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第1000話 決裂
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「さて将軍、おそらく分かっていたと思うけど、こういう結果になった。これだと、助けた人たちは返せないな。どうする? 俺たちを全員殺すか? さすがに無抵抗のままでやられるつもりはないからな」
「クソッ! どうすればいいんだ。連れ去られた人は街に帰したい。どうにかそれはお願いできないだろうか? あの者たちに罪はないんだ! 悪いのは聖国だ……」
「罪が無いのは分かってるけど、俺たちだって苦労して助けたのに、報酬は有りません! で納得できるわけないだろ? それに、あそこにいた奴等は、連れ去られた人間の事なんて考えてなかったぞ? いなくなればいなくなったで税収が減る、くらいにしか考えてないんじゃないか?」
典型的な腐った貴族とでもいうべきだろうか? 平民からは、死なない程度に税を巻き上げればいいと考えている奴らだろう。誤解と偏見もあるが、少なくとも6万人に対してお金を出す必要が無いと考えているのは間違いない。
「それでも! あの者たちには罪はないんだ……」
「だから、無償で街に帰していただきたい、ってか? 都合がよすぎるんじゃないか? そっちがその気なら、全員聖国に連れてって奴隷として売っぱらってもいいんだけどな」
「なっ! それは契約違反だ!」
「待て待て、契約の内容からすれば違反かもしれないけど、そもそもそっちが報酬を払わないんだから契約自体無効だろ? それなのに自分たちの都合ばっか押し付けてさ。冒険者舐めるのも大概にしろよ?」
何度か反論とお願いをしてくるが、言っている内容に変わりはない。本当に助けたいと思っているのかな?
そうこうしているうちに軍の野営地に到着した。兵士たちに将軍が説明する様だ。
「王都に行って話をしてきたが、シュウ殿に報酬を払う気がなかった。終いには、冒険者たちの略奪してきた物から払えばいい……と。トルメキアからシュウ殿たちへ、報酬が支払われることは無いと思われる」
「では! 将軍どうなさるんですか?」
「シュウ殿は、報酬が無いのなら助けた人たちを返す事ができないと……」
「ふざけるな!」
「連れ去られた人たちは、今もあそこで苦しんでるんだぞ!」
「あの人たちには、あの人たちの生活がある!」
「今すぐ街へ連れて帰らせろ!」
何か俺が悪者みたいになってるな。
「言いたい事は分かるけど、俺たちは報酬すらないタダ働き……違うな。ここで活動するのに消費した食料や、時間分の損をしている。それなのにお前らは、俺に無償であの人たちを街に帰せと?」
「それがあの人たちのためだろ!」
「お前には優しさは無いのか?」
「将軍! こんな事言わせておいていいのですか?」
おうおう、言いたい放題言ってくれるね。
「将軍、それがあんたたちの最終判断なんだな?」
「シュウ殿に何を言われようとも、あの6万人を街へ返さねばならんのだ。分かっていただきたい!」
将軍が覚悟を決めたような顔をしている。
「そっか、じゃぁ帰してやってもいいぞ。その代わり、俺が6万人もの人を助け、盗賊から鹵獲した物資も分け与えたのに、報酬を支払いませんでした。という書面を書いてくれ。それが嫌だと言うなら、全力で相手をする事になるだろう。将軍どうかな?」
「将軍! そんなもの書く必要はない!」
「こいつら軍に喧嘩を売っているぞ!」
「殺しておいた方がいいんじゃないか?」
おい! 最後のやつ、物騒だな!
