1,065 / 2,518
第1065話 すんなり完成?
しおりを挟む
ドワーフのおっちゃんが冒険者ギルドと交渉をした次の日の昼。
「いくら掃いて捨てるように放置されてる物とは言え、これはすごいな」
「いえいえ、ダンジョンに放置されている物を拾っただけなので、毎日この量と言うわけにはいかないですよ。今までのドロップ品でダンジョンに吸収されていない物を、初心者を使って拾ってきてもらっただけですからね」
冒険者ギルドの職員が、例のドロップ品を納品しに来てくれたのだが、その量が尋常じゃなかった。俺的には30~40個程あれば多いかな? と思ってたのだが、200個以上も納品されたのだ。
多い分にはいろんな実験ができるので、こちらとしては助かるのだが。
「値段は大丈夫だったんですか?」
ドワーフのおっちゃんが交渉した時に、ある程度のお金を渡してきているが、俺たちが考えていた値段を考えると50個も買えば足りなくなるのだが。
「それは大丈夫です。ゴーストタウンでは儲けさせていただいていますので、何の問題もありません。それに、今回の実験が上手くいけば継続で買取りをしていただけるという話でしたので、先行投資のような物です」
「いやいや、さすがに最初お話ししていた金額で、不足分をお支払いしますよ」
「いえいえ、これだけ多くの納品になったのはこちらの一方的な都合なので、もし心苦しいというのであれば、是非実験を成功させていただければと思います」
互いに不利益を受け持とうと押し問答になっている。が、冒険者ギルドがお金を受け取らないので、この戦況は不利だ。負け戦はする意味はない!
ってそんなこと考える必要なんてないんだけどな。冒険者ギルドの人にも期待されているので、上手く利用できるように頑張ろう!
冒険者ギルドの人は、にこにこして帰っていった。
「大丈夫でござるか?」
俺はバザールにそう質問されながら、納品されたドロップ品を見る。
「ん~見た感じ、刃のサイズにはあっていると思うけど」
15センチメートル位の昆虫型魔物から獲れるにしては、大きい刃のような物を見ながら考える。何と言うか、思ったより分厚いんだよな。俺たちが求めているのは薄い奴なんだけど、3~4倍厚いんだよね~
「ちょっと分厚いでござるな、そのまま使うでござるか?」
「物は試しで作ってみないと分からないから、サイズ分けしてそのまま使ってみようかな?」
俺達は不安になりながらも、作業を進めていく。
「って、どうやって刃を固定するか? この世界には小さいネジってないんだよな。万力みたいな物に使う大きいのはあるんだけどな、どうすっか?」
刃の部分はしっかりと固定しないといけないのだが、その固定方法が思いつかないのだ。しばらくにらめっこをしていると、バザールが何かを思いついたようだ。
何をするのか言わずに作業を始めたので、その様子を見守る事にした。
バザールが始めた事は、刃の付け根側に3つの小さな穴をドリルであけていた。それをドワーフが用意してくれている刃をつける中心の軸に付けようとしているのだ。
刃の位置は高さ違いで4つ程配置するみたいだな。一般家庭で使うならちょっと大きめかな? と思うサイズだけど、ドワーフの意見を取り入れて大きさを決めているので、これでいいのだろう。
もともとは、みじん切り器の予定だったのだが、ミンチも出来るようにとサイズを大きくしたのだ。容器に3分の2程肉を入れてミンチをすれば、4~5人分ほどのハンバーグの種になるミンチが出来る予定だ。
バザールは、ドワーフが用意してくれた軸に更に加工するようにお願いしていた。どうやら、軸に板状の突起を作ってそこに刃を固定するようだ。ネジがないのにどうやって付けるんだ?
30分位で作業が終わり、ドワーフが何やら不思議な小物を持ってきていた。小さなネジの様な見た目なのだが、螺旋状の突起が付いていない物だ。しかも軸になる中心の棒にパイプのように穴が開いていたのだ。
それを使ってみじん切り器の軸に刃を固定する様だ。ただきつくハメるだけじゃとれるけどどうすんだ?
