ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1143話 雨の日は……

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 2日目・3日目は、午前中に水中バトル(ダマのダイエット)をして、嫁達の準備した新作ジュースを試飲しながら休憩。

 昼食は、メニューは違うがバーベキューや炭火で焼いた物が中心。

 午後は、ゲームやアニメの鑑賞会などをして、夕食は妻たちが中心となってお腹に優しい物を作ってくれている。寝るまでは基本的に自由時間。

 これだとデートと言うよりは……家族サービスみたいな感じかな?

 よくよく考えたら、俺ってまともにデートした事ないから何していいか分からんし! この世界でも一応デートはあるみたいだけど、話を聞くと一緒に食事を食べたり買い物したりするくらいで、旅行はしないとか……

 あれ? 元の世界でもデートっていえば、食事や買い物って普通じゃね? ドライブや旅行は、人にもよるだろうけど、首都圏なら前者の方が多いんじゃないか? 後は、景色が綺麗な所に行ったりとかさ。

 ん~考えても分からない事は諦めよう! みんなも喜んでいるからそれでいいじゃないか!

 ちなみに、妻たちが準備してくれた試作品のジュースは、様ざまな種類の果実水だった。自分たちで色々工夫して、試飲を続けていたみたいで、出来の良かった物の組み合わせを出してくれていた。

 個人的に好きだったのは、ハチミツレモンスカッシュだった。

 地球にいた頃にレモンスカッシュを自分で作ってみた事はあるが、今回程美味しくは無かったのだ。使っている素材もそうなのだが、今回は地球にいた時には使った事も無かった炭酸メーカーのおかげで、好みに合った濃さ、炭酸の強さに調整できたのが大きいと思う。

 地球にいた時の作り方は、レモンを搾ってそれに甘味(ハチミツなど)を入れて、それを炭酸水で割る形だ。この炭酸水もメーカーによっては強さも味も結構変わってくる。そして、レモンの果汁を混ぜる事によって、炭酸水のポテンシャルが下がってしまう。

 だから好みに合わせた物は作りにくかったのだ。

 だけど今回のハチミツレモンスカッシュは、レモンのはちみつ漬け(王蜜使用)を使ってレモンのうま味だけを搾り取り、それを元に生のレモンを搾って酸味ををプラスし、水で割ってから味を調整し炭酸を吹き込む。

 まぁ、炭酸が入る事によって多少味に変化が出たが……いや、味は変わらないだろうけど、炭酸の刺激で感じ方が変わってしまったのだろう。某メーカーが出している物より、数倍は美味しかった。

 今回の場合は、使っている素材からして高級品だからな。王蜜を使っている時点で、日本の自販機で買えるような値段ではないと思う。あ! でも、今って高級自販機とかあるんだっけ? それなら売れるかもしれないな。

 4日目は、あいにくの天気でちょっと強めの雨が降っている。

「そういえばさ、ディストピアなら自動販売機って需要あるかな?」

 外に出られないので、リビングのような所でくつろぎながら話をしている時にみんなに聞いてみたのだ。だが、アニメやマンガを読んでいても、自動販売機と言われてもピンと来ていないようだったので、どういった物か説明する。

「商品が箱の中に入っていて、お金を入れてその商品を買う、ですか……人ではないので自動って事ですね。物によってはありかもしれませんね」

 話を聞いたキリエが一番初めに口を開いて、次々にみんなが発言している。

 完成した商品は保存や衛生の面で難しいが、飲み物系であれば問題ないのでは? と言う感じだった。中には、野菜とかも売るの? 箱が大きくなりすぎて邪魔じゃない? みたいな事を言っていたが、自動販売機で生鮮食品を売るなんて聞いた事ないぞ……多分ないよね?

 飲み物はコップを自分で準備してそこに注ぐ形がいいのか、容器もこっちで準備するべきなのか? という具合の議論もされていた。

 それを聞いて、容器の事を全く考慮していなかった事に苦笑してしまった。この世界には缶詰のような技術はまだないし、飲み物を入れているアルミ缶みたいな物も無い。作ったとしても、使い辛さの所為で浸透しないかもしれないな。

 だけどジュリエットは、違う角度から考えて発言していた。

「今、話に挙がっているのって、ディストピアに関わらず嗜好品でしょ? そんな物を自動で売るって言っても、買い手が多くないと思う。日常的に買われている物で、いざっていう時に足りないと困る物を売るべきだと思う」

 それを聞いてなるほど! と思った。ディストピアの人がいくらお金持ちだと言っても、いつもいつも贅沢ができる程お金を持っている人は少ない。それにある程度は貯めておかないといけないので、日々の食事以外では大きくお金を使う機会はそう多くない。

 そんな高級品を自動販売機で売るのは、微妙だろう。特に飲み物であれば、ある程度まとめて作る事になるし、それで管理が大変になる事は目に見えている。

 ただ、日常的に使われている物で足りなくなる物って何だろ?

 そんな事を考えていたら、すぐに答えが聞こえてきた。

 主食に使える物で保存が容易な物、小麦やお米、塩等ならどうだろうか? という事だった。

 塩は生きるための必需品なので、きらす事は基本的に無いがいざと言う時のために無いと、近所の人や親族にもらいに行かねばならなくなる。昼間なら買いに行けばいいが、朝や夜だとそういう訳にもいかない。そんな時にあれば便利なのでは? との事だった。

 ディストピアではみんなで助け合っている事が多いので問題ないが、他の街では需要があるかもしれないね、という話だ。

 小麦粉やお米なら1キログラムずつ包んでおけば、衛生的にも問題ないだろう。あれば便利かもしれないので、帰ったらグリエルに話してみるか?

「でも、この自動販売機ってきっとディストピア以外では、設置なんて考えられないよね。絶対に壊して箱の中身を盗もうとしたり、箱ごと盗むかもしれないもんね。ある程度武器の扱いに長けている人なら、高級な金属を惜しげもなく使わないと、簡単に壊せそうだもんね」

 高級な金属を使えば更に盗もうとする人が増えるかもね! と笑い話のように付け加えていた。

 そういえば、日本以外では結構限定的な場所にしか、自動販売機が無かったって話を聞いた事があるな。壊されるリスクが高すぎて設置しないとかなんとか……日本でも不届き者はいるが、他の国ではもっと多いのだろう。

 まぁ、グリエルには聞くだけ聞いてみるか?

 午前中は談話をしながらダラダラしていたが、午後になると体を動かしたい! と言い始めたので、トレーニングルームへ移動して、使っていなかった船の空白部分に流れるプールを応用したその場で泳げる君! を作成。名前がよくわかってない機械だったので適当に名付けた。

 思いのほかダマが気に入ったようで、2時間くらいすごい速さで泳いでいた。
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