1,113 / 2,518
第1113話 不思議繊維
しおりを挟む
冒険者ギルドに着いた俺は、繊維素材の多くでるダンジョンの情報を集めた。
自分のダンジョンなのにと思うだろうが、正直な所作っただけでどんな魔物がいるかまでは分かるのだが、どんなドロップ品があるかまでは分からないのだ。
「どうも! ちょっと調べに来たんだけど、今の時間って忙しかったりする?」
「えっと……この時間は冒険者の方々も少ないので、忙しくはないのですが」
何やら変な目で見られている気がするけど、何なんだ? 冒険者の対応は忙しくないけど、事務作業が多いから邪魔するな? みたいな感じか?
「あ~すみません。手が空いてないのでしたら、また来ます」
ホッとした様子を見せた受付嬢を見て、失敗したなぁ、と思いながら冒険者ギルドを後にする。
冒険者ギルドの中からバタバタと走る音が聞こえ、何か緊急の事件でもあったのかと思い、邪魔にならないように道の端によって様子を見ていた。
あ~あの人見覚えがある職員だな。結構上の人だったはずなのに、あの人が走ってまでしなきゃいけない仕事って何だろうな?
何か探してるのかな? 人探し? まさか俺じゃないよな? 今日ここに来たのはたまたまだしな。
ん~、素材を探しに来たのに困ったな。
今日も護衛で俺の近くをトコトコと小さい姿で歩いているダマの前に座り込み、
「どうしよっか?」
と言いながら、顔をわしゃわしゃしたり背中を撫でたりしてみる。
『気分晴らしに屋台で、買い食いをしてみてはどうですかにゃ?』
少し考えて、それもありかなと思い、ダマを左腕で抱え込むように抱っこをして、屋台エリアへ向かった。
「ダマは何が食いたい?」
ダマは小さいサイズだとあまり食べないでも平気なのだが、食べても問題はないのでダマが食べたい物を、いくつか分けてもらおうと考えたのだ。
『甘い物がいい、最近出来たと噂のクレープとかはどうですかにゃ?』
「いいね! どんなトッピングがあるか楽しみだ」
人に聞きながらクレープ屋さんを探し出しメニュー表を見る。
ゴーストタウンでは文字が読めない人もいるので、メニュー表は絵が基本だ。肉串とかなら話は別だが、いろんな種類がある物は、特にこのメニュー表が大事になってくる。
俺はその中で、ベリー系を混ぜた生クリームのクレープが気になった。ダマはオーソドックスなチョコバナナを希望したので2つを注文する。
ゴーストタウンは、バザールが中心となっている酪農が盛んなので、最近はこういった嗜好品も多くなってきている。
それもこれも、ゴーストタウン自体が景気がいいので買う人間も多いのだ。
市場に供給する分はしっかりと計算されており、気持ち少ない程度の流通である。
いくら生産が過剰と言っても、ここは飽食の国ではないのだ。廃棄される食材は基本的に最低限に調整されている。
それだと余ってしまう分が必ずデルが、穀物などはダンジョンの機能で、腐敗防止をしている部屋で保存して小出しにしたり、本当の余剰分は外に売り出している。
他の物で言うと、肉なんかは魔物の肉もあるので、酪農で育てている肉は多くの場合加工品になっている。ここはディストピアとは違う点だ。
後、乳に関しては余剰分はすべてチーズに加工されるらしい。最近は生クリームの需要も高くなり、チーズの生産量が落ちてるとか。
そんなこんなで、贅沢品が増えてきているゴーストタウンである。
「おぉ、シルキーのには遠く及ばないけど、クリームを甘くしてベリー系の酸っぱさを引き立たせてるな。てっきり、ベリー系も甘くしてるのかと思ったよ」
そんな事を言ってると、膝の上に乗せてチョコバナナのクレープを食べさせていたダマが、クルリとこっちを向いた。
『それも食べたいにゃ』
そう言って胸のあたりに肉球を当ててきた。俺は3口程食べて満足したので、残りはダマにあげた。
小柄な従魔が可愛いのか、クレープを食べている姿を見て、黄色い声をあげている娘達がいるな。
ダマが食べ終わるのを待っていたら、聞き覚えのある走っている足音が聞こえた。
「やっと見つけました!!」
冒険者ギルドから走って出てきた見覚えのある職員が、俺のことをみていた。
どうやら、俺が探している相手だったらしい。
ダマが食べ終わったのを確認して、移動を開始した。
何で慌てて探しにでたのか気になったので聞いてみた。
どうやら、受付嬢は冒険者がよくナンパをしてくるので、それの類かと思い警戒してあんな顔をしていたらしい。
で俺が帰ろうとした後ろ姿を見て、目の前の職員の人が似てるなと思って受付嬢に話を聞いたところ、俺だと言うことが分かったから、慌てて探しに出てきたらしい。
何で俺だと分かったのかと言えば、ダマの存在だろう。大体近くにいて特徴的な従魔はこいつ以外いないからな……言葉で説明しようとすると俺ってあまり特徴がない?
