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第1170話 悪魔の取引?
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結局、拷問のテントに連れられてきた裏切り者の、3人の指揮官クラスだと思われる奴らは、20回ずつ玉を潰された。
潰される度にこの世の終わりを感じさせるような悲鳴を上げていたな……終いには聞いているのが辛くなった同じ裏切り者の部隊の人間が「もう止めてくれ」と泣いてお願いをしてきた。
さすがに20回も潰された3人は、本当の事を喋ってくれたと思う。3回目あたりで言っている事が変わってきたからな。内容は同じだったけど、命令系統の話をごまかしていたようで、潰される回数に比例して正しい方向に近付いたと判断されていた。
嘘か本当かなんてすぐに分かるわけじゃないけど、俺だったら20回も潰されたら……うを! 考えただけで震えるぜ!
俺が奴隷にしてもよかったんだけどね。1回始めたからには、しょうがないよね。それにしてもダマたちは、男の嘆きくらいじゃピクリともしなかったな。種族が違うと分からない感情なのだろうか?
色々考えながら俺たちに割り当てられたテントで待機していると、真紅の騎士団の団長が訪ねて来た。
「すまない。ちょっといいだろうか?」
そう言って、今回の騒動の流れを説明してくれた。
あくまでも、勇者の話と組んでいた奴らの言い分に、自分たちなりの考察を加えたうえでの内容だという事を了承してほしい。と前置きがあった。
内容は、やはりと言っていいのか、真紅の騎士団の勢力を削る、もしくは排除を目的としていると思われるとの事だった。ただ、予想以上に真紅の騎士団の到着が早く、勇者たちが捕らえられてしまったため、一気に動く事になってしまったとか?
中心となっているのは、公爵や伯爵等で後ろ暗い事をやっていると王家が判断している派閥だとか。合法的に王に成り替わろうとしているのではないだろうか? と裏切り者は言っていた。
もしこれが事実であれば、反逆罪が適応されて一族が処刑されることになる。上級貴族の何割かは物理的にも首が飛んで、爵位も取り上げられることになるだろう。だけど、証拠は何もないのでこっちからは、手が出せないのが悔しいと団長が言っていた。
とはいえ、この裏切り者の兵士の上司にあたる貴族は、反逆罪を適応されるのは間違いない。と言っても、裏切り者の兵士の中に寄り親の兵士も混じっていたので、そこまでは対処が可能だと言っていた。
ちなみに、この裏切り者は、メインとなっていたのがサラディルの近所にある子爵の所の兵士だった。一番初めに駆け付けたのに、子爵の兵士だけではなく、寄り親の伯爵から貸し出された、真紅の騎士団の団員と同じレベル位の兵士が、20人もいるのは明らかにおかしい。
それに、同じ寄り親の同格の子爵からも精鋭が数人、子爵の寄り子の男爵や騎士爵の団長クラスも何名かいたのは不自然過ぎた。
これだけの状況証拠があるので、伯爵1、子爵2、男爵4、騎士爵3が今の所反逆罪が適応されるとの事だ。
と言っても、戦争をしている最中なので、すぐに取り潰しに動けるわけもなく、これだけの貴族が関わっているとなると、真紅の騎士団だけで対応は出来ないため、対応は後回しにするらしい。
ただ、内乱が起こる可能性があるので、迂闊に全部に反逆罪を適応できるか分からないと最後に言っていた。
ん~どうするんだろうな? 国王にも現状は伝えているようで、そちらは国王が対応してくれることになっているらしい。後で国王に連絡してみるか。
「団長さん、この後はどうするんだい?」