そしたら、ラジオペンチのような物を取り出して、ドワーフの持ってきた小物を上下から挟みつぶしたのだ。そうすると小物の先が潰れて簡単には外れない状態になった。なるほど、ネジがないけど固定する方法はあるのか。そういえば、地球にいた頃にテレビであんなのを見た覚えがあるな。
「完成でござる! 一度試すでござる」
バザールの声を聴いて、残りのドワーフもみじん切り器を見に来た。そして、おっさんかおばさんか分からんけど、何で肉を持ってきてるんだ?
あ~、実験するためにはこの辺で使われてる、硬い肉で試さないといけないのか。分かるけど、その後ろから明らかにソーセージを作る道具を持ち込んでるやつは何だ? ミンチをハンバーグじゃ味気ない? おい、最後のお前、調味料までしっかり準備してたのか?
これはどうやっても止まらないやつだな。このサイズで、ソーセージを作る量のミンチを作るのは大変だぞ? って、ドワーフが全員ウォームアップを始めた。肩を回したりストレッチをしたり……
って、いつの間にバザールの考案した方法の、みじん切り器が5個も準備されていた。しかも、騒ぎを聞いて駆け付けたブラウニーが、ソーセージを作ると知って場を仕切り始めた。
これにはドワーフたちもかなわないようで、しっかりと指示に従って作業を始めた。それよりも、いつの間に作ったのか、ハンドルを回すタイプの蓋も準備していた。俺は紐を引っ張るタイプの物しか知らなかったのだ。
どうやら驚かせるのと同時に、どっちの方が使いやすいかの実験も兼ねていたようだ。
結果は、予想以上にしっかりと固定出来ていたので、実用になるとブラウニーから評価をもらえた。評価が高かったのは、紐タイプよりハンドルタイプの方が使いやすかった。
「いくら掃いて捨てるように放置されてる物とは言え、これはすごいな」
「いえいえ、ダンジョンに放置されている物を拾っただけなので、毎日この量と言うわけにはいかないですよ。今までのドロップ品でダンジョンに吸収されていない物を、初心者を使って拾ってきてもらっただけですからね」
冒険者ギルドの職員が、例のドロップ品を納品しに来てくれたのだが、その量が尋常じゃなかった。俺的には30~40個程あれば多いかな? と思ってたのだが、200個以上も納品されたのだ。
多い分にはいろんな実験ができるので、こちらとしては助かるのだが。
「値段は大丈夫だったんですか?」
ドワーフのおっちゃんが交渉した時に、ある程度のお金を渡してきているが、俺たちが考えていた値段を考えると50個も買えば足りなくなるのだが。
「それは大丈夫です。ゴーストタウンでは儲けさせていただいていますので、何の問題もありません。それに、今回の実験が上手くいけば継続で買取りをしていただけるという話でしたので、先行投資のような物です」
「いやいや、さすがに最初お話ししていた金額で、不足分をお支払いしますよ」
「いえいえ、これだけ多くの納品になったのはこちらの一方的な都合なので、もし心苦しいというのであれば、是非実験を成功させていただければと思います」
互いに不利益を受け持とうと押し問答になっている。が、冒険者ギルドがお金を受け取らないので、この戦況は不利だ。負け戦はする意味はない!
ってそんなこと考える必要なんてないんだけどな。冒険者ギルドの人にも期待されているので、上手く利用できるように頑張ろう!
