まっていているので分かりやすいな。

 小学校の保健体育だか道徳の授業で、妊娠の期間みたいな話があって、十月十日とつきとおかって聞いて数字が合わなくて悩んだんだよね。

 十月十日とつきとおかっていうと……分かりにくいよな。初めて聞いた時、10ヶ月と10日のことと勘違いしてたもんな。その計算だと310日、だいたい44週になるんだよね。1ヶ月も長いじゃん! って普通に思った事がある。

 十月十日とつきとおかっていうと、9ヶ月と10日って意味なんだよね。初めからそう言ってくれ! と子供ながらに思った事がある。日本語って難しい。

 これと一緒で○○ヶ月目っていうと、○○に入っている数字をカウントしないんだよね。だから今回の7ヶ月目っていうと、6ヶ月が過ぎて7ヶ月に突入したってことなんだよね。自分で言っていても混乱しそうになる。

 何でこんなこと考えているんだ? 俺ってよく考えが変なところに飛ぶよな。それがダメっていうわけじゃないけど、時々どうなんだろうか? と自問自答してしまうことも少なくない。

 ふと、部屋が静かになったことに気がついた。

 そうすると、ピーチ・ライラ・マリーの3人のところに行っていたミーシャ・スミレ・ブルムの3人は、膨らんだお腹を抱くようにして眠っていた。妊娠しているのにもたれかかられたら苦しくないか、と思ったが問題ないからとジェスチャーが返って来た。

 俺の隣にいるのはライラだ。そのライラはいつの間にか隣に来ていたウルの相手をしている。ウサミミとネコミミ、獣人同士の為かウルが近付きやすい1人だろうって半分くらいは獣人だ。ケモミミカワイイよ!

 人間の奥さんが可愛くないってわけじゃないからな!

 ウルはライラの膨らんだお腹を見ておっかなびっくりだ。ミーシャたちもそうだが、お腹の中に命が宿っているということは分かっているようだ。ミーシャたちは乱暴にするわけではないが、ウルのようにビビりながら撫でていたわけではない。

 この差が何なのかは俺には分からないが、より慎重になっているのは間違いないだろう。

「ウル、そんなに腰が引けてるとお腹の中の赤ちゃんに笑われちゃうぞ。乱暴にしなければ、撫でる位なら問題ないよ。な、ライラ」

 俺の意図を理解してくれたライラは、俺のセリフに同意して割れ物に触るような手を掴んでお腹へ誘導した。自分の負担にならないようにウルの手をお腹に当てて撫でさせていた。

「ライラお母さん、赤ちゃんが動くのが分かるのっていつ頃なの?」

「ウーちゃんに分かるようになるのはまだ先かな? 私はお腹の中にいるから、動いたって分かるけど、お腹を触って分かるほどじゃないかな?」

「そうなんだ……残念」

「感じられるようになったら教えるから、楽しみにしていてね」

 ウルは、そのセリフに「うん」と笑顔で頷いていた。

 それにしても、俺の奥さんのことをお母さんって呼んでるのか。少しは距離が縮まってきているんだろうな。

 昼食を食べた後に寝ずに俺のことを待っていたミーシャたちは、さすがにしばらく起きないだろう。このまま寝かせておいてやりたいが、ピーチたち3人のことを考えるとこのままというわけにはいかない。起きるか分からないが、部屋に移動させるべきだろう。

 ウルも少し眠そうだな。一緒に寝てる事が多いからしかたがないことかな。さっき泣いたし疲れていると思う。泣くのって結構体力使うからな。

 ちょうどいいタイミングで母親3人がリビングに到着した。

「いいところに、このままだとピーチたちが疲れるから子供部屋に運ぶのを手伝ってくれないか?」

「やっぱりこうなってたか。子どもたちは私たちが移動させておくよ。シュウはウルのことをお願い」

 リンドに言われてウルの方を見ると、ほとんど眠っていた。名前を呼ばれた事に気づいたが、言葉にならない声で何か言っている感じだ。

「ウルも眠そうだから一緒に移動させないとな」

 ウルに負担にならないように抱き上げる。

「3人とも、無理はしないでくれよ。適度な運動は良いみたいだけど、無理はダメだからな!」

 3人とも苦笑して「ご主人様も無理しないでくださいね。それが一番心臓に悪いですから……」と返されてしまった。確かに心配事も良くないって言うけど、無理なんてしてないぞ!

 ミーシャたち3人が寝てしまって運んだことはそれなりにあるけど、ウルは初めてだった。その所為か、ミーシャたちとの差を感じる。

 体の大きさが違うからだろうな。説明しにくいけど、そういうことだ。

 3人の部屋の位置は変わっていない。隣に見学室があるのも、そこに従魔が集まることも変わっていない。だけど、内装は大きく変わっている。

 3人が成長して、ウルも一緒に過ごすようになったので1人分多くなった。1人に1つずつベッドを用意している。あまり使われていないのが寂しい。その理由は、4人が同じベッドで仲良く眠るので、使用頻度が下がってしまうのだ。

 あまり大きくないベッドだったため、ミーシャたちにおねだりをされて、大人が4人寝ても平気なサイズのベッドを用意してしまった。さすがに大きいと怒られたが、ミーシャたちが気に入ったみたいで回収できなくなった。

 それだけ大きなベッドなので、ミリーたちもよく一緒にベッドで寝ている。人の事言えないじゃないか! と思うが、出した物とある物を利用するとでは意味合いが違うか。

 4人をベッドに寝かせると、起きているのか? と思ってしまうほど自然に4人が近づいていき、4人がぴったりとくっつき眠り始めた。

 気持ちよさそうに寝るな……見ていると俺も眠くなる。

 メギドに行っていた間もしっかりと休息は取っていたが、自分の家とは違うのだろう。疲れもたまっていたし、一緒に寝る事にした。

 移動している魔導列車の中でシャワーを浴びているので臭くない! ミリーたちからも許可が出たので、娘たちのベッドで一緒に寝る事にした。

 どうせ大きくなったら一緒に寝るのも、抱き着くこともなくなるんだ。今くらいは見逃してくれ!
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...