ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第988話 2つ目の作戦

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 野営地に着いた俺たちは、残り500人程の盗賊をどうするか話し合っていた。

 話し合いと言うよりは、どうするのが楽なのか? という感じだった。

 マップ先生を見る限り、連れ去ってきた人には手を出している様子はない。というか、半分程は寝ているようだ。

 1500人が追撃したから負けるとは思っていなかったとか、そんな感じだろうか?

「みんな、ここら辺に集まっている盗賊は、寝ている集団だから魔法で痺れさせてはどうかな? 残りの半数が見回りをしているようなので、正面から殴り倒していこうか? 色々考える必要は無いと思うしどうかな?」

 言い争っていたように話し合いをしていた妻たちが、ピタッと止まり、じゃあその方法で行きましょうか? と話し合いが終わった。なんか端から見ているとコントっぽく見えるな。

 正面から、文字通りに殴り倒して行くということで、手加減が付与された非殺グローブを装備し始めていた。

 近付いて分かったが、寝ていた奴らが起こされて見張りをしているようで、ブツブツと文句を言い合いながら見張りをしていたのだ。こんな奴等で大丈夫か? って、大丈夫じゃないか。

 ピーチがハンドサインで、

『予定通りに、痺れさせたら正面から行きます。3・2・1・GO!』

 ピーチの合図で、雷魔法が睡眠中の盗賊に降り注ぐ。野営地を混乱させるために、雷を落とす形で派手にやっている。

 予定通り野営地は混乱している。4チームに別れて襲撃を開始する。

 そこら中から、悲鳴と怒号が聞こえてくる。戦闘は問題なく進んでいるようだな。

 俺達の目標は、士官……よく考えたら、この呼び方だと軍っぽいな。指揮官? それも違うか? ん~何て呼ぶか?

「ご主人様! 作戦行動中に変なこと考えないで下さい。このチームは、ご主人様が指揮をとるんですからね!」

 おっと、盗賊の幹部……うん、これでいいのでは?

 いかんいかん、こんな事考えてたら、また怒られてしまうではないか! 作戦に集中しないとな。

「そろそろ、盗賊の幹部達のテントに到着する。野営地の騒ぎで手薄になってるから一気に制圧するよ!」

 う~む、それにしても、幹部は1人で1つのテントなんだろうな? どう考えても非効率だと思うんだよね。

 建てるのにも崩すのにも時間がかかるし、なにより荷物がかさばる! 大人数で移動する時は、荷物を少なくする物じゃないのだろうか?

 後で聞いてみようかな?

 1人でいてくれるから、俺たちからすればやりやすくて助かるんだけどな。

 手分けをして、全員を睡眠状態から昏倒状態にして縛り上げる。

 起きていた盗賊の7割程が無力化されていた。さすがだな。

 俺たちは、近くにいる4人追加で無力化して、野営地が静かになるのを待つ。

 最後の1人が無力化されると、連絡が入ったので、連れ去られた人の所へ向かう。

 一緒に来ているのは、シェリル・イリア・ネルの3人だ。連れ去られた人たちに悪影響のないメンバーを選んでいる。

 子供の方がいいだろうと言うことで、作戦が始まる前に決めていたことだ。

 連れ去られた人達が集まっているところに行くと、騒ぎを聞いてかほとんどの人が起きていた。赤ちゃんの泣き声まで聞こえている。ビックリさせてごめんな。助けに来たんだよ、だから許してくれ。

「驚かせて済まない。ここにいる人たちを助けに来た冒険者だ。出来れば、トビという人物に会いたいのだがいるかな?」

 やはりいきなり来た俺達を警戒して、誰も喋ろうとしなかった。さてどうしたものか?

「あっ! ネルちゃん、あの子怪我してるよ! 直してあげて!」

 シェリルが、怪我をしていて母親に抱っこをされている子供を見つけて、ネルにお願いしている。自分でも出来るはずなのに、ネルに頼むのは何か理由があるのかな?

 ネルは、親子に不安感を与えないように、ゆっくり近づいていく。周りの大人がどう対処するべきか迷っていると、ネルが近付くのを止めた。

 そうすると、魔法を使用した。怪我をした子供を抱えている母親までの距離は、15メートル程だろうか?

 あぁっ! あの距離で回復魔法を使えるのは、俺かネルだけだからネルに頼んだのか。

 母親が子供の怪我が治ったことを喜んでいる。

 しばらくすると、連れ去られてきた人の中から1人、俺たちに近付いてきた。距離は、10メートル程。

「子供の怪我を直してくれて感謝する! 俺が君の探しているトビというものだ。俺の名前を何処で聞いたのか分からないが、ここに何しに来たのか聞きたい」

「さっきも言ったが、君たちの国から依頼を受けて、助けに来た冒険者だ。あなたの名前を知っていたのは、最後尾にあたる集団を助けた時にそこで次の所へ行くなら、あなたを探すといいと言われたから探していた」

 何かを考えるような仕草をして、

「俺に何かをさせたいって事か?」

「そうだ。俺たちが出来るのは、敵の排除迄なんだ。聖国側に連れ去られた人たちを助けに行かなきゃいけない。仕事がまだ残っていると言うことだ。

 そこで、ここの集団をまとめるのに、あなたの名前を聞いたからお願いしたいと思っている。1週間もしないうちに、後詰めの冒険者と軍もくるからここで待っていて欲しいんだ」

「本当に助かったのか……? それが本当なら君たちに感謝しきれないのだが、私たちには食糧や物資が何もないんだ……」

「それなら、何も気にしなくていい。この野営地に残っている物を使って、軍が来るまでみんなで助け合ってほしいんだ。任せていいかな?」

 トビという男は納得してくれたようだ。中央にあった大きなテントの中に奪取した物を置いていく。

 俺の護衛ではないメンバーには、捕まえた奴らを馬車に積んで仲間のいるところに落としてもらっている。

 残った俺は、幹部と話し合いをしようかな。
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