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第1166話 思っていたより面倒かもしれない……
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ここはディストピアでは無いので、ダマたちの護衛はかえって面倒事になりかねないな。貴重な従魔が強いと分かれば、街のお偉いさんが何をしでかすか分かった物ではない。冤罪を擦り付けられて、取り上げられる……なんて事もあり得るかもしれない。
そんなことするんだったら、街ごと潰すんだけどね。わざわざ面倒を自分で増やす必要は無いので、お供にシュリとライムが付いてきている。各自バックパックを背負っており、冒険者風のスタイルである。ちなみにバックパックの中には、スライムが3匹ずつ入っている。
いざという時の足止めに連れてきている。最初はついて来てくれるか不安だったのだが、予想外にバックパックの中に入りたいスライムが多く、ほぼ半分にあたる9匹を連れていく事になったのだ。
狭い中に押し込められても気にしない……というかそれを楽しんでいる様子すらあるスライムは頼もしいな。
俺がなぜ外を歩いているかと言えば、真紅の騎士団に用事があるからだ。
昨日は、ミリーの家族にあった後、すぐに宿へ行き戦争の所為で宿泊者がいなかったので、ちょうどいいという事で貸し切りにしてもらっている。もちろん、全部屋を借りるのと同じだけの金額を出している。
もし途中で新しい客が来たら面倒だし、従魔の事もあるので貸し切りはちょうどよかったのだ。1階の半分くらいが飲食スペースで宿以外に食事処もしていたので、ちょっと微妙ではあったが宿泊エリアには人が入ってこないようにできたのは大きい。
従魔も、ウォーホース以外は全部宿の中に入れてもらえている。ウォーホースは馬車3台分の6匹連れてきているのだが、こいつらが徴発されないか心配であるが、簡単に連れていけるわけも無いので、駆けつける時間はあるだろう。
さて、色々考えながら歩いていたら、真紅の騎士団の駐留している場所に到着した。街の中ではあるのだが、外壁部の近くに広く取られた場所だ。元々はこの街の兵士の訓練場所らしく、かなりの広さがある。
そこにテントを複数建てて、そこに滞在しているようだ。
俺がここに訪ねてきた理由は大きく2つある。竜騎士が預かっていた荷物を俺が預かってたので、それを返却しに来たのだ。色々あって荷物を受け取った事をすっかり忘れていたのだ。真紅の騎士団も忘れていたみたいで、夜になって連絡が来て思い出したのだ。
2つ目は、団長に戦争の様子をうかがいに来た。
「すいませーん。物資担当の人はどこにいますか?」
近くにいた真紅の騎士団の団員に尋ねると丁寧に場所を教えてくれた。自分たちで準備した荷物なので、量もしっかり把握できているため、場所の問題は特になかった。収納系の特質をしっかり理解しているので、大きな箱に詰めてくれていたのも大きい。
「はぁ~、本当に収納アイテムは羨ましいですね。真紅の騎士団にも1つくらいは欲しいですね」
貴重品ではあるが、それなりに数はあるはずなので、実力のある騎士団なら持っていてもおかしくないと思ったのだが、持っていないのにはそれなりの理由があるようだ。
ただでさえ貴族には嫌われている騎士団なので、身を固める装備品ですら予算をとり過ぎではないか? と文官系の貴族にネチネチ言われるらしい。それなのに収納系のアイテムなんて、高根の花なのだとか。
こればっかりは国王もどうにもできないようで、苦労しているのだとか。でも、真紅の騎士団がいないとバカをする貴族が増えるので、必要最低限の予算は勝ち取っているのだとか。
独自に動く際の資金もかなり削られているため、騎馬の管理もままならないのだとか。最近は馬車を曳かせるため以外には、馬を使っていないらしい。大変だな……だからと言ってあげる事は無いのだけどね。
便利に使われているのに不遇ではあるよな。その内、いなくなってもいい貴族を切り捨てたりするんじゃないか? と思うような愚痴だったな。頑張れ!
30分程で愚痴から解放された俺は、その足で団長の所へ向かう。会議や執務に使うテントのようで、そこそこ立派な物が建てられていた。
「失礼しまーす。荷物渡してきたので、団長さんに会いに来ました」
昨日荷物を届けた後に話があると言っておいたので、問題なく団長の下へ通された。
「荷物の件、感謝しているよ。それで今日は話があるという事だが、どんな話かな?」
「戦争の件で少し聞きたくてね。現状は、動員できる人員の所為で不利なんだよな? それでSランクの冒険者であり勇者でもある奴を捕まえているんだが、取り返すために一気に攻めてきたりはしないのか?」
「詳しい事は言えないが、こちらが不利ではあるが、一方的に蹴散らされてここまで進軍されるほど、不利な状況ではない」
そう言われて、来る前にみたマップ先生の様子を思い出す。人員的には、確かに3割程相手の方が多く不利ではあるが、3割多いからと言ってすぐに突破して来れる程甘くはないか……
「それに、捕まえた勇者から少しだが情報が手に入った」
勇者曰く、バスティアンは本気で戦争をしているわけでは無いのだとか。今回の戦争の裏には1つ大きな目的があり、そのために力を貸しているのだとか……騙されてうまく使われてるんじゃね?
