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第1074話 ミキサーの試作品
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結果だけを言えば、クリアメタルを溶かす事はうちの工房では何の問題も無かった。老ドワーフたちの言っていた魔石炭すら必要なかった。
うちの工房の大型炉は、魔石炭を使ってもロスが多いらしく、俺の資産をそれなりに使って炉専用の火力の高い魔導具を複数付けて、魔石で運用しているようだ。そのおかげで、魔導具を使う数によって温度調整が行えるので、かなり便利だと言っていた。
無駄にハイテクな炉を作ってたんだな。数日で作り上げてたからそこまで考えているとは思わなかったわ。多少お金を使ってくれたことに感謝はしても、文句を言う事は無いので、ビクビクするのはやめてくれ。そんな事で解雇したりしないからさ。
たまに俺にビクビクする事があるから、工房で働いているドワーフに聞いてみたんだが、どうやら普通の工房には使わなくていいような設備も多いらしく、無駄使いしてここから追い出されないか不安らしい。この前も、これで全部かって聞いたのにまだあったとは……
ビクビクするくらいなら、初めからそんな事をしなければいいのにと思うが、ドワーフの業の深さなのか、基本的に自由に作っていいと言ったら、最高の設備の誘惑に逆らえなかったそうだ。
それなら、初めからそういえばきちんと許可を出すのにな。結構高価な物で、拒否されたら困るのでこっそりとやってしまったそうだ。できれば、一度に全部報告してほしい、小出しにされる方が怒りたくなってくるからな。白状してくれ!
他にも無駄に高性能な魔導具をヴローツマインから仕入れて、工房に設置しているそうだ。範囲外に熱を漏らさない魔導具や、空調システム的な魔導具。まぁ一番は、大型炉に組み込んだ魔導具だったみたいで、後の物は大した事なかった。
とはいっても、他の工房から見れば羨ましがられる程度には、最新設備と最高の物が準備されているらしい。
安心している、そんなドワーフたちの様子を見て呆れながらも、逞しいな~なんて思いながら話を進める。
クリアメタルを溶かすのには問題ない工房は、3つだが、魔石炭を錬成できる人間がゴーストタウンにはいないそうで、輸入しなければならないそうだ。そうするとコストが高くなってしまうので、値段が上がってしまうらしい。
これは困った。せっかく量産体制が整えれそうだと思ったら、燃料の問題が出てきてしまったか。
「とりあえず、試作品だからこの工房で作ろう。まずは型を準備しないといけないな。みんな手伝ってくれ」
「型を作るのは良いんですが、どういった形で作るんですかい?」
はて? そういえば鋳造と言う言葉を知っているが、実際にはどうやって作っているかよく知らないのだが。
普通はどうやって作るんだ? えっと、砂みたいなものを固めたのや、たい焼きみたいに金属と金属をあわせた所に流し込むのが主流?
コップみたいなのは作れないのか? できれば、その底には穴をあけたいのだけど、今までそういうのを作った事がないので分からないのか?
