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第1016話 聖国へ
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秘密基地が完成してから1週間が経った。基本的に俺が利用する事は無いが、あそこをえらく気に入った綾乃が入り浸っているようだ。
自分の家をほっぽりだして、秘密基地に自分専用の部屋と工房まで用意してしまったらしい。ブラウニーが日替わりで、喜んで管理してくれているのをいい事に、いろんな注文を付けているらしい。特に飯については注文が多いとか。
ブラウニーは、それを喜んで仕事として行ってしまうため、綾乃が調子に乗っているらしい。それにしても、引きこもり生活まっしぐらな状況だな。
土木組も年少組も、面白がって秘密基地に行っているようなので、綾乃が変な事を始めたら説教をしてもらえばいいか。一応、与えられた仕事、素材の作成はしっかりと行っているので文句は言えないしな。
妊娠している3人は、体が動かせないと不満を漏らしてはいるが、シルキーに様子を聞けば散歩とか無理のない範囲でしているので、運動不足にはなっていないはずだ。というより、妊娠する前が動きすぎだったといってもおかしくない。
日課になった庁舎への出勤をして、資料を読んでいて気になった資料があった。
ちなみに、庁舎出勤するようになったけど、基本的には午前中しか仕事はしない。それ以上いても本当にする事が無くて、グリエルたちにどこかに行ってくださいと追い出されるからな。
「グリエル! ちょっと気になったんだけど、現地産の勇者を見つけたって報告書があるけど、これってどうなってる?」
「えっと、ちょっとお待ちください」
グリエルがノートパソコンを起動して、現地産勇者の情報について検索を始めた。10分位すると、資料を印刷して俺の所へ持ってきてくれた。この部屋だけ見ると、日本のオフィスみたいだな。
「いる場所は、聖国ですね。報告が確かなら、村の衛兵として活動していた現地産勇者を街に召喚して鍛えているようです。ですが、村には戦力となる衛兵がいなくなり、かなりの被害が出ているらしいです。それに、守りの要の現地産勇者を連れて行ったのに、村には何の保証もしていないようですね」
「はぁ~これって、聖国だからってわけじゃないよな? 聖国の貴族、枢機卿や大司教の独断で囲ってるって事かな? ちなみにその村の被害ってどんな感じなの?」
「えっと、村の被害は村の規模が300人位に対して、15人位お亡くなりになって、50人位がケガをしてしまっていますね。1ヶ月ほど前に現地産勇者が連れてかれてからですね。元々、お金がある村でもなかったので、治療にも来てもらえないそうです」
「これは拙いよね~聖国の村の話だけど、知っちゃったからには何とかしないといけないかな?」
「シュウ様の思う様にすればいいと思いますよ」
「ん~村の人の不祥事でとかなら放置するけど、勇者を連れてかれたせいで出た被害だもんな」
「そう言いますが、現地産勇者だったから監視してた内容ですけどね」
言われてみて納得。ただの村から多少強い兵士が連れてかれても、監視はしないよな。
「よし! 知ったからには、対処しようか。みんなに声をかけようか」
そう言って、スマホ型魔導無線を起動してみんなに連絡する。そうすると、年中組のメンバーと従魔達を連れて出発する事になった。
俺は家に戻って準備を始める。準備を終えてから、妊娠をした3人に話に行く。
「すぐ戻ってこれると思うけど、体調には気を付けてな」
「もう、シュウ君ったら。シルキーたちが付いてるんだから問題ないわよ。心配しすぎだって。それに、心配するのは私たちの方よ。聖国だから生身で行くんでしょ? だから気を付けてよ」
反対に生身で行く俺の事を心配されてしまった。
「本当に何かあったら私達の子供にいい影響ないんだから本当に気を付けてよ。いろんなことを失敗してもいいから、無事に帰ってきてね」
ミリーに言われて、カエデに追い打ちをくらった。リンドも体には気を付けて、と簡単に声をかけてきただけだった。さすが数百年生きているだけあるな。余裕っぽい。
「さて、みんな準備ができたから出発するよ!」
「ご主人様、今回はどうするんですか?」
