ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,307 / 2,518

第1307話 新たな武器?

しおりを挟む
 目が覚めると、スライムベッドに寝ていた。

 倒れる前にニコに頼んだのだから当たり前だな。でも、ニコだけじゃなく他のスライムもベッドになっていた。

 理由は、娘たちも一緒に寝ていたからだ。ニコを含む4匹がベッドのマットレス替わりで、40匹程がベッドの柵のように周りを囲んでいたのだ。

 カラフルなスライムのベッド柵……娘たちが寝返りをしても落ちないようにという配慮のようだ。ケットシーは、野生を忘れた猫のように仰向けになり大の字で寝ている。

 ウルも一緒に寝ているようで、娘たち3人と一緒に寝ている。左からウル・スミレ・ブルム・ミーシャの順でくっ付いて寝ている姿はとっても可愛い。母親3人は既にカメラでその様子を撮っていたみたいで、成長記録アルバムの中へコピーしていた。

 俺が起きようとすると、ニコが気付きスライムベッドから自分を切り離し、娘たちが起きないように配慮してくれた。できるスライムは違うね!

 俺が倒れた後の事を聞いた。

 ミーシャは「何か眠っちゃったね。起こさないようにあっちに行こうか」と、スミレとブルムは「一緒に遊びたかったのに残念」と、ウルは「起きた時にびっくりさせるために頑張ろう」と言った内容を話していたそうだ。

 しばらくは俺が作った木刀で騒いでいたみたいだけど、はしゃぎ過ぎて疲れてスライムベッドに飛び込んできたらしい。だから一緒に寝ていたって事か。

 で、みんなが寝て暇だったから、ミリーとカエデは体を動かしていたと、リンドも体を動かしていたみたいだが、俺の作った木刀に興味を持って途中で休憩に入ったらしい。

「ねぇシュウ、ユグドラシルから作った木刀って何でこんなに硬いの?」

「そもそもユグドラシル自体がありえない強度だから、それで作った木刀だから硬いんだろ?」

「そうじゃなくて、何で木の刀なのにこんなに硬いのかって思ってね。だってユグドラシルとはいえ木だよ? 繊維が絡み合って硬くなっているって言っても限度があると思うの。それに、密度が高いなら重いよね? それなのにこの木刀って軽くない?」

 リンドは、ユグドラシルの枝で作った木刀が軽いと主張しているのだ。力があるから軽い物だと思っていたけど、召喚した日本の木刀はもっと重たいのだ。訓練用なのか何なのか分からないが、重く硬かった。

 それに軽い木は、基本的に柔らかい。凹みやすいし折れやすい。なのにユグドラシルの枝は、軽いのに硬く折れにくい。正確には、俺の力では折ろうとしても折れなかった。多少だけど曲がる事は曲がるのに、折れる気配がなかったのだ。

 両端を固定して重量級の戦斧を使って切ってみようとしたのに、振った斧をバネに跳ね返されるみたいに弾かれてしまった。しかもその時に支えていた両端の鉄の塊が10センチメートル程えぐれてたのだ。マジ謎の多い素材だ。

「そう言われると、軽い木なのに硬いよな。しかもしなやかとか矛盾にも程がある。本当によくわからんな。DPで召喚できないし、特殊素材って事なんだろうな」

「やっぱり不思議よね。そういえばさ、ミリーの武器は棍棒でしょ? それで作ってあげないの?」

「あぁ、この枝で作れば最高の棍棒ができるか? でも軽いけどいいのかな?」

「それは本人に聞いてみたら?」

 それもそうだな。と思い、鉄〇チンミに出てくる棍使いのように棍棒を操っているミリーに声をかけてみた。

「全部がユグドラシルの枝でできていると、軽すぎるかな? レベルも上がってステータスも高くなっているでしょ? 棍棒があまり軽いと、扱い辛いのよね。本当に技術がある人なら気にならないかもしれないんだけどね。それに、重い方が威力が高いし戦闘には向いているんじゃないかな?」

 との事だ。鉄心入りの棍棒とかがいいのかな? 全部金属だと打撃力は高いが、しなやかさが足りないとか前に言っていたような? とりあえず、無理しない程度に作ってみるか?

 今使っている重さの棍棒と同じ位の重さと長さのアダマンタイト棒を召喚する。比重が重いから、思ったより細い棒だった。

 ユグドラシルが今までに落とした中で一番まっすぐでちょうどいい太さの枝を準備する。集中して棍棒を作る。その後にアダマンタイトが入るように細く中心をくりぬく。

 ふげぇ、かなり魔力を消費して体が怠い。倒れる前にも大量に魔力を消費して、ポーションで無理やり補ってたからな。

 くりぬいたはいいけど、詰まっていてまだ取り出せていない。この状態でアダマンタイト棒を突っ込めば、反対から出てくるか?

 俺が棍棒を押さえアダマンタイト棒をセットする。棍棒とは逆の位置にリンドに立ってもらい、ハンマーで押し込んでもらう。

 思った通り、くりぬいた部分は押し出されるように、反対側からニョキニョキと生えて来た。

 叩きこんでいる音で目が覚めたのか、ウルが体を起こしこっちを見ていた。その視線がロックしていたのは、棍棒ではなく棍棒から出て来た細い棒の方だ。

 走り寄ってきて、完全に押し出された細い棒を持って何やら考えている。身長が1メートルちょっとのウルが2メートル程の細長い木の棒を持っている。何を思ったのか、俺たちから離れてブンブン振り始めた。

 軽いから素早く振れるのだが、風の抵抗を受けて思い通りに振れていない。だけど、棒が奏でる音が4歳児の振る棒からしているとは思えない程凶悪だ。

 ウルは素振りを止め、今度はカエデの抜刀術を真似てあの長い棒を腰だめに構える。様子を見に散数いていたのが拙かった。

 勢い良く振られた棒は風を切る音もなく振り抜かれた。

 パシーンッ

 4メートルは離れていたのに、俺の太腿にヒットしたのだ。鞭で叩かれたような痛みで、全身に鳥肌が立つような痛みだった。

 そのままうずくまり、痛みを訴えている太腿を押さえ、回復魔法をかけた。

 全員目が点になり、現状を誰一人理解できていなかった。

 今も俺とウルは4メートル以上離れている。ウルの手に持ったユグドラシルの細い棒は変わらず2メートル程。なのに俺の太腿には何かに叩かれた赤い痕。

 何らかの方法でウルの持っている棒が伸びたのか? イヤイヤまさか……木が伸びるわけないじゃないですか……そう思い、ウルに棒を借りて抜刀術を試してみる。ターゲットは池の近くに置いてある岩。

 4メートル程離れた位置で構え、振り抜く。

 ウルと同じように風を切る音も聞こえなかった。そして普通に振りぬけてしまった。やっぱりこれじゃないのか?

 木の棒を見つめていると、

「ご主人様! 岩が切れています!」

 俺がイメージして振り抜いた部分が綺麗に切れていた。この表現は正しくないな。棒の太さ分だけ岩が低くなっていたのだ。

 切れた部分には粉になった岩の破片があり、サラサラ下に落ちている。お~原理は全く分からないけど、この棒が伸びるっぽいな。ユグドラシルってマジで何なんだろ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...