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第1118話 一進一退
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「で、どうするでござる? 誰に魔導無線を持たせるござるか?」
「獣系の魔物に持たせるのは微妙なのよね。視点が違うから私酔いやすいのよね」
「あ~分かるでござる!」
「「えっ!?」」
「骨でも酔うのか?」
「失礼な! 体が骨でも、脳が……違ったでござる。精神がゆらゆらするでござる!」
俺と綾乃は顔を見合わせて、笑ってしまった。確か酔いって三半規管がうんたらなって、気持ち悪くなるんじゃなかったっけ? 物理的なモノじゃなくても様って事か? って、画面酔いはどうやってなるんだっけ?
気にするだけ無駄か。
「獣系はなしって事になると、やっぱり前みたいにスケルトンの肩とかに乗せるか?」
「あれだと、戦闘の際にダメージで壊れそうでござるな」
「スケルトンね……頭の中に埋め込むのはダメなの? バザールみたいに空洞なんでしょ?」
「「あっ!!」」
「その手があったでござる! 頭の中にカメラと緩衝材を入れて、肋骨の内側に魔導無線と緩衝材、その周りを防具で包めばいけるんじゃないでござるか?」
そこから30分ほどどうするか悩んだ結果、バザールが最初に出した意見を少し改良して使う事にした。
スケルトンの力であれば、多少のバランスの悪さは気にならないが、鎧は密着させ過ぎると動きが阻害される恐れがあるので、肋骨の中に動きが阻害されないように緩衝材と魔導無線を収める形になった。
「カメラの方は思ったより簡単だったな。スケルトン、分解してすまんな。おかげでやり易かったし、細かい所まで頭は調整できたよ」
頭蓋骨の中にカメラをセットするが、今回は中に箱を作るような形でカメラと緩衝材をセットしている。箱はオリハルコン合金を使っているので破損は恐らく大丈夫だろう。目の部分には、特殊強化ガラスをゴーレム化して、自動修復できるようにしている。
カメラをむき出しにしてたら、いくらクリエイトゴーレムでゴーレム化していても、熱とか雷系の攻撃で壊れる可能性があるのでそれの対策も兼ねている。
肋骨の中に収める魔導無線は、体の動きを阻害しないように何度も調整している。無線の外側をオリハルコン合金製にしたり、カメラと魔導無線を繋げるラインをアダマンコーティングしたりしている。
一番苦労したのは、緩衝材を入れてもスケルトンが違和感を感じてしまったので、アダマンタイトの糸で肋骨と魔導無線、背骨と魔導無線などを繋げて、何度も調整して問題ない所を発見している。調整に6時間もかかってしまっている。
「あ~疲れた。肋骨って思っている以上に形が変わってるんだな」
「そうでござるな。普段意識していない場所って、予想以上に動いているでござる。あれでござるな。普段しない動きをするとすぐに筋肉痛になるあれに似ているでござる!」
「「……」」
「あれ? 何で睨んでくるで無言でござるか?」
「お前さ、骨しかねえのに何で筋肉痛がとか言ってるんだよ。アンデッドジョークじゃないな、スケルトンジョークだとしても微妙だぞ」
「最近、そんなテレビを見たでござる。何となく流していたテレビでござるから、何か覚えていないでござるが、自分が体験したように感じてしまったでござるよ。なにせ肉体が無いでござるから、そういう情報には敏感なのでござる!」
DPで召喚する事ができる、各テレビ局の番組DVDをランダムに流していた時に見た物だろう……ってかさ、この世界で日本のテレビの情報番組とか、特集を見て面白いのだろうか? それなら、ドラマとかの方が面白いと思うんだけどな。
あ、妻たちは、アニメや映画、ドラマも好きでよく見ている。
「物好きね。私なんかゲームや小説、漫画、アニメばっかりよ。テレビ何て見てる暇がないわ」
ばっかりっていうけど、そのラインナップだと、引きこもりの人が常備してそうなラインナップだよな。
「まぁそこら辺はどうでもいいわ。スケルトンに装着する事ばっかり考えて、相手のダンジョンで使えるか確認してなかったわ。準備したのに使えないとかないよな?」
バザールと綾乃も俺と一緒に苦笑してしまった。
「き、気にしても仕方が無いでござる! とにかく使ってみるでござるよ!」
スケルトンの1体を送り込んで、そこでまさかの事態が起きた。
「マジか~使えないとか、俺たちの時間を返してくれ!」
たっぷり10分ガックリとしながら、どうするか考えていた。その様子を見ていた、ミーシャが俺を慰めるため(俺の主観的な希望)に、タトタトと俺の膝に乗ってきた。
しっかりと見えているか分からないけど、こんな顔をしているのは良くないよな。笑顔笑顔!
