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第993話 進軍直前
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合流してから3日目の夜、俺たちは、最寄りの街の近くに到着していた。
だが、近くにあった森の陰に野営地を設営している。一応、見つけられるリスクを出来る限り下げるためである。
「それにしても、クダスンデス改で援軍に来ていた奴らがまだ動けないのは分かるけど、他の兵士たちの動きもあんまりよくない気がするんだが……」
俺たち……俺とピーチ、シュリ、ライム、アリスの5人と、リリスたち3人、合わせて8人で明日の街攻めについて話し合いを行っている。
「そのクダスンデス改と言うのは、何ですか?」
アントが疑問を口にしてきた。
「あ~説明してなかったですね。援軍を足止めするために、簡単に言えば、超強力の下剤を撒いて攻めてこれないようにしました」
それを聞いたリリスたちが絶句をしている。
「毒を使ったのですか?」
批判の目を俺に向けてきた。俺はそんな目を向けられる筋合いはないと思うが、一応説明しておこう。
「分類にすれば、クダスンデス改は魔法薬ですので毒ではありませんね。それに、毒だったとしても俺は使うのに躊躇わなかったですよ? 聖国の兵士、騎士は、殺されなかっただけ良かったと思っていただきたいですね」
「あなたは、戦争で何をしてもいいと思っているのですか?」
「じゃぁ聞きますが、聖国のやり方を容認するのですか?」
「っ!! 容認はしませんが、そんなものを使っていいとは思いません!」
「そっか、じゃぁ皆殺しにすればよかったのかな?」
「そんなわけありません! 被害を最小限にする方法だってあったじゃないですか……」
「よくわかってるじゃないですか。被害を最小限にするためだったら、俺は毒だって使いますよ。まぁ、俺は俺の仕事をしただけです。文句があるのなら、すべてが終わってから冒険者ギルドにでも申し出てください」
「リーダー! シュウの言っている事は間違ってない。毒は非人道的かもしれないけど、聖国はそれ以上の悪をしているんだよ。6万人を救うために手段を選ばないのは、合理的な判断だと思う」
アントがリリスを止めている。と言うか、リリスがここまで温い事を言うとは思わなかったな。規律を破る冒険者はサクッと殺すのに、毒を使う事は忌避する俺には分からんな。それに、皆殺しと言った時の顔は、何とも言えない表情だったな。
悪さをした味方より、非人道的な敵をかばうってどういう事なんだろうな? ただ、毒とかに反応しているだけか? まぁどうでもいいか。
「言いたい事もあるだろうけど、それならあなたが援軍をどうにかするべきだったと思います。俺たちが呼ばれたからには、理由があると思いますしね」
理解できるが納得できないといった感じだろうか? リリスの様子を見ていたアントが話をすすめてくれた。
「今は街の事を優先しましょう。どうやって攻めるか、略奪の範囲をしっかりと決めておかないと拙いと思います。違反した場合の罰も考えるべきだと思います」
俺たちもその話の流れに乗り、話が進む。
結論としては、略奪の対象は兵士や衛兵、騎士、商会、鍛冶工房、領主館はOKとなった。
兵士や衛兵、騎士は分かる。商会がターゲットになったのは経済力を削るため、鍛冶工房は武器防具を作らせないため。早い段階で戦力を回復させない事が目的だ。領主館は街の要なので、潰しておく必要があるとの事。
商会はOKだが、八百屋みたいな食料品オンリーの場所は無しだ。食料は、死に直結する必須なものであるため、さすがに対象から外されている。
まぁ、妥当な線なのではないだろうか? もちろんだが、一般市民への手出しは原則禁止。攻撃された場合のみ、自衛OKという事になっている。
そして、俺たちとリリスたち、後一部のAランクは、違反する冒険者がいないか監視にあたる事になっている。俺たちが略奪に参加すれば、本当に根こそぎになっちまうからな。
それに抑止力が無ければ、歯止めがきかず行為がエスカレートするのは目に見えてるし、自分たちの国が襲われて、住民の半数以上が連れ去られようとしていたのだからな。
「さて、何人が暴走するか……」
「シュウ、不吉な事は言わないでほしいのですが」
