ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1252話 日本の悪い風潮

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 お昼にするにはまだ早い時間。朝食もしっかり食べているので、ブランチというわけにはいかない。ちょっとだけど、ぽっかりと空いてしまった時間。

「今からでもできてすぐ終わる事、ないですかね?」

 ブラウニーも首をひねりながら考えている。

 何かをするには、中途半端な時間なのだ。準備をしてあれば出来ない事も無いが、あいにくここに来ることが決まったのが朝だからな。昨日の畑エリアや家畜エリアの様にはいかないよな。

 特にここは、加工品を作っている場所だから、準備にはそれなりに手間と時間がかかってるんだよね。なのでみんなで首をひねっている。

 まぁ、休憩を兼ねて娘たちと合流しているので、俺的にはこのまま昼食までいてもいいのだが、それだといつもと変わらない1日になってしまうのだ。庁舎やゴーストタウンの工房みたいに邪魔にはなっていないけど、本当に邪魔になっていないだけで、かなりの手間をとらせているのが現状だ。

 そんな中、娘たちは首を傾げている俺を見て、自分も首を傾げて真似をしている。何が面白いのか3人共首を傾げては笑い、また傾げては笑っている。

 そんな和む姿を見ていたら、みんなが笑顔になる。いつでも可愛いは正義! なのだな。

 娘たちはまだ赤ちゃんなので、体を占める頭の割合が大きい。その状態で首を傾げれば……

「危ない!」

 と、こうなってしまう。

 母親の前で首を傾げているので、気付いたミリーたちが転ぶ前に体を支える。

 母親に体を触られている事が分かった娘たちは、揃って両手を広げて抱っこを要求した。抱っこをしてもらいご満悦な娘たちは、首を傾げて笑っていた事を既に忘れているような状態だ。

「昼食は、いつものように食堂担当の仲間が作っているのですよね?」

 その言葉を肯定した。そうするとブラウニーの1人が連絡をとり始めた、1分程話すと俺の方へ振り返り予定が決まった! と。

 その内容は、ここで何品か作って食堂に持って行くという形だ。

 最近は、夕食以外はビュッフェ形式の食事スタイルなので、何品か追加された所でスペースには問題は無いのだと。なので、ここでも作り立ての何品かを持っていく事になった。

 ビュッフェ形式とはいえ、何十種類もある料理なのに続けて同じ品が出る事は無い。似たような物はあるが、全く同じ品は無いのだ。その辺をしっかりと確認しているようなので、いくつかの候補が浮かんだようだ。

 まぁ、同じじゃないだけで似ている物は結構出るのだが、それでもちょこちょこ工夫がされているのだ。本当に頭が下がる思いである。

 毎食余り物が出てしまうが、一部は今まで通りゴーレムスライムに持たせてダンジョンを徘徊させ、遭遇した冒険者のご褒美として渡されている。

 残りの物は温め直されてから詰め替えられて、食料保管ボックスに入れられて保存される。あの中では時間が完璧に止まっているので、腐る事も冷める事も無い。俺たちが急に出かける事になった時等に、そこから取り出されて使われるのだとか。

 後は、多くなり過ぎたら消費するために、老ドワーフや鍛冶エリアにいるドワーフに持って行き、酒のお供として消費させているのだとか。

 ドワーフも余り物だとは知っているが、あいつらは飯が美味ければ見た目など気にしないからな、残り物だと言って忌避するような奴はいない。むしろ、ブラウニーが作っている至高の一品なのでもっとないか? と要求してくるくらいなのだ。

 ヴローツマインでも気になったのだが、ドワーフは見た目よりも量なので、盛り付けとかにはあまりこだわらないのだ。特に酒場で出てくるような食事は、山のような料理が多い。つまみだって小皿ではなく、中皿くらいにこんもりと盛ってくるのだ。

 無駄になっていないので特に問題は無いのだ。

 そこで俺が担当する事になったのは、先ほど作ったチキンナゲットだ。正確に言うと、大量に作った餡がまだまだあるので、それを成形して揚げていく作業を担当する事になったのだ。

 手順の分からない料理では足手まといになってしまうので、今回は手順が分かっているチキンナゲットの担当という事だ。揚げ具合を見極めるのもよく分かっていないので、それはお供のブラウニーに任せる事にした。

 俺はただひたすらスプーンで餡を取り分けていく。取り分けた餡はそのまま片栗粉のパレットの上に置いていき、スペースが無くなったら全体に片栗粉をまぶしてから、チキンナゲットの見た目っぽくしていく。

 まとまった数ができたらブラウニーが自分の作っていた分もまとめて、フライヤーに投入していく。

 昼食までの1時間ほどで2000個を超えるチキンナゲットを作る事ができた。200個程を取り分けてビュッフェに使う皿に盛って行く。他の物は、保存容器に入れられ収納アイテムの中へ。

 移動を開始しないと昼食開始時に間に合わなくなる時間まで作業してしまったので、慌てて作業場を出て家に戻る。

 途中で先に出ていた娘たちに追いついて一緒に戻る。ミリーからミーシャを受け取り抱っこすると、いつものようにブルムもスミレもせがんできたので、3人をまとめて抱っこする。

「この娘たちは本当にあなたの事が好きよね。時々長期間いなくなるけど、しっかりとあなたの事を覚えているしね。この様子を見てれば、シュウが気にしている娘たちに嫌われたら! なんて事は無いでしょうね」

 茶化すようにカエデがそう言ってくる。

 そういえば、地球でも思春期の娘が父親を嫌う国って日本以外ほとんどないんだっけ? 現代日本だと、そういった時期に娘が父親を嫌うっていう風潮があるんだよな。そうじゃない娘もいるから絶対ではないけど、日本の空気がいけないんじゃねえか?

 この様子なら娘に嫌われる未来は来ないか?

 日本にいた頃の俺じゃ、3人の子供を抱きかかえるなんて言う荒業は出来なかったよな。そもそもの話、日本にいたら結婚出来ていたかもわからんよな。それに3つ子でもない限り、3人同時に抱っこするなんて事なかったか。重婚なんてできないしな。

 娘を抱っこしながら食堂へ到着する。そのまま食べる物を選んでいくのだが、娘たちが降りてくれなかったので抱っこしたままだ。その状態で無邪気に食べたい物を母親に伝えてとってもらっている。ミリーたちは娘たちの栄養が偏らないように皿に盛りつけていく。

 俺の分は、スカーレットがバランスよく盛り付けてくれている。

 娘たちを席に座らせて、食事を開始する。
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