ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,128 / 2,518

第1128話 リバイアサンの暴走?

しおりを挟む
 ミーシャ、お前が何かしたのか?

 リバイアサンにお願いしていた10階に姿を現したのを見て、再度ミーシャの事を見つめる。

 そんな俺の様子が面白いのか、顔をペチペチしてくる。さすがにミーシャの言葉にならない声で、リバイアサンが動くわけないよな……俺のいう事あんまりきかねえしな。今回もシェリル・イリア・ネルの3人に頼んで、やっと参加してもらえるようになったからな。

「ちょっと待つでござる!」

 ミーシャの事を見ていたら、バザールから慌てた声が聞こえてきた。その声に反応して俺は、バザールの見ているテレビに目を向ける。顔をペチペチしているミーシャをそのままにしておくと見辛いので、俺と同じ方向へ向くように座り直させる。

 そこには体を100メートル程まで大きくしたリバイアサンが映っていた。まだ上の階にも、敵側の魔物が入り込んでいないのに、体のサイズを大きくする必要は無かったのだが、大きい状態になっている。

 その様子を見つけたミーシャは俺の膝から抜け出し、テレビの前へタタタタッと音がしそうな速さで移動した。テレビの位置が高いためアダアダ言っていたのをみたバザールが、見やすい位置のテレビにリバイアサンを映していた。

 それを見て声を上げているミーシャ。それに答えるように画面の中のリバイアサンが、声を上げるように口を大きく開きスキルを発動した。

 以前、俺がダゴンと呼んでいた水棲魔物と同じスキルだ。リバイアサンは水が無くても問題ないのだが、水があるとその戦闘能力は格段と高くなる。

 ダゴンは強い事は強かったが、純粋な戦闘能力だけで考えるとSランクとは言い難かった。スキルやスキルを応用した際の戦闘力が高いので、Sランクと遜色が無かったのだ。

 それに対してリバイアサンは、水が無くても純粋な戦闘能力だけでSランクを圧倒できる。そもそも水が無くても、本来の姿に戻れば体当たりだけでも相当な凶器である。スキルをあわせれば怖い物等ないのではないかと思う。

 それにそう考えると、SSSランクの聖国の冒険者はヤバかったな。負けたとはいえ、本来のサイズのリバイアサンのフィールドで、それなりの時間耐えて見せたんだからな。まだ見ぬSSSランクが俺らの所に来ないといいな……

 そんな事を思い出しながらリバイアサンの様子を見ていると、ミーシャがスキルを使っている様子を見て超ご機嫌なのだ。ちょっとジェラシーを感じる。

「シュウ君、何リバイアサンに嫉妬してるのよ」

「え? 何で分かった?」

「そんな顔してれば誰だって分かるわよ」

 周りを見ると、カエデもリンドも呆れた顔をしている。デジャヴュを感じる。

「そんな事より、リバイアサンが何かしてるけどいいの?」

「そうだった! 何でリバイアサンがあそこにいて、スキルを発動しているんだ? 何をしたいんだ?」

「拙いでござる! 10層を満たした水が9層にまで入り込んでいるでござる!」

 マジか! リバイアサンやダゴンのスキルで生み出された水って、スキルを解除するまでダンジョンに吸収される事がないんだよなって事は、リバイアサンは自分の意志で10階を水で満たして、9階まで侵食しているのか?

「マジで何考えてるんだ? 他の階まで水を満たして何か意味があるんかな?」

「呑気にそんな事言っている場合じゃないでござる! このまま水で満たされたら、さすがにバッハやワイバーンの家族が死んでしまうでござる!」

 俺はハッとして、バッハたちの逃げ道を確保する事にした。

 色々試した結果、ダンジョンの中は全く手が付けられなかったけど、ダンジョンの外はいじる事ができたので、ダンジョンのギリギリまで外から通路を繋げて、薄い壁になっている所をぶち抜いて出て来てもらう事にした。

 最下層から送り込んでいたゴーレムたちは、9階でリバイアサンの水に捕まり動きが遅くなっている。このままだと意味がなくなるので、バッハたちと同じように回収した。

「あ~あ、これで9階には魔物が1匹もいなくなっちまったな。10階にリバイアサン1匹……十分な戦力だけどこれってどうなんだ」

「シュウ、8階にまで水が到達したみたいよ」

 うっは……ダゴンはこんな広範囲じゃなかったのに、リバイアサンのスキルの範囲えげつないな。

「誰か魔物を送り込んだでござるか? 10階の魔物が増えているでござる」

 俺も綾乃も首を振る。では何でと思い、バザールがカメラを必死に切り替えながらリバイアサンを観察している。俺も一緒にいろんな角度で設置させたカメラを見て目が点になった。

「リバイアサンが産卵してる」

 産卵した卵からリバイアサンとは見た目の違うが、細長い水棲魔物が産まれてきている。

「シュウ君、これって本当に卵? どう見ても卵より大きなモノが産まれてきている気がするんだけど」

 ミリーの指摘は俺も感じていた。おそらく直径1メートル程の卵状の物から、20メートル近いウミヘビみたいなものが産まれてきているのだ……どういうことだ?

「どうやら、シーサーペントという種族でござる」

 ミリーはシーサーペントを知っていたようだが、説明の内容はかなり物騒だった。海の近くの街を普通に襲う海のギャングだそうだ。俺が作った街とか大丈夫かな……

「他にも、アクアドレイクも出てきたでござる!」

 まさかの水龍って何でそんなものが産まれて来てるんだよ!

「あ……しかも勝手に階層移動し始めたでござる。そのまま8階に突撃しそうでござるよ」

 上にあげた熊はいつの間にか全滅しており。水があふれ出してきた8階では、相手側の魔物たちが慌てている。今まで来た道を高速で戻っている様子がわかる。

 8階が水没すれば、水棲かアンデッドでもない限り死んじまうもんな。まぁリバイアサンを最下層に配置したのは、水陸両用の魔物じゃないと、まず10階を攻略できないという最強のトラップとして、配置したつもりだったんだけどな。

 いつの間にか暴走を始めて、8階まで浸食を始めてしまった。

 それにしても、Sランクだと思われる魔物たちは移動のスピードが早いな。使い捨てだと思われる魔物たちとは、ずいぶん距離が離れているように見える。

 俺たちみたいに魔導無線とか使って指示をしているわけではないのに、どうやって命令を出しているんだろうな……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...