ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
978 / 2,518

第978話 戦争介入

しおりを挟む
「カエデ、ミリー、リンド、ちょっと行ってくるから無理はしないでくれよ?」

「シュウ君ったら、妊娠してたってそこまで弱いわけじゃないわよ。母は強いって言うでしょ? もし、私たちが心配だというなら、私たちを心配させないでね」

「そうよシュウ! あなたの突拍子の無い行動の方が体によくないんだからね。みんなもシュウの行動には目を光らせておいてね」

 ミリーが俺に無茶をするなと返してきた後で、カエデが俺に突拍子もない行動をするなと釘を刺してきた。みんなのためって言っても、さすがに3人に負担になる事はできないな……

「大丈夫です! お姉様方、私たちがしっかりとご主人様の事を看ておきます!」

 おっと、ピーチ……今、『見る』じゃなくて『看る』って言ったな! 俺は子供か何かか?

「シュウ……あなた、自覚していないようだけど、子供の面倒を看るよりあなたの面倒を看る方が大変なのよ。お願いだから無茶だけはしないでよ!」

 リンドにまで釘を刺されてしまった。それに、俺って子供じゃねえし! 看てもらう必要なんてないし! なんて思ってたら、

「ご主人様は、たまにオイタが過ぎるのです!」

「私たちが看ててあげないと、何をするか分からないのです!」

「ん! 私たちが看るから大丈夫!」

 シェリル、ネル、イリアの順で俺に跳び付いてきた。

「確かに、この3人が付いていれば無理はしないわね。頼むわよ! それとガロウも離れちゃだめだからね!」

 キャンッキャンッ

 ガロウが鳴いて返事をしている。シェリル、ネル、イリアにまだ赤ちゃんのサイズのままのガロウが近くにいたら、いつも以上に慎重にならざるを得ない。特にガロウはLvが上がってきているとはいえ、ニコやハクと違って行動が幼いのでまだまだ危ないのだ。

 ミリー・カエデ・リンドは前に出るなという事を言っているのだ。俺はドッペルを連れて行き、一番安全な場所で操縦する事になっている。ディストピアでやればいいのでは? という話も合ったが、妻たちが危険な所に行くのに、俺だけがここで安全にというのは嫌だと抗議したので、こういう方法になった。

 全員ドッペルにすれば問題無いと思ったが、同じサイズで作ってもやはり誤差が出てしまうため、特に手加減をする時には向いていない。武器に手加減ができるように付与しておいても、殺してしまう事が良くあるのだ。

 特に、今回は戦争に介入するので細かい調整ができないと、余計な被害を出してしまうのだ。

 何で戦争に介入するのかと言えば、遠征商隊から連絡が入って、すでに聖国側に略奪された後の街がいくつもあったのだ。立て直すために俺たちが行く事になったのだ。

 何で俺らが行くのかと言えば、戦力としても立て直す技術としても問題ないからだ。土木組でも問題は無かったのだが、戦闘面について拙い部分があるので俺たちの出番というわけだ。

 ちなみに、ゼニスからもお願いをされていく事になった。俺の商会を広げるために、ちょうどいいテストケースにしてはどうかという感じのお願いだった。復興を手伝ってそこに支店を置くといった感じだ。

 一番は、遠征商隊がその国の軍の総大将と話をつけて、国民を連れ戻すために冒険者に依頼してどうか? という所から、俺たちへの指名依頼として指名されたのだ。知名度的に土木組の娘たちに依頼するのは難しかったのだ。

 今回ついてくるのは、シルキーからスカーレット、アマレロ、コバルトの3人と、ブラウニーが5人付いてくることになった。ミドリはディストピアに残り、ミリー、カエデ、リンドの3人を看るために残るとの事だ。

 従魔は、全員、色付きスライムはニコを含め10匹を連れていく事になっている。こいつらは便利だからな。特に隠密行動については最高の成果を出してくれるので頑張ってもらう予定だ。

「じゃぁ行ってくる。まずは、最前線の街に行こうか。みんな魔導列車に乗ってくれ」

 俺の指示に従ってみんなが行動を開始する。馬車については、シルキーとブラウニーのメイドの嗜みの中に入っているので、問題ない。ウォーホースはすでに準備できているのですぐに出発できる。

 カエデたちが見送ってくれたので、手を振って出発した。

 俺たちが移動を始めて2日目の昼には、遠征商隊と合流できた。ゼニスに頼まれていた商品も持ってきたので渡している。自重無しの収納の箱10個分を渡しているが、商品の移動に半日以上かかっている。文句はゼニスにいってくれよな。

 商品の移動の間に、俺は再度リーダーに状況の確認をして、この街にいるこの国の総大将と会談となった。

「あなたがシュウ殿ですか?」

「そうだ。この者が率いている商隊は、俺の商会の商隊だってことは知っていると思うが?」

 対等に話しているためか、近くにいたお付きの者たちが殺気立っている。その殺気に反応して、妻たちが殺気を出し返して警戒を始めた。こらマリア、弓を構えるな!

「みんな落ち着け!」
「お前ら、無礼だぞ!」

 俺と総大将の声がかぶる。そうすると、お互いが殺気を収めるが、警戒は解かれなかった。

「シュウ殿、すまない。我が国の国民がさらわれてピリピリしているのだ。分かっていただきたい」

「この程度なら気にしませんよ。焦っているのは分かりますしね。ですが害が及ぶようでしたら、俺たちも黙っていないので気を付けてください」

「了解した。お前たち! 手出しは無用だぞ!」

「ですが将軍! 私たちだけでも国民を助ける事が出来ます! 訳の分からない冒険者に頼む必要など!」

「そこの軍人、少し黙りなさい。ご主人様はここに冒険者としてきていますが、この方はディストピアを含む中立都市5都市の他にも街を治めているのですよ? 小国に匹敵する数の街を支配しているご主人様に対して、失礼ではないですか?」

 それを聞いた軍人は何を思ったのか、武器を抜いて俺に切りかかってきた。なんで!?

 ここで俺が動いてもいいんだけど、俺が動かなくてもシュリが……あれ? 俺に向かってくる途中で、首が飛んだ。俺らの陣営からじゃなく、将軍自ら剣を抜いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

処理中です...