ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,078 / 2,518

第1078話 ダンジョン改装計画

しおりを挟む
 工房に戻って、自由に物作りをしているバザールと綾乃に一応声をかける。

「2人共、ゴーストタウンのダンジョンの拡張するんだけど、一緒に考えるか?」

 こういう時に声をかけておかないと、面倒な事になるのは分かっているので、いじる前に一応声をかけておく。

「ダンジョンをいじるでござるか? 自由に物作り……でもダンジョン……う~~む」

「私はダンジョンより、自分の作りたい物を作る!」

 綾乃は物作りの方がいいようだ。バザールは悩んでいるが、結局は自由に物作りをする事にしたらしい。と言う事で、ダンジョンの拡張は1人になってしまうな。1人だと思わぬ見落としがあるかもしれないから、誰かと一緒がいいんだけど。

 考えたが、ゴーストタウンには当てになるような人はいなかったので、ディストピアに戻って娘たちの世話をしている母親3人に、話を聞いてもらいながらダンジョンを拡張しようかな。

「……と言う事で戻ってきたのね。シュウ君。ミーシャたちは食事が終わって、今猫やケットシーと遊んでいるから、もう少ししたら寝るんじゃないかな? そうすれば、そっちに集中できるわ。寝るまでは、行ったり来たりになるかもしれないけどね」

「ご飯食べたばかりか。じゃぁ、ダマ、お前も行ってこい!」

 猫とは違うがモフモフなダマも娘たちに人気がある。抱き着くというよりは、のしかかるような感じでダマに絡むのだが、俺たちが乗っても問題が無いので、娘たちが乗った所でどうこうなるわけも無いので今日は相手をしてもらおう。ちなみに小さい時に乗っても普通に歩くくらいの力は持っている。

 ダマが来た事に気付いた3人の娘たちは、ケットシーのアシストを受けてダマに突撃をかけていた。あれ? 見てダマって分かるのか? それとも、ケットシーたちの入れ知恵か? まぁしっかり遊んで寝てくれ。

 30分も遊ぶと眠気が来たのか、猫たちが静かに騒ぎ出して娘たちが寝るタイミングを教えてくれた。

 そうするとブラウニーがどこかから現れて、ベッドへ寝かしつけてくれた。

「で、シュウ。どんな感じで拡張する予定なの?」

 ダンジョンでミキサーに必要な素材をとれるようにしたいという事、近々魔石炭の錬成のできる人の家族が移住してくることなどを話して、最後にミキサーなんかの依頼は、ブラウニーがお願いしてきている事を話すと、納得顔でダンジョンの構想の相談に乗ってくれた。

 ミリーは冒険者ギルドに勤めていた時……今もディストピアの冒険者ギルドの長なんだけど……に知った情報を教えてくれた。

 ダンジョンが拡張期に入ると、壁や床なんかが崩れて新しい場所に、行けるようになるのが多いとの事だった。

 それを聞いてなるほど! と思った。元々その先にあったけど塞がってたっていう感じか! でも、拡張期って分かるもんなのかな?

 そしたらミリーが、ダンジョンに出てくる魔物が変わったり増えたりすると、拡張期じゃないかと言われているらしい。なので、違和感を感じたら近くの冒険者ギルドに報告するのが、冒険者としてのマナーらしい。

 色々あるんだな。

 なので今回は、壁が崩れて新しいエリアに行けるようになった感じにしようという形になった。

 お昼までの2時間で、ダンジョンの構想は練りあがった。無理なく回収してもらいたいので、人が集まる階層より少し上に配置する事も決まった。後は、

「クリアメタルの買取り料金ね。あまり安くすると持ってきてくれないし、高すぎるとミキサーの値段が上がっちゃうから慎重にしないといけないよね」

 と言う事で、食事を挟んでクリアメタルの買取り値段の話になった。

「確か鉱山ダンジョンの下の階層はメインで獲れるのが、鉄鉱石だったっけ?」

「アイアンゴーレムの出てくる階層が今一番人が多いはずですね。ただ、狙っている人たちが多いので競争率が高く、あまり数を狩れないという報告があったかな? そこの狩場から引き込めるくらいの値段で……」

「え? 鉄鉱石が収入のメインなの? ヴローツマインだと、かなりの量を狩らないと、その日の食事にもありつけなかったと思うわよ?」

「リンド、それはドワーフの価値観でしょ。ドワーフの食事って、お酒が9割位占めてるわよね? それと普通の冒険者が食べる量の食事をしているんだから、たくさん狩らないと厳しいのよ。

 普通なら、平均的な5人パーティーで15匹も狩れば食事代と宿代が稼げるわよ。目安とすれば30匹、1人で6匹くらい狩るとお金を貯められるわ」

 ミリーがリンドにドワーフではない冒険者の……って、ヴローツマインのドワーフは戦闘鉱員とか呼ばれてるんだっけ? まぁそこら辺はどうでもいいなか、そんな話をしてくれた。

 クリアメタルは、アイアンゴーレムより強いグラスゴーレムのドロップだけど、鉄鉱石と同じくらいの買取りが、いいのではないかと言う話になった。

 アイアンゴーレムとグラスゴーレムが戦えば、動きの速いグラスゴーレムが勝つのだが、冒険者たちにも得手不得手があるので、住み分けができるのではないかと言う話があり、俺たちの中では話が決まった。

 娘たちの相手をしながらだったので、それなりに時間がかかったが、工房に帰らないでもいいかなと思う時間にはなっていない。ちょうどおやつを過ぎた頃なので、工房に戻る事にした。

「工房長、どこ行ってたんですか? ちょっと話があったんですよ!」

 工房に戻ると、ドワーフのおっちゃんが駆け寄ってきた。多分走っているんだと思う。

「何の用事があったん?」

「クリアメタルと魔石炭の方はどうなったんですか?」

 ん? ここのドワーフたちには話してなかったか? 魔石炭もクリアメタルも話が進んでいて、近々何とかなる事を話した。

「そういえばさ、魔石炭に使う石炭って、何でドロップ品じゃないといけないんだ?」

「採掘した石炭でもできない事は無いのですが、採掘された石炭は品質が安定しないので、錬成しにくいのです。それに不純物が多いせいか、ドロップ品の石炭で作った魔石炭程熱を出さないんですよ」

 そういう理由だったんだ。知らなかったから聞いといてよかった。クリアメタルと魔石炭の件に問題が無いと分かったドワーフのおっちゃんは、上機嫌でみんなの元にのしのしと歩いて戻っていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...