1,021 / 2,518
第1021話 中央は真面目でも……
しおりを挟む
酒を飲んだ村人が全員酔いつぶれる程騒いで飲んだ宴会があった次の日。
村人たちは俺より早く起きて、出発の準備を始めていた。俺の方が早く寝たんだけどな。警戒は従魔たちに任せて早めに休んだのに、何故村人の方が早く起きてるんだか。
それにしても、こういう所で生活していたせいか、本当にタフだなって思った。
「改めて聞きますが、本当にこの村から出て行ってもよろしいのですか? 今なら、新しくなった領主の元で、住み慣れた場所で生活できるんですよ?」
昨日も同じような事を聞いたが、やはり決断は変わらない様子だ。それ以上に新天地に思いをはせている様子さえ見られている。
「じゃぁ、出発しましょうか。見慣れない馬車だとは思いますが、1匹で4~5台の馬車を曳ける魔物の馬なので、問題はありません。昨日決めた乗り込む馬車に乗ってください」
俺たちの馬車がキッチン馬車含め3台、ジェノサイドキャラバンは4台+村人を運ぶために6台、この村で作ったのが6台の合計19台である。
馬車の隊列は4つに別けている。
1つはキッチン馬車単独。
残りの馬車は、俺たちの馬車2台とキャラバンの馬車4台を3班に分けて、前に俺たちの馬車がくるようにしている。その後ろに村人たちの乗る12台の馬車を3班4台ずつ配置する。これで村人の馬車からは、俺たちが移動中に何をしているのかは見えない。完璧だ!
ウォーホース2匹で6台の馬車を曳いているのだが、恐ろしい事に1台の時と大して変わりが無いといった様子で走っている。
問題があるとすれば、ウォーホースがいつものように走れずに、うずうずしている事だろうか? その問題は馬車の方にあるんだけどね。
いくらドワーフたちが手作りしたとは思えない性能のボールベアリングを使っているとはいえ、その部分以外は普通の馬車と大差がないのだ。
サスペンションのような機能も無く、車輪は多少衝撃を吸収するゴムのような魔物の素材をつけているとはいえ、いつものペースでウォーホースが走れば、馬車の中がシェイクされてしまうので、速度を出せないのだ。
それでも通常の馬車の倍以上の速度を出しても問題が無いので、予定していた1ヶ月ではなく半月ほどでディストピアに戻れそうである。
道中、気になる事があった。
「全体的な戦力でいえば、帝国の方が上だけど、平均的にみると聖国の方が上なのかな? 全体的な治安がいいんだよな。個の力より集団の力ってとこなのかな?」
大体行程の半分程、1週間が過ぎた頃にそんな事を思って口にした。
「そうですね。確かに聖国内の治安はかなりいい方だと思いますね。マップ先生の検索機能でも、盗賊のような集団は、小規模のものが少しいるくらいですね」
俺も調べてみて知っていたが、王国に比べれば天地の差……とまではいわないが、治安にかなり差がある。
中央から遠い司祭や神官が目の届かないことをいい事に、私利私欲を満たすために行動してたせいで、こっちにちょっかいをかけてきたのかね? 後は、獣人への対応が微妙だった事以外は、いい傾向の宗教に見えてきた。
俺たちと敵対してた時は、国のトップだから、例え部下たちの不始末とはいえ、自分から非を認めるわけにはいかなかったって所かな? 過ぎた事は考えても仕方がないかな?
この1週間は、特に何もなかった……と思う。あったと言えば、普通より早く移動しているため、村人が馬車酔いをしているくらいだろう。
クッション性の車輪を使っているとはいえ、さすがに細かく揺れると酔ってしまうようだ。
すまんな。俺たちの馬車にはほとんど揺れが無いんだ。って思ったのが3日前。今は、あれだけ揺れている中で、キャラバンがいろんな街で手に入れた本を読む人まで出てきているのだ。どんだけタフやねん!
思わず、本を読んでいる姿を見て叫んでしまいそうだった。
っと、まぁこんな感じで平和に1週間が過ぎた。
下手に街に入って宿をとるより、野営をした方が快適なので、暗くなるギリギリまで移動ができ、予定よりさらに早く着きそうだ。半月、2週間を予定していたが、12日で着きそうだ。後5日!
でも、その道中に1つだけ不安要因がある。
俺たちからすれば大した事は無いのだが、問題は問題である。どこで情報を手に入れたのか、盗賊に扮した近くの領主たちが派遣した兵士がいるのだ。その数は、およそ100人。遭遇するのは2日後。
「さて……みんな、あの盗賊まがいのやつらどうする?」
俺たちは、馬車の1つに集まり作戦会議を行っている。
「強さ的には大した事ありませんが、こちらは非戦闘員が200人を超えています。普通に考えれば、不利ですね」
「でもでも、所詮神殿騎士にもなれなかった、ポンコツの集まり100人でしょ? そんなの蹴散らしちゃえばいいんじゃない?」
キリエの報告に対して、ジュリエットが辛口な事を言っている。確かに、神殿騎士にもなれなかった落ちこぼれではあるんだけど、
「いちいち私たちが真正面から対応する必要ないんじゃないですか? どう考えても向こうが悪いのですから、適当な魔物を召喚してけしかければよくないですか? もしこっちに魔物が来たら倒してしまえばいいと思います」
リリーは、自分たちで動くのも面倒なようだ。ドラゴニュートのせいなのか、強い人とは戦いたがるが、興味を示さない相手にはとことん面倒だという態度をとる事がある。
それでも、作戦や命令であれば真剣に行うので、ただ強い人と戦って自分を鍛えたいのだろう。おじいちゃんのレイリーと、よく模擬戦をしてるからな。
レイリーとの戦闘訓練はハードだから、俺はできるだけ参加したくないんだよね。あのおじいちゃん、底無しの体力だから本当に困るんだよね。
っと、いかんいかん。
「村人たちを不安にさせるのも良くないから、召喚した魔物で襲わせようか」
その後はどんな魔物を呼ぶかで会議が終わった。
その日の夜、誰に覚られる事なく俺たちを待ち受けていると思われる集団は、クマの集団に襲われて生存者3人……その3人も重傷であり、今にも死にそうである。
俺達の通る街道の近くまで来ているが、到着するまで持つのだろうか? ポーションで治療はしている様だが、虫の息だろう。まぁ生きてたとしても無視して走ってくけどね。
村人たちは俺より早く起きて、出発の準備を始めていた。俺の方が早く寝たんだけどな。警戒は従魔たちに任せて早めに休んだのに、何故村人の方が早く起きてるんだか。
それにしても、こういう所で生活していたせいか、本当にタフだなって思った。
「改めて聞きますが、本当にこの村から出て行ってもよろしいのですか? 今なら、新しくなった領主の元で、住み慣れた場所で生活できるんですよ?」
昨日も同じような事を聞いたが、やはり決断は変わらない様子だ。それ以上に新天地に思いをはせている様子さえ見られている。
「じゃぁ、出発しましょうか。見慣れない馬車だとは思いますが、1匹で4~5台の馬車を曳ける魔物の馬なので、問題はありません。昨日決めた乗り込む馬車に乗ってください」
俺たちの馬車がキッチン馬車含め3台、ジェノサイドキャラバンは4台+村人を運ぶために6台、この村で作ったのが6台の合計19台である。
馬車の隊列は4つに別けている。
1つはキッチン馬車単独。
残りの馬車は、俺たちの馬車2台とキャラバンの馬車4台を3班に分けて、前に俺たちの馬車がくるようにしている。その後ろに村人たちの乗る12台の馬車を3班4台ずつ配置する。これで村人の馬車からは、俺たちが移動中に何をしているのかは見えない。完璧だ!
ウォーホース2匹で6台の馬車を曳いているのだが、恐ろしい事に1台の時と大して変わりが無いといった様子で走っている。
問題があるとすれば、ウォーホースがいつものように走れずに、うずうずしている事だろうか? その問題は馬車の方にあるんだけどね。
いくらドワーフたちが手作りしたとは思えない性能のボールベアリングを使っているとはいえ、その部分以外は普通の馬車と大差がないのだ。
サスペンションのような機能も無く、車輪は多少衝撃を吸収するゴムのような魔物の素材をつけているとはいえ、いつものペースでウォーホースが走れば、馬車の中がシェイクされてしまうので、速度を出せないのだ。
それでも通常の馬車の倍以上の速度を出しても問題が無いので、予定していた1ヶ月ではなく半月ほどでディストピアに戻れそうである。
道中、気になる事があった。
「全体的な戦力でいえば、帝国の方が上だけど、平均的にみると聖国の方が上なのかな? 全体的な治安がいいんだよな。個の力より集団の力ってとこなのかな?」
大体行程の半分程、1週間が過ぎた頃にそんな事を思って口にした。
「そうですね。確かに聖国内の治安はかなりいい方だと思いますね。マップ先生の検索機能でも、盗賊のような集団は、小規模のものが少しいるくらいですね」
俺も調べてみて知っていたが、王国に比べれば天地の差……とまではいわないが、治安にかなり差がある。
中央から遠い司祭や神官が目の届かないことをいい事に、私利私欲を満たすために行動してたせいで、こっちにちょっかいをかけてきたのかね? 後は、獣人への対応が微妙だった事以外は、いい傾向の宗教に見えてきた。
俺たちと敵対してた時は、国のトップだから、例え部下たちの不始末とはいえ、自分から非を認めるわけにはいかなかったって所かな? 過ぎた事は考えても仕方がないかな?
この1週間は、特に何もなかった……と思う。あったと言えば、普通より早く移動しているため、村人が馬車酔いをしているくらいだろう。
クッション性の車輪を使っているとはいえ、さすがに細かく揺れると酔ってしまうようだ。
すまんな。俺たちの馬車にはほとんど揺れが無いんだ。って思ったのが3日前。今は、あれだけ揺れている中で、キャラバンがいろんな街で手に入れた本を読む人まで出てきているのだ。どんだけタフやねん!
思わず、本を読んでいる姿を見て叫んでしまいそうだった。
っと、まぁこんな感じで平和に1週間が過ぎた。
下手に街に入って宿をとるより、野営をした方が快適なので、暗くなるギリギリまで移動ができ、予定よりさらに早く着きそうだ。半月、2週間を予定していたが、12日で着きそうだ。後5日!
でも、その道中に1つだけ不安要因がある。
俺たちからすれば大した事は無いのだが、問題は問題である。どこで情報を手に入れたのか、盗賊に扮した近くの領主たちが派遣した兵士がいるのだ。その数は、およそ100人。遭遇するのは2日後。
「さて……みんな、あの盗賊まがいのやつらどうする?」
俺たちは、馬車の1つに集まり作戦会議を行っている。
「強さ的には大した事ありませんが、こちらは非戦闘員が200人を超えています。普通に考えれば、不利ですね」
「でもでも、所詮神殿騎士にもなれなかった、ポンコツの集まり100人でしょ? そんなの蹴散らしちゃえばいいんじゃない?」
キリエの報告に対して、ジュリエットが辛口な事を言っている。確かに、神殿騎士にもなれなかった落ちこぼれではあるんだけど、
「いちいち私たちが真正面から対応する必要ないんじゃないですか? どう考えても向こうが悪いのですから、適当な魔物を召喚してけしかければよくないですか? もしこっちに魔物が来たら倒してしまえばいいと思います」
リリーは、自分たちで動くのも面倒なようだ。ドラゴニュートのせいなのか、強い人とは戦いたがるが、興味を示さない相手にはとことん面倒だという態度をとる事がある。
それでも、作戦や命令であれば真剣に行うので、ただ強い人と戦って自分を鍛えたいのだろう。おじいちゃんのレイリーと、よく模擬戦をしてるからな。
レイリーとの戦闘訓練はハードだから、俺はできるだけ参加したくないんだよね。あのおじいちゃん、底無しの体力だから本当に困るんだよね。
っと、いかんいかん。
「村人たちを不安にさせるのも良くないから、召喚した魔物で襲わせようか」
その後はどんな魔物を呼ぶかで会議が終わった。
その日の夜、誰に覚られる事なく俺たちを待ち受けていると思われる集団は、クマの集団に襲われて生存者3人……その3人も重傷であり、今にも死にそうである。
俺達の通る街道の近くまで来ているが、到着するまで持つのだろうか? ポーションで治療はしている様だが、虫の息だろう。まぁ生きてたとしても無視して走ってくけどね。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる