ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,142 / 2,518

第1142話 頑張れダマ!

しおりを挟む
 俺は夕食の準備ができるまで、のんびりとダマのダイエットプランを考える事にした。

「ん~水の中でトレーニングさせたら、効果が上がったりするのかな? 筋肉と消費量の関係ってどうなってるんだ? 筋肉が増えれば、基礎代謝が上がって消費カロリーも高くなるんだっけ? ルームランナーを改造して高速で走れるようにするか?」

 そんな事を考えながら口に出していると、ダマが若干震えているような気がする……がここで甘くしてしまうと、陸に上がった時にマジで地獄を見る事になるから本当に頑張れよ。

 とりあえず簡単な所から! 走らせよう!

 ヤンヤヤンヤ言っているダマを小脇に抱えながらトレーニングルームに来た。でも、お前だけにやらせるわけじゃないから……俺も一緒に運動するから頑張ろうぜ。

 まずはルームランナーを改造して、ダマのスピードにもついていけるようにした。こいつは、小さくても動きは早いのだ。今は分からないけど、スピード自慢の斥候陣よりも早く走れるのだ。

 地球の人類最速が確か……約時速40キロメートル。とはいえ、人間はこのスピードで走れても、20秒程が限界だろう。地球上で最速の地上動物はチーターで、その速度は約120キロメートルと言われているが、人間と同じで20秒ほどが限界らしい。

 人間なら200メートル位だが、チーターはその20秒で660メートル程走るという事だ。獲物をとるために追いかけるので、直線で走るわけではないため、実際にはここまで長い距離は走らないのだけどね。

 俺がこの世界に来てしばらく経った頃にあったホモーク……あれを倒した後に森を走って出た時に、3キロメートル位ある距離を、マラソン選手と変わらないくらいのスピードで走ってるんだよな。

 足場が悪い、木が邪魔で直線で走れない、という事を考えればマラソン選手より速かったかもしれない。あの時は付与魔法なんかをフルに使ってたから、レベルが低くても速かったよな。

 今ならその程度であれば、ジョギングレベルのスピードである。

 魔法などを使わない肉体のみに限定して、長距離を走る前提の最速であれば、チーター並みの速度で走り続けられる。なりふり構わずであれば、その倍くらいはスピードが出るだろう。これに魔法を加えれば、長時間は無理だが新幹線より早く走れると思う。

 そう考えると俺の体ってバカげたスペックだよな、正確に測った事が無いから分からないけど。

 そんな俺たちよりダマは速いのだ。それに合わせてルームランナーを調整しなおす。

 渋々と言った様子だが、ダマは走り始めた。短足なぬいぐるみみたいな見た目をして、普通に時速120キロメートル程で走っている。見た目が見た目だけに、ちょこまかと走っている姿が可愛い。

 やっぱりなまっていても聖獣なのだろう。1時間程走り続けても息切れを起こす様子はない。徐々にスピードを上げて、今は時速180キロメートル位で走っているのだ。本当にすごいな。

 でもさ、カロリー消費って意味なら大きな体になった方がいいのかな? でもさすがにそのサイズのルームランナーはすぐには準備できないな~

 あ~水流を人工的に作り出して、泳ぐ機械みたいなのがあったよな……あれなら、流れるプールを応用して作れんじゃねえかな? 後で考えてみるか。

 ダマと一緒に運動していたら時間を忘れていたようで、もうすぐ夕食の準備ができると館内放送が入った。

 あっ! 何処にいるか分からなくて、館内放送をつかったのか。せめて話してから行くべきだったな。

「ダマ! 食事になるから、その前にシャワーを浴びていこう」

 ダマは全身毛だらけなので乾かすのに時間がかかるのだが、今回は水魔法で解決した。きちんとした手入れはお風呂に入った後な。

 夕食は、久しぶりに妻たちが主体で作ったようだ。メニューの主役は、ポトフのようだ。たっぷりの野菜にソーセージも入っている。妻たちが準備期間に手作りで準備したらしい。野菜も自分たちで作っていた物で、スープも自分で準備したものだとか。

 本当にすべてを自分たちの手で作った、手作り料理だと……そう考えるとすげえな!

 特別な味付けがされているわけでは無かったが、本当に美味しい料理だった。お昼はかなりガッツリ食べているので、夜は大人しめの献立で野菜が中心だったが、満足できるボリュームだった。ダマにはちょうどよかったかもな!

 そう思った時にダマが太った話をしたら、確かにと頷いていたので明日もしっかり運動をするぞ!

 夕食の片付けはブラウニーたちが率先して行うため、俺たちの出番はない。食休みも兼ねて、みんなでゲームをする事にした。パーティーゲームで1時間程楽しんだ後は、お風呂に入った。

 ダマの毛が少しキシキシしていたので、動物用のコンディショナーも使って毛のケアを行った。綺麗に拭いた後は、ドライヤーで乾かしながらブラッシングをする。

 夜は年中組の用意した映画アニメを見てから寝た。その間にダマは、専用のベッドでぐっすり寝ていた。

 シエルやグレンも戻ってきており、自分たちの寝床で寝ていた。

 次の日の朝食は、焼きたてのパンに昨日のポトフを、ホワイトシチューにアレンジしたものが出てきた。良い出汁も出ており、パンに付けて食べると絶品だった。飲み物に牛乳に王蜜を入れた特製の物が出てきた。ちょっと牛乳成分が強くない? とも思ったが美味かったので気にする事は無くなった。

 昨日の水遊びが楽しかったのか、今日も午前中にあのハチャメチャな水中バトルをするようだ。俺もダマも一緒になって参加する事になった。

 ただ今回の水中バトルは、ダマがターゲットになって、全力で逃げるダマをみんなで水をかけるという形だ。

 動物虐待ではなく、トレーニング……ダイエットの一環で大きくなったダマに攻撃を仕掛ける形になった。

 大きくなったダマは、ちょっとお腹のあたりに脂肪がついたかな? と言う感じだが、全体的にはムッキムキに見える。四足歩行の動物が潜水したり、水の中を自在に駆け回ったり、非常識な光景を見ながらもみんなで楽しんだ。

 もちろん反撃もあるし、助っ人のシエルとシールドの援護もあってかなり白熱したバトルになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...