「それくらいなら……」
「もちろん、あんたがトルメキアの将軍だと証明できるもので、封蝋に印璽してくれ。もしくは、あのバカ王子でもいいか? いや、あいつは冒険者ギルドに引き渡すから、印璽してもらっても意味が無いな」
「えっ? 王子は返していただけないのですか?」
「俺を殺そうとした犯罪者だよ? 報酬も無い上に、助けたのに罵られる始末。それで、何で返してもらえると思うか不思議なんだが? あいつが王子だと証明できれば、ギルドへの報告にも役に立つしな」
「待っていただきたい! 王子は返してもらわねば困る!」
「王子は? 違うだろ、王子も! だろ? それに、こっちは6万人も助けたのに報酬すらないんだぞ? これだけ譲歩してるのに、まだ文句があんのか?」
「将軍! 王子をさらうって事は、重罪です!」
「ここで殺しましょう!」
「やめろ! お前たちでは返り討ちにあうだけだ。王子の事は私が責任をもって王に伝える……」
「あっ! 正確に伝えてくれよ? さらわれた! だけじゃなく、俺を切り殺そうとして捕まり、犯罪者として冒険者ギルドに引き渡されたってな。俺の所為にすんじゃねえぞ? って言っても無理だろうけどな。とりあえず、文章は問題なさそうだな。
最後に印璽をっと。まぁこれで問題ないだろ。後はお前たちで何とかしてくれ。そうだ、一旦は鹵獲した物資を全部渡したけど、俺が鹵獲した兵士たちの装備は全部回収してくからな」
書面を受け取りそう言って天幕を出ていく。その際、出た所に騎士が待ち構えており、俺を殺そうとしてきたが、バッハが喉元に噛みつき喉を潰した。あれは助からんな。
バッハがそのまま体を大きくした。俺は足に捕まりみんなの所へ戻る。
「みんな、今回はもう帰るよ。トルメキアは俺たちに金を払う気がないみたい。タダ働きだったけど、しっかりと将軍には書面を書かせたから、後は冒険者ギルドが何とかしてくれるでしょ。帰りの支度をしようか」
もともと、収納系のアイテムの中にほとんどしまっているので、時間はかからずに準備ができた。一応、作戦から離脱をするので、リリスたちに報告をしておこう。
「リリス、俺たちはここで抜けるわ。次に聖国の街を攻める時は、俺たちがいないけど頑張ってくれ」
「はぁ? 何を言ってる? 途中で仕事を投げ出していいと思ってるのか?」
「とは言ってもさ、俺たちの仕事は連れ去られた人たちの救出と、可能な限り聖国の街を攻める手伝いだったはずだぞ。仕事を投げ出すわけじゃない。
それに、6万人を助けたのに俺たちに支払われる報酬はゼロだってさ。さすがにやる気も起こらんよ。だから、しっかり払われないという内容を書面に残したから、それをギルドに提出する予定だ。後、王子は中立地域の冒険者ギルドにいるって言っておいてくれ」
「金が払われないだと? それは本当か?」
「嘘言ってもしょうがないだろ? それと、ジェノサイドキャラバンもこれで引き上げるぞ。今度聖国の街を攻める時は気をつけろよ。食料もそうだけど、運べる量が限られるからな」
「ちょっと待て!」
リリスの静止を振り切って、俺たちは移動を開始する。
ジェノサイドキャラバンの方も、聖国を攻める際の物資の運搬が契約内容で、期間や街の数は契約に入っていないので、トルメキアに戻ってきている以上、契約が終了しているとみて問題ない。揚げ足だが、必要な部分を書いていなかったリリスたちが悪い。
ジェノサイドキャラバンは運んでいた食料と、聖国の街で積み込まれた物資の半分を下ろして俺たちと一緒に出発する。
ついでに、補給を担当してくれていた商会も引き上げさせている。もうこの国に関わる意味も無いしな。
「無駄に疲れたな。ディストピアに帰ったらゆっくり休んで遊ぼう」
聖国の人間を連れて行ってもらう冒険者たちには悪いが、途中で別れてから地下通路へ入り移動速度をあげディストピアへ向かう。
「クソッ! どうすればいいんだ。連れ去られた人は街に帰したい。どうにかそれはお願いできないだろうか? あの者たちに罪はないんだ! 悪いのは聖国だ……」
「罪が無いのは分かってるけど、俺たちだって苦労して助けたのに、報酬は有りません! で納得できるわけないだろ? それに、あそこにいた奴等は、連れ去られた人間の事なんて考えてなかったぞ? いなくなればいなくなったで税収が減る、くらいにしか考えてないんじゃないか?」
典型的な腐った貴族とでもいうべきだろうか? 平民からは、死なない程度に税を巻き上げればいいと考えている奴らだろう。誤解と偏見もあるが、少なくとも6万人に対してお金を出す必要が無いと考えているのは間違いない。
「それでも! あの者たちには罪はないんだ……」
「だから、無償で街に帰していただきたい、ってか? 都合がよすぎるんじゃないか? そっちがその気なら、全員聖国に連れてって奴隷として売っぱらってもいいんだけどな」
「なっ! それは契約違反だ!」
「待て待て、契約の内容からすれば違反かもしれないけど、そもそもそっちが報酬を払わないんだから契約自体無効だろ? それなのに自分たちの都合ばっか押し付けてさ。冒険者舐めるのも大概にしろよ?」
何度か反論とお願いをしてくるが、言っている内容に変わりはない。本当に助けたいと思っているのかな?
