ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1331話 認識不足

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 空間投影型スクリーンに映し出された資料を見る。

「見てもらって分かるように、各街に花街を作っています。営業に関しては許可制ですので、準備したエリアに移動できないのであれば、許可取り消しと、少し強引に話を進めて花街を作っています」

 移転費用に関してはって思ったけど、そこら辺はグリエルたちが問題なく対応していた。すべて無償で移動できるようにしていたのだ。しかも、住み込みの人も多いので寮もしっかりと併設されている建物を街で準備したのだとか。

「花街を作ったのには理由がありまして、ゴーストタウンを作る時にも懸念していた、犯罪が起こりやすい場所でもあるので、まとめる事によって犯罪を取り締まる事も楽になり件数も少なくなっています」

 どうやら花街はすでにあり、そう言うエリアなので住宅はほとんどない。ゴーストタウン以外の街では、宿屋が多くなっているのだとか。冒険者や商人もそう言う所には行くので、近いと便利なんだってさ。

「余談ですが、花街の兵士の詰め所は人気の職場になっていますね。結婚相手に人気の衛兵、女性の多い花街、安全のために頑張っている衛兵……出会いは多く恋に落ちる人が多いそうですね。そこに配属されるためには問題を起こしてはいけないし、腕っぷしも必要になるので訓練にも力が入るみたいですよ」

 おっと、そういう理由もあるのね。助けてくれる衛兵、しかも結婚する相手として人気、そりゃモテるわな。

「あっと、花街といっていますが、エッチなお店だけではないですからね。普通の食事処もありますよ。大体は看板娘がいますけど、そういったサービスがない所も多いです」

 ふ~ん、よくわからんな。エッチな所だけじゃないなら、今度妻たちの誰かを連れて様子を見に行ってみようかな?

「街にとっても益になる事でしたので、他の街でも花街を作ったんです。こういった流れもあり、ほとんどの街では花街の近くに売買エリアを作ってみてはどうかと思うのです」

「でもさ、ゴーストタウンの違って建物があって、人が住んでいる場所もあるんでしょ?」

「そうですね。花街の近くは安全な方ですが、立地条件的に安く家が借りられるので、比較的所得の低い方が済んでいます。ですが、そういった人たちは、条件がいい所へ住めるのであれば移動してくれるので、特に問題にはなりません」

 安全とはいっても、粗暴な冒険者が多く危険にあった場合の被害が大きい。それこそ一般人より強いので、一般人同士なら多少の怪我で済むものも、重傷を負うケースも少なくない。そう言う事もあって、安く借りられたりするのだろう。

 そう言った人たちなら、条件が良くなるなら喜んで他に行く人は多いだろうな。それでも残るっていう人はいそうだけど、大丈夫なんだろうか?

「とりあえず理解した! もうしばらく様子を見て、効果がありそうだったら花街の近くに売買エリアを作ろう。作ったとしても、近くにある既存の店に大きく影響を与えるのは無しだからな!」

 このまま雑談に入り会議が終了する。

 街に大きな影響が出るから、みんなで集まったんだな。呼び出された時は何事かと思ったけど、大きな問題とかじゃなくてよかった。

 でも問題は無かったけど、読まなければならない報告書が増えたことにげんなりしてしまうな。

 これでも少なくしているとは思うんだけど、多い日には100枚以上の報告書があったりするんだよね。8時間働いたとして、全部をよむためには5分弱で1枚ペースでないと読みきれない。

 街の状況も把握して読まないといけない報告書もあるので、理解するために他の資料を読む手間もかかる。こんなに多い日は1日で読みきれないで終わっちゃうよね。

 読んでほしいものには何かマークをしてくれるみたいなので、それを中心に読もう。後、報告書の数が多い時は、タイトルを見て気を引いたのを読んでいこうかな。

 っと、タブレットを見ると、既に報告書が分類分けされていた。あの会議が終わってからまだ2時間しか経っていないのに、先月分までの報告書が分類されていたのだ。

 共有機能を使って整理したのかな? おっと、マークのついている報告書を発見!

 なになに?

 収支報告書か? これは、ゴーストタウンの奴だな。

 えっ!? 金額おかしくねえか? インフラとか補償とかにかなりの金を使っているのに、半分程が使いきれていない? 職員の給料に関しては、2割ちょっとだった。

 会社で言えば利益が5割程で、2割ちょっとの人件費に3割弱の必要経費? 何ていうのか分からないけど、もっと割合を増やした方がいいんじゃえねえか? さすがに暴利をむさぼっている悪徳領主っぽいぞこれ。

 気になったので早速連絡をしてみる。

『シュウ様、何を見ているんですか? 割合だけじゃなくて、しっかりとその金額も見て下さいよ。ゴーストタウンの50パーセントは、王国の街の120パーセント位の数字なんですよ。

 これ以上給料を上げると他の職種と釣り合わなくなってしまうんです。他の領主なら、もっと使えるお金を増やせとか言って税金を増やしたり、経費を削減したりするんです』

 まくし立てるようにスピーカーから声が聞こえてくる。

『それにですね、税金なんですがこれでも3割しかとっていないんですよ? 6~7割とっている領主がいるんです。ゴーストタウンがいかに異常か分かりますか?』

 何か責められているような気がする……

『異常といえば、この街ですよ、ディストピア。ここは税金とってなかったのに街の経営ができている時点でおかしいですよ。街で経営している事業の利益だけですべてまかなえている時点でおかしいですよ。安い人頭税はとり始めましたが、全部が黒字の部分に足されますからね……』

 おかしくたって別にいいじゃんか! 成り立ってるんだから、問題なんてないだろ。

 グリエルに確認不足だと怒られたので、しっかりと確認してから連絡すると謝ってから通信を切った。
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