「ん~ミーシャは可愛いな!」
わきの下に手を入れて抱き上げ、ミーシャのお腹に顔をうずめてグリグリする。そうすると、何か面白かったのかキャッキャと喜んでくれたので、しばらく続けていると、ペチペチと叩かれた。やめろって事かな?
膝の上にミーシャを乗せて、どうするかぼんやりと考えていると……猫と遊んでいたスミレとブルムがこっちに寄って来た。何で遊んでいたのかとみていると、毛糸を転がしていた。
それを見ていたバザールが、
「無線だからダメなのでは無いでござらんか? 空間は繋がっているでござるが、全く違う空間を神たちの力で繋げているでござる。その部分だけでも有線に出来れば、何とかなるでござらんか?」
「「それだっ!!」」
俺は慌てて、有線ケーブルを準備して切れないようにアダマンコーティングを施していく。バザールと綾乃が魔導無線の中継器を準備してくれた。
「これをもっていくでござる!」
バザールの指示を受けてスケルトンがガチャガチャと移動し始めた。
中継器を内蔵させたスケルトンが有線ケーブルを背負って相手のダンジョンに入っていく。
「「「キターーーーーーッ!!!」」」
俺たち3人は思わず声を上げしまった。
有線ケーブルを持ったスケルトンが相手のダンジョンに入ったと同時に、先行していたスケルトンの映像が映ったのだ。
「これで相手のダンジョンが丸裸だ! バザール、先行していた魔物たち……半分くらい戻して、スケルトンをその分送り込もう。念のため後4体くらいカメラを装備したスケルトンを作っておこう」
そう言って、俺たち3人は慌てて準備を始める。
準備が終わり送り出した後、思い出したように……
「あっ! そういえばダンジョンバトル中だから、こっちも攻められてるんだよな? どうなってるんだろ?」
そう言うと、それを聞いていたスプリガンの1人が状況を説明してくれた。
簡単に言えば、俺の準備した立体フロアは相手をとにかく迷わせているようで、未だに突破されていないそうだ。
ちなみに2階への入口は、約1時間に1回ルートが変わるようになっている。相手の魔物が感知範囲にいない時に動くようにしている、俺たちの作ったゴーレムだ。
立体と言う事には気付いたようだが、壁が動いている事にはまだ気付いていないらしい。その日の寝る前にチビ神がゲラゲラ笑って念話を寄越した。
「獣系の魔物に持たせるのは微妙なのよね。視点が違うから私酔いやすいのよね」
「あ~分かるでござる!」
「「えっ!?」」
「骨でも酔うのか?」
「失礼な! 体が骨でも、脳が……違ったでござる。精神がゆらゆらするでござる!」
俺と綾乃は顔を見合わせて、笑ってしまった。確か酔いって三半規管がうんたらなって、気持ち悪くなるんじゃなかったっけ? 物理的なモノじゃなくても様って事か? って、画面酔いはどうやってなるんだっけ?
気にするだけ無駄か。
「獣系はなしって事になると、やっぱり前みたいにスケルトンの肩とかに乗せるか?」
「あれだと、戦闘の際にダメージで壊れそうでござるな」
「スケルトンね……頭の中に埋め込むのはダメなの? バザールみたいに空洞なんでしょ?」
「「あっ!!」」
「その手があったでござる! 頭の中にカメラと緩衝材を入れて、肋骨の内側に魔導無線と緩衝材、その周りを防具で包めばいけるんじゃないでござるか?」
そこから30分ほどどうするか悩んだ結果、バザールが最初に出した意見を少し改良して使う事にした。
スケルトンの力であれば、多少のバランスの悪さは気にならないが、鎧は密着させ過ぎると動きが阻害される恐れがあるので、肋骨の中に動きが阻害されないように緩衝材と魔導無線を収める形になった。
「カメラの方は思ったより簡単だったな。スケルトン、分解してすまんな。おかげでやり易かったし、細かい所まで頭は調整できたよ」
頭蓋骨の中にカメラをセットするが、今回は中に箱を作るような形でカメラと緩衝材をセットしている。箱はオリハルコン合金を使っているので破損は恐らく大丈夫だろう。目の部分には、特殊強化ガラスをゴーレム化して、自動修復できるようにしている。
カメラをむき出しにしてたら、いくらクリエイトゴーレムでゴーレム化していても、熱とか雷系の攻撃で壊れる可能性があるのでそれの対策も兼ねている。
肋骨の中に収める魔導無線は、体の動きを阻害しないように何度も調整している。無線の外側をオリハルコン合金製にしたり、カメラと魔導無線を繋げるラインをアダマンコーティングしたりしている。
一番苦労したのは、緩衝材を入れてもスケルトンが違和感を感じてしまったので、アダマンタイトの糸で肋骨と魔導無線、背骨と魔導無線などを繋げて、何度も調整して問題ない所を発見している。調整に6時間もかかってしまっている。