「今回の俺たちの仕事は、戦争だからな……戦場にはいくさ。でも、手はいくつか考えているよ。その1つは今から手を入れるけど、見ていくかい?」
団長は、いたずら小僧の様な笑みを浮かべて、俺にそう聞いてきたので、何をするのか俺も気になった。なので、ついていく事にした。もちろん妻たちも付いてきた。あっ、テントの外に出る時は全員フル装備のままだ。顔バレしてもいいけど、さらす意味も無いからね。
団長についていくと、裏切り者が集められていた。全員、両手両足を縛られた上に親指同士も縛られているため全く身動きが取れない状況だ。自分で歩かせずに、団員が引きずっている所を見ると、ちょっと怖いな。
団長に注目するように声がかけられ、しばらくして団長が話し出した。
内容は簡潔に言うと、お前ら全員に反逆罪が適応される。反逆罪は一族……親族も対象になる。所謂、処刑されるという事だ。例外は無いのだが、今は戦時中であるため、国王より戦時特例としてお前たちが奴隷になり、今回の戦争に参加すれば親族には何もする事は無い。
と、こんな感じの内容だった。だけど、話には続きがあった。
一般の兵士は、先程の内容でもよかったのだが、さすがに指揮官クラスになるとその責任は重大だ。奴隷になるくらいでは、親族の反逆罪は取り消せても、奴隷落ちは覚悟してほしい。上司からの命令で拒否権が無かった者もいるだろう。
だから、今回の戦争で同じような立場にある兵士たちをこちらに教えろ、親族の奴隷落ちも何とかしてやろう。と……
家族を人質にとったようなもんだよな……いや違うか? 真紅の騎士団は国王直属だから、殺そうとしていたのであれば、反逆罪は普通だよな。そう考えると、人質ではなく恩赦を与えるから協力しろって言っているだけか。
自分の家族を助けるために、他人を売る……誰でも自分はかわいいもんな。最後に売られた人間は、恩赦も無く家族も反逆罪が適応されるのだろうか?
そこら辺は俺たちが関与する場所じゃないな。
とはいえ、この条件でも前提が間違っている! とか、俺たちが反逆罪になるのはおかしい! とか、騒いでいる奴がいたが、貴族からの命令だったとはいえ、国民には国が不利になる事をしてはならない。という、大前提があるので、何を言っても無駄なんだとか。
そういう事を言っていたのは、指揮官クラスの数名だったので、隔離されて後日対応するとの事だ。
大半の裏切り者は、団長の言う通りに奴隷になる事を了承して、戦争に参加する様だ。隔離されなかった指揮官クラス3人は、自分たちが知っている範囲の情報を真紅の騎士団に提供していた。
個人個人の契約書の類は無いが、真紅の騎士団は、条件付きの集団に適応される契約書を作成していた。
よくわからないけど、その契約書があれば裏切り者の家族は助かるのだと理解しているみたいで、代表者5人がサインをしていた。
他にもいろいろあったが、問題なく奴隷にする事ができたようだ。
というか、何で奴隷化が出来たのかと思えば、戦争があると敵兵を管理するために奴隷に落とす事が手っ取り早いので、運んできた物資に奴隷の首輪が大量にあったそうだ。なら、なぜ初めから拷問でなく奴隷にしなかったのだろうか?
疑問に思っていたら、近くにいた副団長が教えてくれた。奴隷の首輪をつけていても、嘘が言えないだけで不利益になる事を、上手く隠す方法が存在しているのだとか。なので、分かりやすく見せしめのためにも、拷問をする事があるのだとか。
色々あるんだなと、感心してしまった。
そして、問題となった勇者たちだが、問答無用で奴隷に落とされていた。その上で、勇者以外はこの戦争で、使い潰す勢いで頑張らせるのだとか。
では、勇者は?
勇者は、魔物に対する貴重な戦力になるので、一度国王の下に連れて行き改めて条件を決め、王国のために働いてもらう事になるだろう……との事だ。ドンマイ! としか言いようがないな。
これで真紅の騎士団は何とかなるだろう。一応不利になりそうなら鬼人に介入するように伝えておいたので、万が一にも全滅する事は無いだろう。連れて来た戦闘要員の10人も置いていくし大丈夫だよね。
簡易シェルター型ダンジョンに戻って、国王にどうするのか連絡をとってみたら、戦争に行くという建前で中央から更に増援をだして、通り道にある名前の上がった貴族の領地に寄って制圧していくのだとか。
道中の休憩かと思って街にいれたら、制圧されるって事か……自業自得だから何も言えないね。
とはいえ、しばらくは王国が慌ただしいかもな。フレデリクやリーファスも巻き込まれないといいけどな。
潰される度にこの世の終わりを感じさせるような悲鳴を上げていたな……終いには聞いているのが辛くなった同じ裏切り者の部隊の人間が「もう止めてくれ」と泣いてお願いをしてきた。
さすがに20回も潰された3人は、本当の事を喋ってくれたと思う。3回目あたりで言っている事が変わってきたからな。内容は同じだったけど、命令系統の話をごまかしていたようで、潰される回数に比例して正しい方向に近付いたと判断されていた。
嘘か本当かなんてすぐに分かるわけじゃないけど、俺だったら20回も潰されたら……うを! 考えただけで震えるぜ!
俺が奴隷にしてもよかったんだけどね。1回始めたからには、しょうがないよね。それにしてもダマたちは、男の嘆きくらいじゃピクリともしなかったな。種族が違うと分からない感情なのだろうか?
色々考えながら俺たちに割り当てられたテントで待機していると、真紅の騎士団の団長が訪ねて来た。
「すまない。ちょっといいだろうか?」
そう言って、今回の騒動の流れを説明してくれた。
あくまでも、勇者の話と組んでいた奴らの言い分に、自分たちなりの考察を加えたうえでの内容だという事を了承してほしい。と前置きがあった。
内容は、やはりと言っていいのか、真紅の騎士団の勢力を削る、もしくは排除を目的としていると思われるとの事だった。ただ、予想以上に真紅の騎士団の到着が早く、勇者たちが捕らえられてしまったため、一気に動く事になってしまったとか?
中心となっているのは、公爵や伯爵等で後ろ暗い事をやっていると王家が判断している派閥だとか。合法的に王に成り替わろうとしているのではないだろうか? と裏切り者は言っていた。
もしこれが事実であれば、反逆罪が適応されて一族が処刑されることになる。上級貴族の何割かは物理的にも首が飛んで、爵位も取り上げられることになるだろう。だけど、証拠は何もないのでこっちからは、手が出せないのが悔しいと団長が言っていた。
とはいえ、この裏切り者の兵士の上司にあたる貴族は、反逆罪を適応されるのは間違いない。と言っても、裏切り者の兵士の中に寄り親の兵士も混じっていたので、そこまでは対処が可能だと言っていた。
ちなみに、この裏切り者は、メインとなっていたのがサラディルの近所にある子爵の所の兵士だった。一番初めに駆け付けたのに、子爵の兵士だけではなく、寄り親の伯爵から貸し出された、真紅の騎士団の団員と同じレベル位の兵士が、20人もいるのは明らかにおかしい。
それに、同じ寄り親の同格の子爵からも精鋭が数人、子爵の寄り子の男爵や騎士爵の団長クラスも何名かいたのは不自然過ぎた。
これだけの状況証拠があるので、伯爵1、子爵2、男爵4、騎士爵3が今の所反逆罪が適応されるとの事だ。
と言っても、戦争をしている最中なので、すぐに取り潰しに動けるわけもなく、これだけの貴族が関わっているとなると、真紅の騎士団だけで対応は出来ないため、対応は後回しにするらしい。
ただ、内乱が起こる可能性があるので、迂闊に全部に反逆罪を適応できるか分からないと最後に言っていた。
ん~どうするんだろうな? 国王にも現状は伝えているようで、そちらは国王が対応してくれることになっているらしい。後で国王に連絡してみるか。
「団長さん、この後はどうするんだい?」
「今回の俺たちの仕事は、戦争だからな……戦場にはいくさ。でも、手はいくつか考えているよ。その1つは今から手を入れるけど、見ていくかい?」
団長は、いたずら小僧の様な笑みを浮かべて、俺にそう聞いてきたので、何をするのか俺も気になった。なので、ついていく事にした。もちろん妻たちも付いてきた。あっ、テントの外に出る時は全員フル装備のままだ。顔バレしてもいいけど、さらす意味も無いからね。
団長についていくと、裏切り者が集められていた。全員、両手両足を縛られた上に親指同士も縛られているため全く身動きが取れない状況だ。自分で歩かせずに、団員が引きずっている所を見ると、ちょっと怖いな。
団長に注目するように声がかけられ、しばらくして団長が話し出した。
内容は簡潔に言うと、お前ら全員に反逆罪が適応される。反逆罪は一族……親族も対象になる。所謂、処刑されるという事だ。例外は無いのだが、今は戦時中であるため、国王より戦時特例としてお前たちが奴隷になり、今回の戦争に参加すれば親族には何もする事は無い。
と、こんな感じの内容だった。だけど、話には続きがあった。
一般の兵士は、先程の内容でもよかったのだが、さすがに指揮官クラスになるとその責任は重大だ。奴隷になるくらいでは、親族の反逆罪は取り消せても、奴隷落ちは覚悟してほしい。上司からの命令で拒否権が無かった者もいるだろう。
だから、今回の戦争で同じような立場にある兵士たちをこちらに教えろ、親族の奴隷落ちも何とかしてやろう。と……
家族を人質にとったようなもんだよな……いや違うか? 真紅の騎士団は国王直属だから、殺そうとしていたのであれば、反逆罪は普通だよな。そう考えると、人質ではなく恩赦を与えるから協力しろって言っているだけか。
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そこら辺は俺たちが関与する場所じゃないな。
とはいえ、この条件でも前提が間違っている! とか、俺たちが反逆罪になるのはおかしい! とか、騒いでいる奴がいたが、貴族からの命令だったとはいえ、国民には国が不利になる事をしてはならない。という、大前提があるので、何を言っても無駄なんだとか。
そういう事を言っていたのは、指揮官クラスの数名だったので、隔離されて後日対応するとの事だ。
大半の裏切り者は、団長の言う通りに奴隷になる事を了承して、戦争に参加する様だ。隔離されなかった指揮官クラス3人は、自分たちが知っている範囲の情報を真紅の騎士団に提供していた。
個人個人の契約書の類は無いが、真紅の騎士団は、条件付きの集団に適応される契約書を作成していた。
よくわからないけど、その契約書があれば裏切り者の家族は助かるのだと理解しているみたいで、代表者5人がサインをしていた。
他にもいろいろあったが、問題なく奴隷にする事ができたようだ。
というか、何で奴隷化が出来たのかと思えば、戦争があると敵兵を管理するために奴隷に落とす事が手っ取り早いので、運んできた物資に奴隷の首輪が大量にあったそうだ。なら、なぜ初めから拷問でなく奴隷にしなかったのだろうか?
疑問に思っていたら、近くにいた副団長が教えてくれた。奴隷の首輪をつけていても、嘘が言えないだけで不利益になる事を、上手く隠す方法が存在しているのだとか。なので、分かりやすく見せしめのためにも、拷問をする事があるのだとか。
色々あるんだなと、感心してしまった。
そして、問題となった勇者たちだが、問答無用で奴隷に落とされていた。その上で、勇者以外はこの戦争で、使い潰す勢いで頑張らせるのだとか。
では、勇者は?
勇者は、魔物に対する貴重な戦力になるので、一度国王の下に連れて行き改めて条件を決め、王国のために働いてもらう事になるだろう……との事だ。ドンマイ! としか言いようがないな。
これで真紅の騎士団は何とかなるだろう。一応不利になりそうなら鬼人に介入するように伝えておいたので、万が一にも全滅する事は無いだろう。連れて来た戦闘要員の10人も置いていくし大丈夫だよね。
簡易シェルター型ダンジョンに戻って、国王にどうするのか連絡をとってみたら、戦争に行くという建前で中央から更に増援をだして、通り道にある名前の上がった貴族の領地に寄って制圧していくのだとか。
道中の休憩かと思って街にいれたら、制圧されるって事か……自業自得だから何も言えないね。
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