ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
969 / 2,518

第969話 やっとクリアした……

しおりを挟む
「「「「ご主人様!」」」」

 みんなが俺の方へ駆け寄ってくる。何でこんな方法を知っていたのか、聞きたそうな顔をしているのが分かる。予想通り俺は間違っておらず、次々に同じ質問をされた。

 何というか、何度か間違った指示をしてしまって、変な考えが頭によぎり、出来るのではないかと思いやってみたら成功した。と話したら『また?』みたいな顔をされて、ちょっと泣きそうです。一応俺が、倒すのを簡単にしたのに……

 でも、それで簡単に倒せたのだからと言って、ミリーやリンドが皆にそんな顔をしないと注意をして、俺への冷たい視線は何とか治まった。

「ほら皆、言いたい事はあるかもしれないけど、ここはまだ戦闘エリアよ。ピーチ、戦闘指揮とらなくていいの? みんなもそんな事している場合じゃないわよ!」

 リンドの叱責がとび、弛緩していた雰囲気が一気に引き締まる。ピーチもハッとした表情を浮かべ、隊列を組みなおす指示を出した。

 この50階のボス部屋は、ボス以外にも雑魚が湧いているため、まだまだ油断はできないのだ。ただ40階と違う所は、階段まで一直線でいけるという所だ。

 理由は簡単。50階から49階への階段と、50階から51階への階段が直線で行き来できるからだ。氷山と火山の中間である草原を進めば、階段にたどり着くので40階あたりに比べれば、戦闘回数も少なくて済むはずだ。

「ここに長居する必要もありません。斥候班先に進んで敵の有無を確認してください。みなさん、一気に駆け抜けますよ!」

 ピーチの指示が出て、行動が開始される。51階までに敵に遭遇した回数は、4回と予想していたより回数は多かったが、火山エリアの魔物は氷山エリアに、氷山エリアの魔物は火山エリアに入ろうとしなかったため、戦闘が回避できている。

「到着したな。今回は疲れた気がする。時間的にはそんなにかかってないと思うんだけどな」

 51階のコアルームだと思われる場所に向かって階段を降りながら、そんな事を口にした。

「私たちはそれほど感じていませんが、ご主人様は、ダンジョンに強引に穴をあけるために、大量に魔力を何度も消費して、倒れる寸前まで頑張ったから疲れているのではないでしょうか?」

 そう言われて、俺がここのダンジョンに入ってやらかしてしまった事を思い出して、そりゃ疲れるなって思ってしまった。

 今までいくつかのダンジョンに潜ってきたけど、ここまで無理をしたことは無かったと思う。何というか肉体的な無茶ではなく、精神的な無茶を何回もしてしまったんだな。でも、みんなが安全に休むためにやった事だから後悔はない!

 そうこう話しているうちに、51階へ到着した。

「ん~確かにキラキラした宝石みたいなのがあるな。これってダンジョンコアなのか? 俺にはただの宝石に見えるんだが、無茶苦茶大きいダイアモンドみたいな感じかな?」

 俺達の視線の先には、俺の知っているダンジョンコアではなく、綺麗にカットされた球体に近いダイアモンドみたいな、透明でキラキラした物体がそこにあった。

 掌握できるかやってみるか。宝石みたいな物に触れて掌握をしてみる。

「あっ! 出来た。これがダンジョンコアなのか? ダンジョンコアの形なんてどうでもいいか。それよりこのままここに放置するわけにはいかないよな。このダンジョンを解放するとなると、いずれ到着できる冒険者がいるかもしれないもんな」

 このままダンジョンコアを置いておくわけにはいかないのだが……このダンジョンを出てもすぐにフィールドダンジョンがあるんだよな。困った。

「まぁ、この先の事はシルキーたちと合流してからにしようか。ここからシルキーたちのいる部屋までの経路を……えっ?」

 マップ先生を開くと、マッピングした覚えのない部分が表示されていた。確認してみると、他の3ヵ所の入口から入る方のダンジョンの構造まで表示されていた。どういう事? 訳が分からず、色々いじっていたら、地上のダンジョンフィールドまで俺の領域になっていたのだ。

「って事は、向こうの陸地の俺の領域とつなげれば、よっし! これで、ここにダンジョンコアは必要なくなったな! じゃぁ、ここまで到達できたパーティーには、Sランクの魔石が手に入るようにセットしておこうか」

 ダンジョンの最下層に置いてあれば多分持ってくだろう。それにダンジョンコアがダンジョンを維持するのに必要不可欠なんて知ってる人はまずいないからな。金目のものがあれば持ってくだろう。せっかく最下層に着いたのに何もなしじゃかわいそうだからな!

 ダンジョンコアのあった所にSランクの魔石を置いて、シルキーたちの待つ野営地コンテナに向かう。

 無駄なDP消費だが、俺には問題ないのでゴリゴリっとDPで通路を作って、49階から50階へ行く階段まで一気に移動した。

「ただいま~問題なくダンジョンを掌握できだぞ~」

「「「「お帰りなさいませ」」」」

 シルキーが出迎えてくれた。

「やっぱりこの感じは、ご主人様がダンジョンを掌握されたのですね」

 ん? シルキーは謎のシックスセンスによって、俺がダンジョンを掌握したのに勘づいていたようだ。よくわからないけど、把握できる何かがあるのかな?

「お腹空いた~、でもシャワー先に浴びるから、食べる物を何か準備しておいてほしい」

「はいはい、分かりました。ガッツリ系がいいですか? さっぱり系がいいですか?」

「ん~、この後は何もないから、ガッツリ系でお願い!」

 わかりました~と返事をして、俺たちがシャワーに入っている間に何か準備してくれるようだ。何を出してくれるのか楽しみだ!

 熱いシャワーを浴びて体を洗った後に、冷たいシャワーに切り替えてキュッと身を引き締める。

 着替えてから食堂へ向かうと良いにおいが漂っていた。これは醤油のにおいが強いから、和食だとは思うけど、お肉のにおいもするから、丼系?

 席に着くと、シルキーがみんなに希望を聞いていた。丼のメニュー表を持ち出していたので、俺が想像した通りだ。だけど、予想外のメニューもあった。

 丼は丼なのだが、海鮮丼も準備されていたのだ! 見つけてしまったら食うしかないよな!

「えっと、この海鮮てんこ盛り丼をよろしく!」

 ウニ・イクラ・ネギトロの三色丼の上に、ホタテ・車エビ・甘エビ・サーモン・大トロ・中とろ・赤身・ヅケ・タコ・イカ……と、とにかく大量に色々乗せられている一品だった。

 あまりにのせられている物が多すぎて、別の皿に取り分けてからじゃないと、お米が食べれなかったけどね! こんな贅沢なんてなかなかないよね!

 でも、かなりお腹が空いていたのか、ぺろりと平らげてしまい、まだ食べたい気がする。という事で、天丼を注文した。個人的に一番好きなかき揚げオンリーの巨大かき揚げ丼!

 出された時は、食べれるかなって思ったけど、何の問題もなく食べれました!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...