ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1216話 光明が見えた?

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 マップ先生のこの反応が細菌や微生物だと仮定して、それを広げないためにはどうするべきだ? 生きているなら焼き払えばいいか? 後は温度を下げてもいいかもしれないな……今は確実に対処するために、火にしよう。

「レイリー! 外側に近い人を少し中心に寄せてくれ! ジュリエット! レミー! イリア! 外周に沿うようにして火の壁! ライムはその内側に極低温魔法!」

 火で焼き払いを行うが、火の壁の内側がドンドン熱くなってしまうので、ライムに火壁の内側を冷やすように命令したのだ。一応実験でもある。どの位の冷温にまで耐えられるのか……という考えだ。

「これでしばらくは大丈夫だと思う。誰か……ピーチは指揮をとるから、アリスがマップ先生で監視しててくれ。俺は、次の対策を考える。レイリー! 絶対にこの中から兵士を出すなよ! 下手したらこの街の人が全滅するぞ!」

 レイリーは改めて了解を示して、兵士に指示を出している。俺たち以外にも街に入ってきている兵士はいるのだが、同じ状況に陥らないために街の外に出て集合して待機させた。

 こう考えると、俺たちがいる所がこういう状況になったのは良かったかもしれないな。他の場所だったら対応できなかったかもしれない。レイリーもここにいたし、指示を出せる人間がいなかっただろうしな。

 っと、余計な事を考えている場合ではない。今の所、火の壁でその外側に俺たちを苦しめている何かは出ていない。火で焼くは効果があるようだ。

 外に流出する可能性は減った。後は、痛みを感じている兵士の対応だな。苦しんでいる人を焼くわけにもいかない。っと、効果を発揮していないだけで、元気な兵士の体にも付着しているんだったな。

 誰かにお願いして実験台になってもらうべきか? レイリーに実験台になってもらうか?

「リリー、体についた訳の分からない奴を殺すために、レイリーに実験台になってもらおうと思うけど、親族として止めた方がいいと思うか?」

「いえ、他の兵士を実験台にする位でしたら、おじいちゃんを実験台にしてください。他の兵士にする位なら自分がやると言い出すはずです」

 指揮官としてはどうかと思うが、レイリーならいいそうだな。それにしても、孫娘よ、じいちゃんに厳しいな。

「レイリー、しばらく指揮は副官に任せてこっちへ来てほしい」

 魔導無線でレイリーを呼ぶ。待っている間に、

「ご主人様。火壁は拡散しない様に維持しているのですよね? それでしたら、土壁……いえ、ドーム状にこの一帯を囲んで天井に穴をあけて、そこに火を維持するのではだめですか?」

「それだとドームの中が酸欠になるから、ドームの高さ3~4メートルあたりに穴をあけてみてくれ。アリスは、その穴から出て行かないか監視しておいてほしい。頂上で火を燃やすから、空気の流れで穴から風が入ってくると思うから、外に出て行かないとは思うけど、もし出て行くようだったらすぐに言ってくれ」

 さすがに魔法に特化している妻たちでも、広範囲で魔法を維持するのは辛いのだろう。そこら辺を考えずに維持するように命令を出していた……すまん。考えている以上に焦っていたみたいだ。

 そうこう考えている内にレイリーが到着したので、実験台になってもらいたい事を話すと、私以外に適任者はいないでしょうな! と、他の者にはやらせない! と言わんばかりに宣言した。

 試す事は、氷点下20度位の低温状態で、こいつらが死ぬのかどうかの実験だ。低温状況下とはいえ、レイリーの体温で生きながらえる事が考えられるので、本当の意味で実験である。

 10分程試してみたが、死ぬ様子は見られなかった。

「やっぱり低温では、本人の体温もあって殺せそうにないな。火であぶるは、レイリーが耐えられても、痛みを感じている兵士が耐えられるか問題があるよな。サウナはどうだと思う? 高めの100度位で10分程耐えたら死なないかな?」

「わかりました。一先ず10分程ですね。一応、着衣のまま入る方がよろしいですよね?」

 そうなのだ。着衣のまま低温状態に置いたのに服の方も全く影響がなかったのだ。氷点下20度程では死なないようだ。かなり厄介だな……でも、これを保存していた奴らがいるという事は、何かしらの対応策があるって事だよな?

 っと、兵器として使うつもりはないから、現状で対応できる方法さえあれば問題ない。

 考えろ。細菌であれば抗生物質。微生物も抗生物質じゃなかったか? 人食い胞子だとしたら、焼き払う以外に方法は無い。

 とりあえず、次は抗生物質で対応してみるか。レイリーの様子をモニターしているが、死滅している様子は見られない。出てきたレイリーに話をして、体をクールダウンしたら抗生物質の塗布剤をいくつか試してもらった。

 すぐに結果が出るわけでは無いが、塗布した部分の抗生物質と俺たちが殺したい何かのモニターは出来るので、推移を細かく見る事ができるのだ。塗布剤に関しては、いろんな人でも実験は出来るので、いろんな人にも試してもらっている。

 1時間程様子を見たが、特に変化は見られなかった。全く減っていないと言ってもいいだろう。

「予想以上に迷惑な敵だな、こいつをバラまいた奴に殺意を覚えるわ」

「ご主人様、怒っていても意味がありませんので、色々考えて試しましょう」

 そこから夜になるまで、いくつもの実験をしたが全く効果がある物が無かった。いや、1つだけ効果があったのは、火で焼くという行為だけだった。それを試したレイリーは、問題なかったのだが、しばらくすると、このドーム内にいる奴らが体に戻ってくるため一時的な効果しかないと言った感じだ。

 体内には侵入しておらず、皮膚に付着して痛みを与えている事だけは分かった。

「ご主人様! ドームの中に少しだけ密度の低くなっている場所があります。おそらく食事をしているエリアになると思いますが、効果的な食材でもあるのでしょうか?」

「食材では……そういう風にならないと思う。何かしら、対抗できる何かがいるのかもしれない。確認に行くぞ!」
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