俺と同じ事を思ったのか、団長も同じ事を考えていたようだ。同じ日本人であれば、騙される奴がいても不思議ではないか? 直接悪党を切るのでなければ、忌避感も少ないかもしれないしな。
団長が簡単に聞いた内容をまとめて話してくれた。
サラディルには特殊な兵士がいて、そいつらは自国民を切り捨てる悪党なのだとか。バスティアンは、他国の国民でも無為に殺されている現状に愁いて行動をしたのだとか。だが、この街にはそんな兵士はいない。というか、国のどこを探してもそんな兵士はいない。
あるとすれば、悪政をして反乱を起こした平民を切り捨てる貴族はいるいるらしい。そいつ最悪だな。
「1つ聞いていいか? この街というか領主は、真紅の騎士団容認派か?」
「そうだな。一般の兵士までは伝わっていなかったみたいだが、私たちの活動を認めてくれている人物だ。この戦争が無ければ、街の外で起きたような事は無かっただろう。不幸なすれ違いだ」
「じゃぁもう1つ、この近くにある街でここの領主と同じように、真紅の騎士団容認派はいるのか?」
「いないな。もしかして、シュウ殿は我々がそうだと言いたいのか?」
「ん~内容は違うにしても、狙われている可能性は捨てきれない。援軍を出してくれた近くの街の兵士がひいたら、戦況は不利になるぞ?」
それに、ターゲットが真紅の騎士団であれば、バスティアンと組んでこの街を攻める可能性も捨てきれない。裏では真紅の騎士団否定派の貴族が大金を積み上げているかもしれない。
「と、まぁ可能性の一つだ。違うかもしれないし、あっているかもしれない。それを頭に入れて行動した方がいいと俺は思うぞ。出撃する時は罠に気をつけろよ」
俺がそう判断した1つの理由として、マップ先生で確認した時に国境付近で戦闘をしているはずなのに、サラディルとの中間あたりで動いている一団がいるんだよな。待機する位置が明らかに後方過ぎる、というのが気になっていたのだ。
物資担当の団員の話を聞いて、団長の話を聞いて、点と点が繋がった感じなのだ。真紅の騎士団を排除したがっている、何者かによる策略なのでは? と。
俺が竜騎士で連れて来たのは偶然だけど、戦争だからと言って反対派の貴族が移動用の足を用意して、ここまで来させる可能性があったのでは? と思っている。そこまで被害が出ていない事も判断材料の1つだ。
そんなことするんだったら、街ごと潰すんだけどね。わざわざ面倒を自分で増やす必要は無いので、お供にシュリとライムが付いてきている。各自バックパックを背負っており、冒険者風のスタイルである。ちなみにバックパックの中には、スライムが3匹ずつ入っている。
いざという時の足止めに連れてきている。最初はついて来てくれるか不安だったのだが、予想外にバックパックの中に入りたいスライムが多く、ほぼ半分にあたる9匹を連れていく事になったのだ。
狭い中に押し込められても気にしない……というかそれを楽しんでいる様子すらあるスライムは頼もしいな。
俺がなぜ外を歩いているかと言えば、真紅の騎士団に用事があるからだ。
昨日は、ミリーの家族にあった後、すぐに宿へ行き戦争の所為で宿泊者がいなかったので、ちょうどいいという事で貸し切りにしてもらっている。もちろん、全部屋を借りるのと同じだけの金額を出している。
もし途中で新しい客が来たら面倒だし、従魔の事もあるので貸し切りはちょうどよかったのだ。1階の半分くらいが飲食スペースで宿以外に食事処もしていたので、ちょっと微妙ではあったが宿泊エリアには人が入ってこないようにできたのは大きい。
従魔も、ウォーホース以外は全部宿の中に入れてもらえている。ウォーホースは馬車3台分の6匹連れてきているのだが、こいつらが徴発されないか心配であるが、簡単に連れていけるわけも無いので、駆けつける時間はあるだろう。
さて、色々考えながら歩いていたら、真紅の騎士団の駐留している場所に到着した。街の中ではあるのだが、外壁部の近くに広く取られた場所だ。元々はこの街の兵士の訓練場所らしく、かなりの広さがある。
そこにテントを複数建てて、そこに滞在しているようだ。
俺がここに訪ねてきた理由は大きく2つある。竜騎士が預かっていた荷物を俺が預かってたので、それを返却しに来たのだ。色々あって荷物を受け取った事をすっかり忘れていたのだ。真紅の騎士団も忘れていたみたいで、夜になって連絡が来て思い出したのだ。
2つ目は、団長に戦争の様子をうかがいに来た。
「すいませーん。物資担当の人はどこにいますか?」
近くにいた真紅の騎士団の団員に尋ねると丁寧に場所を教えてくれた。自分たちで準備した荷物なので、量もしっかり把握できているため、場所の問題は特になかった。収納系の特質をしっかり理解しているので、大きな箱に詰めてくれていたのも大きい。
「はぁ~、本当に収納アイテムは羨ましいですね。真紅の騎士団にも1つくらいは欲しいですね」
貴重品ではあるが、それなりに数はあるはずなので、実力のある騎士団なら持っていてもおかしくないと思ったのだが、持っていないのにはそれなりの理由があるようだ。
ただでさえ貴族には嫌われている騎士団なので、身を固める装備品ですら予算をとり過ぎではないか? と文官系の貴族にネチネチ言われるらしい。それなのに収納系のアイテムなんて、高根の花なのだとか。
こればっかりは国王もどうにもできないようで、苦労しているのだとか。でも、真紅の騎士団がいないとバカをする貴族が増えるので、必要最低限の予算は勝ち取っているのだとか。
独自に動く際の資金もかなり削られているため、騎馬の管理もままならないのだとか。最近は馬車を曳かせるため以外には、馬を使っていないらしい。大変だな……だからと言ってあげる事は無いのだけどね。
便利に使われているのに不遇ではあるよな。その内、いなくなってもいい貴族を切り捨てたりするんじゃないか? と思うような愚痴だったな。頑張れ!