20分位考えて俺は解決策を思いつく。
「みんな集合! こんなのはどうかな?」
思いついた方法をみんなに伝えてみる。
「確かにその通りにできれば、縁の部分だけを削れば十分に使えるものができますね。クリアメタルの方もあまり研磨しなくてもよさそうですね」
あーやっぱり表面の研磨は必要なのか。そりゃそうだよな、表面がざらざらしてたら透明度がって、研磨して中は綺麗に見えるのか? 一度作ってみないと分からないか。
その後、型の話を詰めた。俺はただ密着させる形でいいかなと思ったのだが、窪みを作ってその窪みに外側の型になる部分をはめればいいのでは?と言う事になったので、その通りに作ってもらう。
型は、内側へ山なりのミキサーの形をしたものを作り、その外側を包むようにして外側を整える型を配置する感じだ。型の下側がミキサーの上になり、少し広くなっている。これは取り出す時に広くしておかないと抜けなくなるからだ。
型の上部、ミキサーの底側に向かって少しずつ狭まっている。一番底は、ミキサーの刃を入れる部分を設置するための穴が開いている。と言っても、注ぎ入れる部分なので、摺り切りをしても最後には削って整えないといけないんだけどね。
12時を回った頃に型の準備ができたようだ。食事の最中に詳細を聞いて、午後からはミキサーの器になる部分の試作を始める。
「工房長! クリアメタルを出してください。あと、魔石があったら出してもらえないですか? 魔石を使う程の物を溶かす事が無かったので、まだ準備してないんですよ」
ん? 魔導具の大型炉なのに、まだ使った事がない? そういえば、以前溶かす時は燃料を使ってたな。せっかく魔導具が……しょうがない、ここは魔石をたくさん提供しておこう! 今は、必要な量を提供した。
ブラウニーに冒険者ギルドにお使いに行ってもらい、しばらく使っても問題ない量の魔石を買ってきてもらう事にした。
「工房長! そろそろ冷えたので、型から外しますよ!」
ちょっと領主の仕事で通話をしていたら、ドワーフたちから声がかかった。1つ目の器が冷えて固まったそうだ。
「じゃぁ行きます」
俺が到着すると、型の前で待っていたドワーフが声をかけて、型を外していく。
「おぉ、思ったより透明なんだな。磨きが必要って言ったけど、磨くと透明度は落ちないか?」
「あ~工房長は知らないんでしたね。刃物の研ぎの最後に使う仕上げの砥石を細かく砕いた物を固い生地と特殊な液体をつけて磨くと、今よりきれいになるんですよ」
それはすごい。今よりきれいになるのなら十分に俺の要望に応えてくれる品だ! っと、刃の方をまだ用意していなかったので、ドワーフに要望を出して作ってもらった。金属を扱わせたらさすがだな、ものの30分ほどで作ってしまった。
俺はその間に、ミキサーの器に刃を設置するための道具を作成している。隙間を作らないように作ると回しにくくなり、隙間を作ると中身が漏れてしまう、難しいな。って思ったら、ドワーフたちが簡単に解決してしまったので、ミキサーの器が完成した。
「で、これからどうするんですか?」
「ん~一応、動力として足踏みと手動タイプを作ってみようと思ってるから、それを接続する作業かな?」
そう言って、足踏み動力の方はドワーフに任せて、手動タイプはみじん切りにつかった技術を応用しておれが作っている。
うちの工房の大型炉は、魔石炭を使ってもロスが多いらしく、俺の資産をそれなりに使って炉専用の火力の高い魔導具を複数付けて、魔石で運用しているようだ。そのおかげで、魔導具を使う数によって温度調整が行えるので、かなり便利だと言っていた。
無駄にハイテクな炉を作ってたんだな。数日で作り上げてたからそこまで考えているとは思わなかったわ。多少お金を使ってくれたことに感謝はしても、文句を言う事は無いので、ビクビクするのはやめてくれ。そんな事で解雇したりしないからさ。
たまに俺にビクビクする事があるから、工房で働いているドワーフに聞いてみたんだが、どうやら普通の工房には使わなくていいような設備も多いらしく、無駄使いしてここから追い出されないか不安らしい。この前も、これで全部かって聞いたのにまだあったとは……
ビクビクするくらいなら、初めからそんな事をしなければいいのにと思うが、ドワーフの業の深さなのか、基本的に自由に作っていいと言ったら、最高の設備の誘惑に逆らえなかったそうだ。
それなら、初めからそういえばきちんと許可を出すのにな。結構高価な物で、拒否されたら困るのでこっそりとやってしまったそうだ。できれば、一度に全部報告してほしい、小出しにされる方が怒りたくなってくるからな。白状してくれ!
