ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1321話 出自不明

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 バザールと綾乃は、自分のするべきことをするために各自の持ち場へと戻っていった。

 俺は監視室に残り、勇者やダンマスの情報をチェックしている。今の所、フレデリクの近くにいる奴ら以外は、俺の街に近付こうとしている奴らはいないな。

「勇者召喚の間も抑えたし、動く勇者がいなくなったら神共はどうするんだろうな?」

 ふと浮かんだ疑問を口に出していた。それを聞いたスプリガンは、

「駒が無くなれば、自ら攻めてくるかちょっかいをかけなくなるのではないですか? この大陸ではこれ以上勇者は召喚されないわけですし」

「待てよ、さっき勇者じゃなくてダンマスも手先になりうるって結論だっただろ? というか、勇者召喚とは別でダンマスみたいに向こうの世界の人間を強引に召喚できるんじゃないか? 称号や能力を付けずに、爆弾代わりとして……」

 俺の中で最悪のパターンが頭に浮かんできた。本当にそんな事が可能なのか? 可能だった場合はどう対処すればいいのか?

 チビ神! 答えろ!

『今日は何なのよ、昨日までで3徹してて眠いのよ』

 そんな事はどうでもいい! 神が異世界から、地球から召喚する際にルールがあるって話だよな? 無理をすればダンマスや勇者の称号を付けずに召喚できるのか? 例えば人間爆弾のようにして、こっちに召喚する事はあり得るのか?

『んぁ? 無制限には無理ね。順番があるって言ったでしょ、それを破るとさすがに拙いのよ。神同士の戦いになるわね。でも、次が順番の人が召喚する事はあり得るわね』

 やろうと思えば可能だし、次が順番の奴らが俺を排除する神だったら……敵対している神が続けば、人間爆弾がありえるのか。

『続けばね、あり得るかもしれないけど、それは無いと思うわ。2~3回は続くかもしれないけどね。神はあなたが思っている以上に多くて、敵対している神は思ったより多くないのよ』

 油断はするなって事か、起こしてすまなか……っと、そうだチビ神! お前、バザールにたかってるんだってな。俺があれだけデータやってるのに、たかるなんてことすんじゃねえよ!

『な、何のはなしかしりゃ!』

 どもってんじゃねえよ! 干渉できるからって、好き勝手してるんじゃねえぞ! バザールにはもう渡さなくていいって言ってあるからな。これ以上バザールに迷惑かけるなら、データ一生やらねえからな!

『ちょっと! それは反則よ! それはやっちゃダメなんだからね!』

 分かったならバザールに迷惑かけんなよ。

『分かったわよ』

 なんか不満そうだけど、まぁいいか。迷惑だけはかけんなよ!

 とりあえず、ポンポン人間爆弾は来ることはなさそうだな。注意しすぎるのは良くないないな。日本人風の名前に注意しておくか。外国人の名前だと分からんからな。

 でも、韓国や中国の名前ならさすがに分かるか。あの国のような名前はこの世界にないからな。

「スプリガンのみんな、監視業務が大変になるかもしれないけど、勇者とダンマス以外にこの世界の名前じゃなさそうな人がいたら、ピックアップしてもらっていいかな?」

「名前ですね。前の監視室だったら断ってましたが、この監視室であれば問題ありませんね。この世界の言葉を覚えさせたので、名前表記が違えばすぐに探し出せますよ」

「ん? 名前表記ってこの世界の文字なのか?」

「標準は、ご主人様が日本人なので日本語読みになっていますが、設定をいじれば名前を付けられた時の言語で表示させられます。その中からこの世界の言葉で無い人をマーキングすればいいだけですので、数にもよりますが大した手間ではなさそうです」

 知らなかった。自動翻訳のスキルがあるせいで、そこら辺がよく分かってなかったのだがそういうことらしい。

 早速検索を開始してくれているようだ。所々赤い点が表示されているな。これが召喚された人間達か?

 確か日本人が多く召喚されているって話だったけど、他の世界でも呼び出されている奴らは沢山いる訳だろ? そのせいで少子化になってたりは……しないよな? 並列世界とかから呼び出されている人も多いって考えた方がしっくりくるような。

 俺の事を殺そうとしたあいつという例外はあるけど、さすがに全員同じ地球から呼び出されたわけじゃないよな? 綾乃やバザールと話をした事があるけど、特にバザールはおかしかった。

 だってあいつ死んでから何百年も経っているのに、俺たちと普通にゲームネタで楽しめているしな。

 そう考えると時間軸もかなり怪しいよな。綾乃とバザールと俺は、何度か話し合ってたまたま近い時間帯で近い世界から召喚されたってちょっと前に結論を出したしな。

 ここら辺はチビ神に言っても説明はしてもらえなかったので、勝手に想像して結論付けるしかなかったのだ。

「ご主人様、マークしていた勇者とダンマス以外にも、100人ちょっと異世界から来たと思われる人間がいました!」

 この100人ちょっとなのだが、特に特別なスキルを持っているわけでもなかった。神の力を介さないでこちらに転移してきたのか? それとも転生で前世の記憶を持っているとか?

「こいつらの行動パターンを記録してもらえるかな?」

「了解です。このシステムにつなげてから色々と便利になりすぎて、仕事が増えてもゆったりとできるのがいいですね」

 今までは、かなり大変でいつ倒れてもおかしくないくらいの働きっぷりだったのだが、今は少しコンソールをいじって状況を確認したら、優雅に雑談しながらティータイムをして、監視業務をしている。すげえ変わったな。

「そうだ、新しく召喚された人もすぐに分かるのか?」

「すぐには難しいですね。ですが、定期的に検索をかけて増えた人をピックアップすることは出来ますね」

「なるほど、じゃあそれもお願い。フレデリクの近くにいる勇者が、変な行動をしたら呼んでくれ」

 マジで余裕があるのか、いつになくゆったりと送り出してくれた。今まではこんな風に送り出してもらった覚えがないな。

 監視は任せて、俺はバザールとは別に念のためゴブリン隊もいつでも召喚できるように編成でも考えてみるか。
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