「あ~疲れた。肋骨って思っている以上に形が変わってるんだな」
「そうでござるな。普段意識していない場所って、予想以上に動いているでござる。あれでござるな。普段しない動きをするとすぐに筋肉痛になるあれに似ているでござる!」
「「……」」
「あれ? 何で睨んでくるで無言でござるか?」
「お前さ、骨しかねえのに何で筋肉痛がとか言ってるんだよ。アンデッドジョークじゃないな、スケルトンジョークだとしても微妙だぞ」
「最近、そんなテレビを見たでござる。何となく流していたテレビでござるから、何か覚えていないでござるが、自分が体験したように感じてしまったでござるよ。なにせ肉体が無いでござるから、そういう情報には敏感なのでござる!」
DPで召喚する事ができる、各テレビ局の番組DVDをランダムに流していた時に見た物だろう……ってかさ、この世界で日本のテレビの情報番組とか、特集を見て面白いのだろうか? それなら、ドラマとかの方が面白いと思うんだけどな。
あ、妻たちは、アニメや映画、ドラマも好きでよく見ている。
「物好きね。私なんかゲームや小説、漫画、アニメばっかりよ。テレビ何て見てる暇がないわ」
ばっかりっていうけど、そのラインナップだと、引きこもりの人が常備してそうなラインナップだよな。
「まぁそこら辺はどうでもいいわ。スケルトンに装着する事ばっかり考えて、相手のダンジョンで使えるか確認してなかったわ。準備したのに使えないとかないよな?」
バザールと綾乃も俺と一緒に苦笑してしまった。
「き、気にしても仕方が無いでござる! とにかく使ってみるでござるよ!」
スケルトンの1体を送り込んで、そこでまさかの事態が起きた。
「マジか~使えないとか、俺たちの時間を返してくれ!」
たっぷり10分ガックリとしながら、どうするか考えていた。その様子を見ていた、ミーシャが俺を慰めるため(俺の主観的な希望)に、タトタトと俺の膝に乗ってきた。
しっかりと見えているか分からないけど、こんな顔をしているのは良くないよな。笑顔笑顔!
「ん~ミーシャは可愛いな!」
わきの下に手を入れて抱き上げ、ミーシャのお腹に顔をうずめてグリグリする。そうすると、何か面白かったのかキャッキャと喜んでくれたので、しばらく続けていると、ペチペチと叩かれた。やめろって事かな?
膝の上にミーシャを乗せて、どうするかぼんやりと考えていると……猫と遊んでいたスミレとブルムがこっちに寄って来た。何で遊んでいたのかとみていると、毛糸を転がしていた。
それを見ていたバザールが、
「無線だからダメなのでは無いでござらんか? 空間は繋がっているでござるが、全く違う空間を神たちの力で繋げているでござる。その部分だけでも有線に出来れば、何とかなるでござらんか?」
「「それだっ!!」」
俺は慌てて、有線ケーブルを準備して切れないようにアダマンコーティングを施していく。バザールと綾乃が魔導無線の中継器を準備してくれた。
「これをもっていくでござる!」
バザールの指示を受けてスケルトンがガチャガチャと移動し始めた。
中継器を内蔵させたスケルトンが有線ケーブルを背負って相手のダンジョンに入っていく。
「「「キターーーーーーッ!!!」」」
俺たち3人は思わず声を上げしまった。
有線ケーブルを持ったスケルトンが相手のダンジョンに入ったと同時に、先行していたスケルトンの映像が映ったのだ。
「これで相手のダンジョンが丸裸だ! バザール、先行していた魔物たち……半分くらい戻して、スケルトンをその分送り込もう。念のため後4体くらいカメラを装備したスケルトンを作っておこう」
そう言って、俺たち3人は慌てて準備を始める。
準備が終わり送り出した後、思い出したように……
「あっ! そういえばダンジョンバトル中だから、こっちも攻められてるんだよな? どうなってるんだろ?」
そう言うと、それを聞いていたスプリガンの1人が状況を説明してくれた。
簡単に言えば、俺の準備した立体フロアは相手をとにかく迷わせているようで、未だに突破されていないそうだ。
ちなみに2階への入口は、約1時間に1回ルートが変わるようになっている。相手の魔物が感知範囲にいない時に動くようにしている、俺たちの作ったゴーレムだ。
立体と言う事には気付いたようだが、壁が動いている事にはまだ気付いていないらしい。その日の寝る前にチビ神がゲラゲラ笑って念話を寄越した。
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