そうこうしているうちに軍の野営地に到着した。兵士たちに将軍が説明する様だ。
「王都に行って話をしてきたが、シュウ殿に報酬を払う気がなかった。終いには、冒険者たちの略奪してきた物から払えばいい……と。トルメキアからシュウ殿たちへ、報酬が支払われることは無いと思われる」
「では! 将軍どうなさるんですか?」
「シュウ殿は、報酬が無いのなら助けた人たちを返す事ができないと……」
「ふざけるな!」
「連れ去られた人たちは、今もあそこで苦しんでるんだぞ!」
「あの人たちには、あの人たちの生活がある!」
「今すぐ街へ連れて帰らせろ!」
何か俺が悪者みたいになってるな。
「言いたい事は分かるけど、俺たちは報酬すらないタダ働き……違うな。ここで活動するのに消費した食料や、時間分の損をしている。それなのにお前らは、俺に無償であの人たちを街に帰せと?」
「それがあの人たちのためだろ!」
「お前には優しさは無いのか?」
「将軍! こんな事言わせておいていいのですか?」
おうおう、言いたい放題言ってくれるね。
「将軍、それがあんたたちの最終判断なんだな?」
「シュウ殿に何を言われようとも、あの6万人を街へ返さねばならんのだ。分かっていただきたい!」
将軍が覚悟を決めたような顔をしている。
「そっか、じゃぁ帰してやってもいいぞ。その代わり、俺が6万人もの人を助け、盗賊から鹵獲した物資も分け与えたのに、報酬を支払いませんでした。という書面を書いてくれ。それが嫌だと言うなら、全力で相手をする事になるだろう。将軍どうかな?」
「将軍! そんなもの書く必要はない!」
「こいつら軍に喧嘩を売っているぞ!」
「殺しておいた方がいいんじゃないか?」
おい! 最後のやつ、物騒だな!
「それくらいなら……」
「もちろん、あんたがトルメキアの将軍だと証明できるもので、封蝋に印璽してくれ。もしくは、あのバカ王子でもいいか? いや、あいつは冒険者ギルドに引き渡すから、印璽してもらっても意味が無いな」
「えっ? 王子は返していただけないのですか?」
「俺を殺そうとした犯罪者だよ? 報酬も無い上に、助けたのに罵られる始末。それで、何で返してもらえると思うか不思議なんだが? あいつが王子だと証明できれば、ギルドへの報告にも役に立つしな」
「待っていただきたい! 王子は返してもらわねば困る!」
「王子は? 違うだろ、王子も! だろ? それに、こっちは6万人も助けたのに報酬すらないんだぞ? これだけ譲歩してるのに、まだ文句があんのか?」
「将軍! 王子をさらうって事は、重罪です!」
「ここで殺しましょう!」
「やめろ! お前たちでは返り討ちにあうだけだ。王子の事は私が責任をもって王に伝える……」
「あっ! 正確に伝えてくれよ? さらわれた! だけじゃなく、俺を切り殺そうとして捕まり、犯罪者として冒険者ギルドに引き渡されたってな。俺の所為にすんじゃねえぞ? って言っても無理だろうけどな。とりあえず、文章は問題なさそうだな。
最後に印璽をっと。まぁこれで問題ないだろ。後はお前たちで何とかしてくれ。そうだ、一旦は鹵獲した物資を全部渡したけど、俺が鹵獲した兵士たちの装備は全部回収してくからな」
書面を受け取りそう言って天幕を出ていく。その際、出た所に騎士が待ち構えており、俺を殺そうとしてきたが、バッハが喉元に噛みつき喉を潰した。あれは助からんな。
バッハがそのまま体を大きくした。俺は足に捕まりみんなの所へ戻る。
「みんな、今回はもう帰るよ。トルメキアは俺たちに金を払う気がないみたい。タダ働きだったけど、しっかりと将軍には書面を書かせたから、後は冒険者ギルドが何とかしてくれるでしょ。帰りの支度をしようか」
もともと、収納系のアイテムの中にほとんどしまっているので、時間はかからずに準備ができた。一応、作戦から離脱をするので、リリスたちに報告をしておこう。
「リリス、俺たちはここで抜けるわ。次に聖国の街を攻める時は、俺たちがいないけど頑張ってくれ」
「はぁ? 何を言ってる? 途中で仕事を投げ出していいと思ってるのか?」
「とは言ってもさ、俺たちの仕事は連れ去られた人たちの救出と、可能な限り聖国の街を攻める手伝いだったはずだぞ。仕事を投げ出すわけじゃない。
それに、6万人を助けたのに俺たちに支払われる報酬はゼロだってさ。さすがにやる気も起こらんよ。だから、しっかり払われないという内容を書面に残したから、それをギルドに提出する予定だ。後、王子は中立地域の冒険者ギルドにいるって言っておいてくれ」
「金が払われないだと? それは本当か?」
「嘘言ってもしょうがないだろ? それと、ジェノサイドキャラバンもこれで引き上げるぞ。今度聖国の街を攻める時は気をつけろよ。食料もそうだけど、運べる量が限られるからな」
「ちょっと待て!」
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