ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,353 / 2,518

第1353話 新たなる問題

しおりを挟む
 細々した内容を話した隊長役をやっている……やらされている? インペリアルガードの人が、護送する地上組が来るまで、しばらく牢屋を貸してほしいとお願いされた。

 もちろんタダではない。お願いするのだからそれ相応の対価を示してくれた。

 すべての管理を任せられたが、その対価としてそれなりの金額を提示された。本来であれば、管理をしている兵士で分けるべきなのだが、隊長を含め一般の兵士まで戦争に参加した兵士で分けるべきだ! と主張されたので、金額をグリエルに伝えて終了後に報酬として渡すように伝えておいた。

 ここが通常の状態に戻るまでまだまだ時間がかかるだろう。それは、時間が解決する問題なので考えるだけ無駄なのだが、普通の状態に戻った時にまだ地上組が来ていなかった場合は、増員が必要となりそうだ。

 移動時間だけを考えると、後3週間はかかると思われる。トラブルがあれば1ヶ月は余裕でかかるだろう。敵軍がひいてしまえばここを閉めておく必要もないので、開く事になるだろう。

 そう考えると、屑共を管理しながら関所の仕事をしなければならない。前の状態でも大変で各関所から増員を求められているが、兵士の数が圧倒的に足りていないメギドとバレルでは、かなり無理のある陳情だ。

 戦争が終わったら、ディストピアの兵士の一部に少し残ってもらって、一部業務委託をするべきかな? そこら辺はレイリーと決める必要があるな。

 連絡をとってみると、今は暇なようでレイリーがすぐに答えてくれた。

「……という事情なんだけど、戦争が終わったら部隊のいくつかをここに残せないかな?」

『そういう事情ですか。ディストピアの兵士は、基本的に訓練以外する事がないので問題ないです。一部と言わず全部隊を残しても問題ないと思われます』

 レイリーの言う通り、ディストピアでは犯罪もトラブルもあまり起きない。隣街のゴーストタウンと比べるとその差は、100分の1も起きていない。

 ゴーストタウンは、他の街に比べ犯罪やトラブルが起きやすいとはいえ、最近は犯罪やトラブルが減少傾向にある。

 その理由の1つとして、身分に関係なく犯罪を起こせば罰せられ、他の街で特に多い女性の被害……強姦等に対しては、ホモークエンペラーを中心とした正義の断罪者、オリバーたちが対応しているのが大きいだろう。

 ゴーストタウンでの強姦を捕まえる確率は、ほぼ100パーセントだ。いや、他の犯罪に関してもほぼ100パーセントである。ほぼと言っているのは、捕まえる前に加害者が死亡しているケースがあるためだ。解決と言っていいのか微妙だが、100パーセントの確率で解決はしている。

 その確率を支えているのは、ゴーストタウン自体がダンジョンであり、監視機能で過去へ遡り映像を出す事が出来るためだ。この監視機能は便利で、映し出された人間の情報も取得が可能なのだ。だから、検索をかければ一発でどこにいるか判明する。

 他の街に行っていたとしても、その街に許可を得て捕えているので、この街で犯した犯罪からは逃げられない。

 そう言えば、中には多額の賄賂を要求してきたり、領主の関係者だったりする事もある。そういった時は、暗部が動き秘密裏に連れ出される事となる。賄賂を要求した領主にはキツイお灸がすえられる。領主館にあるお金が半分消えるというお灸だ。

「さすがに全員が残ると、ここがパンクしてしまうし、全員を収容できる場所もないぞ」

『ハッハッハ、冗談ですぞ。兵士の一部を残す事は特に問題ございません。こちらで残る人員は決めてもよろしいですか? どの部隊が行っても変わらないですが、最適な部隊へ任せられるようにしておきます』

 レイリーの許可は下りたので、俺の事後処理はこれで終了したも同然かな? レイリーから派遣された兵士に色々引き継がないといけないか? それは関所の兵士に任せても問題ないか? どうせ派遣される兵士が来るまでは残っているだろうから、来た時に考えればいいか。

 それより俺には、1つ考えなければならない案件が持ち上がっている。しかも優先度は最上級と言っても過言ではない。

 それは、飛行戦力に対する各街の備えだ。

 帝国……インペリアルガードがグリフォンを使役している。これに備えた対飛行戦力を考えなければいけない。

 数は限られるが、こいつらが本気で俺たちの街を攻撃してきたら……対応できない。帝国内での強さは最上位だ。そんな奴らが攻めてきたら、街の兵士では太刀打ちできない。

 最終的には取り返す事は可能だろうが、それまでの被害を考えると捨て置けない問題だ。

 さて……どうしたものだろうか? グリフォンのLvは上が120で、下が97か。

 強さ的にはCランク程度のLvしかないのだが、飛んでいるというアドバンテージを考えれば、Bランク位の強さを持っていると思っていいだろう。

 それにBランク上位~Sランクに相当するインペリアルガードが騎乗するのだ。攻められたら、無視できない被害がでるだろう。

 グリフォンの機動性を考えれば、俺たちが駆けつける前に確実に襲撃されてしまうだろう。現状、帝国側の離れた街は、メギドとバレルだけだが、見過ごせる物ではないので、対応を考える事にした。

 ロールプレイングゲームでよく言われる、レベルを上げて物理で殴る方法も取れなくないが、その方法は取りたくない。ならば、武器に頼るしかないか。

 そうなれば相談する相手は決まっている。

「……と言うわけで、飛行戦力に対応するための武器の相談なんだけど、何かいい方法はないかな?」

『武器の事は分かるけど、シュウって今戦争に参加してるんじゃなかったっけ? そんな事考えている暇があるの?』

 綾乃のセリフにバザールが「そうでござる! そうでござる!」とか言っているが、もうすでに戦争は終結へ向かって進んでいる事を話す。

『はぁ? もう終わったの? 確か昨日とか今日から始まったんじゃないの? 今日始まってもう終わったのね……相変わらずおかしい戦果ね。そのおかげで帝国の飛行戦力が分かったと……でも、飛び道具を考えるとクロスボウやバリスタしかないんじゃない?』

『そうでござるね。魔法を覚えてとなると、レベルを上げて物理で殴る方が楽でござる。誰が持っても当てれば威力は同じ、クロスボウやバリスタがいいと思うでござる』

 やっぱりそう言う結論になっちゃうか。どうするべきだろうか?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...