若干へこんでいると、冒険者ギルドに着いた。
別室に誘導されると、そこには俺の対応をしてくれた受付嬢が、土下座をして待っていたのだ。
引くくらいに謝られたので、別に気にしていないことを伝えて、それ以上謝られると困るから帰ると言ったらやっと立ってくれた。
気を取り直して、素材の確認を始める。
「水をよく吸収する素材ですか」
オレを探しに来てくれた職員が悩んでいると、
「あの……以前に水をよく吸収するからタオルにしてみた、あの繊維はどうですか?」
「あぁ、あまりにも吸収し過ぎて、しぼりにくいあの繊維ですか? それなら、シュウ様の希望には一応あってますね」
吸収するけどしぼりにくいってどういう事だ? 疑問に思っていたら、
「水をとにかく吸収するのですが、普通のタオルのようにしぼっても水が出ないんですよ。理由は分かりませんが、どこかに吊しておくと半日くらいでキレイに乾くんです」
よく分からない繊維ですよね。と言っていた。確かによく分からんな。
とりあえず、使ってみたいと分からないから、抱えている在庫を買い取ることにした。
繊維としてはかなり頑丈で腐りにくいので、ロープに使われたり、水路の隙間埋めに使われたりしているらしい。
だから、予想より在庫があったので半分程の購入をした。
色々試作してから、ケモミミのに妻たちに試してもらうか。
自分のダンジョンなのにと思うだろうが、正直な所作っただけでどんな魔物がいるかまでは分かるのだが、どんなドロップ品があるかまでは分からないのだ。
「どうも! ちょっと調べに来たんだけど、今の時間って忙しかったりする?」
「えっと……この時間は冒険者の方々も少ないので、忙しくはないのですが」
何やら変な目で見られている気がするけど、何なんだ? 冒険者の対応は忙しくないけど、事務作業が多いから邪魔するな? みたいな感じか?
「あ~すみません。手が空いてないのでしたら、また来ます」
ホッとした様子を見せた受付嬢を見て、失敗したなぁ、と思いながら冒険者ギルドを後にする。
冒険者ギルドの中からバタバタと走る音が聞こえ、何か緊急の事件でもあったのかと思い、邪魔にならないように道の端によって様子を見ていた。
あ~あの人見覚えがある職員だな。結構上の人だったはずなのに、あの人が走ってまでしなきゃいけない仕事って何だろうな?
何か探してるのかな? 人探し? まさか俺じゃないよな? 今日ここに来たのはたまたまだしな。
ん~、素材を探しに来たのに困ったな。
今日も護衛で俺の近くをトコトコと小さい姿で歩いているダマの前に座り込み、
「どうしよっか?」
と言いながら、顔をわしゃわしゃしたり背中を撫でたりしてみる。
『気分晴らしに屋台で、買い食いをしてみてはどうですかにゃ?』
少し考えて、それもありかなと思い、ダマを左腕で抱え込むように抱っこをして、屋台エリアへ向かった。
「ダマは何が食いたい?」
ダマは小さいサイズだとあまり食べないでも平気なのだが、食べても問題はないのでダマが食べたい物を、いくつか分けてもらおうと考えたのだ。
『甘い物がいい、最近出来たと噂のクレープとかはどうですかにゃ?』
「いいね! どんなトッピングがあるか楽しみだ」
人に聞きながらクレープ屋さんを探し出しメニュー表を見る。
ゴーストタウンでは文字が読めない人もいるので、メニュー表は絵が基本だ。肉串とかなら話は別だが、いろんな種類がある物は、特にこのメニュー表が大事になってくる。
俺はその中で、ベリー系を混ぜた生クリームのクレープが気になった。ダマはオーソドックスなチョコバナナを希望したので2つを注文する。
ゴーストタウンは、バザールが中心となっている酪農が盛んなので、最近はこういった嗜好品も多くなってきている。
それもこれも、ゴーストタウン自体が景気がいいので買う人間も多いのだ。
市場に供給する分はしっかりと計算されており、気持ち少ない程度の流通である。
いくら生産が過剰と言っても、ここは飽食の国ではないのだ。廃棄される食材は基本的に最低限に調整されている。
それだと余ってしまう分が必ずデルが、穀物などはダンジョンの機能で、腐敗防止をしている部屋で保存して小出しにしたり、本当の余剰分は外に売り出している。
他の物で言うと、肉なんかは魔物の肉もあるので、酪農で育てている肉は多くの場合加工品になっている。ここはディストピアとは違う点だ。
後、乳に関しては余剰分はすべてチーズに加工されるらしい。最近は生クリームの需要も高くなり、チーズの生産量が落ちてるとか。
そんなこんなで、贅沢品が増えてきているゴーストタウンである。
「おぉ、シルキーのには遠く及ばないけど、クリームを甘くしてベリー系の酸っぱさを引き立たせてるな。てっきり、ベリー系も甘くしてるのかと思ったよ」
そんな事を言ってると、膝の上に乗せてチョコバナナのクレープを食べさせていたダマが、クルリとこっちを向いた。
『それも食べたいにゃ』
そう言って胸のあたりに肉球を当ててきた。俺は3口程食べて満足したので、残りはダマにあげた。
小柄な従魔が可愛いのか、クレープを食べている姿を見て、黄色い声をあげている娘達がいるな。
ダマが食べ終わるのを待っていたら、聞き覚えのある走っている足音が聞こえた。
「やっと見つけました!!」
冒険者ギルドから走って出てきた見覚えのある職員が、俺のことをみていた。
どうやら、俺が探している相手だったらしい。
ダマが食べ終わったのを確認して、移動を開始した。
何で慌てて探しにでたのか気になったので聞いてみた。
どうやら、受付嬢は冒険者がよくナンパをしてくるので、それの類かと思い警戒してあんな顔をしていたらしい。
で俺が帰ろうとした後ろ姿を見て、目の前の職員の人が似てるなと思って受付嬢に話を聞いたところ、俺だと言うことが分かったから、慌てて探しに出てきたらしい。
何で俺だと分かったのかと言えば、ダマの存在だろう。大体近くにいて特徴的な従魔はこいつ以外いないからな……言葉で説明しようとすると俺ってあまり特徴がない?
若干へこんでいると、冒険者ギルドに着いた。
別室に誘導されると、そこには俺の対応をしてくれた受付嬢が、土下座をして待っていたのだ。
引くくらいに謝られたので、別に気にしていないことを伝えて、それ以上謝られると困るから帰ると言ったらやっと立ってくれた。
気を取り直して、素材の確認を始める。
「水をよく吸収する素材ですか」
オレを探しに来てくれた職員が悩んでいると、
「あの……以前に水をよく吸収するからタオルにしてみた、あの繊維はどうですか?」
「あぁ、あまりにも吸収し過ぎて、しぼりにくいあの繊維ですか? それなら、シュウ様の希望には一応あってますね」
吸収するけどしぼりにくいってどういう事だ? 疑問に思っていたら、
「水をとにかく吸収するのですが、普通のタオルのようにしぼっても水が出ないんですよ。理由は分かりませんが、どこかに吊しておくと半日くらいでキレイに乾くんです」
よく分からない繊維ですよね。と言っていた。確かによく分からんな。
とりあえず、使ってみたいと分からないから、抱えている在庫を買い取ることにした。
繊維としてはかなり頑丈で腐りにくいので、ロープに使われたり、水路の隙間埋めに使われたりしているらしい。
だから、予想より在庫があったので半分程の購入をした。
色々試作してから、ケモミミのに妻たちに試してもらうか。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる