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第1017話 強行突破
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キリエが慌てて戻ってきた。
「ご主人様! 少し問題が!」
キリエが慌てていたので落ち着くように促してから、ゆっくりと事情を説明するように伝える。
どうやら、村長と話す事が出来て村人の治療に関しても問題なかったのだが、治療費が払えないから村全員を奴隷として連れてってほしい! とお願いされてしまったとの事。
お金はいらないと言っても、この村から自分たちで出て移動するにも手段がなく、ここまでわざわざ来て治療してくれる人たちであれば、悪いようにはならないだろうという考えもあったようだが、一番大きい理由はここにいても死を待つだけなので、どこか違う場所に……と言う事らしい。
キリエの説明を聞いて、何となく気持ちは分からなくもないけど、どうしたものだか?
「とりあえず、俺たちが来てるのに死人が出るのは困るので、さっさと治療をしよう。ギンとクロ、ソウとコウの4匹で、森にいる魔物を間引いてもらっていいか? 増えすぎると困るしな」
ギンの上にソウ、クロの上にコウが乗って村から500メートル程離れた魔物が住む森へ入っていった。魔物の領域じゃないので、魔物が自然発生する事は無いのだが、繁殖をするようで獣系の魔物が増えているようなのだ。
そのせいで森の中の食材も動物も狩れないため、食糧が目減りしていたようだ。現地産勇者がいた時は、魔物は問題なく倒せており、狩りも問題なかったのだ。連れていかれる時に、勇者の食事と言う事で結構な量の食糧をもっていかれてしまったのも要因の1つらしい。
ここの近くの領主は、戦力と同時に多少の食糧もこの村から奪っていったのか。
怪我を治してもらい、感謝はしているがもてなすにも貴重な食料に手を付けるわけにもいかず、村人たちはオロオロするばかりだった。
よし、腹が減っては話もできないので、まずはお腹いっぱいに食べてもらおう。
涙を流しながら食事をしている光景を見ると、心が少し痛くなるな。そんな風に思っていると、膝の上に重さを感じた。見てみると、気付いてもらえたガロウが嬉しそうに俺の顔を舐めまわす。
「そんなに舐めるな」
ちょっと怒りながらも、可愛くてわしゃわしゃしてしまう。体のサイズは召喚した時から大して変わってないが、3か月を過ぎたあたりから俺から離れて、クロやギン、ダマ、他にも従魔の先輩たち指導でLv上げと戦い方の勉強をしている。
召喚されてすぐに肉とか食ってたから、体的には学ぶ事は問題なかったが精神が幼過ぎて、べったりだったんだよな。
最近は、俺に褒めてもらいたくて一生懸命狩りをしてLvを上げている。戦争に行った時は、連れてってあげなかったから、ついていくために必死だったそうだ。ダマが指導している時にそう話していたと。
なので今回は連れてきている。Lvも200を超えてそこら辺の魔物なら、単独でも数百を簡単に屠るだろう戦闘力になっている。だけど、偉ぶったりする事が無いのは、シルキーの躾のおかげだろう。本当にあの人たちは万能だよな。
村の人間には、クロやギンは怖がられたが、コウやソウ、ダマ、シエル、グレン、ガロウは、見た目が小さく愛らしいのですぐに受け入れてもらえている。おかげでいろんな話が聞きやすかった。
現地産勇者の話だが、連れていかれるまでは分かっていなかったそうだが、村人の中に魔物に強い人があらわれた事を喜んで、その子を中心にこの村がまわっていた所に、商人のうわさを聞きつけてか、近くの街の領主が来て食料と一緒に連れていかれてしまったとの事だ。
森の魔物を間引いて、しばらくはこの村は安全になったのだが、根本的な解決ができていない。
一番問題は、炊き出しもしたことによって救ってもらえる可能性が高いと判断したのか、何としてでも助けてもらおうと猛烈なアタックがある事だ。
勝手に連れてっても何とかなるのだが、一応手順を踏んで連れて行った方がいいだろう。ここに放置していっても問題ないのだが、現地産勇者がおらず戦力になる人間はすでに死んでしまっており、近くの街の領主は頼りに出来ないとなれば、自分たちを護る事もできないしな。
このまま近くの街の領主に話をしに行っても、面倒なうえに時間がかかりそうなので、教皇の所に話に言った方が早いだろうと考え、村長に話をしてしばらく待ってもらえるように説得する。
それでも、魔物が襲ってきた時の事が怖いらしく、壁を作ってあげる事で納得してもらった。
食事も問題ないと分かってもらうために、持ってきた食料から少しだけ渡している。聖国でも辺境なので、本来なら聖都まで時間がかかるのだが、新型馬車があれば大した時間はかからない。
辺境の村から3日で聖都に着いた。通行書があるので、門をくぐる際の手続きは無くすぐに入る事が出来た。教皇に会うためには一応アポを取らないといけないので、宿屋を取り城へ向かい面会申請をしてくる。
宿の名前を伝えておいたし、教皇の耳に届けばすぐにでもお呼びがかかるだろう。問題は、どのタイミングで教皇に伝わるかだな。手紙の場合なら結構早い段階に気付いてもらえていたようだし大丈夫だろう。
2日が過ぎても連絡が無いので、仕方がなくもう一度アポを申請した所へ向かうと、
「またお前か、教皇様に会いたいのであれば誰かの紹介状をもらってこい。そうしなければ会えたとしても数年先だ」
うん。そんな気がしてた。風魔法を使って覚醒魔法を使う。
「教皇! 出て来い! シュウが合いに来てやったぞ!」
正門でそんな事を言えば、どうなるかは火を見るより明らかだよな。兵士たちが集まってきた。その中に見覚えのある顔を発見する。
「そこのお前! 俺のこと覚えてるか? 覚えてるならさっさと呼び言ってくれ」
どうやら俺の顔を覚えてくれていたようで、周りに絶対に手を出すなと言い含めてから城に走っていった。
門の前では物々しい雰囲気ではあるが、膠着状態になっている。命令と言う事で手を出せないけど、警戒を解くわけにはいかないので、にらみ合いの状態である。
10分程経った頃に、城へ走っていった兵士が帰ってきた。
「教皇様がお会いになるそうです。このまま私と一緒に来てください」
どうやら会えそうだ。
「ご主人様! 少し問題が!」
キリエが慌てていたので落ち着くように促してから、ゆっくりと事情を説明するように伝える。
どうやら、村長と話す事が出来て村人の治療に関しても問題なかったのだが、治療費が払えないから村全員を奴隷として連れてってほしい! とお願いされてしまったとの事。
お金はいらないと言っても、この村から自分たちで出て移動するにも手段がなく、ここまでわざわざ来て治療してくれる人たちであれば、悪いようにはならないだろうという考えもあったようだが、一番大きい理由はここにいても死を待つだけなので、どこか違う場所に……と言う事らしい。
キリエの説明を聞いて、何となく気持ちは分からなくもないけど、どうしたものだか?
「とりあえず、俺たちが来てるのに死人が出るのは困るので、さっさと治療をしよう。ギンとクロ、ソウとコウの4匹で、森にいる魔物を間引いてもらっていいか? 増えすぎると困るしな」
ギンの上にソウ、クロの上にコウが乗って村から500メートル程離れた魔物が住む森へ入っていった。魔物の領域じゃないので、魔物が自然発生する事は無いのだが、繁殖をするようで獣系の魔物が増えているようなのだ。
そのせいで森の中の食材も動物も狩れないため、食糧が目減りしていたようだ。現地産勇者がいた時は、魔物は問題なく倒せており、狩りも問題なかったのだ。連れていかれる時に、勇者の食事と言う事で結構な量の食糧をもっていかれてしまったのも要因の1つらしい。
ここの近くの領主は、戦力と同時に多少の食糧もこの村から奪っていったのか。
怪我を治してもらい、感謝はしているがもてなすにも貴重な食料に手を付けるわけにもいかず、村人たちはオロオロするばかりだった。
よし、腹が減っては話もできないので、まずはお腹いっぱいに食べてもらおう。
涙を流しながら食事をしている光景を見ると、心が少し痛くなるな。そんな風に思っていると、膝の上に重さを感じた。見てみると、気付いてもらえたガロウが嬉しそうに俺の顔を舐めまわす。
「そんなに舐めるな」
ちょっと怒りながらも、可愛くてわしゃわしゃしてしまう。体のサイズは召喚した時から大して変わってないが、3か月を過ぎたあたりから俺から離れて、クロやギン、ダマ、他にも従魔の先輩たち指導でLv上げと戦い方の勉強をしている。
召喚されてすぐに肉とか食ってたから、体的には学ぶ事は問題なかったが精神が幼過ぎて、べったりだったんだよな。
最近は、俺に褒めてもらいたくて一生懸命狩りをしてLvを上げている。戦争に行った時は、連れてってあげなかったから、ついていくために必死だったそうだ。ダマが指導している時にそう話していたと。
なので今回は連れてきている。Lvも200を超えてそこら辺の魔物なら、単独でも数百を簡単に屠るだろう戦闘力になっている。だけど、偉ぶったりする事が無いのは、シルキーの躾のおかげだろう。本当にあの人たちは万能だよな。
村の人間には、クロやギンは怖がられたが、コウやソウ、ダマ、シエル、グレン、ガロウは、見た目が小さく愛らしいのですぐに受け入れてもらえている。おかげでいろんな話が聞きやすかった。
現地産勇者の話だが、連れていかれるまでは分かっていなかったそうだが、村人の中に魔物に強い人があらわれた事を喜んで、その子を中心にこの村がまわっていた所に、商人のうわさを聞きつけてか、近くの街の領主が来て食料と一緒に連れていかれてしまったとの事だ。
森の魔物を間引いて、しばらくはこの村は安全になったのだが、根本的な解決ができていない。
一番問題は、炊き出しもしたことによって救ってもらえる可能性が高いと判断したのか、何としてでも助けてもらおうと猛烈なアタックがある事だ。
勝手に連れてっても何とかなるのだが、一応手順を踏んで連れて行った方がいいだろう。ここに放置していっても問題ないのだが、現地産勇者がおらず戦力になる人間はすでに死んでしまっており、近くの街の領主は頼りに出来ないとなれば、自分たちを護る事もできないしな。
このまま近くの街の領主に話をしに行っても、面倒なうえに時間がかかりそうなので、教皇の所に話に言った方が早いだろうと考え、村長に話をしてしばらく待ってもらえるように説得する。
それでも、魔物が襲ってきた時の事が怖いらしく、壁を作ってあげる事で納得してもらった。
食事も問題ないと分かってもらうために、持ってきた食料から少しだけ渡している。聖国でも辺境なので、本来なら聖都まで時間がかかるのだが、新型馬車があれば大した時間はかからない。
辺境の村から3日で聖都に着いた。通行書があるので、門をくぐる際の手続きは無くすぐに入る事が出来た。教皇に会うためには一応アポを取らないといけないので、宿屋を取り城へ向かい面会申請をしてくる。
宿の名前を伝えておいたし、教皇の耳に届けばすぐにでもお呼びがかかるだろう。問題は、どのタイミングで教皇に伝わるかだな。手紙の場合なら結構早い段階に気付いてもらえていたようだし大丈夫だろう。
2日が過ぎても連絡が無いので、仕方がなくもう一度アポを申請した所へ向かうと、
「またお前か、教皇様に会いたいのであれば誰かの紹介状をもらってこい。そうしなければ会えたとしても数年先だ」
うん。そんな気がしてた。風魔法を使って覚醒魔法を使う。
「教皇! 出て来い! シュウが合いに来てやったぞ!」
正門でそんな事を言えば、どうなるかは火を見るより明らかだよな。兵士たちが集まってきた。その中に見覚えのある顔を発見する。
「そこのお前! 俺のこと覚えてるか? 覚えてるならさっさと呼び言ってくれ」
どうやら俺の顔を覚えてくれていたようで、周りに絶対に手を出すなと言い含めてから城に走っていった。
門の前では物々しい雰囲気ではあるが、膠着状態になっている。命令と言う事で手を出せないけど、警戒を解くわけにはいかないので、にらみ合いの状態である。
10分程経った頃に、城へ走っていった兵士が帰ってきた。
「教皇様がお会いになるそうです。このまま私と一緒に来てください」
どうやら会えそうだ。
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