ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1053話 久々の冒険者活動

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「それにしても、何で一番最初に娯楽の事を考えなかったのかしら?」

「決まっているでござる。主殿と合流した時に、パソコンやゲーム、小説等をもらったからでござる。娯楽の部分では、地球の中世と大して変わりが無いでござる。男たちは、酒と女。女は……何でござるか?」

「私に聞かれても分からないわよ!」

 なんか2人でコントを始めた。だけど、

「そもそも、中世にどんな娯楽があったか知ってるのか?」

「まったく知らないでござる! 雰囲気と勢い、後はノリでござるな!」

 バカな事を胸、肋骨を張って言うので蹴飛ばしておいた。あいつの骨は、Sランクの魔物と言う事もあって、鉄なんかよりよっぽど硬いからな。綾乃が冗談で、その骨加工して作れば硬くて軽いいい武器ができるんじゃないか? と言われた時には全力で逃げてたな。

 バザールから骨をとってもドロップ品ではないので、死ねば……いや死んでるから……消滅しない限りは残るのか? って、残るのか? って事は! って考えて、俺も追いかけたけどな。

 それはさておき、娯楽道具を作る事にした。

「まずは何から作ろっか?」

「ここはやっぱり、異世界と言えば! リバーシでござる!」

「それが妥当かな? ルールも単純で分かりやすいしな」

 確か8✕8の板に白黒の駒……ん~盤は簡単にできるけど、駒はどうするかと言う話になった。同じ形の白黒の駒か手作りとなると、かなり面倒だよな。鋳造みたいに抜くタイプがいいかもな。

 プラスチックみたいなのがあると便利なんだけどな、魔物のドロップ品でなんか固まる奴ないかな?

「それなら圧縮式脱水機に使った、あれでいいのではござらんか? あれなら、魔石の量を増やせば硬くなるでござる。プラスチックみたいにはいかないかもしれないでござるが、簡単だから実験するには十分でござる!」

「あれなら色付けもしやすそうだしいいんじゃない? 実験するにしても安価なのが売りなんだから!」

「確かに安価ではあるんだけど、最近値段が上がり始めてるんだよな。圧縮式脱水機が結構売れてるみたいでさ。値段以上に今は品薄とか言ってたな」

「市場に無いなら、自分たちで狩りに行けばいいじゃない」

 綾乃の一言で狩りに出る事が決まった。久しぶりに狩りをする気がするけど大丈夫かな?とか思ったが、俺の護衛でダマ、シエル、グレンがいるので問題ないだろう。

 しかも初心者レベルの魔物なので、負ける方が難しい相手だ。一応、しっかりと装備を身に着けて準備をする。

「おい、綾乃。言いだしっぺのお前が何でそこでくつろいでるんだ?」

「何言ってるのよ! 私なんて戦力にならないんだから行くわけないじゃん!」

 すがすがしいまでに言い放った。自分のできない事を理解しているのは良いが、それでも少しはやる気を見せろよ!

「ああなった綾乃殿に、何を言っても無駄でござる。諦めていくでござるよ」

 バザールは何か悟っているのか、綾乃の事を放置した方がいいと言い出したので、その助言に従う事にした。

「バザール、お前ってさ、一応後衛になるのか?」

「一応は魔法職でござるな。そこら辺の街なら、前衛後衛など関係ないでござるがな!」

「何でそこで、攻撃対象が魔物とかじゃなくて、人の街なんだよ。頭まで魔物になったのか?」

「何を言ってるでござるか! 自分の行動を考えてモノを言ってほしいでござる。普通個人で街と喧嘩する人間など居らぬでござる! それに合わせて言ったら批判とか信じられないでござるよ!」

「……否定はできないけど、やりたくてやったわけじゃねえからな!」

「この話は終わりでござる。そもそもの話でござるが、低ランクの冒険者の狩場に、シングルの冒険者とSランクの魔物が行ったら、狩場荒らしにならぬでござるか?」

「考えてなかったわ。冒険者ギルドに行ってちょっと情報を集めるか」

 今の所、ディストピアの繊維ダンジョンにしか出現させてない魔物が、謎の樹脂? をドロップするので、ディストピアの冒険者ギルドに行く事にした。

 そこで聞いたのは、

「確かに低ランクの冒険者にはちょうどいいのですが、それ以上に稼げる魔物と戦える冒険者がほとんどなので、例の樹脂が出る階層には今は誰もいないと思います。上のランクの人間が、帰る際に荷物に余裕があれば狩ってくる感じですので、品薄ですね」

 そう言われたのでダンマスのスキルで検索してみると、その階層には確かに誰もいなかった。というか、3階層下にやっと何人か冒険者がいるようだった。

 織機のおかげで繊維系の値段が上がり始めているが、それでも他のダンジョンに比べるとあまりうま味が無いので、潜る冒険者が少ないそうだ。衣服も現状困っているわけでは無い。むしろ贅沢品に分類されるので、需要が少ないのだ。

 そして、衣服類の値段が高いのは、そのほとんどが生地を作るための、労働力に対する対価と言う面が大きいのだ。織機で労働力に対する対価が減った分が、繊維の買取りに反映され始めて入るが、そもそも織機もそれなりに高価なので、すぐには値段に反映できないと言った所だろうか。

 なので、俺達が行っても何の問題も無いそうだ。むしろ、需要に追い付いていないけど、値段が上げられない樹脂を多めに確保してギルドに流してほしいと言われた。

 遠慮なしに狩りをしてもいいという事になったので、3時間程その階層の魔物を狩りつくす勢いで頑張ったが、無理だった。まぁ身体機能が上がっていても、疲れる事には変わりないので無理はしない事にした。

 十分に確保できたのだが、これから先も自分で取りに来るのはさすがに面倒だな。

「なぁ、バザール。この程度の強さなら、ゴーストタウンのダンジョンにも出現させてもいいと思わないか?」

「そうでござるな。冒険者の質は圧倒的にディストピアの方が上でござるから、狙う冒険者がいないだけでござろう。ゴーストタウンならそれなりにいそうでござるな」

 樹脂をディストピアの冒険者ギルドに卸してから、俺たちはその足でゴーストタウンの冒険者ギルドへ足を運んだ。

 ここのトップは、俺がダンジョンマスターだという事を知っていると言うか、グリエルとは系統が違うが俺の部下なのだ。そこで、樹脂の話をしたらえらい食いつきようだった。

 ゴーストタウンでは、結構無茶をする冒険者が他所からくるため、手頃な金稼ぎのできる魔物が増えるのはありがたいらしい。新しくダンジョンが見つかった事にして、ディストピアの繊維ダンジョンの劣化版を配置する事になった。

 劣化版なのは、あまり良くし過ぎると無謀な奴らが増えてしまうからだ。身の丈に合った場所で狩りをしてもらいたいものだ。
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