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第1006話 状況が進んでいく
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ジェノサイドキャラバンが出発して3日が過ぎた。
予定では、トルメキアにそろそろ着くはずだ。一度撤退した商隊がまた来るってどう思うんだろうな? 表向きの目的は移動をする冒険者ギルドの手伝いだからな。リリスたちに邪険にされないだろう。今回は、俺たちの代わりに鬼人の皆が付いてるから、安全だろうけどな。
そして裏の目的は、商隊としてはトルメキアの金をむしり取り、鬼人としては国の上層部を逃がさないように監視、または捕縛だからな。ただ、無理はしないでほしい所だ。やり過ぎると、なりふり構わないやつらが出てくるからな。
そんな事をミドリの用意してくれたハンモックで、スライムたちと一緒に戯れながら考えていたら、グリエルの呼び出しにあった。暇だったのでちょうどよかったと思いながら、ダマとグレンを連れて庁舎に向かう。
スライムたちも興味があるのか、俺の後ろに列を作って追いかけてきた。街の皆は久しぶりにこの光景が見れた、と拝む人まで出てきてビックリしてしまった。
「シュウ様、やっと来られましたね。報告があるので会議室の方に移動をお願いします」
街の人とふれ合ってから来たため、少し時間がかかってしまい、グリエルの発言にちょこっとトゲがあった。
グリエルの執務室には、グリエルの他に、ガリアとゼニス、後は秘書の4人。いつものメンバーがいた。あれ? ゼニスって商会のトップなのに最近ここによくいるな、商会は大丈夫か?
「シュウ様、商会の方は何も問題ありませんよ。後継者もしっかりと育っていますし、離れていてもタイムラグ無しで報告がくるので、正直どこで仕事をしていても問題ないのです。ならば、一番過ごしやすいディストピアで、仕事をするのがベストですよ」
あれ~? 俺の考えを読まれてしまった。それにしても、通信手段があると何処にいても問題ないか。実際に現場にいないとできない仕事もあるけど、日本や海外でも在宅ワークがあるもんな。
「で、報告って何かな?」
「では、スクリーンをご覧ください」
そう言って、部屋が暗くなりスクリーンにいくつもの写真が映し出された。
何枚目かを見るうちに、何の写真かすぐに分かったが、
「それにしても、ちょっと酷過ぎるんじゃないか? これじゃ、盗賊団が街を襲ったようなもんじゃないか」
人口3万人程の街だと聞いていたが、その半数以上は殺されたようだ。
説明を聞くと、俺が報告を受けた4日前、無差別の略奪が始まっていた。それがエスカレートしてこうなったとか。
初めは、殺されたくないからと抵抗をしていなかった住人だが、ある少女が強姦された事件をきっかけに冒険者のストッパーが壊れ、至る所で強姦・暴行が始まり、住人も本当に命を懸けて抵抗をしたようだ。
冒険者とはレベルの差があり、普通ならどうにもならない差だったが、命を懸けた人間の必死さは常軌を逸していたらしい。
不意打ちで殺されたBランクの冒険者の経験値を吸収して、強くなった街の人が暴れたりして、冒険者にも多大な被害が出たそうだ。その数は、500人強。その大半は、男性冒険者だった。巻き込まれて亡くなった新人も10人程いたとか。
高ランクの冒険者は止めたのだが、数には勝てず住人に避難するように指示を出したりして被害の拡大を防ごうとしたが、その隙をつかれてBランク上の冒険者も何人か命を落としている。住人からすれば、敵の仲間だもんな。
荷物の大半を運び出しており、外で待機していた新人冒険者や女性冒険者には被害が出なかったのは、不幸中の幸いだろうか? それでも十数人は亡くなっているのだが。
で、現在、リリスたち冒険者は、すでにトルメキアの街の付近に到着しているらしい。移動が早くなったのは、馬車や馬も根こそぎ奪ってきたからだろう。
鬼人の報告では、リリスたちSランク冒険者と補佐しているAランク冒険者は、疲弊の色を隠せないようだ。
トルメキアに帰る道中にも、興奮が収まっていない男性冒険者が女性冒険者を襲おうとして、処分したりと休む暇がなかったそうだ。
「とりあえず、ジェノサイドキャラバンのリーダーに、今回命令違反をした冒険者は害になる可能性があるから、トルメキアを出るメンバーにはいれない方がいいと、助言するように言っておいて」
「了解しました。ですが、多分その必要はないと思いますよ。1度味を占めた馬鹿共は、次も何の問題もなく事が運ぶと勘違いすると思います。続けてまた聖国の街を攻めると思いますよ」
「そういうもんか? そういえば、穴の中に落とした奴ら解放するか? トルメキアの軍も今すぐどうにかできると思っていないのか、放置しているみたいだしな。食料の動物も上から落としてるから飢えていないだろうし、いい動きしてくれるかな?」
俺はトルメキアの事が心底嫌いらしい。これから何万と人が死んだり奴隷になったりするだろうが、何も感じなくなかった。
続いての報告は、教皇が俺の手紙を見て、トルメキアを本気で落とす事にしたらしい。元々は、教皇は知らなかったのだが、教皇公認の作戦になったようだ。
そのおかげで、聖都にいた神殿騎士団の半分、1万人の神殿騎士がトルメキア国境に向けて高速で移動している。騎乗している馬のLvも上げているのか、移動速度が並では無かった。普通の馬の倍以上の速さで進んでいた。
この様子なら、後4日で略奪にあった街に到着するだろう。後方には、輜重部隊も見えるので、かなり本気になっていると思う。それに、俺たちがクダスンデス改で苦しめた聖国の軍も復活し始めている。よく考えたら、聖国の兵士や騎士ってほとんど死んでないんだよな……戦力差がおかしなことになってるな。
最後の報告で、トルメキアの王都に潜入している鬼人からで、今の所逃げ出そうとしているターゲットはいない。ただ、俺を侮辱した奴らを目にしたとたん『あの城壊してもいいですか?』と低いトーンの通信が来た時には、焦って全力で止めた。
まったく、狂信者は困るな。でも、裏切る事は無いから、暗部としては最高の人材なんだけどな。ちょっと過激になりすぎるから、注意が必要だけどね。
報告が終わると、また明日も来てほしいと言われたので、素直に顔を出す事にした。
予定では、トルメキアにそろそろ着くはずだ。一度撤退した商隊がまた来るってどう思うんだろうな? 表向きの目的は移動をする冒険者ギルドの手伝いだからな。リリスたちに邪険にされないだろう。今回は、俺たちの代わりに鬼人の皆が付いてるから、安全だろうけどな。
そして裏の目的は、商隊としてはトルメキアの金をむしり取り、鬼人としては国の上層部を逃がさないように監視、または捕縛だからな。ただ、無理はしないでほしい所だ。やり過ぎると、なりふり構わないやつらが出てくるからな。
そんな事をミドリの用意してくれたハンモックで、スライムたちと一緒に戯れながら考えていたら、グリエルの呼び出しにあった。暇だったのでちょうどよかったと思いながら、ダマとグレンを連れて庁舎に向かう。
スライムたちも興味があるのか、俺の後ろに列を作って追いかけてきた。街の皆は久しぶりにこの光景が見れた、と拝む人まで出てきてビックリしてしまった。
「シュウ様、やっと来られましたね。報告があるので会議室の方に移動をお願いします」
街の人とふれ合ってから来たため、少し時間がかかってしまい、グリエルの発言にちょこっとトゲがあった。
グリエルの執務室には、グリエルの他に、ガリアとゼニス、後は秘書の4人。いつものメンバーがいた。あれ? ゼニスって商会のトップなのに最近ここによくいるな、商会は大丈夫か?
「シュウ様、商会の方は何も問題ありませんよ。後継者もしっかりと育っていますし、離れていてもタイムラグ無しで報告がくるので、正直どこで仕事をしていても問題ないのです。ならば、一番過ごしやすいディストピアで、仕事をするのがベストですよ」
あれ~? 俺の考えを読まれてしまった。それにしても、通信手段があると何処にいても問題ないか。実際に現場にいないとできない仕事もあるけど、日本や海外でも在宅ワークがあるもんな。
「で、報告って何かな?」
「では、スクリーンをご覧ください」
そう言って、部屋が暗くなりスクリーンにいくつもの写真が映し出された。
何枚目かを見るうちに、何の写真かすぐに分かったが、
「それにしても、ちょっと酷過ぎるんじゃないか? これじゃ、盗賊団が街を襲ったようなもんじゃないか」
人口3万人程の街だと聞いていたが、その半数以上は殺されたようだ。
説明を聞くと、俺が報告を受けた4日前、無差別の略奪が始まっていた。それがエスカレートしてこうなったとか。
初めは、殺されたくないからと抵抗をしていなかった住人だが、ある少女が強姦された事件をきっかけに冒険者のストッパーが壊れ、至る所で強姦・暴行が始まり、住人も本当に命を懸けて抵抗をしたようだ。
冒険者とはレベルの差があり、普通ならどうにもならない差だったが、命を懸けた人間の必死さは常軌を逸していたらしい。
不意打ちで殺されたBランクの冒険者の経験値を吸収して、強くなった街の人が暴れたりして、冒険者にも多大な被害が出たそうだ。その数は、500人強。その大半は、男性冒険者だった。巻き込まれて亡くなった新人も10人程いたとか。
高ランクの冒険者は止めたのだが、数には勝てず住人に避難するように指示を出したりして被害の拡大を防ごうとしたが、その隙をつかれてBランク上の冒険者も何人か命を落としている。住人からすれば、敵の仲間だもんな。
荷物の大半を運び出しており、外で待機していた新人冒険者や女性冒険者には被害が出なかったのは、不幸中の幸いだろうか? それでも十数人は亡くなっているのだが。
で、現在、リリスたち冒険者は、すでにトルメキアの街の付近に到着しているらしい。移動が早くなったのは、馬車や馬も根こそぎ奪ってきたからだろう。
鬼人の報告では、リリスたちSランク冒険者と補佐しているAランク冒険者は、疲弊の色を隠せないようだ。
トルメキアに帰る道中にも、興奮が収まっていない男性冒険者が女性冒険者を襲おうとして、処分したりと休む暇がなかったそうだ。
「とりあえず、ジェノサイドキャラバンのリーダーに、今回命令違反をした冒険者は害になる可能性があるから、トルメキアを出るメンバーにはいれない方がいいと、助言するように言っておいて」
「了解しました。ですが、多分その必要はないと思いますよ。1度味を占めた馬鹿共は、次も何の問題もなく事が運ぶと勘違いすると思います。続けてまた聖国の街を攻めると思いますよ」
「そういうもんか? そういえば、穴の中に落とした奴ら解放するか? トルメキアの軍も今すぐどうにかできると思っていないのか、放置しているみたいだしな。食料の動物も上から落としてるから飢えていないだろうし、いい動きしてくれるかな?」
俺はトルメキアの事が心底嫌いらしい。これから何万と人が死んだり奴隷になったりするだろうが、何も感じなくなかった。
続いての報告は、教皇が俺の手紙を見て、トルメキアを本気で落とす事にしたらしい。元々は、教皇は知らなかったのだが、教皇公認の作戦になったようだ。
そのおかげで、聖都にいた神殿騎士団の半分、1万人の神殿騎士がトルメキア国境に向けて高速で移動している。騎乗している馬のLvも上げているのか、移動速度が並では無かった。普通の馬の倍以上の速さで進んでいた。
この様子なら、後4日で略奪にあった街に到着するだろう。後方には、輜重部隊も見えるので、かなり本気になっていると思う。それに、俺たちがクダスンデス改で苦しめた聖国の軍も復活し始めている。よく考えたら、聖国の兵士や騎士ってほとんど死んでないんだよな……戦力差がおかしなことになってるな。
最後の報告で、トルメキアの王都に潜入している鬼人からで、今の所逃げ出そうとしているターゲットはいない。ただ、俺を侮辱した奴らを目にしたとたん『あの城壊してもいいですか?』と低いトーンの通信が来た時には、焦って全力で止めた。
まったく、狂信者は困るな。でも、裏切る事は無いから、暗部としては最高の人材なんだけどな。ちょっと過激になりすぎるから、注意が必要だけどね。
報告が終わると、また明日も来てほしいと言われたので、素直に顔を出す事にした。
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