ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1123話 ルールの抜け道?

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 目の前に現れた骨ゲーターは、前と見た目は変わらず上にスケルトンが乗っているだけだった。

 その骨ゲーターの上に乗っているスケルトンが、みんな同じ姿なのだが今までになかった物が増えているのだ。

「何で腕が6本に増えてんだ?」

 シュウの口にした言葉が、バザール以外のここにいるすべての人の心の中を表している。

 見た感じ、3対6本の腕はスケルトンと同じ、肩から少しずれて縦に生えている。おそらくだが、その真ん中の腕が元々あった腕ではないかと思う。

 一番下の腕が、骨ゲーターの背中側の肋骨……ワニも肋骨でいいのか? 背中の骨をしっかりとつかんでおり、自分の体がズレないように固定しているように見える。他にも足の親指と人差し指を骨ゲーターの骨に絡みつけている。

 これなら確かに落ちないだろうけど……それより気になるのが、残りの4本の腕の内真ん中にある1対が、弓を構えている。そして一番上にあたる1対の腕が右手に剣、左手に盾を持っていた。

 そして魔法使いタイプのスケルトンの場合は、一番下は変わらず骨を掴んでいるが、真ん中も変わらず弓を持っており、上の腕も左手に持っているのは盾だ。違うのは右手に持っている武器が杖だという事だろう。

 前者のスケルトンはまだいいよ。近接と遠距離どっちもこなせる万能型みたいでさ……でも後者の魔法使いのスケルトンは、攻撃用の腕が全部遠距離に対応しているのはどうなの?

 そんな事を考えていると、杖を持ったスケルトンがシュッシュ、と言わんばかりにシャドーを始めた。杖術とでも言いたげな素振りだ……って何で骨のお前まで、俺の考えている事が分かるんだよ!

 少し落ち込んでいると、バザールが声を上げた。

「凄いでござる! 2人共、スケルトンが座っている骨ゲーターの背中の部分を見るでござる!」

 バザールに促されて座っている部分を見てみるが……ただの骨なんだけど、何かあるのか? 綾乃と2人で首をかしげていると、

「察しが悪いでござるな、よく見るでござるよ。スケルトンが乗っている部分だけ、骨の形が変わっているでござる! この骨ゲーターは、アダマンコーティングされた特殊な個体でござる。だから座っているうちに削れてという事は無いのでござる」

 そこまで言われて俺たちはやっと理解した。

 耐久度を超える攻撃を受けたわけでもないのに骨が変形しているという事は、現状に合わせて骨が変形したことを意味する。スケルトンが乗る事が前提の状態になっているという事だ。

「これも共存っていう事なのかな?」

「鞍も手綱もいらないでござるから、すぐに出発できるでござるな!」

 色々考える事を放棄して送り出した。とりあえず20組40体を追加で相手のダンジョンに送り込んだ。

「おぉ~早いな。もしかしたら、針を回収しに行ったスケルトンに追いつくんじゃねえか?」

「しまったでござる! 連絡用の無線もカメラも持たせるのを忘れたでござる!」

「あ~それは拙い……ウィスプも全部戻ってきたから、追加で送り出してもいいか。残ってる、骨ゲーターに乗っているスケルトン、仮にスケルトンライダーとでも呼んでおこうか。そいつらに魔導具を取り付けようか」

 3人で分担作業をして、5体に30分程で取り付けて、そのまま送り出し合流するように命令した。

 これで骨ゲーターとスケルトンライダーが25体ずつ、スケルトンが29体の合計79体で攻撃をしている。

 他の魔物は、役に立たないと判断して全部引き上げさせている。アイテムを回収させに走らせているスケルトンが3体と、中継器を持たせているスケルトンが1体。5体1組のスケルトンが5組か。

「後21体枠があるけどどうするでござるか?」

「どうすっかな」

「この際さ、人造ゴーレムも投入しない? この前さ、完全自立型を作ろうと思って、データを集めている最中なんだよね。こういった相手のダンジョンの情報もあったらいいかな~って思うんだけど」

「それは無理じゃないでござるか? あいつらは魔石を加工した魔核で動いているでござるが、そもそも魔物じゃないでござる。それに体験した情報を回収するためには、魔核を確実に回収しないといけないでござる」

「それがね、経験したデータをリアルタイムで情報蓄積用の魔核に、送信してくれるシステムができたんだよ。今回の通信網を使えば、最悪回収できなくても経験した情報だけはゲットできるわ!」

 予想の斜め上を全力で駆け上がっている発言だ。まさかリアルタイムでデータを収集するとは……

「あ! 大分前にSランクの魔核が5個欲しいとか言ってた時の奴か?」

「正解! 1つは、収集した情報を蓄積する魔核に。もう1つは、収集した情報を選別し残りの3つの魔核に情報をランダムに送る魔核に。

 情報を送られた3つの魔核は、お互いを監視するようなシステムで、各自情報を精査して残りの2つの魔核に情報を上げて検討して、満足する物になったら初めの情報を蓄積する魔核に戻す、って感じのをつくったの!」

 綾乃がめっちゃドヤ顔をしている。なんかイラッとしたので、この前覚えた魔力弾のスキルを綾乃のおでこにとばした。魔力を抑えた魔力弾なので、デコピンをされたような痛みしか感じない絶妙な調整をしている。

「いった~! 何するのよ!」

「ちょっとイラッとしたからやった。後悔も反省もしてない!」

「開き直りすぎでしょ!」

 火を噴くような勢いで抗議をしてくるが華麗にスルー!

「じゃれ合うのは良いでござるが、人造ゴーレムを送りだせないのでは、意味が無いでござらんか?」

「確かルールは【相手のダンジョンを攻める魔物の上限は1度に100匹まで】だったはず。魔物以外は数に含まれないとすれば、人造ゴーレムは問題ないはず!」

「屁理屈でござるが、ルールには違反していないでござるな」

「あれ? そうなるとさ、そのルールを作った相手側も、そこは理解しているんじゃない? って事はさ、何か秘策があるって事かな?」

 綾乃の言っている事を改めて考え直す。

「よく考えたら、1階で魔物以外にクリエイトゴーレムで作ったゴーレム使ってるじゃん! 人造ゴーレムはいうなれば、究極のゴーレムの完成系の1つだろ? 元は同じじゃん、何故すぐに気が付かなかったし!」

「そういえば、トラップの代わりに使ってたから、ダンジョンの一部みたいに思ってたわ。ならさ、私が作った新作の人造ゴーレムを試したい!」

 そう言って、俺が止める間もなく自分の工房に走っていってしまった。忙しい奴だな。
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