他にも無駄に高性能な魔導具をヴローツマインから仕入れて、工房に設置しているそうだ。範囲外に熱を漏らさない魔導具や、空調システム的な魔導具。まぁ一番は、大型炉に組み込んだ魔導具だったみたいで、後の物は大した事なかった。
とはいっても、他の工房から見れば羨ましがられる程度には、最新設備と最高の物が準備されているらしい。
安心している、そんなドワーフたちの様子を見て呆れながらも、逞しいな~なんて思いながら話を進める。
クリアメタルを溶かすのには問題ない工房は、3つだが、魔石炭を錬成できる人間がゴーストタウンにはいないそうで、輸入しなければならないそうだ。そうするとコストが高くなってしまうので、値段が上がってしまうらしい。
これは困った。せっかく量産体制が整えれそうだと思ったら、燃料の問題が出てきてしまったか。
「とりあえず、試作品だからこの工房で作ろう。まずは型を準備しないといけないな。みんな手伝ってくれ」
「型を作るのは良いんですが、どういった形で作るんですかい?」
はて? そういえば鋳造と言う言葉を知っているが、実際にはどうやって作っているかよく知らないのだが。
普通はどうやって作るんだ? えっと、砂みたいなものを固めたのや、たい焼きみたいに金属と金属をあわせた所に流し込むのが主流?
コップみたいなのは作れないのか? できれば、その底には穴をあけたいのだけど、今までそういうのを作った事がないので分からないのか?
20分位考えて俺は解決策を思いつく。
「みんな集合! こんなのはどうかな?」
思いついた方法をみんなに伝えてみる。
「確かにその通りにできれば、縁の部分だけを削れば十分に使えるものができますね。クリアメタルの方もあまり研磨しなくてもよさそうですね」
あーやっぱり表面の研磨は必要なのか。そりゃそうだよな、表面がざらざらしてたら透明度がって、研磨して中は綺麗に見えるのか? 一度作ってみないと分からないか。
その後、型の話を詰めた。俺はただ密着させる形でいいかなと思ったのだが、窪みを作ってその窪みに外側の型になる部分をはめればいいのでは?と言う事になったので、その通りに作ってもらう。
型は、内側へ山なりのミキサーの形をしたものを作り、その外側を包むようにして外側を整える型を配置する感じだ。型の下側がミキサーの上になり、少し広くなっている。これは取り出す時に広くしておかないと抜けなくなるからだ。
型の上部、ミキサーの底側に向かって少しずつ狭まっている。一番底は、ミキサーの刃を入れる部分を設置するための穴が開いている。と言っても、注ぎ入れる部分なので、摺り切りをしても最後には削って整えないといけないんだけどね。
12時を回った頃に型の準備ができたようだ。食事の最中に詳細を聞いて、午後からはミキサーの器になる部分の試作を始める。
「工房長! クリアメタルを出してください。あと、魔石があったら出してもらえないですか? 魔石を使う程の物を溶かす事が無かったので、まだ準備してないんですよ」
ん? 魔導具の大型炉なのに、まだ使った事がない? そういえば、以前溶かす時は燃料を使ってたな。せっかく魔導具が……しょうがない、ここは魔石をたくさん提供しておこう! 今は、必要な量を提供した。
ブラウニーに冒険者ギルドにお使いに行ってもらい、しばらく使っても問題ない量の魔石を買ってきてもらう事にした。
「工房長! そろそろ冷えたので、型から外しますよ!」
ちょっと領主の仕事で通話をしていたら、ドワーフたちから声がかかった。1つ目の器が冷えて固まったそうだ。
「じゃぁ行きます」
俺が到着すると、型の前で待っていたドワーフが声をかけて、型を外していく。
「おぉ、思ったより透明なんだな。磨きが必要って言ったけど、磨くと透明度は落ちないか?」
「あ~工房長は知らないんでしたね。刃物の研ぎの最後に使う仕上げの砥石を細かく砕いた物を固い生地と特殊な液体をつけて磨くと、今よりきれいになるんですよ」
それはすごい。今よりきれいになるのなら十分に俺の要望に応えてくれる品だ! っと、刃の方をまだ用意していなかったので、ドワーフに要望を出して作ってもらった。金属を扱わせたらさすがだな、ものの30分ほどで作ってしまった。
俺はその間に、ミキサーの器に刃を設置するための道具を作成している。隙間を作らないように作ると回しにくくなり、隙間を作ると中身が漏れてしまう、難しいな。って思ったら、ドワーフたちが簡単に解決してしまったので、ミキサーの器が完成した。
「で、これからどうするんですか?」
「ん~一応、動力として足踏みと手動タイプを作ってみようと思ってるから、それを接続する作業かな?」
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