30分程で愚痴から解放された俺は、その足で団長の所へ向かう。会議や執務に使うテントのようで、そこそこ立派な物が建てられていた。
「失礼しまーす。荷物渡してきたので、団長さんに会いに来ました」
昨日荷物を届けた後に話があると言っておいたので、問題なく団長の下へ通された。
「荷物の件、感謝しているよ。それで今日は話があるという事だが、どんな話かな?」
「戦争の件で少し聞きたくてね。現状は、動員できる人員の所為で不利なんだよな? それでSランクの冒険者であり勇者でもある奴を捕まえているんだが、取り返すために一気に攻めてきたりはしないのか?」
「詳しい事は言えないが、こちらが不利ではあるが、一方的に蹴散らされてここまで進軍されるほど、不利な状況ではない」
そう言われて、来る前にみたマップ先生の様子を思い出す。人員的には、確かに3割程相手の方が多く不利ではあるが、3割多いからと言ってすぐに突破して来れる程甘くはないか……
「それに、捕まえた勇者から少しだが情報が手に入った」
勇者曰く、バスティアンは本気で戦争をしているわけでは無いのだとか。今回の戦争の裏には1つ大きな目的があり、そのために力を貸しているのだとか……騙されてうまく使われてるんじゃね?
俺と同じ事を思ったのか、団長も同じ事を考えていたようだ。同じ日本人であれば、騙される奴がいても不思議ではないか? 直接悪党を切るのでなければ、忌避感も少ないかもしれないしな。
団長が簡単に聞いた内容をまとめて話してくれた。
サラディルには特殊な兵士がいて、そいつらは自国民を切り捨てる悪党なのだとか。バスティアンは、他国の国民でも無為に殺されている現状に愁いて行動をしたのだとか。だが、この街にはそんな兵士はいない。というか、国のどこを探してもそんな兵士はいない。
あるとすれば、悪政をして反乱を起こした平民を切り捨てる貴族はいるいるらしい。そいつ最悪だな。
「1つ聞いていいか? この街というか領主は、真紅の騎士団容認派か?」
「そうだな。一般の兵士までは伝わっていなかったみたいだが、私たちの活動を認めてくれている人物だ。この戦争が無ければ、街の外で起きたような事は無かっただろう。不幸なすれ違いだ」
「じゃぁもう1つ、この近くにある街でここの領主と同じように、真紅の騎士団容認派はいるのか?」
「いないな。もしかして、シュウ殿は我々がそうだと言いたいのか?」
「ん~内容は違うにしても、狙われている可能性は捨てきれない。援軍を出してくれた近くの街の兵士がひいたら、戦況は不利になるぞ?」
それに、ターゲットが真紅の騎士団であれば、バスティアンと組んでこの街を攻める可能性も捨てきれない。裏では真紅の騎士団否定派の貴族が大金を積み上げているかもしれない。
「と、まぁ可能性の一つだ。違うかもしれないし、あっているかもしれない。それを頭に入れて行動した方がいいと俺は思うぞ。出撃する時は罠に気をつけろよ」
俺がそう判断した1つの理由として、マップ先生で確認した時に国境付近で戦闘をしているはずなのに、サラディルとの中間あたりで動いている一団がいるんだよな。待機する位置が明らかに後方過ぎる、というのが気になっていたのだ。
物資担当の団員の話を聞いて、団長の話を聞いて、点と点が繋がった感じなのだ。真紅の騎士団を排除したがっている、何者かによる策略なのでは? と。
俺が竜騎士で連れて来たのは偶然だけど、戦争だからと言って反対派の貴族が移動用の足を用意して、ここまで来させる可能性があったのでは? と思っている。そこまで被害が出ていない事も判断材料の1つだ。
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