冒険者ギルドの人は、にこにこして帰っていった。
「大丈夫でござるか?」
俺はバザールにそう質問されながら、納品されたドロップ品を見る。
「ん~見た感じ、刃のサイズにはあっていると思うけど」
15センチメートル位の昆虫型魔物から獲れるにしては、大きい刃のような物を見ながら考える。何と言うか、思ったより分厚いんだよな。俺たちが求めているのは薄い奴なんだけど、3~4倍厚いんだよね~
「ちょっと分厚いでござるな、そのまま使うでござるか?」
「物は試しで作ってみないと分からないから、サイズ分けしてそのまま使ってみようかな?」
俺達は不安になりながらも、作業を進めていく。
「って、どうやって刃を固定するか? この世界には小さいネジってないんだよな。万力みたいな物に使う大きいのはあるんだけどな、どうすっか?」
刃の部分はしっかりと固定しないといけないのだが、その固定方法が思いつかないのだ。しばらくにらめっこをしていると、バザールが何かを思いついたようだ。
何をするのか言わずに作業を始めたので、その様子を見守る事にした。
バザールが始めた事は、刃の付け根側に3つの小さな穴をドリルであけていた。それをドワーフが用意してくれている刃をつける中心の軸に付けようとしているのだ。
刃の位置は高さ違いで4つ程配置するみたいだな。一般家庭で使うならちょっと大きめかな? と思うサイズだけど、ドワーフの意見を取り入れて大きさを決めているので、これでいいのだろう。
もともとは、みじん切り器の予定だったのだが、ミンチも出来るようにとサイズを大きくしたのだ。容器に3分の2程肉を入れてミンチをすれば、4~5人分ほどのハンバーグの種になるミンチが出来る予定だ。
バザールは、ドワーフが用意してくれた軸に更に加工するようにお願いしていた。どうやら、軸に板状の突起を作ってそこに刃を固定するようだ。ネジがないのにどうやって付けるんだ?
30分位で作業が終わり、ドワーフが何やら不思議な小物を持ってきていた。小さなネジの様な見た目なのだが、螺旋状の突起が付いていない物だ。しかも軸になる中心の棒にパイプのように穴が開いていたのだ。
それを使ってみじん切り器の軸に刃を固定する様だ。ただきつくハメるだけじゃとれるけどどうすんだ?
そしたら、ラジオペンチのような物を取り出して、ドワーフの持ってきた小物を上下から挟みつぶしたのだ。そうすると小物の先が潰れて簡単には外れない状態になった。なるほど、ネジがないけど固定する方法はあるのか。そういえば、地球にいた頃にテレビであんなのを見た覚えがあるな。
「完成でござる! 一度試すでござる」
バザールの声を聴いて、残りのドワーフもみじん切り器を見に来た。そして、おっさんかおばさんか分からんけど、何で肉を持ってきてるんだ?
あ~、実験するためにはこの辺で使われてる、硬い肉で試さないといけないのか。分かるけど、その後ろから明らかにソーセージを作る道具を持ち込んでるやつは何だ? ミンチをハンバーグじゃ味気ない? おい、最後のお前、調味料までしっかり準備してたのか?
これはどうやっても止まらないやつだな。このサイズで、ソーセージを作る量のミンチを作るのは大変だぞ? って、ドワーフが全員ウォームアップを始めた。肩を回したりストレッチをしたり……
って、いつの間にバザールの考案した方法の、みじん切り器が5個も準備されていた。しかも、騒ぎを聞いて駆け付けたブラウニーが、ソーセージを作ると知って場を仕切り始めた。
これにはドワーフたちもかなわないようで、しっかりと指示に従って作業を始めた。それよりも、いつの間に作ったのか、ハンドルを回すタイプの蓋も準備していた。俺は紐を引っ張るタイプの物しか知らなかったのだ。
どうやら驚かせるのと同時に、どっちの方が使いやすいかの実験も兼ねていたようだ。
結果は、予想以上にしっかりと固定出来ていたので、実用になるとブラウニーから評価をもらえた。評価が高かったのは、紐タイプよりハンドルタイプの方が使いやすかった。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
転生したら倉庫キャラ♀でした。
ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。
ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。
どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。
死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。
「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」
鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。
加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。
ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。
道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。
今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる