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第1292話 ウルの覚悟
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ゴーストタウンの事は、グリエルやガリア、ゼニスに丸投げで問題ないので、何かあった時に動ければ大丈夫だ。お金に関しては、ゼニスが管理している分があるから、何の問題もないだろう。
シリウスは既に俺たちのドッペルを連れて、妻と娘たちが拉致された大陸へ向かっている。連れて行っているのがドッペルなので、加減する必要がない。だから、後半日もかからずに着くだろう。
うさ耳幼女のウルを保護してから、俺は娘たちとまともにあえていない。
助けた時に一度だけ顔を合わせて、とーたんと呼んでもらってから会えていないのだ。テレビ越しに見る事は出来ても、ウルが近くにいると俺も迂闊に会いに行けないのだ。
ミリーたちが獣人系ドッペルを出せるという事を知って、娘たちに会いに来てほしいと言われたので準備している。
「あ、とーたん!」
俺を見つけたミーシャが俺に走って近付いてきたが途中で止まる。
「とーたん?」
「そうだよミーシャ。お父さんだよ」
「でも、みみがはえてる?」
「魔法を使ったんだよ。これでミーシャとお揃いだろ? ミーシャはお揃いは嫌か?」
「とーたんといっしょ! うれしい!」
そう言ってミーシャが俺に跳び付いてきた。戸惑っていたスミレとブルムも同じく跳び付いてきた。ミーシャが正面からで、2人が左右から。
スミレとブルムは俺のオオカミの耳を見て、触りたそうにしていたので優しくね、と言って触らせている。2人は、ケモミミ! ケモミミ! とはしゃいでいた。ケモミミってどう考えても綾乃の仕業だな! 変な言葉では無いが、何となくいい気はしない。後でいらんことを教えるなと言っておかないとな。
「ミーちゃん、その人は誰?」
「ウーねえ、あたちたちのとーたん!」
「ミーちゃんたちのお父さん? でも、お城であった時はその耳は無かったはず」
「あの時の事を覚えているのか。下手に誤魔化すと余計によくないよな。君が苦痛を感じないように、外見だけでもストレスにならない物を選んだつもりなんだ。ミーシャたちと仲良くしてくれてありがと。そして、この街にいる限り君の事をいじめる奴はいないから、安心して過ごしてほしい」
「どうして獣人の私によくしてくれるの?」
「特別良くしているつもりはないかな? 君に酷いことをした奴らの分の罪滅ぼしかな。言っている事が難しいかも知れないけど、自己満足でしか無いんだよ。君は覚えているかな? 城の人間に復讐してほしいと言ったことを」
「うん、覚えてる。あんな奴等死んでしまえばいいと思う」
この娘、本当に4歳なのだろうか? それとも環境がそうさせてしまったのか?
「そっか、覚えていたんだね。思い出したくない話だと思うけど、聞いてもらっていいかな?「シュウ! 何を言うつもり!」この娘が一歩前に踏み出すための、事実かな?」
「ウルには、まだ早いわ! この娘が壊れてしまうかもしれない!」
「私は知りたい!」
ウルは、覚悟を決めた顔をしている。何で4歳でそんな顔が出来るんだ……この娘の特質でないのであれば、あの国は滅ぶべきだと俺は思う。
「止めて欲しかったらすぐ言うんだよ?」
そういって、俺は話し始める。
まずは、ウルの母親たちをあんな風にした奴等は、捕まえて牢屋に入れてある事を伝える。この後、ウルの母親たちが味わったような苦しみを身に刻み込んでやるつもりだと言うこと。
次に、あの国の王たちについてだ。隣国の獣人の国に送り届けた事。現在確認できるなかで、獣人に酷いことをしていた権力者も含め、半分以上が処刑されていること。王については、到着してから1時間もしない内に処刑され、王族関係者も早い段階で処刑されたことを教えてあげる。
母親の事を思い出して泣く場面も見られたが、最後まで自分の意思で聞き続けた。その事実だけで俺は、悲しくなってきた。
世界が悪いとはいえ、4歳の幼女にここまでの成長を促せ、覚悟を決めさせた。獣人の子供の成長が早いとはいえ、やはりこれは異常だ。
この世界を探せば、ウルと同じような苦しみを味わっている子はいるだろう。それ以上の子たちもいるはずだ。そんな世界を娯楽のために作り出した神共に嫌気がしてきた。
他にも万以上の世界があるんだよな。あいつらは、そんなことを考えていないだろうが、娯楽のための世界か……どれだけの人が苦しんでいるのか、考えるだけで本当に嫌になる。
全てを助けるなんて出来ない、でも、関わってしまった以上見てみないふりは出来ない。
だから、この娘を助けたことは自己満足でしかないんだよな。
ウルは全てを聞き終えた後、ブレーカーが落ちるようにパタリと眠ってしまった。情報過多によるものかな?
娘たちには聞かせたくなかったので、話の始まる前にケットシーに気を引いてもらい、スライムにかまってもらっている。
話し終わった後、ミリーにもの凄い勢いで睨まれちゃったけどね。でも、ミーシャに「けんかは、メッなの!」と怒ってもらわなかったら、かなり気まずい雰囲気になりそうだったから、助かったよ。
ミーシャやスミレ、ブルムもウルが寝てしまったことを心配しているが、母親3人が上手くあやしてくれた。さすが母親だな。
後で色々お叱りを受けたが、ウルが起きてきて俺にお礼をいってきた。優しく抱きしめてあげると、少し体を震わせるが俺に身を委ねてくれた。
人間に酷いことをされていたのだ、ドッぺルじゃない俺に抱かれれば、震えるのは仕方がないことだが、よく耐えられるものだよな。
ウルとこれからの事を話すが、既にミリーに話を聞いていたみたいで、俺達の養子になることを前向きに検討してくれているようだ。
検討といっているが、漸く一緒に生活してみて様子を見るという話だ。
もし一緒に生活してみてダメだったら、獣人を集めて作った街にいってもらうのがいいかもしれないな。
いや、こんなマイナスな思考はよくないな。一緒に生活してもらえるように努力しないとな。
シリウスは既に俺たちのドッペルを連れて、妻と娘たちが拉致された大陸へ向かっている。連れて行っているのがドッペルなので、加減する必要がない。だから、後半日もかからずに着くだろう。
うさ耳幼女のウルを保護してから、俺は娘たちとまともにあえていない。
助けた時に一度だけ顔を合わせて、とーたんと呼んでもらってから会えていないのだ。テレビ越しに見る事は出来ても、ウルが近くにいると俺も迂闊に会いに行けないのだ。
ミリーたちが獣人系ドッペルを出せるという事を知って、娘たちに会いに来てほしいと言われたので準備している。
「あ、とーたん!」
俺を見つけたミーシャが俺に走って近付いてきたが途中で止まる。
「とーたん?」
「そうだよミーシャ。お父さんだよ」
「でも、みみがはえてる?」
「魔法を使ったんだよ。これでミーシャとお揃いだろ? ミーシャはお揃いは嫌か?」
「とーたんといっしょ! うれしい!」
そう言ってミーシャが俺に跳び付いてきた。戸惑っていたスミレとブルムも同じく跳び付いてきた。ミーシャが正面からで、2人が左右から。
スミレとブルムは俺のオオカミの耳を見て、触りたそうにしていたので優しくね、と言って触らせている。2人は、ケモミミ! ケモミミ! とはしゃいでいた。ケモミミってどう考えても綾乃の仕業だな! 変な言葉では無いが、何となくいい気はしない。後でいらんことを教えるなと言っておかないとな。
「ミーちゃん、その人は誰?」
「ウーねえ、あたちたちのとーたん!」
「ミーちゃんたちのお父さん? でも、お城であった時はその耳は無かったはず」
「あの時の事を覚えているのか。下手に誤魔化すと余計によくないよな。君が苦痛を感じないように、外見だけでもストレスにならない物を選んだつもりなんだ。ミーシャたちと仲良くしてくれてありがと。そして、この街にいる限り君の事をいじめる奴はいないから、安心して過ごしてほしい」
「どうして獣人の私によくしてくれるの?」
「特別良くしているつもりはないかな? 君に酷いことをした奴らの分の罪滅ぼしかな。言っている事が難しいかも知れないけど、自己満足でしか無いんだよ。君は覚えているかな? 城の人間に復讐してほしいと言ったことを」
「うん、覚えてる。あんな奴等死んでしまえばいいと思う」
この娘、本当に4歳なのだろうか? それとも環境がそうさせてしまったのか?
「そっか、覚えていたんだね。思い出したくない話だと思うけど、聞いてもらっていいかな?「シュウ! 何を言うつもり!」この娘が一歩前に踏み出すための、事実かな?」
「ウルには、まだ早いわ! この娘が壊れてしまうかもしれない!」
「私は知りたい!」
ウルは、覚悟を決めた顔をしている。何で4歳でそんな顔が出来るんだ……この娘の特質でないのであれば、あの国は滅ぶべきだと俺は思う。
「止めて欲しかったらすぐ言うんだよ?」
そういって、俺は話し始める。
まずは、ウルの母親たちをあんな風にした奴等は、捕まえて牢屋に入れてある事を伝える。この後、ウルの母親たちが味わったような苦しみを身に刻み込んでやるつもりだと言うこと。
次に、あの国の王たちについてだ。隣国の獣人の国に送り届けた事。現在確認できるなかで、獣人に酷いことをしていた権力者も含め、半分以上が処刑されていること。王については、到着してから1時間もしない内に処刑され、王族関係者も早い段階で処刑されたことを教えてあげる。
母親の事を思い出して泣く場面も見られたが、最後まで自分の意思で聞き続けた。その事実だけで俺は、悲しくなってきた。
世界が悪いとはいえ、4歳の幼女にここまでの成長を促せ、覚悟を決めさせた。獣人の子供の成長が早いとはいえ、やはりこれは異常だ。
この世界を探せば、ウルと同じような苦しみを味わっている子はいるだろう。それ以上の子たちもいるはずだ。そんな世界を娯楽のために作り出した神共に嫌気がしてきた。
他にも万以上の世界があるんだよな。あいつらは、そんなことを考えていないだろうが、娯楽のための世界か……どれだけの人が苦しんでいるのか、考えるだけで本当に嫌になる。
全てを助けるなんて出来ない、でも、関わってしまった以上見てみないふりは出来ない。
だから、この娘を助けたことは自己満足でしかないんだよな。
ウルは全てを聞き終えた後、ブレーカーが落ちるようにパタリと眠ってしまった。情報過多によるものかな?
娘たちには聞かせたくなかったので、話の始まる前にケットシーに気を引いてもらい、スライムにかまってもらっている。
話し終わった後、ミリーにもの凄い勢いで睨まれちゃったけどね。でも、ミーシャに「けんかは、メッなの!」と怒ってもらわなかったら、かなり気まずい雰囲気になりそうだったから、助かったよ。
ミーシャやスミレ、ブルムもウルが寝てしまったことを心配しているが、母親3人が上手くあやしてくれた。さすが母親だな。
後で色々お叱りを受けたが、ウルが起きてきて俺にお礼をいってきた。優しく抱きしめてあげると、少し体を震わせるが俺に身を委ねてくれた。
人間に酷いことをされていたのだ、ドッぺルじゃない俺に抱かれれば、震えるのは仕方がないことだが、よく耐えられるものだよな。
ウルとこれからの事を話すが、既にミリーに話を聞いていたみたいで、俺達の養子になることを前向きに検討してくれているようだ。
検討といっているが、漸く一緒に生活してみて様子を見るという話だ。
もし一緒に生活してみてダメだったら、獣人を集めて作った街にいってもらうのがいいかもしれないな。
いや、こんなマイナスな思考はよくないな。一緒に生活してもらえるように努力しないとな。
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