「どう言いつくろっても意味ないですしね。ただ、平民や食料に手を出す奴は問答無用で殺しますよ」
「そうね。この街に住んでいる人には、罪はないですからね。悪いのは全部、聖国の上層部なんだから。ですが、鍛冶場や商会まで狙う必要はあるのですか?」
話の流れで分かる通り、鍛冶屋と商会を狙う事は俺が提案している。鍛冶屋は武器防具の速やかな回収、商会に関しては、魔導具やポーションの回収を念頭に置いている。なので、食料品は狙わないように厳命している。
が、おそらく放置すれば、今回の義勇軍の半数前後は、食料や住民に対しても略奪を行うだろう。先んじて処刑を行っても2~3%の処分はやむを得ないと考えている。
「再度通達します。住民や食料に手を出す事は許可しません。発見次第処刑しますので肝に命じておきなさい。では、あの街を攻めます。まずは兵舎を制圧して武装解除、制圧後は事前に分けた20人前後で1組で必ず行動するように!」
20人で1組のチームを作ったのは、相互監視の意味合いが強い。だが、横暴なパーティーに女性や新人のパーティーをつけるとトラブルに巻き込まれるのは目に見えているので、優秀なパーティーに新人や女性パーティーをつけて組ませている。
なので、俺たちは横暴なパーティーを監視する事で効率化を図っている。まぁ俺たちにはマップ先生があるので、指揮官のピーチと従魔、シルキーを街の外の本部に待機させている。
援軍でバッハとシエルとグレンにも来てもらっているが、見た目が小さい従魔なので見ていると可愛いという感想しか出てこないが、ここにいる4匹で国一つ落とす事も容易いのだ。なんという戦力の無駄遣い!
まぁ、ピーチの護衛や馬車に関しては問題ない。馬車は全部しまってあるしな。外に出ているものと言えば、テントが2つとキッチン馬車だけだからな。そして、キッチン馬車に関しては何の問題も無い。
何故ならシルキーが守ってるからな。そして、ダマたち従魔はシルキーに害を与えるモノに容赦しない。もしかしたらピーチより安全かもしれないな。
そう、ピーチより馬車を優先する可能性が高かったので、ハクとニコたちスライムにはピーチから離れないように厳命している。まぁ大丈夫だろう。
そんな事を考えていると、
「では、出発します。進軍開始!」
だが、近くにあった森の陰に野営地を設営している。一応、見つけられるリスクを出来る限り下げるためである。
「それにしても、クダスンデス改で援軍に来ていた奴らがまだ動けないのは分かるけど、他の兵士たちの動きもあんまりよくない気がするんだが……」
俺たち……俺とピーチ、シュリ、ライム、アリスの5人と、リリスたち3人、合わせて8人で明日の街攻めについて話し合いを行っている。
「そのクダスンデス改と言うのは、何ですか?」
アントが疑問を口にしてきた。
「あ~説明してなかったですね。援軍を足止めするために、簡単に言えば、超強力の下剤を撒いて攻めてこれないようにしました」
それを聞いたリリスたちが絶句をしている。
「毒を使ったのですか?」
批判の目を俺に向けてきた。俺はそんな目を向けられる筋合いはないと思うが、一応説明しておこう。
「分類にすれば、クダスンデス改は魔法薬ですので毒ではありませんね。それに、毒だったとしても俺は使うのに躊躇わなかったですよ? 聖国の兵士、騎士は、殺されなかっただけ良かったと思っていただきたいですね」
「あなたは、戦争で何をしてもいいと思っているのですか?」
「じゃぁ聞きますが、聖国のやり方を容認するのですか?」
「っ!! 容認はしませんが、そんなものを使っていいとは思いません!」
「そっか、じゃぁ皆殺しにすればよかったのかな?」
「そんなわけありません! 被害を最小限にする方法だってあったじゃないですか……」
「よくわかってるじゃないですか。被害を最小限にするためだったら、俺は毒だって使いますよ。まぁ、俺は俺の仕事をしただけです。文句があるのなら、すべてが終わってから冒険者ギルドにでも申し出てください」
「リーダー! シュウの言っている事は間違ってない。毒は非人道的かもしれないけど、聖国はそれ以上の悪をしているんだよ。6万人を救うために手段を選ばないのは、合理的な判断だと思う」