移動している馬車の中でキリエが俺に質問してきた。他のメンバーも気になっているようで、みんなの顔が俺の方に向いている。
「ミューズから聖国に入って他の街を無視して、件の村に向かおうと思う。ケガしている人が多いから早めに治さないと、手遅れになるかもしれないからね」
「と言う事は、急がれるって事ですか?」
「あ~地上を急いでいく形かな? 色々面倒だけど、野営をするから夜番もあるけど、よろしくね」
声をそろえて「了解」と言いいつものように、馬車の中でのんびり過ごす事になる。御者に関しては、ディストピアの冒険者から募集して6人雇っている。
幌馬車2台とキッチン馬車1台で移動をしているので2交代の3台分で6人と言う事だ。夜番は俺達でやるので本当に御者だけをしてもらう予定だ。ただ俺がいるという事で、ディストピアの冒険者は、率先して雑用をしようとするので、注意が必要なのだ。
といっても、今回に関しては、食事に関してはブラウニーを連れてきているし、野営に関しては新型馬車を持ってきているので10分もあれば問題なく準備ができるようになっている。
問題なのが、夜番なんだよな。御者もしてもらって夜番までやられると困るので、年中組と作戦会議をこっそり開いた。
その結果は、正面から頭を下げて休んでもらうのがいいのでは?と言う事になった。
目的の村まで一般的な馬車なら3週間はかかるだろう距離を、4日で到着する事に成功した。途中、馬車とすれ違うためにスピードを落としたりしていたので、多少時間がかかってしまっている。
到着した村は、
「予想以上に酷いな」
人的被害も酷かったがそれ以上に、建物がボロボロだった。
「えっと、キリエ、護衛にリリーとダマを連れて村の人の治療をしてくれ、治療費に関してはとらない事を村長と契約してくれ。おそらくそうしないと、治療を受け入れてくれないと思う。その契約書に可能なら聖国から払ってもらうっていう一文をつけて、そこをしっかり説明してくれ」
こういう村では、通りすがりのヒーラーが治療をして法外な金額を請求するという問題があるので、その部分を否定しておかないとね。
悪さをするヒーラーは、村人から見れば強い仲間を連れているので、泣く泣くお金を払ったり、奴隷として村人を連れていかれたりするようだ。
俺たちはまず、村から少し離れた場所で、炊き出しの準備を始めた。
自分の家をほっぽりだして、秘密基地に自分専用の部屋と工房まで用意してしまったらしい。ブラウニーが日替わりで、喜んで管理してくれているのをいい事に、いろんな注文を付けているらしい。特に飯については注文が多いとか。
ブラウニーは、それを喜んで仕事として行ってしまうため、綾乃が調子に乗っているらしい。それにしても、引きこもり生活まっしぐらな状況だな。
土木組も年少組も、面白がって秘密基地に行っているようなので、綾乃が変な事を始めたら説教をしてもらえばいいか。一応、与えられた仕事、素材の作成はしっかりと行っているので文句は言えないしな。
妊娠している3人は、体が動かせないと不満を漏らしてはいるが、シルキーに様子を聞けば散歩とか無理のない範囲でしているので、運動不足にはなっていないはずだ。というより、妊娠する前が動きすぎだったといってもおかしくない。
日課になった庁舎への出勤をして、資料を読んでいて気になった資料があった。
ちなみに、庁舎出勤するようになったけど、基本的には午前中しか仕事はしない。それ以上いても本当にする事が無くて、グリエルたちにどこかに行ってくださいと追い出されるからな。
「グリエル! ちょっと気になったんだけど、現地産の勇者を見つけたって報告書があるけど、これってどうなってる?」
「えっと、ちょっとお待ちください」
グリエルがノートパソコンを起動して、現地産勇者の情報について検索を始めた。10分位すると、資料を印刷して俺の所へ持ってきてくれた。この部屋だけ見ると、日本のオフィスみたいだな。
「いる場所は、聖国ですね。報告が確かなら、村の衛兵として活動していた現地産勇者を街に召喚して鍛えているようです。ですが、村には戦力となる衛兵がいなくなり、かなりの被害が出ているらしいです。それに、守りの要の現地産勇者を連れて行ったのに、村には何の保証もしていないようですね」
「はぁ~これって、聖国だからってわけじゃないよな? 聖国の貴族、枢機卿や大司教の独断で囲ってるって事かな? ちなみにその村の被害ってどんな感じなの?」
「えっと、村の被害は村の規模が300人位に対して、15人位お亡くなりになって、50人位がケガをしてしまっていますね。1ヶ月ほど前に現地産勇者が連れてかれてからですね。元々、お金がある村でもなかったので、治療にも来てもらえないそうです」
「これは拙いよね~聖国の村の話だけど、知っちゃったからには何とかしないといけないかな?」
「シュウ様の思う様にすればいいと思いますよ」
「ん~村の人の不祥事でとかなら放置するけど、勇者を連れてかれたせいで出た被害だもんな」
「そう言いますが、現地産勇者だったから監視してた内容ですけどね」
言われてみて納得。ただの村から多少強い兵士が連れてかれても、監視はしないよな。
「よし! 知ったからには、対処しようか。みんなに声をかけようか」
そう言って、スマホ型魔導無線を起動してみんなに連絡する。そうすると、年中組のメンバーと従魔達を連れて出発する事になった。
俺は家に戻って準備を始める。準備を終えてから、妊娠をした3人に話に行く。
「すぐ戻ってこれると思うけど、体調には気を付けてな」
「もう、シュウ君ったら。シルキーたちが付いてるんだから問題ないわよ。心配しすぎだって。それに、心配するのは私たちの方よ。聖国だから生身で行くんでしょ? だから気を付けてよ」
反対に生身で行く俺の事を心配されてしまった。
「本当に何かあったら私達の子供にいい影響ないんだから本当に気を付けてよ。いろんなことを失敗してもいいから、無事に帰ってきてね」
ミリーに言われて、カエデに追い打ちをくらった。リンドも体には気を付けて、と簡単に声をかけてきただけだった。さすが数百年生きているだけあるな。余裕っぽい。
「さて、みんな準備ができたから出発するよ!」
「ご主人様、今回はどうするんですか?」
移動している馬車の中でキリエが俺に質問してきた。他のメンバーも気になっているようで、みんなの顔が俺の方に向いている。
「ミューズから聖国に入って他の街を無視して、件の村に向かおうと思う。ケガしている人が多いから早めに治さないと、手遅れになるかもしれないからね」
「と言う事は、急がれるって事ですか?」
「あ~地上を急いでいく形かな? 色々面倒だけど、野営をするから夜番もあるけど、よろしくね」
声をそろえて「了解」と言いいつものように、馬車の中でのんびり過ごす事になる。御者に関しては、ディストピアの冒険者から募集して6人雇っている。
幌馬車2台とキッチン馬車1台で移動をしているので2交代の3台分で6人と言う事だ。夜番は俺達でやるので本当に御者だけをしてもらう予定だ。ただ俺がいるという事で、ディストピアの冒険者は、率先して雑用をしようとするので、注意が必要なのだ。
といっても、今回に関しては、食事に関してはブラウニーを連れてきているし、野営に関しては新型馬車を持ってきているので10分もあれば問題なく準備ができるようになっている。
問題なのが、夜番なんだよな。御者もしてもらって夜番までやられると困るので、年中組と作戦会議をこっそり開いた。
その結果は、正面から頭を下げて休んでもらうのがいいのでは?と言う事になった。
目的の村まで一般的な馬車なら3週間はかかるだろう距離を、4日で到着する事に成功した。途中、馬車とすれ違うためにスピードを落としたりしていたので、多少時間がかかってしまっている。
到着した村は、
「予想以上に酷いな」
人的被害も酷かったがそれ以上に、建物がボロボロだった。
「えっと、キリエ、護衛にリリーとダマを連れて村の人の治療をしてくれ、治療費に関してはとらない事を村長と契約してくれ。おそらくそうしないと、治療を受け入れてくれないと思う。その契約書に可能なら聖国から払ってもらうっていう一文をつけて、そこをしっかり説明してくれ」
こういう村では、通りすがりのヒーラーが治療をして法外な金額を請求するという問題があるので、その部分を否定しておかないとね。
悪さをするヒーラーは、村人から見れば強い仲間を連れているので、泣く泣くお金を払ったり、奴隷として村人を連れていかれたりするようだ。
俺たちはまず、村から少し離れた場所で、炊き出しの準備を始めた。
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