ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1179話 未来を見据えて

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 水道の魔導具を設置して、フェピーに助言した事を俺も考えていた。

「シュウ様、なんでこんな所で考え事をしているんですか?」

「いや……こんな所って言うけど、街の事を考えているんだから、執務室にいてもおかしくないんじゃないか?」

「間違っていませんけど……それならシュウ様の執務室があるので、そちらでやっていただけませんか? ここ一応、私の執務室なんです……まぁ、百歩譲ってここで考えるのは良いんですが、静かにやってもらえませんかね? う~ん、とかうるさいんですよ」

 ん? 俺、何か声出してたのか? そりゃすまんな。グリエルの邪魔みたいだから、自分の執務室にいくか。

 俺の執務室は、近未来的とでも言えばいいのだろうか? 今召喚できる地球の物から考えても、ここまで魔改造されていると、近未来的みたいな感じになるんだよな。

 どんな感じかといえば、部屋はそこまで広くないのだが、俺の座る机のまわりをディスプレイで埋め尽くしていて、タッチしなくても脳波と手の動きで、各ディスプレイに表示されている物を操作する事が可能になっている。

 何となく、カッコいいかなって思って魔改造した物をこの部屋に設置してみたけど、キーボードまでないので使いにくかったため、あまり使われていない。

 だけど、今回みたいに色々見ながら複数の物を操作する時には、結構便利だな。

 今見ている物は、上水道に関する画像と資料だ。

「へ~水道の起源って、古代ローマのアッピア水道だと思ってたんだけど、一番有力とされているのが、インダス文明の都市モヘンジョダロなんだな……アッピア水道の2200年くらい前か」

 そういえば、深く考えてなかったけど、ディストピアの水道は水圧を利用してないな。傾斜を利用して水を流しているだけだからな。それが各家庭の近くを流れててくみ取って使ってるんだったよな。水圧を利用した水道で蛇口を準備するか?

 ディストピアがどうなってるか確認しないとな。そう思い隣の部屋のグリエルを呼ぶ。

 呼ばれたためグリエルは俺の部屋に入って来た。ガリアも一緒だな、どうかしたのか?

「この部屋は相変わらずよくわからないですね・・・」

 ガリアは入ってくるなり、この部屋に設置されている機械を見てそうつぶやいている。

「シュウ様、どうなさいましたか?」

「ちょっと聞きたい事があって呼んだんだ。水道の件で動いていたけど、この街、ディストピアの水道ってどうなってるんだ?」

「「えっ!?」」

 グリエルとガリアがシンクロして驚いた顔をしている。俺変な事言ったか?

「シュウ様、何で知らないのですか?」

「何でってもしかして、報告書があったのか?」

「いつ頃か忘れましたが、シュウ様の商会で水を生み出す魔導具を売り始めた頃から、ディストピアの各家庭に配布しています。なので、今は全世帯に水道が設置されています」

「マジか~その報告書読んだとおもうけど、覚えてないなら意味ないよな。ちなみに水道のお金は?」

「シュウ様が自分のお金を使っていいから、各家庭に設置しろって……」

 2人の冷たい視線が突き刺さる。ごまかすように、俺のお金を街や住人のために使ったリストをスクロールしていく。そうすると、きちんとディストピアの水道の名目で結構な額が俺の財布から出ていた。

 ん~そもそも、なんでこんなに使ってるのに金が溜まってるんだ? もう少しお金を使える政策を立てないとな。

 そんな事を考えてる前に、

「今頃になって、水の事を考えているんですか? 水道の魔導具も設置し終わったのに、どうしてです?」

 グリエルとガリアは、これで終わりだと思っているようだ。

「確かに設置したけどさ、あれって結局その内壊れるじゃん? 理想は各家庭に魔導具が設置される事だけど、ディストピアなら稼ぎの関係もあるし問題ないだろうけど、他の街……特に収入が低い人は、いずれ川の水を使う事になると思うとさ、しっかりと水を確保できるようにしておかないとと思ってね」

 俺の話を聞いて、なるほどと納得してくれている。てっきりグリエルたちならその位考えていると思ってたんだけどな。

「でさ、俺が元いた世界の上水道について調べてたんだよ。でもさ、この世界の街って基本的に平地に作られてる事に今気付いたんだ。高い位置から水を流すタイプの水道が難しいなって思ってさ」

「これは、高低差を利用して水圧を使った水道ですか……なるほど、こういう仕組みなんですね。確かに、平地の場合はそのタイプを作るのは大変ですね。作るとすれば、高い位置に水を溜めて置けるように、何かを作らないといけないですね」

「そうなんだよね。でもさ、箱を作るタイプだと、メンテナンスが大変なんだよね。メンテナンスを考えるとなると、山みたいな、バレルの街みたいな感じがいいんだけどね。あれも俺や土木組のメンバーがいないと、作るのに時間がかかるでしょ? だからどうしようかと」

 しばらく3人に沈黙の時間が流れる。

「シュウ様。それってすぐに作る必要ありませんよね? 数年、数十年単位で街の近くに山を作ればいいんじゃないですか?」

 そっか! つい先日、水道の魔導具を設置したばかりだから、すぐに完成させる必要はないじゃんか!

「確かにその通りだ! 数十年は力仕事ができるから、仕事にあぶれている人のためにもなるな。後は作っている間に水道管の配置や、メンテナンスの事を考えるか? どうせなら、大通りは綺麗に舗装して、道に蓋みたいなのをしてメンテナンスを楽にするか?」

「シュウ様、考えるのもいいですけど、まだまだ時間があるんですから、しっかりと領主代理とも話しながら決めていきましょう。ヤル気みたいですので、原案はシュウ様に作ってもらうとして、予算の関係もありますので慎重に考えましょう」

 む? 仕事が増えてしまった。でも、街の人のためになるなら悪い事じゃないよな。衛生管理は大切だ!

 簡単に内容を話して、グリエルたちには各街に連絡してくれるそうだ。そういえば、予算は俺に送られてくる各街の税金を毎年当てれば……結構負担が少なくて済むんじゃないか? うむ、いい考えだ!

 まずは、各街の正確な3Dの映像模型を作る必要があるな。マップ先生とパソコンをリンクできねえかな? 周辺も一緒に模型にしちゃいたいんだよな。

 地道に考えるか。
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