アントがリリスを止めている。と言うか、リリスがここまで温い事を言うとは思わなかったな。規律を破る冒険者はサクッと殺すのに、毒を使う事は忌避する俺には分からんな。それに、皆殺しと言った時の顔は、何とも言えない表情だったな。
悪さをした味方より、非人道的な敵をかばうってどういう事なんだろうな? ただ、毒とかに反応しているだけか? まぁどうでもいいか。
「言いたい事もあるだろうけど、それならあなたが援軍をどうにかするべきだったと思います。俺たちが呼ばれたからには、理由があると思いますしね」
理解できるが納得できないといった感じだろうか? リリスの様子を見ていたアントが話をすすめてくれた。
「今は街の事を優先しましょう。どうやって攻めるか、略奪の範囲をしっかりと決めておかないと拙いと思います。違反した場合の罰も考えるべきだと思います」
俺たちもその話の流れに乗り、話が進む。
結論としては、略奪の対象は兵士や衛兵、騎士、商会、鍛冶工房、領主館はOKとなった。
兵士や衛兵、騎士は分かる。商会がターゲットになったのは経済力を削るため、鍛冶工房は武器防具を作らせないため。早い段階で戦力を回復させない事が目的だ。領主館は街の要なので、潰しておく必要があるとの事。
商会はOKだが、八百屋みたいな食料品オンリーの場所は無しだ。食料は、死に直結する必須なものであるため、さすがに対象から外されている。
まぁ、妥当な線なのではないだろうか? もちろんだが、一般市民への手出しは原則禁止。攻撃された場合のみ、自衛OKという事になっている。
そして、俺たちとリリスたち、後一部のAランクは、違反する冒険者がいないか監視にあたる事になっている。俺たちが略奪に参加すれば、本当に根こそぎになっちまうからな。
それに抑止力が無ければ、歯止めがきかず行為がエスカレートするのは目に見えてるし、自分たちの国が襲われて、住民の半数以上が連れ去られようとしていたのだからな。
「さて、何人が暴走するか……」
「シュウ、不吉な事は言わないでほしいのですが」
「どう言いつくろっても意味ないですしね。ただ、平民や食料に手を出す奴は問答無用で殺しますよ」
「そうね。この街に住んでいる人には、罪はないですからね。悪いのは全部、聖国の上層部なんだから。ですが、鍛冶場や商会まで狙う必要はあるのですか?」
話の流れで分かる通り、鍛冶屋と商会を狙う事は俺が提案している。鍛冶屋は武器防具の速やかな回収、商会に関しては、魔導具やポーションの回収を念頭に置いている。なので、食料品は狙わないように厳命している。
が、おそらく放置すれば、今回の義勇軍の半数前後は、食料や住民に対しても略奪を行うだろう。先んじて処刑を行っても2~3%の処分はやむを得ないと考えている。
「再度通達します。住民や食料に手を出す事は許可しません。発見次第処刑しますので肝に命じておきなさい。では、あの街を攻めます。まずは兵舎を制圧して武装解除、制圧後は事前に分けた20人前後で1組で必ず行動するように!」
20人で1組のチームを作ったのは、相互監視の意味合いが強い。だが、横暴なパーティーに女性や新人のパーティーをつけるとトラブルに巻き込まれるのは目に見えているので、優秀なパーティーに新人や女性パーティーをつけて組ませている。
なので、俺たちは横暴なパーティーを監視する事で効率化を図っている。まぁ俺たちにはマップ先生があるので、指揮官のピーチと従魔、シルキーを街の外の本部に待機させている。
援軍でバッハとシエルとグレンにも来てもらっているが、見た目が小さい従魔なので見ていると可愛いという感想しか出てこないが、ここにいる4匹で国一つ落とす事も容易いのだ。なんという戦力の無駄遣い!
まぁ、ピーチの護衛や馬車に関しては問題ない。馬車は全部しまってあるしな。外に出ているものと言えば、テントが2つとキッチン馬車だけだからな。そして、キッチン馬車に関しては何の問題も無い。
何故ならシルキーが守ってるからな。そして、ダマたち従魔はシルキーに害を与えるモノに容赦しない。もしかしたらピーチより安全かもしれないな。
そう、ピーチより馬車を優先する可能性が高かったので、ハクとニコたちスライムにはピーチから離れないように厳命している。まぁ大丈夫だろう。
そんな事を考えていると、
「では、出発します。進軍開始!」
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